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21話(2) #
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「あっあっぁっ…あっきさらぎっ…あっ」
すごく奥まで入る。でも痛みはない。多分、それは如月が時間をかけてゆっくり慣らしてくれたおかげ。快感が体の中を巡る。少しずつ奥を突いてくる。
「ぁっあっ…んっあっ…奥っ…あっんっ」
「睦月さん、鏡、みて?」えっ?
顔を少し上げ、鏡を見る。鏡に映る、快楽を感じている自分の顔。顔は赤くなり、目尻が下がった瞳は潤んでいる。
鏡越しから、自分は感じていることが伝わる。それが分かるとより一層、気持ちが昂ってくる。でもやっぱり、こんな自分を見るのは恥ずかしくて、視線を鏡から逸らす。
「感じてる顔を見られて恥ずかしいの? 自分で見るのが恥ずかしいのかなぁ?」
「あっぁっぁあっいつもより恥ずかしっあっ」突かれて乱れる自分の姿が目に入り、顔が紅潮する。恥ずかしい。
「私はそんな恥じらってる睦月さんの姿が愛おしいけどね…はぁ…」
「ぁっあっなにっんっあっもうっ」
「…はぁ…睦月さんは私の姿……見てくれないの?」
ーーえ?
そういえば、今まで行為中は自分にいっぱいいっぱいで、まともにみたことがない。如月の姿を鏡越しに見てみる。
恥じらっている姿に深く欲情し、艶かしく、目尻の垂れたその瞳は俺しか見えていない。体は本能のままに動いている。普段の中性的な、柔らかい雰囲気とはまるで違う。
もはや、獣そのもの。
獣のように俺を求め、体も、心も、俺の全てを独占する姿は、愛されているとしか思えない。俺との享楽で、夢中になっているその表情が、体全身に熱を浴びせる。
如月が少しずつ早く動き出した。
「っんっあっぁっはっんっ脚がっあっぁっあっ」快感で膝が曲がってしまう。
「はぁ…睦月さん…しっかり立って…はぁ…」
「あっあっむりっはっあっ」脚に力が入りづらい。現状を維持で精一杯。
「はぁ…もう少し早く動いてもいいかな?」
お好きにどうぞっ!! なんて言える余裕があるはずもなく。如月へ返事をする前に、激しい動きが始まる。
「ぁあっあっああっやっぁっ奥っだめっああっあっ」そんなに突かれたらどうかなりそう。
「…はぁ…睦月さん締まります…はぁ……気持ちいいです…はぁ…」
如月、気持ちいいの? 良かったぁ。俺もういきそうだよ。目から涙が止まらない。言葉が出ない。鏡を見る余裕もない。ただ気持ち良さだけが如月を通じて体に伝わる。
「ああっあっあっはっきもちいっぁっあっもうっはっきさらぎっあっぁっはっもうっあっ」激しい。気持ち良くておかしくなりそう。
一気にグッと押し込まれ、体が大きく震える。
「っぁあああっ……」
目がしぱしぱしてしっかり開かない。脚がガクガクする。体の震えが止まらない。倒れたい。いや、倒れそう。あっ。
「おっと……」膝に力が入らず、しっかり立っていられなくなり、倒れそうになったところを、如月が腕で抱きしめ、支えてくれた。
「睦月さん見て?」まだ鏡を見させるの?
「ぇえ……?」顔を上げ、鏡を見る。
「満足そうな顔してる」如月はクスッと微笑んだ。
「それは如月もでしょ……」
如月の表情をしっかり見ながら出来たせいか、えっちへの満足感はある。鏡越しにお互いをしばらく見つめ合った。
鏡から目を離し、如月の方に体を向け、また見つめる。
「ん」ちゅ。
如月にキスされる。別にそういうつもりで見たわけじゃないけど。結果的に、おねだりしたような形になって、恥ずかしい。
「あれ? なんで恥ずかしがってるの?」如月が不思議そうに見る。
「別に……ん」またキスされる。
「横になりたいんだけど……ん」何回するの。
「はいはい。ん~~~~っ」今度は長いキス。もぉ。
「っはぁ……如月さぁん?」目線を上に向け、見つめる。
「そんな目で見られると、もう1回シたくなる」急に真顔になった!
