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41話 一泊二日富山旅行!! 荷造りからワクワクが止まらない?!
しおりを挟むーー夕食後
家事も一段楽した。今日、あんまり良いキスしてない。キスしなきゃ!!! 辺りを見回し、如月を探す。リビングの隅でうつ伏せになって、本を読んでいる。
「如月~~っ!!!」
ぎゅう。
後ろから抱きつく。背中に乗っちゃお。のそのそ。如月の首周りに腕を回し、顔を覗き込む。
「重……」
「何読んでるの?」
「言っても興味示さないでしょ」
「そうだけど~~」
そっと如月の頬に触れ、本に向いている如月の顔を自分へ向ける。如月からして欲しいけど、俺からしちゃう。唇を重ねた。
ちゅ。
「あ、睦月さん」
「なにー?」
「明日、秋桜見に行きたいです。前泊で」
「は?」
前泊?!?! コスモスにどれだけ命賭けてるの!!!! 良いけど!!! 俺は良いけど!!! お泊まりデート最高だあぁあぁあぁあ!!!!
「お泊まりでーと万歳ぃいぃいぃい!!!!」
「卯月さんは一緒に行きますか?」
「私? うーん。コスモスは見たい気もするけど、受験生にそんな暇なし」
「なるほど……」
「明日、明後日、如月の実家行ってもいい?」
「いいですよー。姉さんに連絡入れておきます」
「俺、朝出発出来るように準備してくる!!!」
「…………(朝から行くの?)」
如月の背中から下り、洋室へ向かう。やだ!!! すごく楽しみになってきた!!! キャリーケースを押入れから取り出し、着替えを詰めて行く。
前泊って、どこのコスモス畑行くつもりなんだろう? レンタカー手配しておかないと。
「朝から行くんですか?」
「うん!!!」
「まぁいいけど……」
如月が準備をする俺の隣にちょこんと座り、キャリーケースを覗いてくる。綺麗に美しく、隙間なく、物を詰めていく。つめつめ。
「すごい……何このキャリーケース……テトリス(?)」
「え? 綺麗に詰めないと、中がぐちゃぐちゃになっちゃうでしょ?」
「そ…そうですね……(性格でるなぁ)」
隣で如月がキャリーケースに着替えや物を詰め始めた。少し気になり、覗いてみる。
ぐちゃあ……。
無造作に突っ込まれた本。着る服くらい畳んで入れろよ。アメニティグッズも何かケースに入れる訳でもなく、そのまま直入れ。せめてキャリーケースのポケットに入れるとかさ!!!
「もぉこれ!!! 上まで積み上がっちゃってるから!!! ゲームオーバー!!! 詰め直し!!!」
「ぇえ……」
如月のキャリーケースをひっくり返し、中身を詰め直していく。隙間なく埋めて。出来たぁ!!!!
「き……きれい……」
「ふっ…俺が詰めましたから」
立ち上がり、前髪を片手で、ふぁさっと払い上げ、格好つける。
「何もう~~ドヤ顔して!!!」
「ちょっとぉ!! やめっ!!! ぎゃあぁあぁあ~~っ!!」
どんっ。
後ろから脇の下に手を入れられ、そのまま床に如月と倒れ込んだ。ぎゅむ。如月に抱きしめられ、顔が緩む。
「なんか変な音したけど……」
大きな音が心配だったのか、卯月が様子を見に洋室へ来た。
「卯月ぃ~~」
「なんだ、ただのいちゃいちゃかよ。心配して損した」
「心配してよ~~」
「睦月さん、あと少し準備しちゃいましょ」
如月と一緒に身体を起こし、荷造りの続きを再開した。
ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーー
ーーーー
ーー朝
ばふっ。
「如月おはよ~~」
「ねむ……」
まだ布団に包まっている如月の上へ乗っかる。目を擦っておる。俺は5時から起きているのに。(※家事のため)
まだ寝るつもりか。
「早く準備して行こーっ!!」
「睦月さん……朝から元気……」
「もぉ!!! 早く起きて~~!!!」
如月の布団を剥ぎ取る。切れ長の瞳を更に細め、如月が身体を起こした。
「如月。ところで、今日どこ行くの?」
「富山」
「お、俺に5時間も運転しろというのかぁあぁあぁあ!!!! 新幹線の方が絶対早いしぃいぃいぃ!!!」
「途中で代わりますって(ペーパーだけど)」
なんかもっと近いところかと思った!!! なんでそんなめちゃくちゃ遠いところ!!! そんなところにコスモスがあるの?!
「睦月さん、ぎゅー」
「へ?」
「おはようのぎゅー」
「そんなのいつもしてないでしょ!!!」
如月が両腕を伸ばして待ち構えてくるので、致し方なく、ハグしに、如月の胸元へいく。俺、優しい!!! でもぎゅー好き!!!
