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33話(6)おうちデートはキサラギクエスト?!宅配で届いた荷物は学生服?!
しおりを挟むーー翌日 如月の家
「ってなんでおうちデート!!!」
「ほんとすみません!!! 全然書けてなくて、いい加減書かないと皐にしばかれます!!!」
リビングのソファに腰掛け、鬼の形相でパソコンのキーを叩いている。この家にパソコンあるでしょ。なんで俺んちのノートパソコン持って来たの。
あぁ、もぉ~~。折角デート出来ると思ったのに。これじゃ、俺ヒマじゃん。どうしよう。
先程買い物して来た食品を冷蔵庫へ詰めていく。
「この家、本しかないもん……」
如月には読め読め言われるが、やっぱり活字が苦手で、読むことが出来ない。致し方ないので、部屋の掃除でもしよう。
睦月はゴミ袋を片手に持ち、冒険にでかけた。
1番利用頻度の高い(?)寝室へ向かう。あ、シーツ洗おう。シーツを剥ぎ取り、脇腹に抱える。ベッドの隣にあるナイトテーブルが目につき、近づく。
「あんまり気にしたことは、なかったけど……」
ナイトテーブルの上には、モダンなランプと本が置かれている。如月らしい。その下には引き出しが3つ。開けられそうなものがあると、開けたくなる性である。
「開けてみるか」
背後を確認し、1番上の引き出しに手をかける。なんだか悪いことをしている気がして、ドキドキする。
睦月は1番上の引き出しを調べた。
「……なんだこれ?」
えっちなおもちゃ。振動付き。(未開封)待て待て待て!!!! 誰に使うやつこれ!!! 自分用?!?! いや、絶対違うでしょ!!! こんなの持ってるから、変なことに付き合わされるんだ!!!! 捨ててやる!!!
ガサ。
睦月はえっちなおもちゃ振動付き(未開封)を手に入れ、ゴミ袋へ速攻捨てた。(※正しく分別しましょう)
あとはローションとかゴムか。変なものなし。おけ!!! 次いこう!!!
睦月は2番目の引き出しを調べた。
「ねこみみ!!! まだ持ってたの!!」
ねこみみを手に取り、見つめる。ちょっと思い出のあるものではある。思い出といってもえっちな思い出でしかない。それでも捨てたいとは思えない。まぁ取っておく? う~~ん。
睦月はねこみみを頭に装備した。
攻撃力が100上がった。
「これでおけ!!!(?)」
いよいよ3つ目の引き出し。何が来ても大丈夫!!! 俺にはゴミ袋がある!!! 捨てればいい!!! 背後を確認し、3番目の引き出しに手をかける。
睦月は3番目の引き出しを調べた。
「ぉ…ぉおお……おぉお……ぉお……」
じゃら。
拘束具。捨てるか。捨てよう。ここまでハードなプレイは出来ない。どういう趣味? これ趣味なの? 皐さんに付けてたの? 俺につける予定で買ったとかだったりする?
ガチャ。
如月が現れた!
「うわぁああ!!! ノックして!!!」
「ちょっ……何開けてるんですかぁ」
ど、どうしよう!!! 事実確認は必要か?! ストレートに聞くのは怖すぎる!!! 俺はねこみみとゴミ袋しか持ってない!!! どう戦おう!!!
拘束具を両手で持ち、目を細め笑って見せる。
「こ、これは誰用かにゃ?」
ずきゅん。
「かわっ…はぁはぁ…かわい…何? どうしたの? はぁはぁ…なんでねこみみ? 睦月さん用じゃないけど? 捨てる? 付ける? 私はどっちでもいいよ? はぁはぁ…かわっぁあぁあぁあ!!!」
「ちょっなっなに!!! 待っわあぁあぁあ!!!」
こうかはばつぐんだ!!!!!
ぎゅうぅぅ~~。
抱きしめられ、ベッドへ押し倒される。もぉ。今はまだシないよ? 如月の背中に腕を回し、軽くトントンと叩く。
「捨てるよ、これ」
「いいよ、別に。睦月さんに痛いことするつもりないですから。それ、資料として買ったものですし」
「資料って……(何書いてるの……)」
ちゅ。
「ん……」
首筋に鼻先を埋め、口付けされた。首筋から匂いを感じているのか、呼吸がかかる。湿った唇の感触が肌に伝わり、強く吸い上げられた。
「ちょっ!!!」
「ん~~っ……さてと、エネルギー充電したから続き書いてこよ」
「もぉ!!! 付けるだけ付けて!!!」
首じゃなくて口にキスしろばか。
赤い痕の付いた首筋を手のひらで押さえる。部屋から出ていく如月の背中を見つめた。
拘束具をゴミ袋に入れる。ねこみみを頭から外し、引き出しへ仕舞う。もうこの部屋は安全だな。ベッドから剥がしたシーツを抱え直し、脱衣所へ向かう。
シーツを洗濯機に入れ、洗濯を始める。替えのシーツとかあるのかな。なさそう。まぁ今日ここに泊まるわけじゃないし、いっか。
ピンポーン
誰? またお姉さん的な? 如月が出る気配がないので、インターホンのボタンを押す。宅配便の受け取りのようだ。
「はぁい」
玄関へ行き、扉を開け、荷物を受け取る。如月宛? 結構軽い。何が入ってるのかな? 開けてもいい? まぁいいよね? どうせ宅配から出たゴミを捨てるのは俺だし。中身だけ渡そう。
びりびりびり。
段ボールに付いているガムテープを剥がし、中身を取り出す。
「……学生服?」
思考停止。
「……男子高の制服……」
これを……着るのは俺か? 流石に高校生って歳では……。卒業してから5年は経っている。捨てる? 捨てとく? 制服と睨み合う。
しかし、安易な約束はした記憶がある。コスプレしても、良い的なことを言った気がする。まぁ、メイド服着るよりは健全!!! ここで下手に捨て、変なものを新たに購入され、着ることになるよりは、高校の制服の方が良い!!!
