如月さん、拾いましたっ!

霜月@サブタイ改稿中

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45話(2)兄たちの代わりに私が草むしり?!納屋の扉ぶっ壊してやる?!

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 納屋に閉じ込められてどれくらいの時間が経っただろうか? 納屋に窓は付いているが、曇りガラスで外の様子は見えない。睦月があぐらをかき、不安そうに俯いている。


 後ろから睦月の顔を覗き込み、声をかけた。


「大丈夫ですって」
「う~~ん」


 心配で仕方がないようだ。せめて何か気を紛らわせてあげたい。はめている軍手を外し、床へ置く。睦月の頬にそっと触れた。


「如月?」
「元気がないから朝のキスの続きでもしようかなって」


 俯いた睦月の顔を上に向け、優しく口唇を触れ合わせる。睦月の腿に手を添えた。


「あ……っん…」


 朝と同じように、睦月の口唇が薄く開く。導かれるように舌を差し込み、絡め合う。


「ん……っん…んん…ふ……っんん……んっはぁっんっ」


 こんなところで……と思いつつ、官能的に熱い吐息を漏らす睦月を見ると、情欲を高めるように舌を激しく絡めてしまう。


「はぁっ…んっ…ん……ふ……はぁっ…んんっ…んふ…はあっ」


 呼吸を合わせ、緩急をつけながら、ゆっくりと舌を離していく。物欲しそうに見つめる睦月の目に惹かれ、腿の上に乗せていた手をTシャツの下へ忍ばせる。


「待っ……だっだめ……んっ……汗かいてるし……あっ…」
「汗? そんなの気にならないくらい睦月さんが好きです」
「もぉっ……そういうことじゃないっ…あっ」


 筋肉の動きを確かめるように、指先で腹筋を撫でていく。まだ感じるところなんて触っていないのに、こんなにビクビクして、可愛い。


「ねぇ、私の方向いて座ってよ」
「えぇ~~っやだぁ」


 やだって言いつつ私の腿の上に乗り、首の後ろで手を絡めてくる。心の中で、色々期待しているでしょ。絶対。じぃっと睦月を見つめる。


「なっ…なに……?」かぁ。
「べつに」


 赤くなってるし。指先で胸の突起を押し潰す。


「あっ……待っ待って……?」
「どうしたの?」
「えっと……その……中に……挿れるのはナシだからね……?」
「…………(イラ)」


 何を言うのかと思ったら。そんなこと。


「こんなところで挿れるわけないでしょ。睦月さんのこと大切なんだから。バカにしないで」
「~~~~っ!!!」


 頭を掴み、唇を強く押し付け無理やり口付けする。こんなに愛を伝えているのに、私の愛情量を分かっていないらしい。


「~~はぁっ……ばっ、ばかにしたつもりじゃない!! 確認!! 確認だってばぁ!!」
「その確認が私のこと理解してないって言ってるの」
「ぇえ!! って…ちょっ捲らないで!! あっ…だめっ…だめってばぁっ…あっんっ」


 Tシャツを捲り上げ、舌先で胸の先端を撫でる。汗くさくなどはない。甘い睦月の匂いが香るだけ。


 舌から感じるほんの少しの塩気。睦月が一生懸命、草むしりをしていたことが分かる。手で優しく脇腹に触れ、愛撫する。


「だっだめだってばぁっ…きれいじゃないって…あっ…だめっ…んっ」


 だから、汗なんて関係ないのに。恥ずかしがってる睦月が可愛くて、舌を動かし、舐め続ける。言い忘れたことを思い出し、胸元から顔を上げ、口を開く。


「そうそう」


 早くも蕩けた表情をしている睦月さんは愛らしい。指の背で睦月の頬を撫でると、私の指へ愛しそうに頬を擦り寄せてきた。
 

「ん……なに……?」
「鳴いてはもらうからね」


 この指先で。



 ーーーーーーーーーーーー
 ーーーーーーーー
 ーーーー

 *


「お兄ちゃんと如月が草取りサボってどっか行ったぁ?!」
「受験勉強のところ悪いけど、代わりにちょっと草むしってきて」
「なんで私が!!!!」


 タダ飯、タダ泊、タダカテキョ!!! あまり文句の言える立場ではない!!! 参考書を閉じ、持っているシャーペンを机の上に置いた。


「ごめんねー、中々手入れしてる暇なくて。やってくれるとすごく助かる」
「なるほど」


 椅子から立ち上がり、小春の後ろをついていく。やはり縁側のところの庭か。意外にも、草は半分くらい抜いてあり、むしった草は可燃ごみの袋に入れられ、そのまま放置されている。


