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ムーブ・アメリア、始動。
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「クッ!」
体の上下を入れ替えて、地上へ向かって走り出すアメリア、そのまま壁を蹴って金田の体をキャッチすると、間近に迫った地面を高速のロールで迎え撃つ。
「痛ッ!」
着地の瞬間アメリアの足に激痛が走る。
ぐるぐると二人は芝生の上を転がり、数メートル先で金田の体が外へ投げられ、ガサッと近くの生垣へ突っ込む。
すぐに生垣の中から顔を出す金田、
「アメリア!」
彼女はもう地上に立ち上がっていた。
「無事カ」
「俺は大丈夫だ、お前が助けてくれたからな。ありがとう、お前は!」
一、二歩あるいてアメリアは顔をしかめる。
「あー、やっちゃってる! ごめん、俺のせいでまた足を」
「コンナノ、平気ダ、元々コノ足ハ完治シテイナイ」
「か、完治しないで、あの動きだったのか?」
悲鳴を聞きつけた八木たちがバタバタと体育館の方からやって来る。
「どうしたの? なにがあったの?」
八木は二人の様子を見て、急いでまばたきをくり返す。
金田は手にした手すりを上げて見せ、
「これ」
「手すり?」
「そう、手すり。(教室の)窓の手すりをつかんだらさ、こんなふうに簡単に外れちゃって。そのまま俺は窓から外へ落ちた。そこをアメリアに助けてもらった」
久遠が三階の窓を高々と見上げて、
「救助マットもないのに、どうやって助かった」
「なんか こう、すげー技を使って助けてもらった」
金田の悪口を言っていた二人も、騒ぎを聞きつけその場に顔を出す。するとそれを見たアメリアの顔が鬼の形相に変わって行く。
「金田、私ハオ前ヲ危ナイ目ニ遭ワセタ犯人ヲ知ッテイル」
「え?」
金田の手から手すりを奪い、左足を引きずりながらアメリアが悪口の二人の前に立つ。
「オイ、オ前ラ、コノ手スリニ見覚エハナイカ?」
「な、なんだよ いきなり。これ手すり?」
「トボケルナ、オ前ラ、教室ノ手スリニ細工ヲシテイタダロウ、ソノスグ後ニ、金田ガコレヲ掴ンダラ、簡単ニハズレタ。オ前ラガ金田ヲ三階カラ転落サセタンダ」
八木と雛形が思わず顔を見合わせて、
「えーっ!」
「バ、バカやろう なに勝手な事を言ってるんだ! 俺たちがそんな事をするわけないだろう!」
「私ハ聞イタ、オ前達ハ、陰デ金田ヲ悪ク言ッテイタ、懲ラシメル、トモ言ッテイタ!」
「そ、それは」
アメリアの目の奥で怒りの炎が燃えたぎる。
「金田ガ三階カラ落チテ、死ヌヨウナ事ガアッタラドウスル! ドウ責任ヲ取ル!」
金田が間に入ってアメリアの前に立つ。
「アメリア、俺は無事だった。お前のお陰でな。俺は大丈夫だ」
一瞬金田の顔を見た後、再びアメリアは二人に詰め寄る。
「謝レ! オ前ラ金田ニ痛イ目ニアワセルトモ言ッテイタ! ソノ結果ガコレダ! 私ハ全テヲ聞イテイタ、言イ逃レハ出来ナイ 今スグ金田ニ謝罪シロ!」
相手もアメリアに顔を近づけて、
「さっきから何わけ分からねえこと言ってんだよ! 俺たちが手すりに細工をした? はあ⁉ 言いがかりをつけてんじゃねーよ!」
「そうだ! 証拠があるのかよ 証拠が! 全部お前の一方的な話じゃねーか! 証拠もねえのに人を犯人あつかいするんじゃねーよ!」
その時アメリアの瞳にイライジャの姿が映った。
『あれは、競技前にコースを確認していたんだ。そんなのみんなやっている事だろう』
『違う、違う! あれは、そういう金じゃない』
松葉杖をつきながらアメリアが病院から出ると、遠い交差点の向こうでイライジャが敵チームから札束を受け取っていた。次第にアメリアの目が開かれる。
「証拠はあるのかって聞いてんだよ!」
アメリアの顔が真ん中から外側へ向かってカーッと赤くなる。
「コノ野郎!」
怒りのこもったアメリアの拳が相手の顔面を強打する。
女子たちの悲鳴が上がった。とっさに金田がアメリアの体を押し返す。
「やめろアメリア! 仲間に手を出すな!」
「仲間ダト⁉ コンナクソ野郎、仲間デモ何デモナイ、タダノ人殺シダ!」
「ってー、何するんだコラ! 女だと思って甘く見ていりゃつけあがりやがって」
