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48話(5)勤労感謝大作戦は大成功?!あっちの方も労わってください?!

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「お兄ちゃん帰ってきてる!!!」


 こたつから起き上がり、急いでキッチンへ向かう。米は炊けてる!!! 味噌汁……スープ? 出来てる!!! 回鍋肉が下準備で止まってる!!!


「お兄ちゃん、ちょっと待ってて!!! 今から作るから!!!」
「いいよ、俺作るよ?」
「ううん、今日は私が作る!!!」
「ちょっと!! ちょっちょっ押すな!!!」


 兄の背中を押し、キッチンから追い出す。今日は、兄キッチン立ち入り禁止!!! フライパンをコンロの上に置き、ごま油を熱する。


 チューブのニンニクと生姜を入れ、香りが立つのを待つ。


 ぱちぱちぱちっ。


「うわぁ!!! 跳ねる!!! めっちゃ跳ねるんだけどぉおおぉお!!! いった!!! 痛っ!!!」
「肉で封鎖しましょう!!!」


 隣で見守る如月に唆され、豚肉をフライパンへ入れる。


 じゅ~~。


「えへへ、良い感じ~~」
「ねぎ入れますねー」


 肉の色が変わり、火が通ってきた。次は調合した調味料と豆板醤の投入!!!


「如月!!! 豆板醤小さじ2分の1と調合した調味料を!!!」
「それ、豆板醤も一緒に調合した方が良くないですか?」
「確かに!!!」


 先ほど作った調味料の混ぜ合わせに豆板醤を加え、フライパンへスプーンで入れていく。


「ぉおぉおぉおお~~」
「香りが回鍋肉です~~」
「さっき炒めたキャベツとピーマンを!!!」
「はいはい」


 サッと軽く炒め合わせる。こ、これは今までで最高の出来なのでは?! 失敗しなかった!!! やったあ!!!


 炒めた具材を大皿に移す。


「如月、大成功だよ~~っ!!!」
「ですね!! やれば出来ることが証明されました」


 大皿を持ち、こたつへ持っていく。テーブルの上にはご飯や卵スープなど、色とりどり……とまではいかないが、作った料理が並べられ、回鍋肉の香りが部屋中に漂った。


 兄と如月と私で、こたつを囲う。如月と小さな声で「せーの」と声を揃えた。


「「いつもお疲れさま!! 私たちのためにいつもありがとう!!」」
「うぅ~~ありがとぉ~~」


 突然涙を溢す兄に、若干引きながら、手を合わせる。


「お兄ちゃん、食べるよ」
「うん~~」
「「「いただきまーす!!!」」」


 箸を手に取り、頑張って自分で作った料理を味わう。美味しい。調味料が少し心配だったけど、まるで問題なし!!!


 炊き立ての白いご飯と一緒に食べることで、回鍋肉の旨みが引き立ち、食が進む。


「美味しいぃ!!!」
「うまい!!!」
「白米が足りません~~」
「今日はね、デザートも用意してあるよ!!!」
「本当に? それは楽しみだなぁ~~」


 私の言葉に兄が嬉しそうに目を細めた。まぁ、デザートと言っても、買ってきた市販のプリンなんだけど。


 今日家事をやった感想や、明日のことなど、会話を交わしながら、兄と如月と一緒に食事を楽しむ。


 食事が終わって、デザートを食べている時も、笑顔が溢れ、幸せな気持ちが私たちを包んだ。


 勤労感謝大作戦、大成功っ!!!



 ーーーーーーーーーーーー
 ーーーーーーーー
 ーーーー
 *



 勤労感謝の日ということで、先にお風呂も入らせてもらったし、夕食の片付けも今日は全て卯月と如月がやってくれた。


 だが俺はまだあることにおいて、労わられていないし、リフレッシュされていない。


 ちらりと如月を見る。


 こたつで暖まりながら寝そべり、本を読んでいる。まるで猫。もう外も暗くなったよ? 俺といちゃいちゃらぶらぶしよ?


