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25話(2)
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車に戻り、シートベルトを着ける。さて、どこへ行こう。ひまわり畑周辺は食べるところは何もなかった。ランチに移行すべきか、俺を食べてもらうべきか。悩む。
「如月、どこ行く?」聞いてみる。
「ランチ~~」そっか。
車にエンジンをかけて、動かす。とりあえずショッピングモールでも行こうかな。そういえばショッピングモールとか如月と行ったことない!! いいかも!!
「ショッピングモール行こう!!」
「うん? いいですよ?」
如月の持っている一本のひまわりを見ると、ケーキ入刀の件が頭から離れなくなる。食べさせ合うとは。そういう意味なのか。運転していると考え事をしてしまう。
話していれば気が紛れて、考えずに済むかも!! 何か話そう!! 何を話せば良いのかな?! わからない!! どうしよう!! 如月に話してもらお!!
「如月、何か話して」丸投げ。
「ぇえ? う~~ん……あ!!」如月は何か思い出したように声を上げた。
「ふふふ。第2回サイン会開催が決まりましたぁ~~」
運転しながら横目で如月を見ると、ひまわりに顔を埋めながらこちらを見て嬉しそうに笑っていた。
「おめでと~~」
「今回は日帰りですし、私1人で行こうかと思いま~~す」え?
「え、やだ。さびしい!!!」ハンドルを握る手に力が入る。
「その日のうちに帰ってきますって。遅くなるけど……」呆れたように頭を撫でられる。
「でも……」
少しでも離れることが不安。悪い虫的な……変な人が如月に寄ってきたり、行くまでに如月になんかあったり、人がいっぱいでまた緊張したりしたらどうするの!!
「人数制限もかけてますし、大丈夫ですって~~」ぽんぽんと肩を叩いてくる。
うーーん。気が進まない。
話変えよう。
「他!! なんか喋って!! 助手席の役目!!」
車が信号で止まってる間に如月を見る。少し困っているように見えたけど、お互いのことを話す時間が今まであまりなかった分、少しだけ、ドライブが楽しくなってきた。
目的地まで、まだ着いてほしくなくて、少しだけ、遠回りをする。
「そんな急に喋ってと言われても……」
なんだか困っている。困らせるつもりはない。もっと如月が喋りやすいように、質問とか? 如月が話しやすい感じにしよう。質問系ならお互いのことも知れる!!
「じゃあ、俺への質問をどうぞ!!」
「えっ? いきなり言われても……う~~ん。あ……む、睦月さんって……その…」如月の目が泳いでいる。変なの。
なんだか口籠もっている。そんなに難しい質問なのかな? 好きな食べ物とか、今気になってることとかそういう質問のイメージだったんだけど。
「なに?」とりあえず訊く。
「朝以外に……私がいても1人でしてるの……?」
「はぁ?!」否定できない自分に恥ずかしくなり頬が染まる。
なんでそんなことを訊くの?!?! いや……し、してるけどっ……。だって全ての性欲を解消は出来ないしっ……。それ如月に言わなきゃだめなの?! どんな質問よ!! これぇええぇえ!!
「質問のイメージ、今気になってることとか、好きなことなどを聞いたり、言い合ってお互いのことを知る的な感じだったんだけど?!?!」如月を横目で見る。
「気になっているという点では間違ってないと思うのですが……お互いのことも知れます!!」良いようにまとめられてる気が……。
「う~~~~ん」
悩む。ずっと気になっていて、心の中のモヤモヤを晴らしたくて、聞いているのだとしたら、応えてあげたい。
「朝以外にも……し……してますけど……なにか……? でも毎日してる訳じゃ……」恥ず!! 顔あつ!!
「……そうですか……その……する時は呼んで欲しいというかぁ……」
「え?」青信号も忘れて固まる。
「睦月さん!! 青です!!! 進んで下さい!!!」
「え? あ……はい……」思考停止しながら、アクセルを踏む。
チラッと如月を見る。頬を赤らめ、口を尖らせている。なにその顔!! そんなに見たいの?! 見たことあるでしょ!!(?) でもなんのために?!?! というか質問じゃなくてもはやこれは願望では?!?!
「みみみみみみみてどうするの!!!!」運転続行不可能。停めれそうなところへ車を停め、如月の方へ体を向ける。
「え? それは……見られながら1人でして、恥ずかしがりながらも感じてイッちゃてかわいい~~っ的な愛で」
鑑賞?!?! 愛で?!?!
