如月さん、拾いましたっ!

霜月@サブタイ改稿中

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24話 想像と違っても楽しければ全ていい!

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 ーー翌朝


 しんだ……。神に誓う。もう二度と受けはやらない。何時までやってた? 分からない。シャワー浴びたかったのに、攻められ続け、疲れ果て、寝てしまった。


 睦月さんのばか。えっち。


 寝返りを打ち、後ろから抱きしめて眠る睦月を見る。すやすや。寝顔かわいい。この可愛さの裏にあんな攻めの一面を持っているなんて思わなかった。もう受けをやってもいいなんて言わない。絶対。

 体を起こす。っ……。身体中が痛い。そして怠い。疲れが取れていない。睦月さん起きる前に離れとこ。面倒くさそうだし。朝からシよ、なんてなりたくない。

 はぁ、でも気持ち良かったな……。あんなに攻められることないし。思い出すと少しだけむずむずする。ベッドから降り、服を脱ぐ。汚れたし、全部着替えよ。


「……如月おはよ」いやらしい目で私を見ている気がする。
「おはようございまーーす!!!」脱いだ服を投げ、睦月の頭へ被せる。ばさっ。これで前は見えまい。

「ちょっとぉ!! やめて!! いきなり何すんの!!」もう一枚投げつける。おまけ!!! ばさっ。

「なんとなく!!!」今のうちに着替えよ。

「あれ!! もう着替え終わってるし!! 如月の昨日の服……はぁ…いい匂い」顔の前で肌着とTシャツの匂いを一見、嗅いでいるように見えるが、下半身に片手がある!! おかしい!!

「何してるんですか!!! 返して!! やめて!! 変なことに使わないで!! やめて!!」慌ててTシャツを引っ張る。
「んーーべつにぃ…はぁ……ん」じっ。睦月と目が合った。にやぁ。笑ってる。へ、へんたい!!

「…っん……んはぁ……ごちそうさまでしたぁ…はぁ」今肩ビクってなった!! めっちゃえっちな顔してる!! まさか?!

「ぇえ!! 今本人の目の前でしたの?!」ティッシュの箱を睦月へ渡す。

「そうだけど? 如月に挿れるところを想像したぁ。もうこれほんと最強。ほら、いっぱい出ちゃった。愛の証」どろどろした手のひらを見せてくる。ぁああ……っ!!

「やめて!!! そんな想像しないで!!! しても言わないで!!! 恥ずかしい!! 早く拭いて!!!」羞恥で後ろを向く。

「如月も見せてくれてもいいよ?」後ろから腕が回される。手のひら拭いてないし!!
「見せるか!!! 早くその手を拭け!!!」手のひらが口元に近づく。

「弥生さん、な め て っ」あたおか!!
「誰が舐めるか!!!」睦月の手を払い、逃げるように部屋を出る。
「あ~~っひどいぃ~~っ冗談だってばぁ!!」

 絶対冗談じゃなかった!! 本気だった!! 早く正気に戻れ!! いつまでそのモード引きずる気だ!! 昨日で変なトリガー引いてませんように!!

 手の甲をみる。べと。手で払った時についたっぽい。愛の証とやら、もう十分頂いてますから!! 睦月さん!!

