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25話(6) #
しおりを挟む「兄ちゃんがお姫さま抱っこされてる……」
「……弥生もすごい可愛がりようだな」
小春と一緒に浴室へ向かう2人の姿を和室の襖の陰から見つめる。お姫さま抱っこに至るまでの一部始終は小春と一緒に見ていた。
お兄ちゃんが膝枕されにいって、如月に熱烈キスされて、抱っこって甘えて、からのお姫さま抱っこ!!!! ここからはお風呂でまさか?!?! あ~~ん?!?! 気になる!!!!
「今から浴室へ行く」
「見ちゃいかんって~~」
2人が脱衣所に入ったのを確認し、和室から出て、忍び足で静かに脱衣所へ近づく。
「なんで小春さんついてくるの?!」
「気になるから」
脱衣所の扉の前まで来ると、音を立てないように、2人で扉に耳を当てる。水が流れる音は聞こえない。まだ脱衣所にいるのかもしれない。何してるのかな。
どきどきどきどきどき。
『如月っ…俺むりっ……できないっ……あぁっ……』
『睦月さん早くして……っん……もっと奥……あっ…』
ぉおおぉお!!! 脱衣所で既にえっちなことが!!!!! なんといういかがわしい!!! 一体何をしてるというの?!?!
『むりだってばぁっ…あっ……やっ…ぁっあっ!!』
『…はぁ……もっと奥っ…あっ…睦月さんっ睦月さぁあんっ』
ハードぷれい?!?! 奥とはやっぱりあ~~ん的な結合された奥なのか?!?! むりとは?!?! むりとは言いつつ求めている兄の姿だというのかぁあぁあ!!! こここここれは気になる!!!
全身を密着させ、より脱衣所の扉に張り付く。
『……早く!!! 睦月さぁあん!!! もっとその奥!! 奥っ!! 早くして!!! 逃げる!!!』
『もう無理ーーーー!!! あっ!!! 動いた!! 無理無理!! 絶対無理ぃ!!! こういうのは卯月担でしょぉ!!!』ん?
スパン
脱衣所のドアが開いた。気まず。兄の顔は青ざめている。パンツ一枚で出てくるな。
「何してんの?」
「よ、呼ばれたから……」
「睦月さん!! 早く!!!」
如月が脱衣所で大声で呼んでいる。何かあるのか?
「行ってこい」
兄に脱衣所の中を指さされた。仕方なく覗いてみる。
「如月どうしたの?」
あまり見たことがない如月の下着姿に新鮮さを感じる。
「コックローチ(G)が出ました」
「なる。殺虫剤は? それかほうきとか新聞紙はないの?」
カサカサカサカサ
「ぎゃああぁあぁあぁあ!!!!」
如月は脱衣所の外に瞬間移動した。
「卯月ちゃん、殺虫剤はなかったけど、ほうきはあった」
小春から玄関用ほうきを受け取り握りしめる。あいつらはダメだ。私がやるしかない!!!
「どこいった? 黒き魔王」
「見当たらないね~~。男のくせにあいつらビビリだな~~」
カサカサカサカサ
「卯月!! 下!!! 床!! 洗濯機の近く!!!」
兄に言われ、床へ目線を落とす。居た!!!
「だぁあぁあぁぁあっ!!!!」
ばしっ。ほうきで叩くも、私をバカにしたように避けられる。
「魔王め、よくも避けたな!!!」
ばしっ。当たらない。
「小春さん!!! ちりとり持ってきて!!!」
「え? おっけー!!! 今持ってくる!!」
「こんの!!! 勘弁しろ!!! せっかくのえっちを邪魔して!!! 聴くもの聴けなかったじゃん!!!」ばしっ。
「本当は何しにきてたの?」
兄が冷たい目で見てくる。しまった、本音が出てしまった。
「え? 幸せな時間をお裾分けしてもらいにーー」
むに。
なんか踏んだ。
「……………」
「……………」
「……………」
誰も何も言わない。
「今……」
如月がそれだけ言って口を閉じた。
「居るでしょ……その下に……」
兄が如月の後ろに隠れた。
「いやいや、まさかぁ~~」
足の裏で何か動く感覚がする。
「俺、今日は銭湯に行くよ」
兄が脱いだ服を脱衣所から回収し、少しずつ離れていく。
「私も一緒に銭湯行きます」
如月も後退りして、脱衣所のそばを兄と一緒に離れていく。私をここに置いていくつもり?!?!
