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婚活女性
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ある女性が 不満を絵に描いたような顔をして、結婚相談所へやって来た。そして挨拶もそこそこに、こう口火を切った。
「ここの紹介所には、ろくな男がいない。この間、紹介を受けた相手なんて、仕事の自慢話ばっかりで、私はそれを一時間も聞かされた。挙句の果てに、よくよく聞いてみると、プロフィールにある年収は、残業込みだって話だし。あーもう時間の無駄だったわ。思い出しただけでも腹が立つ。ねえあんた、もっとちゃんとした人を私に紹介して」
そこで女性は流し目を使って、
「実はいるんでしょう? 私に釣り合う高年収の男性が」
それを聞いた担当者、汗で額を光らせながら、あたふたと近くの棚からファイルを抜き出す。
「少々、お待ち下さい」
女性はそのまま、ふてぶてしい態度でもって、その場に立ち続けた。
「お待たせ致しました」
担当者は、物を落としたり、書類の山を崩したり、しながら、
「この方、なんですが」
女性は出された紙を見下ろして、「どれどれ」と言ってイスに腰掛ける。
「この方は、市内在住で、ご実家暮らし。年収は、三百万円、です。歳は、ですね、まあ少々いって、四十四歳という所ですが、ご安心下さい、とってもお若く見える方ですよ」
女性はだんだん鬼の形相になっていって、目の前のデスクをバンと叩いた。
「馬鹿にしているのか! 私の相手に求める年収は六百万円以上。これだけは譲れないと、面談時にあれだけ言ったはず。それを何よこの年収は! ちょっとあんた、私の事をナメているのか!」
それを聞いた担当者、急に変な顔をして、もう一度紙を見返すと、あわてて紙を破り捨てた。
「失礼しました。今のは、お客様のプロフィールでした」
「ここの紹介所には、ろくな男がいない。この間、紹介を受けた相手なんて、仕事の自慢話ばっかりで、私はそれを一時間も聞かされた。挙句の果てに、よくよく聞いてみると、プロフィールにある年収は、残業込みだって話だし。あーもう時間の無駄だったわ。思い出しただけでも腹が立つ。ねえあんた、もっとちゃんとした人を私に紹介して」
そこで女性は流し目を使って、
「実はいるんでしょう? 私に釣り合う高年収の男性が」
それを聞いた担当者、汗で額を光らせながら、あたふたと近くの棚からファイルを抜き出す。
「少々、お待ち下さい」
女性はそのまま、ふてぶてしい態度でもって、その場に立ち続けた。
「お待たせ致しました」
担当者は、物を落としたり、書類の山を崩したり、しながら、
「この方、なんですが」
女性は出された紙を見下ろして、「どれどれ」と言ってイスに腰掛ける。
「この方は、市内在住で、ご実家暮らし。年収は、三百万円、です。歳は、ですね、まあ少々いって、四十四歳という所ですが、ご安心下さい、とってもお若く見える方ですよ」
女性はだんだん鬼の形相になっていって、目の前のデスクをバンと叩いた。
「馬鹿にしているのか! 私の相手に求める年収は六百万円以上。これだけは譲れないと、面談時にあれだけ言ったはず。それを何よこの年収は! ちょっとあんた、私の事をナメているのか!」
それを聞いた担当者、急に変な顔をして、もう一度紙を見返すと、あわてて紙を破り捨てた。
「失礼しました。今のは、お客様のプロフィールでした」
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