日々、思う事、常々

くぼう無学

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仙人

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 中学に入った頃から、私は、自決という衝撃的な死因を知った。そして、それからの私は、以下のような考えを持つようになった。
 のっぴきならぬ、人生のどん底に堕ちて、みずから死の算段をつけるのだったら、その、死ぬ覚悟があるのだったら、私はそのまま死んでしまった事にして、その後のことは、誰も知らない山水、秋山郷などにあるような秘境へ逃れ、そこで、神のように、仙人のように余生を生きたい。
 それは世捨て人の恍惚とした域に達するようで、なんだか心がくすぐられるような魅力を感じる。仙人のように暮らす、というからには、やはり高山あたりが良いだろう。高ければ高いだけ、良さそうだ。標高が高ければ、きっと涼しい所に違いない。山や渓谷などの絶景を目前に、そぼくな小家を建てて、その庭に生える草といえば、いちめんの高山植物。虫も少なく、たえず濃い霧が地を這うように動いている。そんな風と水と大地の中で、私はただ一人、静かな余生を送るのだ。
 この考えは、今も少しも変わらないと思う。一般教養を得て、こうも大人になって、なお、私はこのような怪しい考えをもっている。
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