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32話(3)#愛が強くて激しいです?!襖の向こうは兄のあっあっ?!覗いちゃう?!

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「睦月さん、脚、もう少し開いて」


 両脚の間に入り込むと、睦月の腿の感触が腰から伝わった。思い出しながらやっているせいか、なんだか初心に返った気分。変にドキドキする。


「あ……ご、ごめん……んっぁっあっ」


 腰を持ち上げ少しずつ挿れていく。首に絡みつく腕がギュッと締まった。


「ごめん、痛かった?」
「……痛いとかもうないし……気持ちよくて……力入っちゃっ…ぁああっやっあっんっもぉ急っあっ」


 耳まで赤くして、恥ずかしそうに言う睦月をみて、自然と腰が動く。


「はっ…可愛くて…はぁ…好き…睦月さん、好き」


 睦月の頬を両手で包み、唇を重ねる。顔を近づけると、睦月の脚が私の脇腹を擦った。その摩擦も心地が良い。


「んっ…んっ…ふっ……んんっん…はぁっっあっあっ…はぁはぁ…んっちょっきさっんっ」


 細まった大きな瞳、赤く染まった頬、口から垂れた唾液。そんな顔されたら、腰を振ることは疎か、キスもやめられない。


「ああっはぁはぁ…近っあっやぁっんっはぁっんんっ…ん…んんっはぁっ」


 身体と身体の隙間をなくすようにきつく抱き締め、また口付けする。


「きさらぎっちょっ待っあっあっおれっあっもうっあっんっあっぁああっああ~~っっもうっだめっだめっぁっああっ」
「はっ…はぁ…睦月さん…大好き…はっ…はぁ…んんっはぁ…」


 身体に睦月の手脚が強く絡み、震えが伝わった。焦点の合わない目からは、涙がぼろぼろ溢れ、腕の中でぐったりしながらもギブアップを訴えている。私もこれ以上は動けない。


「……如月おれもうむり……」


 腕の中で小さな子犬のように震えている。可愛い。


「もう~~しょうがないなぁ。こっち向いて」


 睦月の頭をそっと撫でた。
 目線を上げ、甘えたように見つめてくる睦月に、優しく口唇を触れ合わせる。抱きしめたまま、ごろんと横になった。


「流石に卯月さん起きたかな……」


 睦月の頭の上に顎を乗せ、訊く。


「絶対起きてるってぇ……んっん…」


 腕の中できゅっと丸まる睦月が可愛くて、もう一度、口付けする。


「なんか今日愛が強い……」
「そう? 嫌だった?」


 ふるふると頭を横に振る睦月を見て、ほっと胸を撫で下ろす。良かった。 


「ふふ、好き。睦月さん、だぁいすき」
「なにもぉ~~変だよ今日~~」


 もう、貴方が可愛くて、好きで、仕方ないです、睦月さん。だから、もう一回、キスさせて?




 *



 ーー15分前



 普通に目が覚めた。


『きさらぎっあっあっはぁ…んんっ…んん…はぁ…ちょっ待っだめっあっむりっあっ』
『睦月さんキスやめないで。ふふ可愛い。んん…んっ』


 いや、覚めるでしょ。ふつーに。一度寝たらわりと起きないタイプだけど、それは夜だけで、昼寝もそうだと思うな!!! あと襖一枚で全ての音が防げると思ってんのか!!! ばかか!!!


 どうするよ、これ。まぁ待つしかないけどさぁ。でも見ちゃう? 見とく? こんな機会滅多にないよ? この襖を開けたら如月に押し倒された兄が『あっあっ』してる説。確実にしている。してるな!!!


 病室の時はなんか座ってたからな。よく分かんないけど、やっぱり押し倒された構図の方が見たいよね。ふむ。


『はっ…可愛い…はぁ…睦月さん好き…はぁ…可愛い…んっ…まだイッちゃだーめ』
『もうむりっはぁあっあっやぁっきさらぎっぁあっんっだめっむりっあっ』


 今日なんか激しくね? 今まで私が寝ている間にこんな激しいことあったかな。やっぱ見とく? 見ちゃう?! そんな激しいの見ちゃう?! やだどうしよ!!!


 そっと襖に手をかけ、ゆっくり横へスライドさせる。むー。机の陰でよく見えない。襖開けたらより一層、声聞こえるわ。隣の家とかにも聞こえてるんじゃね?


「ぁああっだめっはぁっん…んん…んはぁあっあっやっあっ」
「はぁ…ふふ可愛い…こっち見て…無理かなぁ?」


 盛り上がってんなぁ~~。襖を開け、地を這いリビングへ向かう。どうするよ。見えちゃうなぁ。こりゃ。帰るか? 見るか? 今後の腐女子会の参考に見とくか!!!!


「…………」


 はわわわわわわ!!!! リアルやば!!!! お兄ちゃ…脚そんな如月に絡めて!!!! どういうアレなの!!! う、動かなくなったし!!!!


「…………」如月と目が合った。
「…………」しっしっ。手で追い払われた。


 何? まだする気? ぇえ~~。また和室戻るの~~。あとでお小遣い絶対もらうからな。30分だけな!!!


