如月さん、拾いましたっ!

霜月@サブタイ改稿中

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46話(4)情事の後のお風呂?!何個でもキスマ付ければ?!

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 ざばぁ。


 湯船に2人で浸かる。男2人で入る湯船は狭くて、沢山の湯が溢れた。後ろから如月が俺をぎゅっと抱きしめる。幸せすぎて、顔がニヤけてしまう。


「睦月さん、明日仕事でしょ。早めに上がって早く寝ないと」
「もう少しだけ一緒にいたい」
「いつも一緒にいるでしょ」
「そういうことじゃないもん……」


 顔を上に向け、如月を見つめる。片手で前髪を掻き上げている仕草が、なんだか色っぽくて、えっちぃ。頬がほんのり染まる。


「なに?」
「んーん、べつにぃ」
「べつにって顔じゃないと思いますけど」


 ぷに。


 人差し指で頬が押された。


「べつにはべつにですぅ~~」
「あ。本読みましたよ『転生したらダメ人間だった件』」
「えっ?! もう読んだの?!」


 いつも一冊読むのに何日もかけてるのに?! その本今日渡したばっかりだよ?!?! もう読んだの?! 驚きのあまり、固まってしまう。


ドーピングもしたし酒も飲んだし
「それ、ちゃんと読めてるの?」
「もう~~。ひどいなぁ。睦月さんがくれた本を蔑ろに読むわけないでしょ」


 子どもの頭を撫でるみたいにぐしゃぐしゃと髪が撫でられる。俺が年下だからって、すぐ子ども扱い。


「もぉっ~~! 撫ですぎっ!!」


 ちゅ。


 急に顔の横から頬にキスされた。突然のことで、恥ずかしくて、顔が真っ赤に染まる。


「だあーーっっ!!!」かぁ。
「ぷ」
「あーーっ!! 笑うな!!! もぉっ!! えっと!!! ほ、本の…感想?!?! 感想は?!?!」


 俺の質問に、如月の目が一気に死んだ魚の目になる。これは聞いてはいけない質問だった?


「あーー、なんか主人公の霜月がユニークスキル【自宅警備員】をレベルアップして、自宅の平和を守る話でしたよ。ほのぼのニート? みたいな? よく分かりませんけど」
「……つまらなさそう」
「買ってきた本人がそれ言います?」


 肩に如月の顎が乗り、ドキッとする。ぎゅうぅ。俺を抱きしめている如月の腕に力が入った。如月の腕の上から自分の腕を重ねる。


「でも、買ってきてくれてありがとう」
「べ、べつにっ……次はちゃんと、じゅんぶんがく買ってくる」
「楽しみにしてますね~~」


 クスクス笑いながら、首筋に如月が鼻先を埋めてくる。あたたかくて、湿った口唇の感触を首筋から感じた。


「つけていい?」
「なんで今日はいちいち聞くの?」
「なんとなく」
「つければ……好きなだけ……」


 自分で言った言葉が恥ずかしくて、顔が赤く染まる。明日は仕事だし、首筋に赤い痕なんて付けていったら一発で、何をしたのか即バレだけど、まぁいっか。


 そんなことよりも、如月のものっていう印を付けられたい。赤い印から愛を感じたい。


 それにきっとこれは如月の愛情表現。嫌なんて全く思わない。


「ん~~~~っ」
「……っん」


 思いっきり吸われ、首筋に少しばかり痛みが走る。


「ついた? ってあっ……んっ」


 首筋から口唇が離れたと思ったら、また口唇が触れ、吸われた。離れては、吸われ。離れては吸われ。何個も付けている。ちょっと付けすぎでは?!?! 好きなだけって言ったけどぉ!!