 真面目で家事はしっかりこなす兄が、こんな中途半端な状態にして、どこかへ行くだろうか? ましてやサボる? あり得ない。


「はい、軍手」
「ありがとうございます」


 小春から軍手を受け取り、手にはめる。地面にしゃがみ、残った雑草を抜いていく。


 ぶちぶち。


「如月も居なくなったってどういうこと?」


 雑草を抜きながら考える。なんかあったんじゃないかなぁ? そう思うと少しだけ2人のことが心配になってくる。


「まさか誘拐されたとか?!?!」


 ぶちっ。抜いた草を可燃ごみの袋の中へ入れる。


「如月が浮気してて、相手の女(?)登場で修羅場になって失踪?!?!」


 広がる妄想と一緒に、草を抜くスピードも上がる。


「うぉおおぉおおぉおお!!!」


 これは危険!!! 早く兄の元へ行かねば!!! 両手で交互に雑草を抜き、草むしりを進める。草を取りながら前進していくうちに、納屋が目に留まった。


「なんだろう……」


 前回来た時は何も思わなかった納屋。でも今日は何故か気になる。この納屋に何かあるというのか?


 草取りをやめ、納屋に近づく。よく聞こえないが、何か声がする。


「誰かいるの?」


 ドアノブを引っ張っても、鍵が閉まっていて、納屋には入れない。ふむ。裏に回ってみよう。特に裏も何もなし。でも裏の方が声がよく聞こえる。


 納屋に耳を当ててみる。


『だっだめっ……あっ……はぁっ』
『何がだめなの?』


 ぁあ゛? (イラ)


 なんだぁ? 草取りサボって納屋であっあっですか?!?! 何してんだこらぁあぁあぁああ!!! 外から鍵閉まってる時点で、閉じ込められたのは察する!!!


 でもだからと言って、何楽しんじゃってんだぁああぁあ!!! ふざけんなぁあぁあああ!!! 絶対納屋に入って邪魔してやる!!!


「問題は入り口がひとつしかないのと、鍵が閉まっているということ」


 まぁ、アレだな。壊せば全て解決だな!!!! 小春さんを呼んでこよう!!!


 庭から縁側に上がり、リビングへ向かう。ソファでお茶を飲む小春に声をかけた。


「納屋のドアを壊したい」
「はぁ? 何言ってんの。ダメ」
「アレは壊すしかない」
「ほら、鍵あるって。壊すな」
「私は納屋のドアを壊したい」
「もう壊してこいぃいいぃいい!!!!」


 そうは言いながらも鍵が手渡された。壊していい許可は降りた!!! 私は納屋を壊す!!! でも何でドアを壊そう? スコップ的な……?(※全て納屋の中)


 壊す道具がない!!!! なんてこと!!!! もう一度、納屋に戻り、耳を澄ませる。


『きさらっあっ…んっ…はぁっあっ』
『汗じゃなくて蜜でぐちゅぐちゅだね』


 はい、処刑。ドアぶっ壊す。決定ーー。


 んーー、でもどうやって壊そう?? 手のひらの上にある鍵をじぃっと見つめる。この鍵が大きくなって、バーンって叩いて壊す的な? 無理だな。


「やはり開けるしかないのか!!!」


 今開けてしまったら、兄の淫乱な姿が目の前に?!?! いや、それをぶっ壊すためにドアを破壊する!!! 一体どんな姿が目の前に飛び込むというのか!!! 想像するだけで顔が赤く染まる。


 でも壊したい!!!


「いいのか? 開けて?!?!」


 今まで直接的(?)に割り込んだことはない!!! それだけにあっあっしてるところに自ら入っていくのは中々の勇気がいる!!! 気まずくなるかな?!? でも兄のあられもない姿は見てみたい!!! どうする?! 開ける?! やめる?! 開ける?!?!


「アロホモラぁああぁあぁあ!!!!(?)」


 鍵穴に鍵を差し込み、ドアを押す。ガチャ。


「ほらね」
「本当だ……はぁっ…」


 待ち構えていたように何もしていない。少しだけ兄の様子が変。頬は赤く染まり、目尻が垂れている。さっきまで『何か』していたのは間違いない。


「さてと、草むしりの続きしよっか。睦月さん?」
「ううん……」


 兄の様子変すぎ。開けたはいいが、かける言葉が見つからない。やばい、気まずい。


「中でナニしてたの?」


 ストレートに聞いてしまった。


「ちょっと閉じ込められて、困っていただけですよ」
「へーその割には、お兄ちゃ……」
「卯月さん、しーです」


 如月に人差し指を口元に当てられ、その先の言葉を飲み込む。大切そうに兄を片手で抱きしめる如月の姿を見ると、もうこれ以上は聞けない。


「如月はお兄ちゃんのこと大切で、大好きなんだね」
「今更ですか? でも私ばかり好きな気がする」
「はーー?」


 そんなことないと思うけどね。心の中で呟く。不穏になりそうな空気を察し、そっとその場を離れ、草むしりの続きを始めた。

 




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