なでなでなでなでなで。
「頭撫ですぎ!!!」
「んーー? 運転してね~~いいこいいこ~~」
「だぁあぁぁあぁあっ!!!! するってばぁ!!! もぉ!!!」
頭を撫でる如月の手を払い、立ち上がり、如月から離れる。
「朝ごはんの準備してくる!!!」
「はいはーい」
和室を出て、キッチンへと向かった。
ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーー
ーーーー
出発する準備は整った!!! 卯月は小春の迎えが来て、如月家へ既に向かっている。家にいるのは、俺と如月だけ。
「如月準備出来た?」
「もう大丈夫です~~」
用意してあったレンタカーに荷物を乗せ、運転席に乗り込む。車で旅行に行くのは初めてだ。ドキドキする。
今から行けば、夕方くらいには着くかな?
車にエンジンをかける。長時間運転するのは久しぶり。少し緊張する。
「代わりますから、無理しないでくださいね」
「結構です(代わったら絶対事故る)」
「もう~~」
車を走らせ、高速へ乗る。集中力が続く限り、運転し続ける。横目で如月を見ると、気持ち良さそうに助手席で寝ていた。腹立つなぁ!!!
「寝るの早過ぎでしょ!!!」
「すこー……」
涎垂らしてるし。如月らしからぬ、間抜けな姿。ちょっと可愛い。
「つーか如月が起きてくれないと宿分かんないんだけど……」
「すこー……」
まだまだ富山県までは道のりが長い。今すぐには起こさなくてもいっか。しばらく寝かせてあげよう。
ーー6時間後
「富山県いえーーい!!!」
「意外と押してますね、時間」
「めっちゃ混んだ……」
「なるほど……」
如月が設定した、宿の経路案内に沿って車を進めていく。なんだか人里離れた山奥に来ている気がする。
「あってるの? これ」
「あってますよー」
経路案内によるとこの辺らしい。これ? この建物? 結構外観は古い。駐車場に車を停めて、荷物を下ろす。
「海鮮料理楽しみですねー」
「うん!!!」
キャリーケースを引きながら、旅館の中へ入った。中は綺麗。フロントでチェックインの手続きを済ませ、予約した部屋へ向かう。
「ここかぁ~~」
扉にフロントでもらったカードを当て、解錠する。ガチャ。扉を引いた。部屋の中は、リビングになっており、寛げそうなソファが置いてあった。ふと、右を見る。ガラス張り。湯気が立っている。こっ、これは!!!!
「客室露天風呂!!!!!」
「2人でゆっくり入りたかったから」
寝室は?!?! 荷物を床に置き、部屋を見にいく。
「ぉおおぉおぉ!!!! セミダブルベッド!!! 2つ!!! おっきい!!! 広い!!! すごい!!!」
ばふっ。
ベッドにダイブし、寝転がる。最高!!!! 如月がベッドに腰掛け、俺の頬を指の背でねっとりと、撫でながら口を開いた。
「今日はえっちしよーねー」
「え゛っ?」
「しないんですか?」
「するけど……」
こういうお泊まりは初めてじゃないけどぉ……。旅行に2人で来たのは初めてで、なんか緊張。えっちするのか……。そりゃそうだわね。
えっち自体も1週間ぶり。うぅ。だ、大丈夫かな?
「お風呂今から入ります?」
「夕飯食べてからにするー」
「夕飯、個室でカニです」
「カニ!!!!!」
あまりの高級な魚に驚き、飛び起きる。こんなお高い魚、普段は食べられない!!! 思う存分楽しまなきゃ!!!!
「カニの前にちょっとだけキスしよ」
「へ?」
腰回りに如月の腕が周り、抱き寄せられる。もぉ。仕方ないなぁ。如月の膝の上に乗り、首の後ろへ腕を回す。
「目瞑って、睦月さん」
「ん……」
濡れた唇が触れ合う。如月を誘うように、口唇を少し開ける。その薄く開いた隙間から、舌が差し込まれてきた。
「っん……んん……んっ…んふ……んっんんっ」
あたたかくて、甘い舌先を深く何度も絡め合うと、緩急をつけながらゆっくり離された。
「ーーはぁっ……もぉ終わり?」
「睦月さんの前に、カニ食べに行かないと」
「なにそれ~~」
物足りない。キスのせいか、もっとしたいという欲求が溢れてくる。でもグッと、今は堪え、如月の膝の上から降りた。
「……せめてもう、少しだけぎゅーして?」
「ふふ。いいですよ」
如月の脚の間に収まりながら、如月とスマホを見る。明日の予定を1つのスマホで検索しながら一緒に決める。
ここまで来るのは大変だったけど、明日が楽しみだ。
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