「…はぁ……愛し……」

 ぺろり。手の甲に付いたものを舌で綺麗に舐めた。




 軽くシャワーを済ませ、リビングのソファでくつろいでいると、睦月が来た。私の隣に座り、話し始めた。

「墓参りに行きたいんだけど」隣に座る睦月を見る。
「折角お盆でこっち来たし、自分の親なのにご無沙汰だから……」申し訳なさそうにしている。

「私も行っても良いんですか?」せめて、こういう形でも挨拶したい。
「もちろん。一緒に来てよ」
「準備しないとね」一緒に立ち上がり、一度自室へ戻った。


 慎ましい、黒の軽装に着替え、身につけているアクセサリーは全て外していく。「取っちゃうの?」と、睦月が寂しそうに顔を顰めた。

「一応……。帰ってきたらちゃんと付けるよ」睦月の頭を撫でる。ちょっと気持ち良さそうにする顔が可愛くて、軽く頭へキスする。

「ばーちゃんちで道具は借りてから、行こうと思う」なるほど。
「卯月さんも一緒ですよね?」
「うん、声かけた」

 ということは一応、お祖母様(2度目)とご家族に対面をするということか。ちゃんと挨拶出来るだろうか。これ以上嫌われないようにお祖母様には気をつけないと。

 *

「睦月ちゃあん!! 出かける前に浴衣返して」小春がいきなり部屋へ入ってきた。
「えっ?」思わず表情が固まる。
「浴衣だよ!! 浴衣!!」

 すっかり忘れていた。あの、白い花火(?)が打ち上げられた浴衣の存在を!!! どうしよう!!

「あ、え~~と、今はお渡し出来ないというか~~」サッと脱ぎ捨てられた浴衣を背中に隠す。
「なんで?」うっ。
「なんででしょうね~~あはっ…」小春に睨まれる。

「見せろ!!! その後ろの浴衣を!!」浴衣が引っ張られる。
「ぎゃあぁあぁあーーーー!! やめて!!! 見ないで!!! 小春さんのえっち!!(?)見ちゃやだぁあぁあぁあ!!」


 敢えなく完敗。


「うっわぁ……何これ……」白い目で見てくる。
「えっと……元々そういう感じだったと思います……」小春から目を逸らす。
「それはないだろう」バッサリ。

「私の愛に包まれて快楽の絶頂へ、イッた証です」ちょっ……。

「借りたもので淫らなことするなぁあぁぁあぁあ!!!」ゲンコツで頭を挟まれ、ぐりぐりされる。

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいぃいぃい!! 気持ち良くなっちゃったんです!!! ちゃんとクリーニング出して返しますから!!! やめて!! 痛いからやめて!!!」

「ほんとそういうことしか頭にないのかお前は!!!」ぐりぐり。
「えっちは好きです!!! いたいぃいいぃぃ!!!」ぐりぐりが強まる。

「開き直るな!!!!」


 強烈なぐりぐりをお見舞いした後、小春お姉様は浴衣を回収していった。痛いです。ありがとうございます。すみませんすみません。でも俺、えっちだけじゃなくて、如月家も大好きです。



 *



 睦月さんの祖母の家へ来た。出会いがあんな感じだったため、色々不安ではある。卯月が元気よく、玄関扉を開けた。

「おばあちゃん、ただいまぁ!!」
「卯月ちゃんおかえり。あれ、あなたも来たんですか」なんか言葉に敵意を感じる!!

「す、すみません。えっと、付き添いというか……ここで待ってるので……はい」萎縮。怖い。無理。中へ入らず、玄関扉の前でしゃがみ込む。

「何やってんの、入れば?」睦月が腕を引っ張ってくる。無理。入れない。

「だ、大丈夫なんで……ここで待ってるから準備してきて……」友達も許されそうにない。誤魔化したはずなのに、恋人発言は思ったより効いている。

「う~~ん。わかった。少し待っててね」睦月が顔を近づけてきた。ダメ!!

「待った!!! ノーいちゃいちゃおけまる?」手でガードする。
「ぇえ~~もう嫌われてるんだから良いでしょ」良くないわ!!