「やややややややだよ!!! 絶対見せない!!!」
でも如月が見せてくれるなら考えてもいいかも。如月が1人でしてるところは見たことないし。してるかも分かんないし。あっ!! これは!!! 俺の気になる質問だな!!! よし!! 聞こう!!!
「如月が1人でしてるところ俺に見せて(願望)」如月の目を見つめる。
「はぁ?!?! 何言ってるんですか!!! まず私は1人でしません!!! スポーツが違うし(?)」如月は睦月に顔を近づけた。
「じゃあやだ!!!!!!」がるるるる。
「絶対見るから」どんだけ見たいの!!
「みなくてよろしい!!!!」
目の前にあった如月の顔がさらに近づき、唇が重なった。そんなことしたって、見せないんだから。
たぶん。
ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーー
ーーーー
ーーショッピングモール
レストラン街で適当に昼食を済ませ、館内を彷徨く。
お盆休みのせいか、人が物凄く多い。如月がフラッと消えないように繋ぎ止めておかないと。さりげなく、手を握る。
「あ……ちょっと恥ずかしいっていうか……」頬が赤くなっている。
「嫌なら、やめるけど……」握った手を緩めると、握り返された。
「んーん。繋ぎたくないわけじゃないです……だから繋ぎましょ」
手を繋ぎながらブラブラと歩いた。特にこれといって欲しいものがある訳でもない。こんなものが流行りなのか、と感心しながら、店に並ぶものを見ていく。
ふと、ゲームセンターへの案内が目に留まった。
「ねぇ、ゲーセン行ってみない?」ゲームセンターの方を指差して、如月を誘う。
「ゲーセンですか。たまには良いのかもしれません」
ゲームセンターへ一緒に向かった。メダルの音がガチャガチャと鳴り響き、とても賑やかしい。折角きたから、如月とゲームしたいな!!
「如月!! これやろ!!」太鼓が2つ並んだ『太鼓の覇者』と書かれたゲームを指差す。
「『太鼓の覇者』ってバチで天下取りそうですね」如月はお金を入れ、バチを手に取った。
「うん!! バチで戦う!! 音楽に合わせて赤をドンして青でカッやって、ダダダダダドンが燃えてきて超魂!!!!」
「睦月さん、何言ってるか全然分かりません」画面が音楽選択画面に変わり、音楽を選んでいく。
「夏祭り的な曲にしよ」曲を選び、太鼓を叩いた。
『始まるドン~~』
「え? 睦月さん、今の説明で始める気ですか?!?!」
「やれば出来る!!!(根性論)」
目の前に流れてくる赤や青の丸に合わせて叩いていく。
「流れるの早っ!!!! これ叩くの?!?! 乱雑過ぎます!!! どこどん早すぎません?!?! 合わない!!! 目が追えない!!!! これ初心者向けですか?!?!」如月全然打ててないな。
「難易度、難しいにしたぁ~~」
「最初くらい気を遣え!!!!」
如月がクリア出来ないので、ふつうコースに変更。
『始まるドン~~』
「あ、合わない!!! 何故?!?! 合わせて叩いているのにドンとカッが絶妙にズレる!!! まるで反応していないみたい!!! これは壊れているのでは?!?! そもそもこの曲知らないし!!!」如月全く合ってないし。
「え? 今流行ってる曲」
「私も分かる曲にしろ!!!!」
何度やっても同じだな。俺はクリア出来るけど。如月はリズム感覚ないみたい。知らなかった。それ以前に如月ってゲーム全般ダメなのかな? もっと簡単なゲームにしよう。
「クレーンゲームにしよ」ひとつひとつクレーンゲームの中身をみていく。
「なんか色んな種類がありますね」
(あ……ねこのぬいぐるみ。取って如月へあげよう)
「俺、これにする」30センチくらいある猫のぬいぐるみが並んでいるクレーンゲームの前に立ち、お金を入れた。
「取れるんですかぁ?」嘲笑って見てくる如月を無視して、狙いを定め、ボタンを押す。
ガコン
「取れたぁ~~」一発げっと。下から猫のぬいぐるみを取り出し、持ち上げる。おっとりした顔が如月に似てる。
「睦月さんって色々器用ですよね」
「そんなことないよ。如月が居るからよく見せようとしてるだけ~~」如月を見つめる。
「よく見せる必要なんてないですよ」
ぎゅ。
ぬいぐるみごと抱きしめられた。
「好きな人には良いところ見せようと思うのが男心じゃない~~?」
「そんなこと言ったら私、だめだめ過ぎません?」眉が八の字に下がり、心配そうに見てくる。
「如月は…弥生さんはだめだめなんかじゃないよ」
片腕を如月の背中へ回し、少し抱きしめた。そして、反対の手で持っている猫のぬいぐるみを如月の顔の前に突き出す。
「俺が保証するにゃあっ!!」
「ぷ。良い雰囲気が台無し~~ありがとうございます」如月は抱きしめていた手を離し、猫のぬいぐるみを受け取った。
「この後どうする?」なんだかんだ夕方だ。
「もうおかえりじゃありません?」手を繋ぎ、車へ向かう。
「ほんとにおかえりでいいの?」手を繋ぐ指先に力を入れる。
「ぇえ? 何か私としたいことでも?」いじわる。
「べ、べつにぃ~~~~っ」
「あ、食べさせ合わなきゃね。ふふ」
駐車場に到着し、車の中へ乗り込んだ。
「それは、その、そういうアレなんですか?」じぃ。眉が中央に寄ってしまう。
「そういうアレですけど? まぁ? 今回は仕方ないから私からのアレで許してあげないこともないけど?」
え、してくれるの?! その舌使い堪能出来るの?!?!