「おー、鼻血鼻血」と久遠が男子の顔にたくさんのティッシュを押し当てる。
山で罠に掛かった鹿を助けるように、金田は暴れる相手を取り押さえる。
「アメリア、落ち着け。とにかく落ち着くんだ。気持ちは分かる、気持ちは分かるが、お前は大きな勘違いをしている。よく見ろ、冷静になって見てみろ。こいつらにそんな恐ろしい事はできない。人にケガを負わせようとまでは考えない。
懲らしめるというのは、いま俺の背中に貼ってあるコレだ、雛形、またいつものやつだ、取ってくれ」
そう言って金田は雛形に背中を向ける。
「あ」
雛形が金田の背中から紙をはぎ取り、それを笑いながら読み上げる。
「なになに、私は世界一の女ったらしです?」
アメリアの瞳が大きくなった。
二人が金田の背中に近づいて、「シシシ」と悪い顔をしているのを思い出したのだ。
「こいつらのやり口なんて、たかが知れている。俺の悪口を言った所で、下らないガキのイタズラをするだけだ。手すりの件は、俺が悪かった。最近この手すりがグラついている事は知っていた。触るな危険って、張り紙が貼ってあった。それを俺は煙の中で勢いよく掴んでしまった」
三階の教室の窓の所に、作業服を着た業者が二人、外れた手すりを探して教室の中を歩いている。
「ソ、ソンナ」
アメリアの腕からだんだん力が抜けて行く。
金田はすぐに笑顔を作り、相手の男子に向かって大きく手を合わせる。
「と、言うわけで、ごめんなー、アメリアは勘違いしていたんだ。お前らがこの手すりに細工して、俺が窓から落ちたんじゃないかって。ほら、アメリアは帰国したばかりで、何かと勘違いが多くってさー。おー、大丈夫かー? 血は、止まったな、よしよし、この件については、この委員長に免じて、この通り、許してくれ」
鼻の穴にティッシュをつめた男子が、
「謝って済む問題か! 何にもしてないのに、思いっきり殴られたんだぞ!」
「そうだ、そうだ、これは暴力事件だ!」
金田は片目を開けて、
「何にもしていない? はて、アメリアの話では、お前らさんざ俺の悪口を言っていたらしいなー、なんだったっけー? 俺が女ったらしだってー? 懲らしめるだってー? 痛い目にあわせるだってー?」
無傷の男子が殴られた男子の耳元で、
「おい、どこまで聞かれていたか分からない、口止めされている件まで聞かれていたらまずい、行こう」
「クソッ、女じゃなかったら、殴り返してやるところだ。ふん、明日の実行委員会は俺ら欠席だからな! 覚えておけ! ……なんで俺だけ殴られるんだ、クソ」
そう言ってあちこちにツバを吐きかけるように二人はその場から去って行った。
アメリアはガックリと肩を落とし、呆然とその場に立ち尽くす。
「フー、危ない危ない、さすがに暴力沙汰はまずいからな」
「お前が言うな」と久遠が金田の背中を押す。
金田はアメリアを大きくふり返って、
「いいかアメリア、お前に仲間がいて、その仲間の間でトラブルが起きたら、まずは相手の話をよく聞け。いいな。間違っても仲間を疑うんじゃない。仲間を疑うのは、一番最後だ」
『あれは、競技前にコースを確認していたんだ。そんなのみんなやっている事だろう』
『違う、違うんだ。あれは、そんな金じゃない』
『そんなに怒らないで、アメリア。違うの、あれはイライジャが悪いんじゃない』
『黙れ! もうお前たちは私の仲間じゃない!』
アメリアはハッと顔を上げて、クリスの背中を思い出す。
『アメリア、お前は仲間に裏切られたのではない。お前が仲間を裏切ったんだ』
アメリアの瞳から、つーと一すじの涙が流れた。
「くやしかったんだ。初めて試合に負けて、本当にくやしかった。私は自分の敗北を認めたくなくて、すべてがウソであって欲しいと願った。そこをイライジャが、ライバルチームから大金を受け取っている所を見て、私の心に火が点いた。私は一番に、仲間を疑った」
そう英語で語り出すアメリア、みんな戸惑ってお互いの顔を見る中、金田はしみじみと夕空を見上げて、
「なんだ、お前にも仲間がいたのか。イライジャって、きっとパルクールの仲間だろ?そうか、どうやらお前は、イライジャって仲間の事を信じてあげられなかったようだな。
なあアメリア、仲間ってのはな、いいもんだぜ。当たり前のように隣にいて、当たり前のようにお前についてくる。バカな事を言って笑ったり、怒ったり、泣いたり。
