日々、思う事、常々

くぼう無学

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極刑

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 死刑について、最近、意見が求められる事が多いようである。
 死刑については、古くから、絶対的応報刑論や、相対的応報刑論など、ある種、哲学的な側面をもって語られる事が多い。
 罪人の、その人の生命を以てして、罪滅ぼしが行われる。
 この刑罰は、宗教、哲学、社会感情が、複雑に絡み合うテーマで、法哲学の深い対立の溝があり、いまだに双方の合意に至っていない。日本は、凶悪な犯罪に対して、強い嫌悪の心があり、極刑を求める声がしばしば聞かれる。意外に思うかも知れないが、死刑の存在しない、という国もたくさんある。
 個人的な意見としては、死刑とは、如何にも原始的な考えのように思う。原始の時代、石の斧を持った狩人が、怒って、こう言った。オマエ、オレノ獲物ヲトッタ、ワルイヤツ、ダカラオマエ、コロス、の寸法であって、素朴で、自然で、簡潔であった。
 また、現代の科学では、「死」について、大した答えを持ち合わせていない、というのも、終わりなき議論を呼んでいる。科学とは、経験できる事実があって、初めて、その知識を得られるのだから、「死」とは、経験する事ができず、したがって、科学の範囲を超えているのだ。
 私たちは、科学の恩恵に支配されている。異論はあるまい。科学は、例えるなら、子供にとって親のような存在。無くてはならない存在。その親である科学が、「死」に対して答えられないと言うのだから、それに等しく、子供の私たちも、罪人に死を与える事に対して、なんら答えを持っていないのだ。
 罪とは、何か。償いとは、何か。刑量とは、何たるものか。
 これついては、へとへとになるまで、議論を重ね、何とか答えが見えそうに思えるが、その埋め合わせに、人の死を用意する事は、無理だ。人の死の解明できぬうちは、死刑の採用の正しい導き方は、私たちには無いように思う。
 そこへ来て、裁判ばかりがどんどん増える昨今、今はただ、仮の基準を設けて、機械的に判決するに過ぎないと思うのである。
 いつか「死」の現象が解明されて、それが明らかなる日が来るまでは。
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