 繰り返し、吸われる度に、首筋の痛みが気持ち良さに変わり、肩が小さくビクッと上がる。


「感じてるの?」
「うるさいなっ……んっ……もぉいいんじゃない?」
「好きなだけ付けていいんでしょ」
「うっ……あっ…」


 ちぅ。


 また付けた。もぉ。自分じゃどれだけ付けられているのかよく見えない。でも吸われている回数的に、首筋が赤いまだら模様になっているのは間違いないはず。


「何個つけたの?」
「え? 分かんない」
「んもぉ~~」
「そろそろあがろっか」
「うん」
 

 如月と一緒に湯船から立ち、浴室から出た。身体をバスタオルで拭きながら、脱衣所の鏡で首筋を見る。結構沢山付いている。この位置はワイシャツの襟で隠せないな。


 身体を拭き終わり、長袖のTシャツとジャージに着替える。如月を見ると、もう着替えを済ませ、フェイスタオルで頭を拭いていた。


「頭乾かそうか?」
「んーーだいじょーぶ」
「……やってあげたいんだけど」
「え?」


 洗面台の収納から、ドライヤーを取り出し、コンセントに差す。如月の背後に立ち、ドライヤーの電源を入れる。


 ぶぉ~~っ


「髪さらさら……」


 如月の髪の毛に指を通しながら、ドライヤーの風を当て、乾かしていく。


「俺、如月の髪好き。さらさらで柔らかくて綺麗な色……」
「なんですか? 急に~~」
「前から思ってたことだもん!」
「ふ~~ん?」


 如月が振り返り、俺の方を向く。如月の手が俺の顎に触れた。愛している。俺を見つめる熱い眼差しがそう言っている。


 ドライヤーの電源を切るのを忘れ、如月を見つめ返す。


「好きですよ、睦月さん」
「俺だって……大好きだよ」


 掴まれた顎が引き寄せられ、唇が重なる。少し強引で、情熱的な口付けに頬が染まる。如月の片手が背中から服の下へ忍び、素肌に触れた。


「んっ……ふ……んんっ…ぁん……んっ…ぁ…んんっはあっ」


 何かするわけではない。素肌に触れ、ただ、背中を撫で続ける如月の手はいやらしくて、キスの合間に小さく声が漏れる。


「もぉっ……」
「キスすると触りたくなりますね」
「何それ……」
「でも、もう寝なきゃ」


 背中から如月の手は引いていき、ドライヤーを持っている俺の手に如月の手が重なった。


 かち。


 ドライヤーの電源が切られた。


「今日は一緒に寝たい……」
「なんだか今日はすごく甘えんぼですね。可愛いからいいですけど」


 ドライヤーが如月に取り上げられ、洗面台の収納にしまわれる。重なっている手はそのまま手を繋ぎ、脱衣所を出た。


 如月の足は和室に行かず、リビングへ向かっている。


「和室行かないの?」
「こたつで一緒に寝ようかなぁって」
「あ……そうしようかな?」



 こたつで寝るのは風邪を引くしあんまり良くない。そう思いつつも、如月と一緒に寄り添って寝たくて、こたつに入り寝転がった。



 後ろから如月の両腕に包まれると、幸せな気持ちが充満し、眠りの世界へと旅立った。



 ーーーーーーーーーーーー
 ーーーーーーーー
 ーーーー
 


 ーー翌日

 

 仕事へ行く準備を済ませ、如月の居る和室へ顔を出す。


「じゃあ、俺、仕事行ってくるね!!」
「はぁい、いってらっしゃい」


 ノートパソコンとお見合いしている。俺が仕事へ行くと言っているのに、俺の方を見やしない。ひどい。


 キーボードを叩く如月のそばに詰め寄りじぃっと横顔を見つめる。


「な、なんですか」
「俺、仕事に行くんだよ?」
「うん? いってらっしゃい」イラッ。
「ちっがーーう!!!!」


 バシッ!!!


 こっちを見ないで見送りの言葉を言う如月に腹が立ち、ビジネスバッグで思いっきり如月の頭を叩く。


「痛っ!!!! 何するんですか!!! 合ってたでしょうが!!!」
「合ってない!!!!」


 やっとこっちを見た。睨んでるけど。


「如月も仕事かもしれないけど、俺の方みて言ってよ」
「いつも見て言ってなかったでしょ……」
「見ていって欲しいの!!!」
「もうっ……」


 ぱたん。


 如月がノートパソコンを閉じた。小さくため息を吐かれ、ムッとする。そんな俺の頬に優しく如月が触れた。


 妖艶な瞳としばらく目が合い、ゆっくり唇が重なる。


「ん……いってらっしゃい、睦月さん」
「いってきます」


 なんか、結婚してるみたい(?)ちょっと恥ずかしい!!! 照れを隠すように立ち上がり、和室を出て、足早に玄関へ行く。でも今日も1日頑張れるっ!!!


 晴天の下、軽い足取りで会社へと向かった。

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