「ちょっと!!! 待って!!! どこいくの?!?! 動けないじゃん!! 場所分かってるんだから退治してよ!!! 足上げちゃうよ?!?!」
足の裏側で何かが、もぞもぞ動く。
「いやぁ、無理ですから!!!」
「姉さんにどうにかしてもらって!!!」
2人が2階へ去っていく姿に腹が立つ。
「覚えとけよぉおぉおおお!!!」
なんで小春さん戻ってこないの?!?! どうするの?!?! これ!!! 私かて、この奥義は使いたくない!!!! 覚悟を決めるしかないのか!!! 卯月ぃいぃい!!
しゃがみ込み、足の裏に手を近づける。
「頑張れ私!!! 見た目がアレなだけでカブトムシみたいなもの!! 西洋の方だと家の守神として、引越しの際に連れていくんだから大丈夫!!! イケる!!!」
足の裏に手を差し込み、黒き魔王を掴み取る。私の勝ちだ。私は黒き魔王に打ち勝ち、魔王を支配する者になったのだ。あはははは!!! 黒き魔王を握りしめ、玄関へ向かう。ちゃんと逃そう。殺生は良くない。
玄関に行くと兄と如月が行く準備をしていた。
「今から銭湯にいくの?」
「……何持ってるの?」
如月と兄の視線が手に集まる。
「黒き魔王」
「「ぎゃあぁあぁあぁあぁあ!!!!」」
如月と睦月が逃げるように玄関から走り去る姿を見送り、握っている黒き魔王を見つめる。
「なんかもう一周回って可愛く思える」
サンダルを履き、玄関の外へ出る。黒き魔王を茂みに離した。
「もう入ってくるなよ」
家の中に戻り、洗面台で一生懸命、手を石鹸で洗う。体感、コオロギみたいなもんだけど、やっぱ、手で触るのはよくない気がする。
もう、足で踏むのも手で掴むのもごめんだ。
ごしごしごし。
ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーー
ーーーー
*
ーー就寝
「ねむれない。如月ぎゅーして」
寝返りを打ち、睦月と向かい合い、抱きしめる。花火が終わってからの睦月さんはちょっぴり甘えんぼ。それがとても可愛くて、仕方ないのは私が年上だからなのかな。
「残りのお盆どーする?」
腕の中から目線だけを上に上げてみてくる。黒目が強調されて、幼さみたいな可愛さ!! その視線にドキドキする。
「如月?」
「あっ……え~~と…なんでしたっけ?」
じぃ。
うっ。もうかわいいよ~~。むらむらするよ~~。抱きたいよ~~。でも今日ぐらいは普通に(?)仲良く寝ようと思ってるのに!! そんな目でみないで!!
ぴと。睦月が胸に耳を当ててくる。
「めっちゃバクバクいってる」
「生きてますから」
「こんなにドキドキしてるくせに俺のこと抱いてくれないの?」
背中に回された腕がキツく締まる。
むらむらするし、抱きたいけど、今日は、なんとなくまったりしたい。もう少しだけ、この可愛らしい睦月さんを眺めていたい。
「もうちょっとだけ……ちょっ! どこ手入れてるんですか!」
ハーフパンツの中に睦月が手を入れてくる。
「待てないし、いつも俺のことこうやっていじめるから」
下着の中まで手を入れるな!!