「え、ほ、本当に良いの?!?!」驚きで目を見開いてしまう。
「まぁ? その代償として、睦月さんには絶対見せてもらうけどね。1人のアレを」さわ。前に手が置かれる。
「それは無理だってばぁあぁあぁあ!!!!! 代償重っっ!!!」
「ほら、早く行くとこ行きましょ~~」車にエンジンをかけ、出発する。
今日、おうち帰れるのかな?!?! お泊まりコースじゃない?!?! まぁ2人で過ごせるならどこでもいっかぁ~~!!!
しばらく運転する。
なんだか静か。
……ぐぅ。
ちら。横を見る。猫のぬいぐるみとひまわりを抱きしめ、寝ている。口まで開けて幸せそう。寝ちゃったってことは安心してくれているのかな?
赤信号になり、助手席でふにゃけた顔で寝ている如月へ顔を近づける。
ちゅ。
「気持ち良さそうに寝ちゃってまぁ……」
今はすごく穏やかな気持ち。幸せそうに寝ている如月を起こしたくはない。
今日のところは帰るね、如月。
「…うぅん……むつきさぁ~ん……」
自分の名前を呼ぶ寝言に愛しさを感じ、笑みが溢れる。車にかかっていた音楽のボリュームをなだらかに下げた。
「如月、どこ行く?」聞いてみる。
「ランチ~~」そっか。
車にエンジンをかけて、動かす。とりあえずショッピングモールでも行こうかな。そういえばショッピングモールとか如月と行ったことない!! いいかも!!
「ショッピングモール行こう!!」
「うん? いいですよ?」
如月の持っている一本のひまわりを見ると、ケーキ入刀の件が頭から離れなくなる。食べさせ合うとは。そういう意味なのか。運転していると考え事をしてしまう。
話していれば気が紛れて、考えずに済むかも!! 何か話そう!! 何を話せば良いのかな?! わからない!! どうしよう!! 如月に話してもらお!!
「如月、何か話して」丸投げ。
「ぇえ? う~~ん……あ!!」如月は何か思い出したように声を上げた。
「ふふふ。第2回サイン会開催が決まりましたぁ~~」
運転しながら横目で如月を見ると、ひまわりに顔を埋めながらこちらを見て嬉しそうに笑っていた。
「おめでと~~」
「今回は日帰りですし、私1人で行こうかと思いま~~す」え?
「え、やだ。さびしい!!!」ハンドルを握る手に力が入る。
「その日のうちに帰ってきますって。遅くなるけど……」呆れたように頭を撫でられる。
「でも……」
少しでも離れることが不安。悪い虫的な……変な人が如月に寄ってきたり、行くまでに如月になんかあったり、人がいっぱいでまた緊張したりしたらどうするの!!
「人数制限もかけてますし、大丈夫ですって~~」ぽんぽんと肩を叩いてくる。
うーーん。気が進まない。
話変えよう。
「他!! なんか喋って!! 助手席の役目!!」
車が信号で止まってる間に如月を見る。少し困っているように見えたけど、お互いのことを話す時間が今まであまりなかった分、少しだけ、ドライブが楽しくなってきた。
目的地まで、まだ着いてほしくなくて、少しだけ、遠回りをする。
「そんな急に喋ってと言われても……」
なんだか困っている。困らせるつもりはない。もっと如月が喋りやすいように、質問とか? 如月が話しやすい感じにしよう。質問系ならお互いのことも知れる!!