「いや、あ、えっと……寝る!!」ぎこちない歩き方で、ベッドまで行き、横向きに寝転がる。
「一緒に寝ようよ、睦月さん」向かい合い寝転がる。
なんだか、如月の目がキラキラしてる気がする。なに? まだ俺と遊び足りないの? 俺もう、しにそうなんですけど。寝たい。
「おやすーーあっ!! もう何するの!!」下半身を触られた。
「服着てないんだもん」なんて悪びれもなさそうに!
「俺、もう寝ますから。如月おやすーーぁあっ!」また触られた!
「えーー? もう寝るの? 早くないですか?」口を尖らせている。
「あっちょっ!!」定期的に触るな! 寝れない!!
「だ~~か~~ら~~寝るって言ってるでしょうがぁ!!!」掛け布団をかぶって、寝返りを打つ。
「あ、後ろ向くの? いいけど~~まぁ関係ないしぃ~~もうちょっと遊んでから寝ようよ~~」背中に如月の体が密着する。
「やだ!! もう寝る!! あっ握らないでっ!!」すぐ反応する下半身が憎い!!
握られた手がゆっくり上下に動く。如月が耳元で静かに荒い吐息を漏らしているのを後ろから感じる。
「あっ~~もぉ~~寝るんだってばぁ~~あぁんもぉ~~っあっ~~」
あぁっもうっ! そんなにやったら、でちゃう~~っ!
ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーー
ーーーー
*
目が覚めた。上半身を起こす。カーテンの隙間から陽の光が入ってきている。朝だ。隣には睦月さん。いつもだらしなく口元を開けて寝てる。よだれ出てる。かわいい。
年下というのは良いな。とにかくいちいちかわいい。純粋で、素直だし。睦月の頬を手の甲で撫でる。
「…うぅん…にゃぁ……」ぷ。
「睦月さん、朝ですよ~~」睦月に覆い被さり、声をかける。
起きない。
「お腹すきました~~」ゆさゆさ。肩を揺らす。
「……ん~~ねむぃ……」むー。
ちゅ。首筋にキスしてみる。
「ん……」肩が少し反応した。こっちの方が起きそう。早く朝ごはん食べたいんですけど。
もう、起きないから色々みちゃお。Tシャツをめくってみる。ふーん。あんまり、まじまじと見たことないけど、割と筋肉質……。綺麗だなぁ。触ってみよ。胸筋に沿って手でなぞる。
「んっ………如月?」薄目でこちらを見ている。
「なぁに?」あ、ほくろ発見。
「何してるの?」瞼が完全に上がった。
「何もしてないです」怪しんでる~~。
「……早くおりて」あーー。理解。まぁ朝から付き合う気はないので、おりまーーす。
「はぁい」さっさと下りる。面倒くさいことになる前に早くリビング行こ。
「んーー。やっぱやだ」手首を掴まれた。
「え?」真っ直ぐ見つめてくる。
「これの責任とって」下半身を指差している。
「はぁ? それは私の責任ではないです。ご自分で」掴まれた手を振り解き、寝室を出る。
「ぇえ~~! ひどいぃ~~!! なに? 如月は朝から立」無視無視。
ソファに腰掛け、ノートパソコンを開く。新刊発売以降、全く書いていない。執筆お休み中。そろそろ書こうかなぁ。
何も言ってこないけど、睦月さんって、新刊読んだの? 謎。買ったのなら、感想ぐらい言ってよ。一緒に住んでるんだからさぁ。イラ。
かたかたかた。パソコンを打つ。
「久しぶりに書いてるところみた。今日デートする? それとも執筆する?」隣に座ってきた。
(たまには2人でデートしようかな)
「デートする」パソコンを打ちながら答える。
「あ! 俺、ちゃんと読んだよ!! 『愛執の歪』!!」へー。
「どうだった?」感想は聞きたい。画面から目を離し、睦月をじーーっと見つめる。
「常軌を逸するほど愛に溺れ、壊れていく男女のどろどろの恋愛模様が最高に気持ち悪かった」去ね!