このままいこう!!!
制服を手に持ち、リビングでパソコンを打つ如月の元へ行く。
「荷物届いてたよ」
「中身もう見たの? 着替えて来てー」
「え? 今?!」
「ひまなんでしょー」
ひまだけどさぁ。試着は必要か。現実逃避し、都合良く捉えている気がしてならない。制服を片手に、寝室で着替える。
「サイズピッタリ……」
シャツもスラックスも丁度良い。付属されたネクタイを襟の後ろに通し、キュッと締める。鏡で自分の姿を見た。
「どうなのこれ~~」
なんだか高校生に戻ったみたい。俺だけこんなの着せられて、如月だけいつものオーバーシャツにテーパードパンツは許せなくね? なんか着てもらおう。
仕事部屋に向かい、中へ入る。
辺りを見回す。木目調のオフィスデスクにオフィスチェア。業務用コピー機。部屋の隅に置いてあるとはいえ、こんなでかいコピー機は要るのか。
物がないせいか、ごちゃごちゃしている感じはしない。クローゼットの前に行き、扉を両サイドに開けた。
がらららら。
「オーバーシャツとテーパードパンツが8割を占めている!!! 何このクローゼット!!!」
如月には何を着てもらえば良いんだ? 俺が生徒なら如月には先生みたいな格好してもらうのが筋だよね?
「先生……」
やっぱり水色のシャツにグレーのスラックスみたいな……。水色のシャツは第二ボタンくらいまで開けてもらってスラックスにインして……。紺ネクタイ……。如月のオフィスカジュアル……。むら。
「このクローゼットにスーツはあるのだろうか」
「もう~~ひまだからってなんでも開けて~~」
後ろから声がして、振り返る。如月がドアに寄りかかり、呆れた顔で見ていた。
「スーツないの?」
「スーツですか? ありますけど……」
不思議そうな顔をしながら、クローゼットの中を掻き分け、何かを探している。黒いカバーのかかったハンガーを取り出し、手渡された。
「はいどーぞ」
「ありがとう」
ハンガーからカバーを外すと質の良い濃紺のスーツがかかっていた。高そうだなぁ。
「ワイシャツはないの?」
「ワイシャツ? ありますけど……」
如月は訝しみながら、クローゼットに手を入れ、ワイシャツを取り出した。
「はいどーぞ」
「要らないよ? 如月が着替えて?」
「私?」
「じゃ、よろしく~~あ、ネクタイも付けてね」
如月に手を振り、仕事部屋を出る。これでシチュエーションは完璧だな!! 今のうちにシーツ干してこよう~~。
洗濯機からシーツを取り出し、ベランダへ向かう。部屋の中だと分からなかったが、ベランダに出ると、とても日差しが強く暑い。9月とはいえ、まだまだ暑い日が続いている。
「はぁ、あつ」
ベランダからリビングへ戻ると如月がいた。濃紺の艶のあるスラックスに薄い水色のワイシャツをインしている。紺のネクタイではなく、茶色のネクタイを選ぶところが如月らしく思えた。
「私にこんな格好させて、何をしたいのかな?」
グイッとネクタイが引っ張られ、無理やり、唇が奪われる。
「っん……ん~~っんん…ん…んん…はぁっん……んっ」
甘い果実を貪るように、大きく開いた口唇で何度も口付けされる。吐息も熱も全て如月に飲み込まれていく。
「……はぁっ……もぉ…ちょっと…」
「私のところへ来て、何か分からないことでもあったんですか? 睦月さん?」
ネクタイを引っ張りながら、目を細めて妖艶に微笑む如月にゾクッとする。今、自分が置かれている状況を察して、妖しく微笑み返す。これはきっと生徒と先生。
「如月せんせー、キスの仕方が分かりませ~~ん」
引っ張られている首元のネクタイを片手で緩め、挑発するように舌を出して笑ってみせた。
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