「いじめてないし……っん…あっ…」
急に握られ、体がビクッと反応する。
「んっ……睦月さ……あっ……はぁ……ん…っ」
手が下着の中で上下に動く。程よい力加減で気持ち良い。
「今どんな気持ち? 俺とシたくならない?」
少年のような悪戯な笑みを浮かべ、煽ってくる睦月に感情が昂る。
「はぁ……あ……分かったから…んっ…はぁ……やめて?…ぁ…あ……っ…はぁ…」
徐々に早く動く手に熱ばかり籠り、膨れ上がってしまう。
「如月ほっぺあか~~い。分かったからなーにぃ? あ、ねーねー、ちょっと出た。気持ちいいのー?」
もぉ。かわい過ぎ。それ以上煽られた出ちゃう。
「ん…はぁ……睦月さんとえっちするからやめ……はぁ…んやっぱなし……ぁ…ふふ…っん」
出そうになるのを堪えつつ、睦月のハーフパンツの中へ手を入れる。
「ちょっ…えっ……何してっ…ぁあっ…んっ」
下腹部に沿ってゆっくり手を這わせ、添える。既にこんなに大きくなってる。可愛い。
「睦月さん…手止まってるよ…はぁ…あれどうしたの? ふふ、気持ちいいの?」
手を動かすと、睦月の肩が小さく上がった。
「あっ…だめ……如月…んっ…で…でちゃう…はぁ…ぁあっ…」
動かしている手を止める。イッて欲しくはない。あっ、そうだ。下着から手を抜いた。
「き、如月?」
「見ててあげるから、1人でイッて?」
睦月の頬が一瞬にして赤く染まった。可愛い。
「や、やだぁ!!」
「ほら、起きて」
「やだってばぁ……」
あんまり嫌がってるようにも見えないが、手伝ってあげよう。睦月の身体を起こし、ハーフパンツと下着を脱がせた。
指先にゴムを被せ、ローションをかける。座っている睦月の脚を開くと恥ずかしそうに、顔を逸らした。
「少しだけ手伝うから、ねっ?」
「なら俺が終わったら如月もやって」
「え? 何言って……」
「はい決まり~~」
睦月は恥ずかしそうにしながらも口元を緩め、手を添えた。
「んぁあっ……」
睦月に近づき指先を飲み込ませていく。ぐちゅぐちゅ。
「睦月さん、手動かして」
締め付けられる指先を動かしながら、睦月の顔を見つめた。気持ち良さで瞳に涙を浮かべている。
「ぁあっ…んっ…おれ…あっ…はぁっ…でちゃうっ…だしていい?…んっ…あぁっはぁっ…っ」
指先はまだ奥まで進めきれていない。奥を突く前に睦月さんがイッてしまいそう。
「もうちょっと我慢できない?」
ぐちゅくちゅ。肉壁をたどり、少しずつ奥を突く。
「~~~~っそんな音鳴らしながら言わないでっ……もぉむりぃっ!」
先端から蜜が溢れている。まだ少ししか突いていないが、睦月さんの瞳からは涙が伝っている。オーガズムが近い。指で突きつつ睦月を見つめる。
「あぁもぉだめぇっ…はぁあっ…」
顔を真っ赤にして恥じらい、震えながら、目の前でイク睦月さんに気持ちが抑えきれない。睦月の全てを脱がせ、自分も全てを脱いだ。
「きっ…きさらぎ?! っんああっ」
座ったまま睦月を抱き寄せ、自身を沈み込ませた。あたたかく、締まって気持ちいい。
「お望み通り、貴方を 抱 き ま す」
耳元で甘く囁きかけ、抱きしめる。
「ぇえっ……ん…はぁ…」
睦月の腕が首の後ろに絡まる。少しでも密着したくて、体を近づけた。胸と胸が触れ合う。
「睦月さん…キスして…ん…ぁっはぁ」
腰をゆっくり動かし、お互いの官能を刺激する。
「出来ないぃ……ん…っ…んっ…ふ……はぁっ…っん……んふ…んっ…ん…はぁ…あっ」
遅い。待ちきれずこちらから唇を重ねる。顔を傾け、何度も何度も睦月の唇を奪う。甘い吐息に身体が熱くなる。
「ふふ…はぁ…んっ…かわいいよ…睦月さん……」
「んっ…あっ…ちょ…あっ…あぁっ…んっ…あっ」
睦月の首元に顔を寄せ、首筋へ丁寧にキスを繰り返し、唇から愛情を伝える。
私の大切な人。離れられなくなるくらい、もっともっと私に溺れて。私も貴方に溺れるから。
「睦月さんは私のもの」
唇を舌で湿らせ、首筋に思いっきり吸い付いた。
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