お前は、初めて表彰台に上がれなくて、くやしかったんだろ? だったら、そう言えよ。仲間の前で、くやしかったって。そんなお前の事を笑うやつなんて、いないだろ? 仲間なら、みんなお前の支えになってくれる。泣いてもいいと頭を撫でてくれる。それが、仲間ってやつだろ?」
そう言って金田はアメリアの肩に手を置く。
「よし 捕まえた。アメリア 約束だ。俺たちC組のシャンデリア・ナイトに参加してくれ。いいな。明日は実行委員会があるから、まずはそれに参加してくれ」
サッと肩を振って金田の手を払うアメリア。
「NOネ」
「な、なにー⁉ 約束しただろ!」
アメリアはみんなから少し離れて、消えゆく夕日に顔を照らす。
「私ハ今カラアメリカニ帰ル。ココニハモウ用ハナイ。ソシテモウ一度、世界一ニナッテ、マタココヘ戻ッテ来ル。シャンデリア・ナイトノ舞台ニ立ッテイルノハ、パルクールノ世界女王ダ」
金田ははじめポカンと口を開けていたが、すぐに親指を立てて見せて、
「OK 分かった。次の大会は絶対に優勝しろよ。そして必ず戻って来るんだ、俺たちC組の仲間の元へ。それまでに俺たちがお前に最高の舞台を用意しておくから」
「えー、もう帰っちゃうのー?」
夜の校長室に天海の驚いた声が上がる。
「クリスニハ、モウ連絡シタ。短イ間ダッタガ、世話ニナッタ」
そう言ってアメリアは片づけた顔をしてコーヒーを啜る。
「じゃあ、もう足の方は治ったの?」
プイと横を向くアメリア、
「悪化シタ」
「えー、悪くなったのー? なんでー、あ、まさか委員長に追い回されてやっちゃった?」
「チョット転ンダ。デモコンナノ、カスリ傷ダ」
「しっかりと怪我を治さないと、また次も優勝を逃すわよー?」
「前回ノ大会デ負ケタノハ、怪我ノセイデハナイ、手スリハ動キ外レルモノダト私ハ知ラナカッタカラダ」
そんな強気な発言をする彼女を眺め、くすくすと天海は肩を揺する。
「シャンデリア・ナイトに、参加してくれるんだって?」
「アア、参加シテヤル。参加シナイト、金田ノ奴、アメリカマデ追ッテ来ソウダカラ」
そう言ってアメリアは口の端を上げて、その顔を隠すように窓の前へ移動する。
「ネエ校長、ココノ連中ッテ、イイ奴バカリダ。ドウシテダ」
天海は目を丸めて、
「どうしてって?」
「悪イ奴ハ、ミンナ面接デ落トシテイルノカ」
ぷっとそこで天海は吹き出す。
「そんな事はしていないわ。みんな自由にこの学校へ入学して来たの。私たちが面接で聞くのは、その人の夢についてだけ。その夢を叶えるために、みんなこの学校に入学して来たの。あなたと同じようにね」
「…………………」
頬杖を突いて、ニコニコと笑顔を見せる天海、
「でも、今の新木さんがみんなの事をそんな風に見えるなら、変わったのはあなたの方かもしれないわね。あなたが仲間を信じられるようになったから」
アメリアは目深にキャップをかぶり直し、いそいそと荷物に手をかける。
「モウ、帰ル」
ジーンズ工場を再利用した屋内競技場、その中に、パルクールのボックスやジャングルジム、連続壁キックなど、さまざまな障害物競争のコースが設置されていた。そこをチーム『ムーブ・アメリア』の選手たちが走り回っていて、その選手の一人一人の動きに厳しい目を向けているのが、このチームの監督、クリス・ライアンだった。彼は筋肉のついた腕を組み、ときに大きな声を張り上げて、緊張感のある指導を続けていた。
その後ろでガタガタと音を立て、工場らしい大きな鉄の扉が開くと、カバンを手にしたアメリアのシルエットが現れた。
体操用のマットからひょっこりとアンナが顔を出す。
「アメリア……、アメリア! みんな、アメリアが返って来た!」
飛んだりぶら下がったり、それぞれ個人の練習の中で、みんなアメリアの方に顔を向ける。
クリスは競技場を向いたまま、アメリアの一挙手一投足に目を向ける。
どさんとカバンを放り投げ、アメリアは真っ直ぐみんなの所へ歩いて行った。
「アメリア、早かったな、いつこっちへ帰って来た」
急いで駆けつけるチームの仲間たち、彼女の帰りを待ちわびていたたくさんの笑顔の中で、一人ぽつんとボックスに座ったまま、下を向いているイライジャ。
「今さっき到着したばかりだ」
