如月さん、拾いましたっ!

霜月@サブタイ改稿中

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48話(2)勤労感謝大作戦スタート?!兄の几帳面さは恐ろしいです?!

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「あ、旭ごめん、行こう」
「……お、おう」


 そんなに頬赤らめて、目とろんとさせて出てくるなよ。旭さんも少し困惑してるじゃん。


 変な空気のまま、兄と旭さんは約束(?)通り、出掛けて行った。一応これで、如月と勤労感謝大作戦は決行出来る!!!


「如月~~」


 和室の襖を開け、如月に声を掛ける。如月がなんかティッシュで手を拭いている。


「何してるの?」
「手が愛にまみれたので」
「声聞こえたよ」
「口元、手で押さえたのですが」


 押さえたって……。どういうプレイ?! 口を塞いでもなお、聴こえてしまう声量とは?! き、気になる!!! いや、今はそれよりも家事!!! 今日は兄が活動休止のため、何ひとつ片付いていない!!! 頑張らねば!!!


「家事が何も終わっていません」
「なるほど。大変ですね」
「なんで他人事!!! 如月もやるんだからね?!」
「あーー、はい」


 よし、まずは役割分担だ!! 洗い物係と洗濯物係に分かれよう。如月はよく、兄の洗い物の手伝いをしているから、洗い物係の方が上手くいくはず!!!


「如月は洗い物係でよろしく!!」
「はぁい」


 キッチンに行く如月を確認し、脱衣所へ向かう。あんまり洗濯機とか回したことないけど大丈夫かな?!?!


「とりあえず電源でしょ」


 軽快な音楽と共に洗濯機が動き始めた。


「洗剤ってどれくらい入れるのかな?」


 リットルとか洗濯機の大きさとかよく分からない。というか、知らない。でも私は学習した!!! だからと言って全てを入れて良いわけじゃない!!!


「まぁアレか。洗剤は1人当たりキャップ1杯と考えればキャップ3杯が妥当!!!」


 付属の蓋に洗剤をいっぱいまで注ぎ込み、洗濯機に入れる。3杯っと。柔軟剤も入れなきゃね!!! 洗剤が3杯なら柔軟剤は2倍くらい入れないと効果がない?!?!


「ってことは6杯?!?! でもお兄ちゃんのくさい匂いとか消してくれそうだし多くて損はなし!!!」


 柔軟剤の蓋に洗剤を注ぎ込む。6杯分、洗濯機に入れる。なんか多くね? 溢れるんだけど。もう入れてしまったからには後戻り出来ない!!! すすぎ終わってしまえば、きっと一緒!!!


 洗濯機の蓋を閉め、キッチンへ向かった。信用はしているが、如月が少し心配。


「洗い物の調子はどう?」
「意外と洗い物は得意なので、順調です」


 ひとつずつ丁寧に洗っている。これは任せても大丈夫そう。洗濯機が止まるまで、部屋の片付けでもしようかな?!


「部屋片付けてくる~~」
「はーい」


 リビングを見渡す。如月の脱いだ服が散乱。私の勉強道具と如月の本が床に転がっている。暑くなって脱いだ私の靴下があちこちに。こたつの上はみかんの皮が大量発生。(私と如月が食べたもの)


 なるほど。兄のものは一切ない!!! 何故だ!!!! なんとなく洋室へ行き、調査する。


「ぉおおぉおぉお!!!」


 ビジネスバッグは部屋の角へ。仕事用スーツはハンガーに掛け、もう一度着る服は綺麗に畳んで一箇所にまとめられているではないか!!! 恐るべし几帳面兄!!!


 畳んだ服の幅が揃っている辺り、家事の年季を感じる。


「そんなことよりリビングを片付けねば!!!」


 脱ぎ捨てられた服たちを回収していく。如月も服脱いだら洗濯機に入れろ!!! 大人でしょ?! 私の靴下はさ、良いんだよ。もう一度履くから。(※でも履かないことの方が多い)


「回収した服、どこに置こう??」


 とりあえずリビングに積もう。邪魔にならないところに集める。これ、明日洗濯で良いよね? もういっかい洗うの嫌だし。


 洗濯機が終了する音楽が聴こえ、脱衣所へ向かった。


「よいしょっ」


 洗濯カゴに洗った服を取り出す。なんか気持ち、匂いがきつい気もするが、まぁいっか!!! 今日は天気も良いし、洗濯日和!!!


