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42話(2)#触れ合いの解禁?!なのに求めているように感じない?!
しおりを挟むーー10日後 夕食後
俺は耐えている!!! 己の性的欲求と戦い、真理の向こう側にイキそうになりながらも、この日までやってきた!!!
今日は軽めのえっちが解禁される!!!(寸止め)どんなに待ち侘びたことか!!!
少しずつ解禁とか言いつつ、なんだかんだキスもハグもずっとしてない!!!! スキンシップによる愛情不足!!!
「っらぁあぁぁあぁあぁああ!!!!」
魂を込めて、風呂を洗っていく。でもどのタイミングで如月を誘うべきなのか?!?! もはや、いちゃいちゃしてなさすぎて、どう声をかけて良いかすら、よくわからない!!!
本能的にやっぱり、ぎゅっして、どさっとして、あっーー!! だな!!! おけ!!! 出来る気がする!!!
「よっしゃあぁあぁあぁああ!!!!」
スポンジを握りしめ、シャワーで泡を洗い流す。早く……早くシたい!!! 風呂掃除を終え、足を拭き、リビングに居る卯月の元へ行く。
卯月の目の前に座り、拝むように両手を合わせた。
「今日は長めの風呂お願いします!!!」
「金」
薄ら笑みを浮かべ、目の前に手のひらが差し出された。何この手。何その笑い。
「金」
「え……ちょっ……俺……今月旅行で散財して……」
「そうかぁ~~交渉決裂だなぁ? 兄よ!!! あっあっ出来なくて、もがき、苦しめ!!!」
「くそがぁあぁあぁあぁああ!!!!」
財布から一万円札を出し、卯月に渡す。でも渡したくない。だってこれ、俺のお小遣いだもん。一万円札を持つ手が中々離せない。
ぐぐぐぐぐぐ。
「お兄ちゃん!!! くれるんじゃないの?!?! 離してよ!!!」
「俺だってお金欲しい!!!」
「何もう!!! くれないなら、今日もお預けして、一生ムラムラしてろ!!! ばぁか!!!」
「そんなのいやあぁあぁあぁあぁあ!!!!」
無理無理無理無理!!!! 今日お預けは絶対やだ!!! でも一万円札は惜しい!!! 一万円札の押し引きがやめられない!!!
ぐぐぐぐぐぐ。
「いいのか? 私が15分で風呂を上がってきたら、あっあっも中断だな!!! あっはっはっ!!!」ぐぐぐ。
「それは困る!!! でもでもでもぉ~~っ!!! 一万円は高い!!!」ぐぐぐ。
全然離してくれない!!! いや、違うな!!! むしろ俺が離すべき!!! でも離せない!!!
「漢なら潔く諦めろ!!! そして離せ!!! 私に金をくれ!!!」ぐぐぐ。
「いやだぁ!!! 優しき心で兄のためにノーマネーで尽くせ!!!」
「きもいんじゃあぁあぁあぁあ!!!!」
一万円札を引っ張り合いながら、反対の手で卯月と掴み合う。ぐぐぐぐ。
如月が俺と卯月の前に座った。あたたかい目で見てくる。その目やめて。
「兄妹ケンカしてるところ初めて見たかもです」
「如月ぃ~~っ」
「これは兄妹ケンカではありません。私のバスタイムの延長料金の支払いです」
「なるほど」
如月が俺と卯月の手を外し、一万円札を取り上げる。その一万円札が俺の頭に乗せられた。
「なんで乗せるの?」
「たぬきみたいで可愛かなって」
「…………(たぬき?)」
如月はポケットから小さな財布を取り出すと、中から折り畳まれた一万円札を卯月の手のひらへ置いた。
「これで交渉成立ですね」
「まいどあり~~」
卯月が満足げに一万円札を人差し指と中指で挟み、ひらひらさせながら、脱衣所へ歩いていく。なんか腹立つ!!!