みんなとハイタッチを交わしながら、アメリアはズンズンとイライジャの元へ歩いて行く。
「……アメリア」と、すねたような顔を上げるイライジャ。
アメリアはイライジャの前に立ち、堂々と腰に手を当てて、
「イライジャ、話せ、なぜお前はあいつらから金を受け取っていた」
「?」
思いもよらない問いかけに、イライジャはそわそわしながら立ち上がる。
「俺の話を……聞いてくれるのか?」
「聞く。聞いてやる。だから話せ」
チームの仲間はきょとんとしてお互いの顔を見る。
イライジャは金髪パーマの頭を掻きながら、
「ごめん、アメリア、俺、アメリアに謝らなければいけない事があるんだ。『ジャンク・リー』の連中からもらったあの大金は、実はアメリアが負けて得た金なんだ」
「!」
「俺はいつもスポーツ・ベッティング(賭博)をやっていた。『ジャンク・リー』の中で、安全で、かつボーナスが付くうまいルートがあって、そこを通じて俺はいつもアメリアの勝利に金を賭けていた。アメリアが勝つのは毎回間違いないから、俺はコツコツと小金を稼いでいた。だけど或る日、アメリアの調子が良くないように見えた。いつもの動きと違って見えた。だから俺は、何となく他の選手に金を賭けてみた。そうしたら競技中にとんでもないアクシデントが起きて、無敗のアメリアが初めて入賞を逃した。掛け金は、何倍にもふくれ上がって、俺の手元に戻って来た。だけど俺、仲間の負けに金を賭け、大金をせしめたという事に後ろめたさを感じていた。チームのメンバーとしてこれはやってはいけない、背信行為だと思った。アメリアが落ち込んでいるのに、アメリがケガをしているのに、その事で俺は金を稼いだのだから。
そうは思いながら、俺はあいつらから金を受け取った。これは賭けだから、そういうルールだから。でも、悪い事はするもんじゃない。その金を受け取る所を運悪くアメリアに見られていた。そのせいで俺は、金のために手すりのネジを緩めたのではないかと疑われた。そう疑われても仕方がない。だって世の中には 保険金目当てで夫を事故に遭わせる嫁もいるのだから。賭けた選手が有利になるようコースに細工する悪人がいてもおかしくない。
俺はすぐにこの事を監督に相談した。そして話し合った結果、賭けで得た金をすべてアメリアの帰国に当ててもらう事にした。チームの仲間として、せめてもの償いだった。アメリアがまた元気な姿で戻って来て、パルクールの女王の座に返り咲く、そのせめてもの足しにしてもらいたくて」
アメリアはイライジャに向かって突然こぶしを振り上げた。
「!」
かたく両目を閉じ、小さく縮こまるイライジャ。
そのままアメリアは相手の肩にそっと手を置いて、
「お前は、手すりに細工をしていなかったのだな」
「? ああ、当然だよ。俺がそんなひどい事をするわけがないじゃないか。ずっと一緒にやって来た仲間だろう? チームの仲間にそんなひどい事を出来るわけがない。俺はやっていない。神に誓うよ」
『お前は、初めて表彰台に上がれなくて、くやしかったんだろ? だったら、そう言えよ。仲間の前で、くやしかったって。そんなお前の事を笑うやつなんて、いないだろ? 仲間なら』
アメリアは、イライジャにハグを見せた。
「すまなかった。私は初めて試合に負けて、くやしかったのだ。表彰台に上がれなくて、本当にくやしかった。同時に、私が負けた事が信じられなかった。この敗北は、誰かによって作られたものではないかと、そう疑い出した矢先、お前が敵チームから大金を受け取っている所を目撃した。私はお前の悪事を信じた。そしてお前の話を頑なに聞かなかった。私は一番に、仲間を疑ってしまった。本当に、すまなかった」
ハグをされたイライジャは、目を大きく見開き、その目は涙で滲んでいた。
「謝るのはこっちだ。ごめんよアメリア、俺はいつでも、アメリアのファンなんだ」
アメリアは一呼吸置いてから、くるりとみんなの方をふり返った。
「なにをニタニタ笑っている。さあ練習の続きだ。次の大会は、ドイツのシュトゥットガルト世界大会だ。私はただ日本へ帰っていたわけではない。私は毎日学校中を走り回って、新しい技を完成させた。これからその技を披露するから、みんなでそれを習得するのだ。その技の名前は、『リボルチオーネ・ウォールラン』だ」