「純愛とかの方がいいです、せんせー」睦月は如月の肩にもたれかかった。
「そんなピュアな話書けませ~~ん。官能か、男女の狂愛しか書けないんで」再び画面に目線を戻す。
「俺にはよく分かりません! まぁ、面白かった(?)よ」思ってない!
「疑問を抱えたように言わないで下さい。早く朝ごはん作って」
「はぁい」睦月はキッチンへ向かった。
朝ごはんを終え、出かける準備をする。久しぶりの2人でのデート。最近はなんだかんだ、自分たち以外に誰かが居て、2人きりで出掛けていなかった気がする。なんだか緊張。
「準備出来ました」睦月に声をかける。
「どこ行く?」玄関に向かいながら考える。
「んーー」
暑いんだよね。外。7月中旬だから当たり前なんだけど。涼しいところが良い。個人的にはブックカフェが良いが、睦月さんは嫌だろうな。あ、プラネタリウムとか良さそう。
「あ! 動物園いこ!!」炎天下!!
「ぇえ~~……絶対暑いし……」行きたくない。
「一緒に行くって約束したよね?」くっ。
「そ、そうですねぇ~~……でも暑いし、涼しいところの方が……プラネタリウムとか」乗ってこい!!
「俺、如月と動物園行きたい……」しょぼん。
「……うっ」
winner睦月。
「分かりました。一旦、戦闘服に着替えてきます」この服じゃ炎天下は戦えない!
「戦闘服?」睦月は首を傾けた。
仕事部屋に戻り、クローゼットを漁る。あった!! ハット!! 帽子ないと頭焼ける!!
白いハットを装備した。
襟付きのシャツなんて、首周りが暑いだけ! Tシャツに変えないと!! 白Tにするか? いや、でもデート!! デートで白Tとかどうなの?! イキってない?!(※そんなことありません)キナリ程度に抑えるか?!
キナリのTシャツにチェンジした。
よし!! あとはベージュのテーパードパンツに履き替えて。あ!! ミニ扇風機持っていこう!!
テーパードパンツからテーパードパンツに履き替えた。
「如月ぃ、まだぁ? うわぁ、部屋汚っ」服散乱。
「もう終わりましたぁ~~」髪の毛をひとつに縛る。
「……俺も白にする!!」へ?
睦月は着ている黒Tシャツを脱ぎ、床に捨てられている白Tシャツに着替えた。白Tにデニム。王道だね。
「ねぇ! キャップないの!!」ごそごそ。探してみる。
「黒いキャップなら」睦月へ渡す。
黒いキャップ被るなら、パンツは黒にした方がおしゃれだなぁ。さりげなく、黒いスリムパンツを睦月の目の前に置く。
「履き替えろと?!」すぐ伝わった。
「ご、ご自由に……」履き替えている。
「早くいこ~~っ!! あ、部屋は来週末に片付けます」あざます!
【動物園デートfashion】
如月 キナリオーバーサイズTシャツ/ベージュテーパードパンツ/白ハット/ハンディファン/後れ毛こなれ感ひとつ縛り
睦月 オーバーサイズ白Tシャツ/黒スリムパンツ/黒キャップ/よく分からないネックレス/そのシルバーチェーンまたパンツに付けるのかよ
「ヤンキーじゃん!! 何そのチェーン!! どっから出したの!! なんで黒パンだと付けるの!!」パンツに付いたチェーンを引っ張る。
「え? カッコよくね?」どこが?
フックに指をかけ、取り外しを試みる。
「何するの!! やだよ!! やめて!!! 外さないって!!」どんなこだわり!! 外れない!!
