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ハルキ様の言うとおり
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次の日の昼休み、金田と雛形は机の上で低い姿勢をとっていた。
「よーし、今日という今日は あいつが昼休みにどこで何をしているのか突き止めてやる」
その様子を不思議そうに眺めながら、八木は机に弁当を置く。
「あ、さっそく周りを警戒し始めた」
ピンクの双眼鏡を覗いて、雛形が相羽の背中をとらえる。
「ロックオン完了、金田、そろそろ動くよー」
「オッケー♪」
ガヤガヤとみんな教室から出て行く中、相羽はその人波に紛れてササッと廊下へ走って行く。
「めちゃくちゃ怪しいじゃねえか! 追うぞ!」
二人も廊下へ飛び出し、手びさしをしてあちこちを見回す。
「あ! もうあんな所まで行っている!」
「やべー、思ったより足が速い!」
人波かき分けて、横になったり縦になったり、しながら、金田は階段の方へと走って行く。そして そのまま一階まで階段を駆け下り、廊下へ顔を出した所で、キョロキョロと周囲を警戒する相羽の姿に出くわす。
「おっとあぶねえ」
急いで死角へ身を隠す金田、そこへ遅れて来た雛形と合流。
「いた?」
「いたいた、一階の廊下だ。待て、いま顔を出すと見つかる」
ひと呼吸おいて、そーっと金田が顔半分を廊下に出すと、被服室の引き戸が閉じて行った。
「? なんで昼休みにあんな所へ」
忍者のような身のこなしで、壁を伝って被服室へ忍び込む二人。
「あれー、おっかしーな」
ボリボリと頭を掻いて、誰もいない被服室の中を歩く金田、雛形もそこらを歩いて、テーブルに置かれたミシンを触ったりしながら、
「誰もいないじゃない、本当にここに入ったの?」
「確かにこの部屋に入ったと思ったんだけどなー……ん?」
教室の奥にある黒板、その横に準備室と書かれたドアが小さく揺れていた。
「あそこか?」
スタスタと歩いて行って、準備室の中へ金田が入ると、「うわっ!」という悲鳴が聞こえた。
雛形も走って行って その中へ入ると、思わず両手で口を覆う。
「お、お前、こんな所でなにやっているんだ!」
そこにはナース姿になった相羽が 真っ赤な顔をして、両手で白衣を隠そうとしていた。
「なんでしゅか、あなたたちは!」
カルテで顔を隠し、相羽は二人に背中を見せる。
「隠したってムダだ、もう丸見えだぞ!」
「お、おかしいでしゅ、この時間ここへは誰も来ないはず。まさか、あなたたちあたしの後をつけて来たのでしゅか!」
「おうよ、いかにも怪しいから、お前の後をつけて来た。そしたらとんでもないモノを見てしまった。誰もいない部屋で 昼休みにコスプレしているって、おまえ激ヤバじゃねーか!」
後ろで雛形が言葉を失っている。
「勘違いしてはいけましぇんよ。これは、これはハルキ様のためなのでしゅから。ハルキ様があたしのナース姿が見たいと言うから、どうしても見たいと言うから」
そう言われて金田は室内を見回す。
四畳くらいの狭い準備室には、裁縫用の丸めた生地や、故障したミシン、柄の黒い裁ちばさみなど、被服に関する物しか目に入らない。
「なに言ってんだよ、そんなヤツどこにもいねーじゃねえか」
相羽は近くに置いたタブレットを手にして、そのディスプレイを金田の方へ向ける。
「ハルキ様は、ココにいるでしゅよ」
「?」
タブレットの画面に、肩から上のイケメンが映し出されていた。
「げっ、コレお前、CGキャラクターじゃねーか」
チッチッチと相羽は人差し指を左右に動かして、
「CGじゃないでしゅよ、よく見てみるでしゅよ」
そう言われてもう一度よく見る金田、
「やっぱりCGじゃねーか」
「ちがうでしゅよ。この人が、あたしの王子様、ハルキ様でしゅよ」
するとCGキャラクターが長い髪を掻き上げて、
『やあ、そこにいるのは のり子のクラスメートかな? はじめまして、僕はハルキだよ。よろしくね』
それを聞いて感極まった相羽がタブレットを抱きしめて、
「キャー、ハルキ様ったら、自分から自己紹介するなんて、なんて社交的なんでしゅかー! 惚れ直してしまいましゅ!」
目の前の信じられない光景を目の当たりにして、完全に動きが止まる二人。
「おい、マジか、お前」
放課後の教室、ちらほらと学生が帰って行く中で、いつものメンバーが金田の周りに集まって来る。