それを聞いたクリスは思わず吹き出し、手で顔を覆いその顔を横へ振った。
体の上下を入れ替えて、地上へ向かって走り出すアメリア、そのまま壁を蹴って金田の体をキャッチすると、間近に迫った地面を高速のロールで迎え撃つ。
「痛ッ!」
着地の瞬間アメリアの足に激痛が走る。
ぐるぐると二人は芝生の上を転がり、数メートル先で金田の体が外へ投げられ、ガサッと近くの生垣へ突っ込む。
すぐに生垣の中から顔を出す金田、
「アメリア!」
彼女はもう地上に立ち上がっていた。
「無事カ」
「俺は大丈夫だ、お前が助けてくれたからな。ありがとう、お前は!」
一、二歩あるいてアメリアは顔をしかめる。
「あー、やっちゃってる! ごめん、俺のせいでまた足を」
「コンナノ、平気ダ、元々コノ足ハ完治シテイナイ」
「か、完治しないで、あの動きだったのか?」
悲鳴を聞きつけた八木たちがバタバタと体育館の方からやって来る。
「どうしたの? なにがあったの?」
八木は二人の様子を見て、急いでまばたきをくり返す。
金田は手にした手すりを上げて見せ、
「これ」
「手すり?」
「そう、手すり。(教室の)窓の手すりをつかんだらさ、こんなふうに簡単に外れちゃって。そのまま俺は窓から外へ落ちた。そこをアメリアに助けてもらった」
久遠が三階の窓を高々と見上げて、
「救助マットもないのに、どうやって助かった」
「なんか こう、すげー技を使って助けてもらった」
金田の悪口を言っていた二人も、騒ぎを聞きつけその場に顔を出す。するとそれを見たアメリアの顔が鬼の形相に変わって行く。
「金田、私ハオ前ヲ危ナイ目ニ遭ワセタ犯人ヲ知ッテイル」
「え?」
金田の手から手すりを奪い、左足を引きずりながらアメリアが悪口の二人の前に立つ。
「オイ、オ前ラ、コノ手スリニ見覚エハナイカ?」
「な、なんだよ いきなり。これ手すり?」
「トボケルナ、オ前ラ、教室ノ手スリニ細工ヲシテイタダロウ、ソノスグ後ニ、金田ガコレヲ掴ンダラ、簡単ニハズレタ。オ前ラガ金田ヲ三階カラ転落サセタンダ」
八木と雛形が思わず顔を見合わせて、
「えーっ!」
「バ、バカやろう なに勝手な事を言ってるんだ! 俺たちがそんな事をするわけないだろう!」
「私ハ聞イタ、オ前達ハ、陰デ金田ヲ悪ク言ッテイタ、懲ラシメル、トモ言ッテイタ!」
「そ、それは」
アメリアの目の奥で怒りの炎が燃えたぎる。
「金田ガ三階カラ落チテ、死ヌヨウナ事ガアッタラドウスル! ドウ責任ヲ取ル!」
金田が間に入ってアメリアの前に立つ。
「アメリア、俺は無事だった。お前のお陰でな。俺は大丈夫だ」
一瞬金田の顔を見た後、再びアメリアは二人に詰め寄る。
「謝レ! オ前ラ金田ニ痛イ目ニアワセルトモ言ッテイタ! ソノ結果ガコレダ! 私ハ全テヲ聞イテイタ、言イ逃レハ出来ナイ 今スグ金田ニ謝罪シロ!」
相手もアメリアに顔を近づけて、
「さっきから何わけ分からねえこと言ってんだよ! 俺たちが手すりに細工をした? はあ⁉ 言いがかりをつけてんじゃねーよ!」
「そうだ! 証拠があるのかよ 証拠が! 全部お前の一方的な話じゃねーか! 証拠もねえのに人を犯人あつかいするんじゃねーよ!」
その時アメリアの瞳にイライジャの姿が映った。
『あれは、競技前にコースを確認していたんだ。そんなのみんなやっている事だろう』
『違う、違う! あれは、そういう金じゃない』
松葉杖をつきながらアメリアが病院から出ると、遠い交差点の向こうでイライジャが敵チームから札束を受け取っていた。次第にアメリアの目が開かれる。
「証拠はあるのかって聞いてんだよ!」
アメリアの顔が真ん中から外側へ向かってカーッと赤くなる。
「コノ野郎!」
怒りのこもったアメリアの拳が相手の顔面を強打する。
女子たちの悲鳴が上がった。とっさに金田がアメリアの体を押し返す。
「やめろアメリア! 仲間に手を出すな!」
「仲間ダト⁉ コンナクソ野郎、仲間デモ何デモナイ、タダノ人殺シダ!」
「ってー、何するんだコラ! 女だと思って甘く見ていりゃつけあがりやがって」
「おー、鼻血鼻血」と久遠が男子の顔にたくさんのティッシュを押し当てる。
山で罠に掛かった鹿を助けるように、金田は暴れる相手を取り押さえる。