「もう~~早くいこう? ほら!! 行くよ!!」手を掴まれ、玄関まで強制連行される。もう。
香水、ネックレス、チェーン。もはやちゃら男スタイル。そんな格好して、変な人が寄ってきたらどうするの~~。
睦月に手を掴まれたまま、玄関を出る。日差しが照りつける中、動物園へ向かった。
すごく奥まで入る。でも痛みはない。多分、それは如月が時間をかけてゆっくり慣らしてくれたおかげ。快感が体の中を巡る。少しずつ奥を突いてくる。
「ぁっあっ…んっあっ…奥っ…あっんっ」
「睦月さん、鏡、みて?」えっ?
顔を少し上げ、鏡を見る。鏡に映る、快楽を感じている自分の顔。顔は赤くなり、目尻が下がった瞳は潤んでいる。
鏡越しから、自分は感じていることが伝わる。それが分かるとより一層、気持ちが昂ってくる。でもやっぱり、こんな自分を見るのは恥ずかしくて、視線を鏡から逸らす。
「感じてる顔を見られて恥ずかしいの? 自分で見るのが恥ずかしいのかなぁ?」
「あっぁっぁあっいつもより恥ずかしっあっ」突かれて乱れる自分の姿が目に入り、顔が紅潮する。恥ずかしい。
「私はそんな恥じらってる睦月さんの姿が愛おしいけどね…はぁ…」
「ぁっあっなにっんっあっもうっ」
「…はぁ…睦月さんは私の姿……見てくれないの?」
ーーえ?
そういえば、今まで行為中は自分にいっぱいいっぱいで、まともにみたことがない。如月の姿を鏡越しに見てみる。
恥じらっている姿に深く欲情し、艶かしく、目尻の垂れたその瞳は俺しか見えていない。体は本能のままに動いている。普段の中性的な、柔らかい雰囲気とはまるで違う。
もはや、獣そのもの。
獣のように俺を求め、体も、心も、俺の全てを独占する姿は、愛されているとしか思えない。俺との享楽で、夢中になっているその表情が、体全身に熱を浴びせる。
如月が少しずつ早く動き出した。
「っんっあっぁっはっんっ脚がっあっぁっあっ」快感で膝が曲がってしまう。
「はぁ…睦月さん…しっかり立って…はぁ…」
「あっあっむりっはっあっ」脚に力が入りづらい。現状を維持で精一杯。
「はぁ…もう少し早く動いてもいいかな?」
お好きにどうぞっ!! なんて言える余裕があるはずもなく。如月へ返事をする前に、激しい動きが始まる。
「ぁあっあっああっやっぁっ奥っだめっああっあっ」そんなに突かれたらどうかなりそう。
「…はぁ…睦月さん締まります…はぁ……気持ちいいです…はぁ…」
如月、気持ちいいの? 良かったぁ。俺もういきそうだよ。目から涙が止まらない。言葉が出ない。鏡を見る余裕もない。ただ気持ち良さだけが如月を通じて体に伝わる。
「ああっあっあっはっきもちいっぁっあっもうっはっきさらぎっあっぁっはっもうっあっ」激しい。気持ち良くておかしくなりそう。
一気にグッと押し込まれ、体が大きく震える。
「っぁあああっ……」
目がしぱしぱしてしっかり開かない。脚がガクガクする。体の震えが止まらない。倒れたい。いや、倒れそう。あっ。
「おっと……」膝に力が入らず、しっかり立っていられなくなり、倒れそうになったところを、如月が腕で抱きしめ、支えてくれた。
「睦月さん見て?」まだ鏡を見させるの?
「ぇえ……?」顔を上げ、鏡を見る。
「満足そうな顔してる」如月はクスッと微笑んだ。
「それは如月もでしょ……」
如月の表情をしっかり見ながら出来たせいか、えっちへの満足感はある。鏡越しにお互いをしばらく見つめ合った。
鏡から目を離し、如月の方に体を向け、また見つめる。
「ん」ちゅ。
如月にキスされる。別にそういうつもりで見たわけじゃないけど。結果的に、おねだりしたような形になって、恥ずかしい。
「あれ? なんで恥ずかしがってるの?」如月が不思議そうに見る。
「別に……ん」またキスされる。
「横になりたいんだけど……ん」何回するの。
「はいはい。ん~~~~っ」今度は長いキス。もぉ。
「っはぁ……如月さぁん?」目線を上に向け、見つめる。
「そんな目で見られると、もう1回シたくなる」急に真顔になった!
