如月さん、拾いましたっ!

霜月@サブタイ改稿中

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43話(2)トリックオアトリートという名の脅し?!お菓子くれなきゃキスするよ?

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 なんか、脚がすーすーする……。


 シスターコスに身を包み、キッチンへ向かうと、睦月がカレーを作っていた。睦月さんはまだ着替えてないんですね。


 お玉でカレーを混ぜる睦月の後ろに立ち、ぎゅっと抱きしめる。


「着替えたの?」
「着替えましたけど」


 睦月が軽く振り返り私をみた。


「結構似合うじゃん!!!」
「そうですか……」


 内心複雑である。似合うと言われても少し、困る。睦月がお玉を持つ手を離し、私の頬に触れた。私に顔を近づけ、睦月が笑みを浮かべる。


「如月かわいい」
「どう致しまして……ん」


 ちゅ。


 睦月に口付けされ、少し頬が染まる。睦月さんが攻めをやるようになってから、最近積極性が高まっている気がする。オスの表情が垣間見える睦月さんは色っぽい。


「カレーみててあげるから早く着替えてきて?」
「えぇ~~大丈夫?」
「大丈夫ですって」


 怪訝そうな表情を浮かべながら、鍋の前を私に譲る。焦げないようにお玉で混ぜるだけでしょ。おっけーおっけー。


「じゃあ、着替えてくるね!!」
「はーい」


 カレーを任されたのは良いけれど、コスプレのまま、みんなで夕飯を食べるつもりなのかな?


 色々疑問に感じながら、お玉でカレーを混ぜ続けた。


 *


 脱衣所の扉を閉め、如月からもらった紙袋の中身を出す。猫耳、首輪、猫手、尻尾。アレ? 何これ? こんなのあったっけ? びよーん。黒いワンピース。


「何このワンピース……」


 ぽろっ。


「なんか落ちた」


 手に取り、拾う。黒いストッキング。


「……俺にも穿けと?」


 良いけど!!! 別にいいけど!!! 穿くけど!!! でもっ……でもっ……ストッキングは抵抗ある!!!!(なら人に渡すな。by如月)


 足先からストッキングを穿き、ゆっくり引き上げる。なんかえっちな気分になる!!! もぉ!!! 下半身が締め付けられるし!!! やだぁ!!! うぅ、シたい!!!


 黒いワンピースに着替え、猫耳、首輪、猫手、尻尾を装着し、リビングへ向かう。なんかこの格好で妹に会うのは恥ずかしい。


「お兄ちゃんきも」
「これを選んだ如月に言ってくれ」
「睦月さん、カレーこれでもう完成ですか?」


 キッチンの方で如月の声が聞こえて、様子を見に行く。問題なさそう!!! 火を止め、カレー皿にご飯を盛り、かぼちゃカレーをかけていく。


「完成!!!」
「私、机に運びますねー」
「よろしくー」


 リビングの机にスプーンが添えられたカレー皿が並べられた。机を囲い、手を合わせる。


「「「ハッピーハロウィン!!! いただきまぁす!!!」」」


 もぐもぐもぐ。


「コスは必要あったの?」
「この後ハロウィンパーティしようかなって」
「ハロウィンパーティですか?」
「トリックオアトリートみたいな」
「…………(何をする気なんだ)」


 かぼちゃカレーを食べ終わり、食べた食器を流し台に下げる。今日買ってきた大袋のお菓子をリビングの机の上に置いた。


「これをカゴとかに入れて、トリックオアトリート!!! って感じで!!!」
「3人でやるんですか?」
「うん!!!」
「おけ!!! 私はやる!!!」


 卯月が浴室から風呂桶を持ってきた。風呂桶にお菓子を入れている。それにお菓子入れるの? 風呂桶って。カゴじゃないし。まぁいいけど。


「私はこれでやる!!!」
「なるほど」


 感心しながら如月がどこかへ行ってしまった。俺もカゴになるようなものを探そう。キッチンへ向かい、色々引き出しを開けてみる。


「んーー。持ち手が付いてたほうがいいなー」


 ふと、卵焼き機が目に入る。


「あ、俺これにしよ」


 卵焼き機にお菓子を入れ、リビングへ戻ると、如月がみかんのカゴを手に持ち立っていた。


「それ、カゴじゃないと思います」
「だってカゴないも~~ん」
「お兄ちゃん!! 早くやろやろ~~!!!」
「よーーし!!! お菓子を常備して各自配置につけぇええぇえ!!!」
「待って!!! やり方は?!?! 何をどうやるんですか?!?! 配置とは?!?!」
「ノリとテンションでやる!!!」
「答えになってない!!!!」


 如月にウインクして、洋室へ向かった。


 *


 兄と如月はどこかへ隠れたようだ。明確なルールは存在しない。兄曰く、ノリとテンションで、らしい。なら、こちらもノリとテンションで行かせてもらう!!!