「アメリア、落ち着け。とにかく落ち着くんだ。気持ちは分かる、気持ちは分かるが、お前は大きな勘違いをしている。よく見ろ、冷静になって見てみろ。こいつらにそんな恐ろしい事はできない。人にケガを負わせようとまでは考えない。
懲らしめるというのは、いま俺の背中に貼ってあるコレだ、雛形、またいつものやつだ、取ってくれ」
そう言って金田は雛形に背中を向ける。
「あ」
雛形が金田の背中から紙をはぎ取り、それを笑いながら読み上げる。
「なになに、私は世界一の女ったらしです?」
アメリアの瞳が大きくなった。
二人が金田の背中に近づいて、「シシシ」と悪い顔をしているのを思い出したのだ。
「こいつらのやり口なんて、たかが知れている。俺の悪口を言った所で、下らないガキのイタズラをするだけだ。手すりの件は、俺が悪かった。最近この手すりがグラついている事は知っていた。触るな危険って、張り紙が貼ってあった。それを俺は煙の中で勢いよく掴んでしまった」
三階の教室の窓の所に、作業服を着た業者が二人、外れた手すりを探して教室の中を歩いている。
「ソ、ソンナ」
アメリアの腕からだんだん力が抜けて行く。
金田はすぐに笑顔を作り、相手の男子に向かって大きく手を合わせる。
「と、言うわけで、ごめんなー、アメリアは勘違いしていたんだ。お前らがこの手すりに細工して、俺が窓から落ちたんじゃないかって。ほら、アメリアは帰国したばかりで、何かと勘違いが多くってさー。おー、大丈夫かー? 血は、止まったな、よしよし、この件については、この委員長に免じて、この通り、許してくれ」
鼻の穴にティッシュをつめた男子が、
「謝って済む問題か! 何にもしてないのに、思いっきり殴られたんだぞ!」
「そうだ、そうだ、これは暴力事件だ!」
金田は片目を開けて、
「何にもしていない? はて、アメリアの話では、お前らさんざ俺の悪口を言っていたらしいなー、なんだったっけー? 俺が女ったらしだってー? 懲らしめるだってー? 痛い目にあわせるだってー?」
無傷の男子が殴られた男子の耳元で、
「おい、どこまで聞かれていたか分からない、口止めされている件まで聞かれていたらまずい、行こう」
「クソッ、女じゃなかったら、殴り返してやるところだ。ふん、明日の実行委員会は俺ら欠席だからな! 覚えておけ! ……なんで俺だけ殴られるんだ、クソ」
そう言ってあちこちにツバを吐きかけるように二人はその場から去って行った。
アメリアはガックリと肩を落とし、呆然とその場に立ち尽くす。
「フー、危ない危ない、さすがに暴力沙汰はまずいからな」
「お前が言うな」と久遠が金田の背中を押す。
金田はアメリアを大きくふり返って、
「いいかアメリア、お前に仲間がいて、その仲間の間でトラブルが起きたら、まずは相手の話をよく聞け。いいな。間違っても仲間を疑うんじゃない。仲間を疑うのは、一番最後だ」
『あれは、競技前にコースを確認していたんだ。そんなのみんなやっている事だろう』
『違う、違うんだ。あれは、そんな金じゃない』
『そんなに怒らないで、アメリア。違うの、あれはイライジャが悪いんじゃない』
『黙れ! もうお前たちは私の仲間じゃない!』
アメリアはハッと顔を上げて、クリスの背中を思い出す。
『アメリア、お前は仲間に裏切られたのではない。お前が仲間を裏切ったんだ』
アメリアの瞳から、つーと一すじの涙が流れた。
「くやしかったんだ。初めて試合に負けて、本当にくやしかった。私は自分の敗北を認めたくなくて、すべてがウソであって欲しいと願った。そこをイライジャが、ライバルチームから大金を受け取っている所を見て、私の心に火が点いた。私は一番に、仲間を疑った」
そう英語で語り出すアメリア、みんな戸惑ってお互いの顔を見る中、金田はしみじみと夕空を見上げて、
「なんだ、お前にも仲間がいたのか。イライジャって、きっとパルクールの仲間だろ?そうか、どうやらお前は、イライジャって仲間の事を信じてあげられなかったようだな。
なあアメリア、仲間ってのはな、いいもんだぜ。当たり前のように隣にいて、当たり前のようにお前についてくる。バカな事を言って笑ったり、怒ったり、泣いたり。
