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43話 ハロウィンパーティ!! お菓子くれないならコスプレしてください?!
しおりを挟む今日はハロウィン。俺は今驚きの安さが売りのディスカウントストアに来ている。なんでかって? 勿論、如月のハロウィンコスを手に入れるために!!!!
可愛くて、えっちな(?)コスプレ衣装を手に入れる!!!!
周囲を警戒しながら、コスプレコーナーに向かう。一応、自宅と職場から離れたところへ来た。よっぽど知り合いに会うことはないだろう。でも人目は気になる。
「ここがコスプレコーナー……」
正直、こんなところは来たことがない!!! 恥ずかしい!!! こんなもの買う自分も恥ずかしい!!! ネットで買えば良かった!!!(今更)
ひとつずつ手に取り、如月に似合いそうなものを選ぶ。
ヴァンパイア、囚人、ポリス……う~~ん。なんかつまらない。もっとえっちな……(脳内妄想)『こ、こんなの着るんですかぁ? 恥ずかしいです……な、何するんですかっだめっあぁっ(赤面)』みたいなの欲しい。
「いっそ、女性ものに……」
女性もののコスプレ衣装に手を伸ばす。
とん。
肩が叩かれた。
「ぎゃあぁあぁあぁあぁああ!!!!」
「大きい声出すな!!!」
「~~~~っっ!!」
後ろから口元が塞がれ、声が出せない。この身体の大きい抱擁感!!! これは旭!!! 顔を上げ、後ろを振り向く。やっぱり旭!!!
「はぁっ……ちょっとぉ~~急に肩叩かないで!!!」
「ちょっとはこっちのセリフ!!! こんなところで急に大きい声出すな!!! 恥ずかしいわ!!!」
何故コスプレコーナーに旭が? いや、人のことを訊けるような立場ではない!!! むしろ訊いたら墓穴を掘るまである!!! 触れないでおこう!!!
「なんでシスターのコスプレなんか持ってるの?」
「え?」
手元を見る。如月に着せようと思って手に取った、コスプレ衣装『シスター』。思わず、さっと、後ろに隠す。
「今更隠されても、手に取るところからもうガッツリ見ましたけど」
「あ……ぁああぁ……いや……これは……えと……その……」
「なになに~~? 教えてよ~~? むっちゃあん!!!」
肩を抱かれ、旭に顔を覗き込まれる。恥ずかしい。見ないで。こんなところを見られて、顔が熱い。手で顔を扇ぐ。
「ほらほら一緒に選んであげるよー? どれにする? 誰が着るの?」
「…………如月」
「へー。シスターはアリだな!!」
「でしょ!!!(?)」
旭があるコスプレ衣装を手に取り、俺の手に乗せた。黒いうさみみ、黒い首輪、黒ワンピースの3点セット。
「うさぎコスは?」
「アリ!!!! むしろこっちの方がえっちだぁ~~っっはぁ~~っ ありがとう!!!」
「…………おう(何するんだろう)」
カゴの中にうさぎコスとシスターコスの衣装を入れる。よし!!! これで今日はいっぱい楽しめる!!! あとはお菓子を買わないと!!!
じぃ。旭がずっと見つめてくる。欲しいのかな?
「旭にも選んであげよう!!」
「……結構です」
「遠慮すんなってぇ~~っ俺が似合いそうなやつ見繕ってあげる!!!」
「要らねーって!!!」
きつね巫女のコス衣装を手に取り、旭のカゴの中へ入れる。
ぽいっ。
「ぷ。着たら写メ送ってね、旭~~」
「誰が買うかぁあぁあぁああ!!!(※睦月に弱いので結局購入しました)」
「じゃあね~~旭ぃ~~」
悪魔の兵器の上にかぼちゃは置きたいなぁ。あとは大袋のお菓子!!! コスプレコーナーを離れ、お菓子売り場へと向かう。
ふとお菓子売り場へ行く途中、ハロウィンコーナーが目についた。かぼちゃのランタンかぁ。これは買い!!! 小さなかぼちゃのランタンをカゴの中に入れる。
「あとはお菓子!!!」
お菓子売り場でお菓子の大袋を何個かカゴに入れ、会計へ進む。よーし!!! 今日はハロウィンパーティだ!!! 楽しみ!!!
胸を躍らせ、レジの最後尾に並んだ。
ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーー
ーーーー
*
「ただいまぁ!!!」
「おかえりさなさい」
睦月さんが帰ってきた。立ち上がり、和室から顔を出す。黄色の大きな袋を持っている。これはもしかして!!! コスプレ衣装?!?!(※正解)
「い……嫌な予感がする……」
すぱん。
そっと襖を閉め、和室に引き篭もる。自分が言い出したことではあるが、睦月さんが私のコスを選んでくるというのは、少し話が違う。絶対ださいし、えっちなものに違いない!!!