 渋々、顔を離し、睦月は家の中へ入っていった。はぁ。気遣い疲れる。ただでさえ、体は疲労してるのに。

 中々出てこないし。あっつ~~。黒いシャツが太陽の光を集め、余計に暑い。暑さで頭がぼうっとする。


 ひやっ


 頬に冷たいものが当たった。凍ったペットボトル。顔を上げて、頬に当ててきた主を見る。少し屈み、にっこり笑いながら、凍ったペットボトルをくっつけてくる睦月がいた。

「暑いかな、思って。こんなのしかなかったけど」隣に睦月が座り込んだ。

 ペットボトルの蓋を回す。蓋を取り外し、口をつけて水を流し込む。凍っているせいか、殆ど出てこない。

「凍ってるから出てこない」
「飲みたかったの?」頭を睦月の肩へ乗せた。
「少し」肩に触れているだけでどきどきする。はぁ。もう末期だな。

「あれ? ノーいちゃいちゃじゃなかったの?」睦月がニヤニヤしてみてくる。うるさいなぁ。嬉しいくせに。

「良いでしょ、別にぃ。準備は終わったの?」
「今は卯月とばーちゃんがお供物の準備してる」
「なるほど」

「如月こっち向いて」顎に手が添えられる。軽く顎が引かれ、顔の向きが睦月の方へ変わる。ノーいちゃいちゃとか、やっぱりむり。


「ん」


 ちゅ。 ガラッ


「っーー!!」光の速さで唇を離す。

 お祖母様!!! 見られていたら、如月弥生死亡フラグ!!! ぁあぁあぁあぁあ!!!

「えっと……その…睦月さんとは……何もしていません(?)友達です」扉開いた瞬間すぐ離したから、見られていないと願いたい!!

「はい?」セーフ?
「ばーちゃん。俺、この人と付き合ってるから」睦月は堂々とした表情で言った。


(え? このタイミングで言う? それ)


「何を言ってるの、やめなさい。大体ね、男の人と同士で付き合っても」その先は睦月さんには聞かせたくない。
「『友達』ですから、えぇ。大丈夫ですよ」ズキ。また心が痛む。

「友達じゃない!!!」睦月は声を荒げた。

 お祖母様と睦月を天秤にかける。いや、そんなの天秤にかけなくても、分かる。大切なのは睦月さんだけ。睦月さんの気持ちを大事にしなくては。

「そうだね。ごめん」立ち上がり、お祖母様の方へ向く。

「お孫さんとお付き合いさせて頂いてる、如月弥生と申します。ご挨拶遅れて申し訳ありませんでした。手土産もなく、本当にすみません」深々と頭を下げる。

「如月……」

「いつも睦月さんにはお世話になっております。私なりに睦月さんを大切にしているつもりです。至らないところばかりですが、よろしくお願いします」

 怖くて頭があげられない。理解は得られないかもしれない。でも睦月さんに対する私なりの精一杯の誠意。伝わってほしい。

「……そう」それだけ言い残し、祖母はまた家の中へ入ってしまった。いきなり言われても困るだろう。はぁ。そのままその場にへたり込む。

「如月……ありがとう。嬉しい」恥ずかしそうに笑う姿をみると、言って良かったなと思える。

「あんな嫁入り前の挨拶みたいなの初めてしました。ちゃんと責任とってくださいよ~~」思い出すと顔が熱くなる。手で扇ぎ風を送る。

「どう責任とって欲しいの?」睦月が顔を覗き込んでくる。
「知るか、自分で考えろ」ぷい。サッと顔を背ける。恥ずかしい。

「そこはさ、一緒に考えようよ~~」睦月は如月の肩を抱き、キスした。
「~~~~っ!!」ばかっ! 何してっ!!


 ガラッ


 玄関扉がまた開いた。

「お兄ちゃん! 準備出来たよ! いこ!!」掃除道具に花束を持った卯月が玄関から出てきた。

「アレ? 何? 肩抱いちゃって。こんなところでまたいちゃいちゃですか。如月、顔赤。照れてるの? 何してたの~~??」

「ちょっとぎゅってして、ちゅーしただけで~~す。頬赤いよ? 照れてるの?」うるさっ!!

「もうっ!! 2人してうるさい!! 早く行きましょう!!!」立ち上がり、卯月から手桶を取り上げる。


「照れてる~~」
「照れてる~~」


 睦月を先頭に、私達は墓地へ向かい、歩き始めた。



 









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