「いや、あ、えっと……寝る!!」ぎこちない歩き方で、ベッドまで行き、横向きに寝転がる。
「一緒に寝ようよ、睦月さん」向かい合い寝転がる。
なんだか、如月の目がキラキラしてる気がする。なに? まだ俺と遊び足りないの? 俺もう、しにそうなんですけど。寝たい。
「おやすーーあっ!! もう何するの!!」下半身を触られた。
「服着てないんだもん」なんて悪びれもなさそうに!
「俺、もう寝ますから。如月おやすーーぁあっ!」また触られた!
「えーー? もう寝るの? 早くないですか?」口を尖らせている。
「あっちょっ!!」定期的に触るな! 寝れない!!
「だ~~か~~ら~~寝るって言ってるでしょうがぁ!!!」掛け布団をかぶって、寝返りを打つ。
「あ、後ろ向くの? いいけど~~まぁ関係ないしぃ~~もうちょっと遊んでから寝ようよ~~」背中に如月の体が密着する。
「やだ!! もう寝る!! あっ握らないでっ!!」すぐ反応する下半身が憎い!!
握られた手がゆっくり上下に動く。如月が耳元で静かに荒い吐息を漏らしているのを後ろから感じる。
「あっ~~もぉ~~寝るんだってばぁ~~あぁんもぉ~~っあっ~~」
あぁっもうっ! そんなにやったら、でちゃう~~っ!
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目が覚めた。上半身を起こす。カーテンの隙間から陽の光が入ってきている。朝だ。隣には睦月さん。いつもだらしなく口元を開けて寝てる。よだれ出てる。かわいい。
年下というのは良いな。とにかくいちいちかわいい。純粋で、素直だし。睦月の頬を手の甲で撫でる。
「…うぅん…にゃぁ……」ぷ。
「睦月さん、朝ですよ~~」睦月に覆い被さり、声をかける。
起きない。
「お腹すきました~~」ゆさゆさ。肩を揺らす。
「……ん~~ねむぃ……」むー。
ちゅ。首筋にキスしてみる。
「ん……」肩が少し反応した。こっちの方が起きそう。早く朝ごはん食べたいんですけど。
もう、起きないから色々みちゃお。Tシャツをめくってみる。ふーん。あんまり、まじまじと見たことないけど、割と筋肉質……。綺麗だなぁ。触ってみよ。胸筋に沿って手でなぞる。
「んっ………如月?」薄目でこちらを見ている。
「なぁに?」あ、ほくろ発見。
「何してるの?」瞼が完全に上がった。
「何もしてないです」怪しんでる~~。
「……早くおりて」あーー。理解。まぁ朝から付き合う気はないので、おりまーーす。
「はぁい」さっさと下りる。面倒くさいことになる前に早くリビング行こ。
「んーー。やっぱやだ」手首を掴まれた。
「え?」真っ直ぐ見つめてくる。
「これの責任とって」下半身を指差している。
「はぁ? それは私の責任ではないです。ご自分で」掴まれた手を振り解き、寝室を出る。
「ぇえ~~! ひどいぃ~~!! なに? 如月は朝から立」無視無視。
ソファに腰掛け、ノートパソコンを開く。新刊発売以降、全く書いていない。執筆お休み中。そろそろ書こうかなぁ。
何も言ってこないけど、睦月さんって、新刊読んだの? 謎。買ったのなら、感想ぐらい言ってよ。一緒に住んでるんだからさぁ。イラ。
かたかたかた。パソコンを打つ。
「久しぶりに書いてるところみた。今日デートする? それとも執筆する?」隣に座ってきた。
(たまには2人でデートしようかな)
「デートする」パソコンを打ちながら答える。
「あ! 俺、ちゃんと読んだよ!! 『愛執の歪』!!」へー。
「どうだった?」感想は聞きたい。画面から目を離し、睦月をじーーっと見つめる。
「常軌を逸するほど愛に溺れ、壊れていく男女のどろどろの恋愛模様が最高に気持ち悪かった」去ね!