如月に見つめられ、優しく微笑まれた。
「ありがとう」
「いや……いいの? 如月の方が今月いっぱいお金使ったでしょ……?」
「それはそうですが……今日は睦月さんに長く触れたいから」
こんなおかしなクソゲーみたいなことを続けているのに、少し、愛を感じる。触れ合いたい気持ちはお互い同じ。なのに、なんだろう。
触れ合っていない期間が長過ぎて、少しだけ不安になる。
「卯月は……?」
「もうお風呂入りましたよ」
「そっか……」
如月の手が俺の頬を撫でた。久しぶりに触れる如月の手にドキっとする。しばらく見つめ合い、ゆっくりと押し倒され、床に背がつく。
如月が近い。心臓が異常に早くなる。
お互いの間に流れる、気恥ずかしいような緊張感に頬が熱くなり、顔を横に逸らす。如月のことを余計に意識し、身構えてしまう。
なんか……すごくドキドキする。
覆い被され、頬が如月の両手で包まれる。横に背けた顔が上に向かされた。
*
まだ何もしてないのに、頬が赤い。緊張しているのか、目線が泳いでいる。恥じらいみたいなものを感じる。
すごく可愛い……。
「キスしていい?」
「うん……」
謎の緊張感が私を襲う。初めて睦月さんとキスしたみたいに、顔を傾け、ゆっくり近づく。壊れ物にでも触れるかのように、唇を重ねた。
ちゅ。
「もう1回して、如月」
「……うん」
甘えるように首の後ろに手を巻きつけ、引き寄せられる。我慢のせい? これだけのキスでも感情が昂る。でも睦月さんはどこか不安気。大丈夫かな。
「っん……んん…っん…ん…っん…ん」
激しくしたい気持ちを抑え、優しく何度も唇を重ね、啄む。顔を傾けもう一度。ちゅ。もう一度。ちゅ。愛しい。繰り返すうちに、唇に隙間が開いた。
「如月、入れて」
睦月さんのくせに、挑発的。でも何か、変。普段なら求められるまま、入れるところだけど、少しの躊躇いが生じる。
本能的な勘でしかないが、睦月さんが私を求めているようには感じない。
「う~~ん……」
睦月の手に自分の手を重ね、頭の上に両手を上げる。ぎゅっと指先を絡め合い、様子を窺う。睦月が、唇を舌でぺろっと舐めた。
「早く、如月」
「……本当にするの?」
「俺は今日を楽しみにしてたよ……?」
違和感を覚えながら、唇を重ね、睦月の口を塞ぎ、少し開いた口唇から舌を差し込む。
「ーーっんん…んっ…ふ…んんっ…はぁっ~~っっん」
舌先を絡めると、吐息までもが触れ合う。熱い睦月の吐息を感じながら、深く、深く、舌を絡め合う。
情熱的に求めてくる睦月に少し戸惑う。違和感は私の杞憂? 口元から愛を降り注ぎ続ける。
「んっ…んん……ん…っんん……はぁっ……はぁ……」
私の取り越し苦労であるなら、今日を楽しみにしていた睦月さんに対して、この対応は失礼過ぎる。ちゃんと向き合わないと。
「キスしただけなのに、ここがもうこんなに大きくなってるよ?」
服の上から睦月の幹にそっと触れる。身体を大きくビクっと震わせた。すごく感じてる。可愛い。今まで、こんなに反応したことあったかな。
「あっ……あっ…ちょっと待って……本当にだめ……だめだから……」
「まだ全然触ってないよ? 後ろにする?」
指先にゴムを被せ、潤滑剤をかける。睦月さんの甘い鳴き声が聴きたい。蜜でぐちゃぐちゃにしたい。でもそこまでは出来ない。歯がゆいけど、今日は寸止めまで。
それにしても、やっぱりなんか睦月さんが変。
このまま進めて良いのかな? むしろやめた方がいい? グダグダ考えながらも、そっと睦月のズボンを下ろす。
「睦月さん……触って良い?」
一応確認してみる。
「えっ? う…うん……だってそのために卯月にもお願いしたし……」
「……そうですね(シたいようには見えないんだよなぁ)」
下着をずらし、指先で窄みをなぞる。
「あぁあっ……」
「大丈夫?」
まだ挿れてもないのに、甘い鳴き声が部屋に響き渡る。いつもより大袈裟に震える睦月の身体に下腹が熱くなる。はぁ、可愛い。ゆっくりと窄みの中に指先を沈み込ませた。
ぐちゅ。
「んぁあっ…あっ…あっ……如月っ…はぁっ……だっだめぇ……ぁあっ」
「まだ指先しか入ってないよ?」
少しでも指先を動かすと、睦月さんがイッてしまいそうなくらい、震える。その姿に性的欲望が掻き立てられ、もっと奥へ指先を入れたくなる。
くちゅぐちゅ。
「あぁあっ待ってっあっ……如月っ待ってっおっ俺……ぁっやっぱり…だめぇっ」
ぎゅっと、肩が睦月に掴まれる。指先が食い込み、痛い。このだめはどっち? 感じていて、もっとってこと? それとも本当にやめてほしいやつ? どっち?
でも私の気持ちは、睦月さんを抱きたい。
加減しながら、肉壁をたどり、指先を奥へ向かわせる。2本の指先は甘く締め付けられ、きつく感じる。
睦月を見ると、目がすごくとろんとし、閉じそうになっている。かっ、可愛い。頬が緩み、半開きになった口からは涎が垂れている。感じてはいるっぽい。
「えっちな顔……」
「はぁっ…如月っ…そろそろっぁあっ…抜いてっぁあっんっ…んはぁっ…やっ…」
いつもなら、突いてとおねだりする睦月が今日はやめるようにおねだりしている。これはイかないため? それとも別の理由だったりする?
ゆっくりと指先を窄みから抜く。
心も身体も満たされないまま、潤滑剤だけが、窄みからとろりと切なく溢れ出た。
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