「おい、どうした金田、大丈夫か?」
久遠が金田の目の前に手をかざす。
「おっと、まただ、また放心状態になってしまった。あまりにショッキングなモノを見てしまって、頭が変になった」
「あたしもー、なんか あの子と同じクラスなのが怖くなって来た」
ガバッと雛形が机に突っ伏す。
八木はまっすぐに机に向かって、
「でも、本当なの? 相羽さんがCGキャラクターと付き合っているって」
「あいつがそう言ったんだ、本人の口から。しかもナース服姿で」
「それも驚きだよね」と海老原はスナック菓子の袋を開けながら、
「昼休みに一人でコスプレをしているって、聞いた事がない。
でも、僕も見たかったな、あの子のナース服姿。ああいう内気な子の方が、印象がガラリと変わって、良かったりするんだよね」
「なに期待してんだよ、この変態」
雛形が足を伸ばして海老原を蹴る。
久遠がスマートフォンの画面をみんなに向けて、
「金田たちが見たのって、この画像・音声認識型育成シミュレーションアプリ、『ファジルの古城』の『ハルキ』ってキャラクターだろうね。このアプリは五年前に流行った事があって、俺も試しに遊んでみたが、ときおり会話が成立しなかったり、こちらの質問を無視されたりと、不満が残るアプリだったな。他のユーザーからも賛否は分かれていた」
海老原がスマートフォンの画面に顔を近づけて、
「ああ、これなら僕もやったよ。いろいろな美少女と会話が楽しめて、時間があっという間に過ぎてしまうんだ。テスト期間中にやってしまうと大変なんだよね。結局最後まで隠れキャラの帰国子女とは付き合えなかった」
雛形が顔を曇らせる。
「あんたも相羽さんと同類?」
八木がスマートフォンを手にして、自分でも『ファジルの古城』を検索しながら、
「つまり相羽さんはそのアプリに夢中になり過ぎて、そのハルキという架空の相手と現実世界で付き合っているように錯覚しているってこと?
でもそれと、シャンデリア・ナイトに参加しないのって、何か関係があるの?」
金田が腕を組んで、ぐらぐらと椅子を後ろへ倒しながら、
「それがさあ、おっかしいんだよな。あの後でさ、『お前がもしシャンデリア・ナイトに参加してくれるなら、この変態行為をみんなに黙っていてやる』と交換条件を突き付けていたら、そのハルキってアプリ野郎が横から口を挟んで来て、『のり子、絶対にシャンデリア・ナイトには参加してはダメだよ』なんて言うんだ」
ガタッといって久遠が思わず立ち上がる。
「そんなはずはない、そんなはずはないぞ金田。『ファジルの古城』は、次世代スマートフォンのプロモーションとしての役割もあって、早期リリースという納期の関係から、まだ開発段階で配信されたアプリだ。『AIは人類に対する脅威だ』とホーキング博士が警鐘を鳴らしたのに対して、ゲーム雑誌のインタビューの中で、ファジルの古城の開発者は、これはAIというにはあまりに張りぼて感があって、お遊び程度のゲームアプリの域を出ない、ユーザーのだいたいの年齢や男女の区別、職業などを覚えたりは出来るが、人に向かってアドバイスをしたり、あれこれ指示をするというプログラムは組んでいないと、その安全性をアピールしていた。俺がこのアプリをプレイしていた感じでは、ユーザー側にわざとそう答えるように持って行く、誘導質問が多かった印象がある。それを、単なるアプリのキャラクターが、ユーザーである相羽に対して、シャンデリア・ナイトに出るなと指示して来るなんて、絶対にあり得ない」
雛形がドンと机を叩いて、
「あり得ないって言ったって、あたしだって横で聞いていたもん。そのハルキってキャラクターがはっきりと『シャンデリア・ナイトに出るな』って」
八木が困ったように久遠の顔を見る。
「久遠くんの話を聞く限りでは、そんな事あり得ない感じだけど」
久遠はメガネに指を触れて、ピカッとレンズを光らせながら、
「一つだけ、可能性として考えられる事はある」
「なになに」と雛形が久遠に聞き耳を立てる。
久遠はみんなの前で人差し指をピンと立てて、
「相羽のタブレットがコンピューターウィルスに感染している、という可能性だ」
海老原がスナック菓子の袋を丸めながら、