「純愛とかの方がいいです、せんせー」睦月は如月の肩にもたれかかった。
「そんなピュアな話書けませ~~ん。官能か、男女の狂愛しか書けないんで」再び画面に目線を戻す。
「俺にはよく分かりません! まぁ、面白かった(?)よ」思ってない!
「疑問を抱えたように言わないで下さい。早く朝ごはん作って」
「はぁい」睦月はキッチンへ向かった。
朝ごはんを終え、出かける準備をする。久しぶりの2人でのデート。最近はなんだかんだ、自分たち以外に誰かが居て、2人きりで出掛けていなかった気がする。なんだか緊張。
「準備出来ました」睦月に声をかける。
「どこ行く?」玄関に向かいながら考える。
「んーー」
暑いんだよね。外。7月中旬だから当たり前なんだけど。涼しいところが良い。個人的にはブックカフェが良いが、睦月さんは嫌だろうな。あ、プラネタリウムとか良さそう。
「あ! 動物園いこ!!」炎天下!!
「ぇえ~~……絶対暑いし……」行きたくない。
「一緒に行くって約束したよね?」くっ。
「そ、そうですねぇ~~……でも暑いし、涼しいところの方が……プラネタリウムとか」乗ってこい!!
「俺、如月と動物園行きたい……」しょぼん。
「……うっ」
winner睦月。
「分かりました。一旦、戦闘服に着替えてきます」この服じゃ炎天下は戦えない!
「戦闘服?」睦月は首を傾けた。
仕事部屋に戻り、クローゼットを漁る。あった!! ハット!! 帽子ないと頭焼ける!!
白いハットを装備した。
襟付きのシャツなんて、首周りが暑いだけ! Tシャツに変えないと!! 白Tにするか? いや、でもデート!! デートで白Tとかどうなの?! イキってない?!(※そんなことありません)キナリ程度に抑えるか?!
キナリのTシャツにチェンジした。
よし!! あとはベージュのテーパードパンツに履き替えて。あ!! ミニ扇風機持っていこう!!
テーパードパンツからテーパードパンツに履き替えた。
「如月ぃ、まだぁ? うわぁ、部屋汚っ」服散乱。
「もう終わりましたぁ~~」髪の毛をひとつに縛る。
「……俺も白にする!!」へ?
睦月は着ている黒Tシャツを脱ぎ、床に捨てられている白Tシャツに着替えた。白Tにデニム。王道だね。
「ねぇ! キャップないの!!」ごそごそ。探してみる。
「黒いキャップなら」睦月へ渡す。
黒いキャップ被るなら、パンツは黒にした方がおしゃれだなぁ。さりげなく、黒いスリムパンツを睦月の目の前に置く。
「履き替えろと?!」すぐ伝わった。
「ご、ご自由に……」履き替えている。
「早くいこ~~っ!! あ、部屋は来週末に片付けます」あざます!
【動物園デートfashion】
如月 キナリオーバーサイズTシャツ/ベージュテーパードパンツ/白ハット/ハンディファン/後れ毛こなれ感ひとつ縛り
睦月 オーバーサイズ白Tシャツ/黒スリムパンツ/黒キャップ/よく分からないネックレス/そのシルバーチェーンまたパンツに付けるのかよ
「ヤンキーじゃん!! 何そのチェーン!! どっから出したの!! なんで黒パンだと付けるの!!」パンツに付いたチェーンを引っ張る。
「え? カッコよくね?」どこが?
フックに指をかけ、取り外しを試みる。
「何するの!! やだよ!! やめて!!! 外さないって!!」どんなこだわり!! 外れない!!
「もう~~早くいこう? ほら!! 行くよ!!」手を掴まれ、玄関まで強制連行される。もう。
香水、ネックレス、チェーン。もはやちゃら男スタイル。そんな格好して、変な人が寄ってきたらどうするの~~。
睦月に手を掴まれたまま、玄関を出る。日差しが照りつける中、動物園へ向かった。
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