お前は、初めて表彰台に上がれなくて、くやしかったんだろ? だったら、そう言えよ。仲間の前で、くやしかったって。そんなお前の事を笑うやつなんて、いないだろ? 仲間なら、みんなお前の支えになってくれる。泣いてもいいと頭を撫でてくれる。それが、仲間ってやつだろ?」
そう言って金田はアメリアの肩に手を置く。
「よし 捕まえた。アメリア 約束だ。俺たちC組のシャンデリア・ナイトに参加してくれ。いいな。明日は実行委員会があるから、まずはそれに参加してくれ」
サッと肩を振って金田の手を払うアメリア。
「NOネ」
「な、なにー⁉ 約束しただろ!」
アメリアはみんなから少し離れて、消えゆく夕日に顔を照らす。
「私ハ今カラアメリカニ帰ル。ココニハモウ用ハナイ。ソシテモウ一度、世界一ニナッテ、マタココヘ戻ッテ来ル。シャンデリア・ナイトノ舞台ニ立ッテイルノハ、パルクールノ世界女王ダ」
金田ははじめポカンと口を開けていたが、すぐに親指を立てて見せて、
「OK 分かった。次の大会は絶対に優勝しろよ。そして必ず戻って来るんだ、俺たちC組の仲間の元へ。それまでに俺たちがお前に最高の舞台を用意しておくから」
「えー、もう帰っちゃうのー?」
夜の校長室に天海の驚いた声が上がる。
「クリスニハ、モウ連絡シタ。短イ間ダッタガ、世話ニナッタ」
そう言ってアメリアは片づけた顔をしてコーヒーを啜る。
「じゃあ、もう足の方は治ったの?」
プイと横を向くアメリア、
「悪化シタ」
「えー、悪くなったのー? なんでー、あ、まさか委員長に追い回されてやっちゃった?」
「チョット転ンダ。デモコンナノ、カスリ傷ダ」
「しっかりと怪我を治さないと、また次も優勝を逃すわよー?」
「前回ノ大会デ負ケタノハ、怪我ノセイデハナイ、手スリハ動キ外レルモノダト私ハ知ラナカッタカラダ」
そんな強気な発言をする彼女を眺め、くすくすと天海は肩を揺する。
「シャンデリア・ナイトに、参加してくれるんだって?」
「アア、参加シテヤル。参加シナイト、金田ノ奴、アメリカマデ追ッテ来ソウダカラ」
そう言ってアメリアは口の端を上げて、その顔を隠すように窓の前へ移動する。
「ネエ校長、ココノ連中ッテ、イイ奴バカリダ。ドウシテダ」
天海は目を丸めて、
「どうしてって?」
「悪イ奴ハ、ミンナ面接デ落トシテイルノカ」
ぷっとそこで天海は吹き出す。
「そんな事はしていないわ。みんな自由にこの学校へ入学して来たの。私たちが面接で聞くのは、その人の夢についてだけ。その夢を叶えるために、みんなこの学校に入学して来たの。あなたと同じようにね」
「…………………」
頬杖を突いて、ニコニコと笑顔を見せる天海、
「でも、今の新木さんがみんなの事をそんな風に見えるなら、変わったのはあなたの方かもしれないわね。あなたが仲間を信じられるようになったから」
アメリアは目深にキャップをかぶり直し、いそいそと荷物に手をかける。
「モウ、帰ル」
ジーンズ工場を再利用した屋内競技場、その中に、パルクールのボックスやジャングルジム、連続壁キックなど、さまざまな障害物競争のコースが設置されていた。そこをチーム『ムーブ・アメリア』の選手たちが走り回っていて、その選手の一人一人の動きに厳しい目を向けているのが、このチームの監督、クリス・ライアンだった。彼は筋肉のついた腕を組み、ときに大きな声を張り上げて、緊張感のある指導を続けていた。
その後ろでガタガタと音を立て、工場らしい大きな鉄の扉が開くと、カバンを手にしたアメリアのシルエットが現れた。
体操用のマットからひょっこりとアンナが顔を出す。
「アメリア……、アメリア! みんな、アメリアが返って来た!」
飛んだりぶら下がったり、それぞれ個人の練習の中で、みんなアメリアの方に顔を向ける。
クリスは競技場を向いたまま、アメリアの一挙手一投足に目を向ける。
どさんとカバンを放り投げ、アメリアは真っ直ぐみんなの所へ歩いて行った。
「アメリア、早かったな、いつこっちへ帰って来た」
急いで駆けつけるチームの仲間たち、彼女の帰りを待ちわびていたたくさんの笑顔の中で、一人ぽつんとボックスに座ったまま、下を向いているイライジャ。
「今さっき到着したばかりだ」
みんなとハイタッチを交わしながら、アメリアはズンズンとイライジャの元へ歩いて行く。
「……アメリア」と、すねたような顔を上げるイライジャ。
アメリアはイライジャの前に立ち、堂々と腰に手を当てて、