 ベランダに出て、洗った洗濯物を干していく。


「こんなに順調だと料理も出来る気がしてくる~~」


 洗濯物を干していると、如月が手伝いに来てくれた。


「結局何を作る予定なんですか?」
「ん~~……」
「決まってないんですね」


 あっという間に洗濯物を干し終わる。夕飯かぁ。何がいいかな。ベランダから如月とリビングへ戻り、こたつに入る。


 ぬくぬく。


 みかんを食べながら再び会議をする。


「睦月さんの好きなご飯ってなんですか?」
「中華かな?」
「中華が出てくる頻度低いですよね」
「そりゃあ……」


 如月が和食好きだから。


 如月が来る前は中華料理もそこそこ出てきてたよ。でも如月がお兄ちゃんの作る和食を食べて美味しいって笑うから、作らなくなったんだよ?


 でも教えてあげない。きっとお兄ちゃんは秘密にしていて欲しいと思うから。


「中華にする?!」
「そうですね」
「中華の中で特に何が好きなんですか?」
「麻婆豆腐。なんかねー、仕事から疲れて帰ってきて麻婆豆腐はあんまり作りたくないらしい」


 剥いたみかんを口の中に放り込み、のそのそとキッチンへ向かう。冷蔵庫を開けた。豆腐がない。麻婆豆腐はダメだ。


「如月、麻婆豆腐作れない」
「ぇえ……回鍋肉とかどうですか?」
「キャベツとピーマンはある!!! 回鍋肉はイケそう」
「回鍋肉にしましょう」


 夕飯を作るには少し時間が早いけど、私と如月はキッチンに並び、回鍋肉の下準備を始めた。


 *


 ーーカラオケ店



「むっちゃんさぁ、俺待たせて如月さんとえっちなことしてたでしょ」
「え゛」
「はい、図星~~」


 バ、バレてた?!? 口は如月に手で塞いでもらったのに?! ちょっとアレ、ドキドキしたなぁ。朝のことを思い出し、下腹に熱が籠る。


 ズボンの上に手を置き、膨らみを誤魔化す。


 なんとなく入ったカラオケ店だったが、声を出すことで、日頃のストレスの発散になり、意外とリフレッシュしている自分がいる。


 ただ、密室で旭と2人という点に少しばかり警戒する。


「むっちゃん、俺の膝の上に座らない?」
「結構です」


 隣に座る旭から横にずれ、距離を取る。何かされるのはごめんだ。


「誰も見てないよ?」
「そういう問題じゃないから」


 頼んだポテトを摘みながら旭を睨む。友達としては好きだけど、そこの境界線は越えたくない。


 距離を取っても、詰めてくる旭を更に警戒する。うぅ、なんで旭なんだよ。神谷にしろって。俺の顔を覗き込んでくる旭にドキッとする。


「な、なに?!」
「ゲームしない?」
「ゲーム?」


 ニヤリと笑いマイクを片手に取る旭に嫌な予感しかしない。


「カラオケで採点して点の良い方が勝ち。俺が勝ったらキスね。むっちゃんが勝ったら今回の件がなんなのか話すよ」
「…………」


 今回の件については知りたい。でも負けた時の代償は大きい。俺と旭の歌レベルは同じくらい。負ける可能性は十分にある!!!!


 でも知りたい!!! 如月が一体どういう意図で俺と旭を出掛ける約束をさせたのか!!! 危険な賭けだが乗るしかない!!!!


「やる!!!」
「いいねー、やろ~~」


 キョクナビを掴み取り、1番得意な音楽を予約する。絶対に負けない!!! 力強くマイクを握りしめ、立ち上がった。

 
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