 如月のそばに座り、軽く服を引っ張る。


「なに」
「べつに」


 むー。本を読んでいる時は全然相手にしてくれないし、対応も少し冷たい。読み終わるまで待った方が良いかな。


 如月の隣に寝転がり、一緒にこたつへ入る。ゲームでもして、時間を潰そうかな。うつ伏せで本を読む如月に対して背を向け、片手でスマホをいじる。


 ぱたん。


 本が閉じる音がした。


「お風呂の良い匂いがして、本に集中出来ません」
「え? あっちょっ…待っ」


 如月の手がズボンの中へ入ってきた。だめっ!!! いや、望んでいたけど!!! リビングには卯月がカーペットでごろごろしてるし、やだ!!!


 でも身体は素直に反応し、下腹に熱が籠る。声が漏れないように片手で口元を押さえた。


「~~っん……っぁ……~~~~っっ」
「声我慢してるの? 可愛いね」


 妖艶な瞳でクスッと笑われる。ダメだから。もっとやってとかそういうアレじゃないから!!!


「あ、今日は勤労感謝ですもんね」
「へ?」
「こっちの方も癒さなきゃね」
「う、うん?」


 望んでいた展開にはなったけど、なんか俺がイメージしていたものと雰囲気が違う!!! これ背徳感のやつ!!!


 再び、如月の手が俺の幹を優しく撫でる。違うんだってぇ。なんでここで、今?!?! 


 身体は卯月がいる、この状況にドキドキして、いつもより身体が敏感に反応する。


「だめっ……如月だめっ……ん……~~~~っ」
「……でもすっごく感じて大きくなってるみたいだけど?」
「~~~~っ……ぁっ…~~っ……ん……」


 恥ずかしさで顔が赤くなる。下着の上から撫で続ける手に、もっともっと触ってほしいという欲求ばかりが湧いてくる。


「卯月さん、お先にお風呂どうぞ~~」
「はぁい~~」
「?!?!」


 卯月が風呂に入る支度を始めている。何故急に卯月にお風呂を?! 30分くらいで上がってくるのでは?! 少し振り返り、背中にピッタリくっつく如月を見つめる。


「ん~~? 和室いこっか?」
「う、うん……?」


 こたつから立ち上がると、俺の背中に如月がぴったりとくっついた。後ろから回ってくる如月の腕が、俺をぎゅっと抱きしめる。


「どうしたの?」
「勤労感謝のぎゅー」
「なにそれ~~」


 密着する身体はすごく心地よくて、幸せを感じた。歩調を合わせながら一緒に和室へ向かう。後ろから抱きしめる如月の手に、自分の手を重ねた。


「睦月さん、いつもありがとう。大好きですよ」
「な……なにもぉ……俺だって大好きだし……いつもありがとうなんだから……」


 歩いている足を止め、如月の頬に触れる。自分の方へそっと引き寄せ、唇を重ねた。


 ちゅ。


 温かな吐息の触れ合いに下腹が疼く。和室に敷かれた布団が、少しいやらしく見える。如月と一緒に布団の上に座った。


「30分くらいで卯月がお風呂から上がってくるよ?」
「だから?」
「へ?」
「ん?」


 閉められた襖に背を向け、背後から如月に抱きしめられながら寝転がる。


「たまには背徳感に苛まれながら、脳まで蕩けちゃうのも良いんじゃないですか? 勤労感謝の日ですからね」
「それ、勤労感謝関係ない……」


 卯月はもう風呂に入ったのだろうか? 微かに聞こえるシャワーの音でしか判断が出来ない。目に入るのは壁のみ。背中から如月の熱を感じる。


「卯月さんが上がってきてもバレないように布団かけておきますね」
「なんで上がってくる前提……」
「だって30分で終わるか分からないじゃないですかぁ~~」


 卯月が上がってくるまで残り25分。


 俺はこの短時間で一体どうなってしまうのか。自分目の前で、着々と準備が始まる。如月の指先に被せられたゴムと用意された潤滑剤をじぃっと見つめた。
 
 
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