日々、思う事、常々

ゆさひろみ

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この世から消えて欲しいもの

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 この世から消えて欲しいもの。それは、犯罪。この世から犯罪がなくなれば、人は、下らない事で死ななくなる。無駄に人命が失われなくなるし、突然お金が無くなる事もなくなる。私たちは、ハッピーな人生を送れる。
 次は、病気。この世から病気がなくなれば、人は簡単には死ななくなる。事故や天災に遭って、落命しない限りは、私たちはみな寿命を全うする。私の大切な人も死なないですんだ。
 そして最後、この世から消えて欲しいもの、それは、『当たり前』という考え方。
 私たちはよく、『当たり前』という言葉を口にする。何を隠そう、この私もそうだ。
「これくらい出来て、当たり前だ」
「これだけやったのだから、いくらいくら貰って、当たり前だ」
「地球に水や空気があるのは、当たり前のこと」
 当たり前、当たり前。そう、確かに当たり前な事は、当たり前なのだ。
 ところが実際、これらの考え方は、私たちにとって決していい結果をもたらさない。私たちにとって、毒となっているのだ。この毒は、体のしびれや痛みなどなく、直ちに体に変調をきたすものではない。けれどもこの毒素は、生活習慣病の一つであるかのように、私たちの人生を台無しにする危険性を十分に孕んでいる。その損害の規模を考えてみれば、ひょっとしたら、先に挙げた犯罪や病気より、質が悪いかも知れない。
 それでは、当たり前という考えの一体どこが毒になっているのか、それについて今から説いていきたい。まず、当たり前という考えは、私たちが生きていく上でとても大切な『感謝する』という気持ちをはく奪する。たとえばコンビニ、あなたはおにぎり一個をレジに置き、あと、フライドチキンを頼んだ。店員さんは、商品を用意して、金額を口にする。あなたはお金を払って、おつりを受け取って、ありがとうございましたと頭を下げられる。あなたが修行を積んだ人でない限り、これをかたじけないと思う事なく、平気な顔をして店を後にする。さてさて、ここに感謝という気持ちはあったか? 大抵の人は、お金を払っているのだから、対価を支払っているのだから、商品が手に入っても、店から頭を下げられても、それは当たり前だと、そうは思わないか?
 そう、ここに当たり前という考えが私たちの心の働きに悪い影響を与えている過程が見られる。
 まず言おう、当たり前の事など、この世には存在しない。コンビニがそこにある、おにぎりとフライドチキンが品を揃え、小銭さえあれば、いついかなる時でも好きに食べられる。これほど恵まれた環境は、当たり前か? 一九四五年、失意の底にあった日本、生きるか死ぬかのじり貧生活の中で、このような便利なコンビニは、なかった。やむを得ない代用食して、イナゴの炒り煮に、それでも随喜してほお張っていた日本人の姿が、そこにあったのではないか? それをコンビニなど、いつでも美味しいものが食べられる環境は、あり得ない事ではなかったか? あり難いものではなかったか?
 当たり前、当たり前。この考えは、幻想だ。ちょっと余裕が出て来て、初心を忘れて、つい浮かれ調子になって、ちょうどその時にぴたりと来た言葉が、当たり前だ。私たちはどこでどう見間違ってしまったのか、その概念があたかも存在しているかのように、認識してしまっているのだ。
 また、こう考えてみても欲しい。私たちが産声をあげた時のこと。あの頃は何もかもが当たり前ではなかった。生を受け、出生後、呼吸の方法が羊水から空気へと変わった。さあ大変だ。羊水を吐きながら、必死に空気を求めた。早く呼吸して、酸素を体へ取り入れなければならない、そうしなければ、酸欠になって死んでしまう。急げ、なんでもいいから早く呼吸しろ、生きろ、生きろ。そうやって、私たちは産声を上げていたのではなかったか? 空気は、当たり前か? 欲しくて欲しくて、たまらないものではなかったか? それは奇蹟の産物であって、感謝しても足りないもの。あり難いもの。それがいつしか、当たり前になって、まさに空気のような存在に成り下がってしまった。
 もう一度言おう。当たり前という言葉は、私たちから、感謝という気持ちをはく奪する。相手へ感謝し、敬意を表する事の大切さは、偉人たちが必ずといっていいほど本に書き遺している。それらをいちいち紹介していては、枚挙にいとまがないが、私の知る限り、最もシンプルで、最も心に響くものは、ネイティブ・アメリカンの言葉だと思う。この言葉をもって、今回の結びとしたい。
 北米・ミンクアス族の言葉。
「感謝する理由が分からないのなら、間違いはあなたの中にある」
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