「如月ぃ~~お土産があるよぉ~~」
「!!!!(来た!!!)」
襖の持ち手に力を入れ、開かないように押さえる。
ガタガタガタガタ!!!
「ちょっと如月?!?! 何?!?! 開けて!!!!」
「いや、べつに!!! 今は大丈夫かなって!!!」
ガタガタガタガタガタガタ!!!!
若い!!! なんて力!!! 押し負けそう!!!
「俺、如月のために買ってきたんだからさぁ!!! みてよぉ~~っ!!!」
「やだぁ!!! だって絶対変なのでしょ!!!!」
ガタガタガタガタガタガタガタガタ!!!!
「トリックオアトリートぉおおぉおおぉおおぉ!!!! お菓子くれないならコスプレしろぉおおぉおおぉ!!!!」
「え?! 何?!?! え?! お菓子??? ないですって!!! お菓子!!!」
スパーン!!!
winner睦月。
「お菓子は持ってないみたいだから、これ着てね! 如月」
「いや……え……う~~ん」
渡された黄色の袋の中を覗く。うさぎコス。女性もの。ぇえ~~……。これ着るの? 私が? やだ……。私、37なんですけど……。
「ちょっとこれは……」
「こっちにする?」
もうひとつ黄色の袋が手渡され、中を見る。シスターコス。うさみみ付けるよりはまだベールの方が抵抗はない気がする!!! こっちにしよう!!!
「シスターで」
「じゃあ着替えておいてね」
「睦月さんもどうぞ、これ」
満面の笑みで、ねこコスの入った紙袋を睦月へ渡す。
「うっ……」
「睦月さんも着替えておいてくださいね」
「う~~ん……」
睦月がうさぎコスの入った黄色の袋とねこコスの紙袋を持ってリビングへ行くのを確認し、シスターコスのパッケージを開ける。
「はぁ~~どうやって着るのこれ……」
ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーー
ーーーー
*
「卯月にはこれをあげよう」
兄から黄色の袋を渡され、中を覗く。うさぎコス。きっも。なんでお兄ちゃんからうさぎコスなんてもらわないといけないの?!?! マジできもいんですけど!!!
「要らないです」
「今日はハロウィンパーティをする!!!」
「なるほど」
ハロパするから、着ろってことか。これ、1人で買ってきたの? 大丈夫か? 人として。差し出された黄色の袋をとりあえず受け取る。
「如月も何か着るの?」
「うん、一応。和室で着替えてるよ」
「へー」
きっと変なもの渡されただろうな。可哀想に。うさぎコスかぁ。まぁ映えそうだし、いっか!!!
「俺、ご飯作ってくるから着替えておいてねー!」
「分かった」
兄がこたつの上にかぼちゃのランタンを置いている。なんだか本当にハロウィンパーティっぽい。なんかいいな!!! 楽しくなって来たかも!!! これは全力で楽しまなければ!!!
うさぎコスを持ち、和室に向かう。襖の隙間から中の様子を窺う。如月が黒くて長いワンピースを着ている。
「はっ!!! ファスナー後ろ!!! 自分じゃ上げられない!!!」
「…………(手伝ってあげるかぁ)」
和室へ入り、如月の後ろに立ち、背中のファスナーを持ち上げる。
「上げるよー」
「ありがとうございます」
黒くて長いワンピースにレースの袖。白い首元は真ん中が十字架に切り取られている。可愛いな、シスター。
「あとはこれかぁ」
「付けてあげるー」
如月の手からベールを取り、屈む如月の頭に被せる。髪が明るいだけに、黒いベールは中々似合っている。
「似合っておる」
「こんなの似合っても……」
「如月の袋の中、まだなんか入ってる」
黄色の袋の中に手を入れ、取り出す。黒いストッキング。おい、兄。そんなのよく1人で買ったな。妹として、普通に引く。
「ぇえ……穿くの? これ……」
「穿いた方がシスターっぽい」
渋々如月がストッキングを穿き始めた。そんなところまで兄に尽くす如月は優しいな。さて、私も着替えないと。学校のジャージを脱ぐ。
「ちょっと!!! 女の子でしょう!!! こんなところで着替えないで!!!」
「はぁ? 如月が見なきゃいいじゃん」
「あーーっもうっ!!!」
如月が顔を赤く染め、私に背中を向ける。一緒にお風呂入る時はそんな顔しないじゃん。脱ぐ過程は苦手なの?
照れてる如月が可愛く思え、なんとなく兄の気持ちが理解出来るような気がした。
「…………」
うさぎコスを手に持ち、じぃっと見つめる。
うさみみ、首輪付きって……。
兄は一体、妹に何着せようとしてんの?
引きながらもうさぎコスに着替えた。
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