「じゃあ、俺への質問をどうぞ!!」
「えっ? いきなり言われても……う~~ん。あ……む、睦月さんって……その…」如月の目が泳いでいる。変なの。
なんだか口籠もっている。そんなに難しい質問なのかな? 好きな食べ物とか、今気になってることとかそういう質問のイメージだったんだけど。
「なに?」とりあえず訊く。
「朝以外に……私がいても1人でしてるの……?」
「はぁ?!」否定できない自分に恥ずかしくなり頬が染まる。
なんでそんなことを訊くの?!?! いや……し、してるけどっ……。だって全ての性欲を解消は出来ないしっ……。それ如月に言わなきゃだめなの?! どんな質問よ!! これぇええぇえ!!
「質問のイメージ、今気になってることとか、好きなことなどを聞いたり、言い合ってお互いのことを知る的な感じだったんだけど?!?!」如月を横目で見る。
「気になっているという点では間違ってないと思うのですが……お互いのことも知れます!!」良いようにまとめられてる気が……。
「う~~~~ん」
悩む。ずっと気になっていて、心の中のモヤモヤを晴らしたくて、聞いているのだとしたら、応えてあげたい。
「朝以外にも……し……してますけど……なにか……? でも毎日してる訳じゃ……」恥ず!! 顔あつ!!
「……そうですか……その……する時は呼んで欲しいというかぁ……」
「え?」青信号も忘れて固まる。
「睦月さん!! 青です!!! 進んで下さい!!!」
「え? あ……はい……」思考停止しながら、アクセルを踏む。
チラッと如月を見る。頬を赤らめ、口を尖らせている。なにその顔!! そんなに見たいの?! 見たことあるでしょ!!(?) でもなんのために?!?! というか質問じゃなくてもはやこれは願望では?!?!
「みみみみみみみてどうするの!!!!」運転続行不可能。停めれそうなところへ車を停め、如月の方へ体を向ける。
「え? それは……見られながら1人でして、恥ずかしがりながらも感じてイッちゃてかわいい~~っ的な愛で」
鑑賞?!?! 愛で?!?!
「やややややややだよ!!! 絶対見せない!!!」
でも如月が見せてくれるなら考えてもいいかも。如月が1人でしてるところは見たことないし。してるかも分かんないし。あっ!! これは!!! 俺の気になる質問だな!!! よし!! 聞こう!!!
「如月が1人でしてるところ俺に見せて(願望)」如月の目を見つめる。
「はぁ?!?! 何言ってるんですか!!! まず私は1人でしません!!! スポーツが違うし(?)」如月は睦月に顔を近づけた。
「じゃあやだ!!!!!!」がるるるる。
「絶対見るから」どんだけ見たいの!!
「みなくてよろしい!!!!」
目の前にあった如月の顔がさらに近づき、唇が重なった。そんなことしたって、見せないんだから。
たぶん。
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ーーショッピングモール
レストラン街で適当に昼食を済ませ、館内を彷徨く。
お盆休みのせいか、人が物凄く多い。如月がフラッと消えないように繋ぎ止めておかないと。さりげなく、手を握る。
「あ……ちょっと恥ずかしいっていうか……」頬が赤くなっている。
「嫌なら、やめるけど……」握った手を緩めると、握り返された。
「んーん。繋ぎたくないわけじゃないです……だから繋ぎましょ」
手を繋ぎながらブラブラと歩いた。特にこれといって欲しいものがある訳でもない。こんなものが流行りなのか、と感心しながら、店に並ぶものを見ていく。
ふと、ゲームセンターへの案内が目に留まった。
「ねぇ、ゲーセン行ってみない?」ゲームセンターの方を指差して、如月を誘う。
「ゲーセンですか。たまには良いのかもしれません」
ゲームセンターへ一緒に向かった。メダルの音がガチャガチャと鳴り響き、とても賑やかしい。折角きたから、如月とゲームしたいな!!