 致し方なく、地を這いながら、もう一度和室へ帰った。


 *


「如月? どうしたの?」


 視線がどこか違うところへ向いているのが気になり、声をかける。俺を見て。如月。


「んーー? なんでもないですよ。さてと、卯月さんも起きてくるから着替えましょう」


 背中を締めていた腕が緩む。久しぶりにがっつり愛を感じた。まだ離れたくない。


 ぎゅうぅ。


 離れたくなくて、腕に力を入れる。


「なんですかぁ、睦月さん~~」


 心なしか少し嬉しそう。


「もうちょっとこのままでいたいというか……」
「シたくなっちゃうからダメ」


 それ如月の都合じゃん。


「……いいじゃん、抱けば」


 抱きしめてくれない腕に頬が膨らんでしまう。


「なに拗ねてるの」


 膨らんだ頬を手で潰される。ぶー。


「べつにぃ~~」


 仕方なく、身体を起こし、立ち上がる。脱いだ服を手に取り、身なりを整えていく。ぶー。俺がこれだけ言ってるんだから、抱きしめてくれてもいいのにぃ。けち。如月のばか。


「ん~~もう」


 ぎゅ。


 背中から如月の体温を感じる。抱きしめるなら、さっき抱きしめて欲しかったぁ。でも嬉しい。肩に如月の顎が乗った。


「ご機嫌直った?」


 顔が覗き込まれ、横に逸らす。ぷい。


「まーだ」
「どうしたら直りますか?」
「一緒にお風呂入ってくれるなら」


 ふっ。この際、もっと愛感じよう。 


「仕方ないなぁ~~お風呂洗っといて」
「え!!! ほんと?! 一緒に入ってくれるの?! やったぁ!!!」


 嬉しさのあまり、振り返り、如月に抱きつく。嬉しい~~。


 頭を撫でる如月の手が優しい。なにこれ!!! 稲刈り効果?!?!(?)今日はすごく愛感じる!!! 幸せ!!! お風呂でもいっぱいいちゃいちゃする!!!


「もう終わりましたかぁ~~?」
「終わりました、すみません」


 なんでそんなに怠そうに和室から出て……もしや起きていた?! 如月謝ってるし。気付いてたの?! また俺だけ気付いてないやつ!!!!


「あ!!! 大変です!!! 睦月さん!!!」


 如月にガッと両手を掴まれ、少し驚く。すごく真剣な顔をしている。 


「な、何?」
「オーバーオール着てもらうの忘れました!! 私、稲刈り行く前に誓ったのに!!! オーバーオール着た睦月さん抱くって!!!」


 如月は目を瞑って、拳をギュッと握りながら泣いた。


「……でもどうせ脱ぐよね? 別に着なくていいんじゃ……」


 冷めた目で如月を見つめる。これはへき


「はぁ? 睦月さんは分かってないなぁ。脱がせる過程が楽しいんですよ(そして最後は裸になる。ふふ)」


(ドヤ顔で言われても)


「……そっか(オーバーオール捨てよう)」


 如月ってへんたい……。


 なんだかんだきっと、全ての趣向に付き合う未来しか描けない自分にどんよりしながら、風呂を洗いに浴室へ向かった。



 ーーーーーーーーーーーー
 ーーーーーーーー
 ーーーー



 夕飯も食べ終わり、風呂も沸いた。あとは思う存分、風呂でいちゃいちゃするだけ!!! 今日はいっぱいいっぱい愛を受ける!!! そう決めた!!! 如月をお風呂へ誘おう!!!


 リビングで横になり、本を読んでいる如月へ声をかけた。


「如月お風呂入ろう?」
「もう少し本読みたいからまた今度」はぁ?
「いや、約束したじゃん……」
「私が読み終わるの待っていてくれます?」む。
「いいけど……(しおり挟めばいいじゃん……)」


 ーー1時間後


 イライライライライライラ。まだですか!!! 本っていつ読み終わるの!!!


「如月まだぁ??」


 如月の背中を揺らし、急かす。


「そんなに早く読めないですって」


 むーー!!


「一緒に入る言ったじゃん!! 入らないの?!」イライラ。

「入るってば。なんですか? 固執し過ぎじゃないですか?」はぁ? 固執って。
「だって最近、愛情薄かったし……」
「愛情薄かったって……そんなことないでしょ……」


 俺の言葉が気になったのか、本を閉じ、嫌な目で俺を見る。


「勝手に俺へ触れないようにしたりしてた」


 これが『愛情が薄い』に繋がる訳じゃない。約束が守られないことや、俺が如月によがっているような言い方をされ、イライラして、動く口が止まらない。


「いや……だからって愛情が薄いわけでは……」
「愛情を感じなかったら、薄いのと同じだもん。もういいし、1人で風呂入るから」
「え? ちょっ待っ……」


 如月に背を向け、颯爽とこの場を離れた。


 俺、何言ってるんだろう。こんなこと言って良いことなんて、何ひとつないのに。むしろ、悪いことしかないのに。あぁどうしよう。ケンカみたいになっちゃった。如月から愛情を感じないなんて思ったことない。


 今日だってすごく愛情を感じたのに。


「早く謝らなきゃ……」


 頭では分かっているのに、中々気が進まなくて、リビングへ戻ることができず、1人浴室へ向かった。





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