「イライジャ、話せ、なぜお前はあいつらから金を受け取っていた」
「?」
思いもよらない問いかけに、イライジャはそわそわしながら立ち上がる。
「俺の話を……聞いてくれるのか?」
「聞く。聞いてやる。だから話せ」
チームの仲間はきょとんとしてお互いの顔を見る。
イライジャは金髪パーマの頭を掻きながら、
「ごめん、アメリア、俺、アメリアに謝らなければいけない事があるんだ。『ジャンク・リー』の連中からもらったあの大金は、実はアメリアが負けて得た金なんだ」
「!」
「俺はいつもスポーツ・ベッティング(賭博)をやっていた。『ジャンク・リー』の中で、安全で、かつボーナスが付くうまいルートがあって、そこを通じて俺はいつもアメリアの勝利に金を賭けていた。アメリアが勝つのは毎回間違いないから、俺はコツコツと小金を稼いでいた。だけど或る日、アメリアの調子が良くないように見えた。いつもの動きと違って見えた。だから俺は、何となく他の選手に金を賭けてみた。そうしたら競技中にとんでもないアクシデントが起きて、無敗のアメリアが初めて入賞を逃した。掛け金は、何倍にもふくれ上がって、俺の手元に戻って来た。だけど俺、仲間の負けに金を賭け、大金をせしめたという事に後ろめたさを感じていた。チームのメンバーとしてこれはやってはいけない、背信行為だと思った。アメリアが落ち込んでいるのに、アメリがケガをしているのに、その事で俺は金を稼いだのだから。
そうは思いながら、俺はあいつらから金を受け取った。これは賭けだから、そういうルールだから。でも、悪い事はするもんじゃない。その金を受け取る所を運悪くアメリアに見られていた。そのせいで俺は、金のために手すりのネジを緩めたのではないかと疑われた。そう疑われても仕方がない。だって世の中には 保険金目当てで夫を事故に遭わせる嫁もいるのだから。賭けた選手が有利になるようコースに細工する悪人がいてもおかしくない。
俺はすぐにこの事を監督に相談した。そして話し合った結果、賭けで得た金をすべてアメリアの帰国に当ててもらう事にした。チームの仲間として、せめてもの償いだった。アメリアがまた元気な姿で戻って来て、パルクールの女王の座に返り咲く、そのせめてもの足しにしてもらいたくて」
アメリアはイライジャに向かって突然こぶしを振り上げた。
「!」
かたく両目を閉じ、小さく縮こまるイライジャ。
そのままアメリアは相手の肩にそっと手を置いて、
「お前は、手すりに細工をしていなかったのだな」
「? ああ、当然だよ。俺がそんなひどい事をするわけがないじゃないか。ずっと一緒にやって来た仲間だろう? チームの仲間にそんなひどい事を出来るわけがない。俺はやっていない。神に誓うよ」
『お前は、初めて表彰台に上がれなくて、くやしかったんだろ? だったら、そう言えよ。仲間の前で、くやしかったって。そんなお前の事を笑うやつなんて、いないだろ? 仲間なら』
アメリアは、イライジャにハグを見せた。
「すまなかった。私は初めて試合に負けて、くやしかったのだ。表彰台に上がれなくて、本当にくやしかった。同時に、私が負けた事が信じられなかった。この敗北は、誰かによって作られたものではないかと、そう疑い出した矢先、お前が敵チームから大金を受け取っている所を目撃した。私はお前の悪事を信じた。そしてお前の話を頑なに聞かなかった。私は一番に、仲間を疑ってしまった。本当に、すまなかった」
ハグをされたイライジャは、目を大きく見開き、その目は涙で滲んでいた。
「謝るのはこっちだ。ごめんよアメリア、俺はいつでも、アメリアのファンなんだ」
アメリアは一呼吸置いてから、くるりとみんなの方をふり返った。
「なにをニタニタ笑っている。さあ練習の続きだ。次の大会は、ドイツのシュトゥットガルト世界大会だ。私はただ日本へ帰っていたわけではない。私は毎日学校中を走り回って、新しい技を完成させた。これからその技を披露するから、みんなでそれを習得するのだ。その技の名前は、『リボルチオーネ・ウォールラン』だ」
それを聞いたクリスは思わず吹き出し、手で顔を覆いその顔を横へ振った。
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