「如月!! これやろ!!」太鼓が2つ並んだ『太鼓の覇者』と書かれたゲームを指差す。
「『太鼓の覇者』ってバチで天下取りそうですね」如月はお金を入れ、バチを手に取った。
「うん!! バチで戦う!! 音楽に合わせて赤をドンして青でカッやって、ダダダダダドンが燃えてきて超魂!!!!」
「睦月さん、何言ってるか全然分かりません」画面が音楽選択画面に変わり、音楽を選んでいく。
「夏祭り的な曲にしよ」曲を選び、太鼓を叩いた。
『始まるドン~~』
「え? 睦月さん、今の説明で始める気ですか?!?!」
「やれば出来る!!!(根性論)」
目の前に流れてくる赤や青の丸に合わせて叩いていく。
「流れるの早っ!!!! これ叩くの?!?! 乱雑過ぎます!!! どこどん早すぎません?!?! 合わない!!! 目が追えない!!!! これ初心者向けですか?!?!」如月全然打ててないな。
「難易度、難しいにしたぁ~~」
「最初くらい気を遣え!!!!」
如月がクリア出来ないので、ふつうコースに変更。
『始まるドン~~』
「あ、合わない!!! 何故?!?! 合わせて叩いているのにドンとカッが絶妙にズレる!!! まるで反応していないみたい!!! これは壊れているのでは?!?! そもそもこの曲知らないし!!!」如月全く合ってないし。
「え? 今流行ってる曲」
「私も分かる曲にしろ!!!!」
何度やっても同じだな。俺はクリア出来るけど。如月はリズム感覚ないみたい。知らなかった。それ以前に如月ってゲーム全般ダメなのかな? もっと簡単なゲームにしよう。
「クレーンゲームにしよ」ひとつひとつクレーンゲームの中身をみていく。
「なんか色んな種類がありますね」
(あ……ねこのぬいぐるみ。取って如月へあげよう)
「俺、これにする」30センチくらいある猫のぬいぐるみが並んでいるクレーンゲームの前に立ち、お金を入れた。
「取れるんですかぁ?」嘲笑って見てくる如月を無視して、狙いを定め、ボタンを押す。
ガコン
「取れたぁ~~」一発げっと。下から猫のぬいぐるみを取り出し、持ち上げる。おっとりした顔が如月に似てる。
「睦月さんって色々器用ですよね」
「そんなことないよ。如月が居るからよく見せようとしてるだけ~~」如月を見つめる。
「よく見せる必要なんてないですよ」
ぎゅ。
ぬいぐるみごと抱きしめられた。
「好きな人には良いところ見せようと思うのが男心じゃない~~?」
「そんなこと言ったら私、だめだめ過ぎません?」眉が八の字に下がり、心配そうに見てくる。
「如月は…弥生さんはだめだめなんかじゃないよ」
片腕を如月の背中へ回し、少し抱きしめた。そして、反対の手で持っている猫のぬいぐるみを如月の顔の前に突き出す。
「俺が保証するにゃあっ!!」
「ぷ。良い雰囲気が台無し~~ありがとうございます」如月は抱きしめていた手を離し、猫のぬいぐるみを受け取った。
「この後どうする?」なんだかんだ夕方だ。
「もうおかえりじゃありません?」手を繋ぎ、車へ向かう。
「ほんとにおかえりでいいの?」手を繋ぐ指先に力を入れる。
「ぇえ? 何か私としたいことでも?」いじわる。
「べ、べつにぃ~~~~っ」
「あ、食べさせ合わなきゃね。ふふ」
駐車場に到着し、車の中へ乗り込んだ。
「それは、その、そういうアレなんですか?」じぃ。眉が中央に寄ってしまう。
「そういうアレですけど? まぁ? 今回は仕方ないから私からのアレで許してあげないこともないけど?」
え、してくれるの?! その舌使い堪能出来るの?!?!
「え、ほ、本当に良いの?!?!」驚きで目を見開いてしまう。
「まぁ? その代償として、睦月さんには絶対見せてもらうけどね。1人のアレを」さわ。前に手が置かれる。
「それは無理だってばぁあぁあぁあ!!!!! 代償重っっ!!!」
「ほら、早く行くとこ行きましょ~~」車にエンジンをかけ、出発する。
今日、おうち帰れるのかな?!?! お泊まりコースじゃない?!?! まぁ2人で過ごせるならどこでもいっかぁ~~!!!
しばらく運転する。
なんだか静か。
……ぐぅ。
ちら。横を見る。猫のぬいぐるみとひまわりを抱きしめ、寝ている。口まで開けて幸せそう。寝ちゃったってことは安心してくれているのかな?
赤信号になり、助手席でふにゃけた顔で寝ている如月へ顔を近づける。
ちゅ。
「気持ち良さそうに寝ちゃってまぁ……」
今はすごく穏やかな気持ち。幸せそうに寝ている如月を起こしたくはない。
今日のところは帰るね、如月。
「…うぅん……むつきさぁ~ん……」
自分の名前を呼ぶ寝言に愛しさを感じ、笑みが溢れる。車にかかっていた音楽のボリュームをなだらかに下げた。
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