 兄が隠れたっぽい脱衣所へ向かった。


 脱衣所の扉をノックしてみる。


 コンコンコン。


 返事がない。ただのしかばねのようだ。


 脱衣所の扉に手をかけ、開けてみる。


 ガタガタガタ。


 押さえつけられている感。開かない。アレかな。トリックオアトリート言わないと開けてくれない的な? おっけー。


 コンコンコンコンコンコンコンコンコン!!!!
 

「お兄ちゃぁあぁああん!!!! トリックオアトリートぉぉおおぉお!!!! お菓子くれないなら今日長風呂しなぁぁあぁあい!!!!」


 コンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコン!!!!


 洋室から兄が飛び出した。そっちか。本当にしかばねだったのか。開かなかったのは何故? まぁいいけど。


「ぇええぇえぇえぇえ!!!! それは困る!!!! お菓子!!!! あげるあげるあげる!!!! ほら!!! いっぱいある!!!」


 風呂桶からお菓子を取り出し、兄にお菓子を投げつける。


「っらぁあぁあぁあぁあ!!!! お小遣い寄越せぇええぇえぇえ!!!」
「やめっ!!! いった!!!! お菓子投げるな!!! 今月お小遣い既に2回渡してる!!!! なにに使ってるの?!?! ねぇ?!?! いった!!! 投げるなぁあぁああぁあ!!!!」


 BL誌ですけど? 色々推しに金がかかるんじゃあ!!!


「お兄ちゃんは知らんでよし!!!!」
「ちょっとぉ!!! 何?!?! もぉ!!!」
「で、お金は?」
「え?」
「トリックオアトリート。お金くれなきゃ悪戯するぞっ」


 兄から5000円徴収した。


 脱衣所は怪しい。如月がいるかもしれない。もう一度ノックしよう。


 脱衣所の目の前に立ち、扉を叩いた。


 コンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコン!!!!


「如月ぃいいぃいいい!!!! トリックオアトリートぉおぉおぉおお!!!! お菓子くれないとスマホの中のお兄ちゃんの写真全部消しまぁあぁあぁああす!!!!」


 如月のスマホを片手に持ち、人質に取る。


 ガラッ!!!


「やめてぇええぇぇええ!!!」


 泣いてる如月が脱衣所から出てきた。如月に手のひらを差し出す。


「トリックオアトリート。お金くれなきゃ悪戯するぞっ」
「もう、これハロウィンじゃなくてカツアゲじゃないですか?」
「ハロウィンです、コスしてるんで」


 如月から5000円徴収した。


「もぉ~~投げたお菓子ちゃんと拾って!!!」
「分かってるって~~」


 床に散らばったお菓子の前に座り込み、落ちたお菓子をひとつずつ、拾い始めた。


 *


 なるほど。トリックオアトリートとはそういう風にやるのか。理解した。これは面白い。


 お金を徴収され、落ち込むように床へ座る睦月の前にしゃがむ。クスッと笑い、睦月へ手のひらを向けた。


「睦月さん、トリックオアトリート。お菓子くれなきゃキスするよ?」
「あげなぁ~~い」
「ふふ。そっかぁ」


 睦月の顎を持ち、軽く上にあげ、口付けする。ちゅ。それにしても猫耳可愛い。猫手も可愛い。猫尻尾も最高に可愛い。はぁはぁ。にゃあって言って欲しい。


「トリックオアトリート。にゃあって言わなきゃ悪戯します」
「え?」
「にゃあは?」
「悪戯という選択肢は……」


 そんなものない。


「にゃあは?」
「拷問?!?!」


 座りながら後ずさる睦月に詰め寄り、笑顔で壁側へ追い詰める。


「ちょっちょっちょっとぉおぉ!!! 何?!?! 言えば良いんでしょ!!! ほら!!! にゃあ!!!」


 そんなヤケクソみたいな、にゃあは受け取れない。


「ダメです」
「もぉ~~っ!!!!」


 睦月の両手首を掴み、壁に押し付け、大きな瞳を見つめる。恥ずかしそうに頬を染め、目線が逸らされた。


「にゃあは?」
「……にゃあ」
「ふふ。可愛い」


 黒いスカートから出るストッキングを穿いた脚が絶妙にえっちで、下腹が熱くなる。


 後ろを振り返り、卯月の様子を窺う。目が合うと、ジェスチャーで風呂に入ると送ってきた。物分かりが良くて助かる。再び、睦月を見つめた。


「なにもぉ……手離して」
「嫌です。トリックオアトリート。お菓子くれなきゃ悪戯するよ?」
「お菓子持ってないってばぁ……ん」


 顔を傾け、睦月に唇を重ねる。啄むように、何度も何度も、口付けする。少し開いた口唇に誘われ、舌を差し込んだ。

 


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