「ああ、なるほどね。『ファジルの古城』って、実は比較的容易にユーザーの設定を改造できるんだ。インターネットに掲載されている改造コードを使えば、いきなり全員のキャラクターと付き合った状態から始められたり、所持金がマックスだったり、当時やりたい放題の状態だった。すぐにバージョンアップされて、それからはさすがに改造の難易度もあがって、しかも犯罪行為として検挙された奴らもいるから、アプリを改造する人はごく一部になって行ったけど。相羽のタブレットがコンピューターウィルスに感染していたとしたら、そんなのやりたい放題だね」
八木はそれらの話をノートにまとめながら、
「もしそうだとすると、相羽さんは そのコンピューターウィルスに感染したハルキという架空のキャラクターに阻まれて、いつまでもシャンデリア・ナイトに参加できないって事ね」
「コンピューターウィルスかあ」と雛形が乱暴に頬杖を突いて、
「久遠、なんとかならない?」
「そんな雑に俺に頼むな。俺だって、そこまでパソコンに詳しいわけでもないんだ」
そこでみんな、少し黙り込んで、小さな沈黙が生まれる。
すると金田がガバッと立ち上がって、「あ、俺、いい事を思いついた!」とみんなの顔を一つ一つ見て、
「みんなでハルキを誘拐しようぜ!」
「えーっ!」
「よーし、今日という今日は あいつが昼休みにどこで何をしているのか突き止めてやる」
その様子を不思議そうに眺めながら、八木は机に弁当を置く。
「あ、さっそく周りを警戒し始めた」
ピンクの双眼鏡を覗いて、雛形が相羽の背中をとらえる。
「ロックオン完了、金田、そろそろ動くよー」
「オッケー♪」
ガヤガヤとみんな教室から出て行く中、相羽はその人波に紛れてササッと廊下へ走って行く。
「めちゃくちゃ怪しいじゃねえか! 追うぞ!」
二人も廊下へ飛び出し、手びさしをしてあちこちを見回す。
「あ! もうあんな所まで行っている!」
「やべー、思ったより足が速い!」
人波かき分けて、横になったり縦になったり、しながら、金田は階段の方へと走って行く。そして そのまま一階まで階段を駆け下り、廊下へ顔を出した所で、キョロキョロと周囲を警戒する相羽の姿に出くわす。
「おっとあぶねえ」
急いで死角へ身を隠す金田、そこへ遅れて来た雛形と合流。
「いた?」
「いたいた、一階の廊下だ。待て、いま顔を出すと見つかる」
ひと呼吸おいて、そーっと金田が顔半分を廊下に出すと、被服室の引き戸が閉じて行った。
「? なんで昼休みにあんな所へ」
忍者のような身のこなしで、壁を伝って被服室へ忍び込む二人。
「あれー、おっかしーな」
ボリボリと頭を掻いて、誰もいない被服室の中を歩く金田、雛形もそこらを歩いて、テーブルに置かれたミシンを触ったりしながら、
「誰もいないじゃない、本当にここに入ったの?」
「確かにこの部屋に入ったと思ったんだけどなー……ん?」
教室の奥にある黒板、その横に準備室と書かれたドアが小さく揺れていた。
「あそこか?」
スタスタと歩いて行って、準備室の中へ金田が入ると、「うわっ!」という悲鳴が聞こえた。
雛形も走って行って その中へ入ると、思わず両手で口を覆う。
「お、お前、こんな所でなにやっているんだ!」
そこにはナース姿になった相羽が 真っ赤な顔をして、両手で白衣を隠そうとしていた。
「なんでしゅか、あなたたちは!」
カルテで顔を隠し、相羽は二人に背中を見せる。
「隠したってムダだ、もう丸見えだぞ!」
「お、おかしいでしゅ、この時間ここへは誰も来ないはず。まさか、あなたたちあたしの後をつけて来たのでしゅか!」
「おうよ、いかにも怪しいから、お前の後をつけて来た。そしたらとんでもないモノを見てしまった。誰もいない部屋で 昼休みにコスプレしているって、おまえ激ヤバじゃねーか!」
後ろで雛形が言葉を失っている。
「勘違いしてはいけましぇんよ。これは、これはハルキ様のためなのでしゅから。ハルキ様があたしのナース姿が見たいと言うから、どうしても見たいと言うから」
そう言われて金田は室内を見回す。
四畳くらいの狭い準備室には、裁縫用の丸めた生地や、故障したミシン、柄の黒い裁ちばさみなど、被服に関する物しか目に入らない。
「なに言ってんだよ、そんなヤツどこにもいねーじゃねえか」
相羽は近くに置いたタブレットを手にして、そのディスプレイを金田の方へ向ける。
「ハルキ様は、ココにいるでしゅよ」
「?」
タブレットの画面に、肩から上のイケメンが映し出されていた。
「げっ、コレお前、CGキャラクターじゃねーか」
チッチッチと相羽は人差し指を左右に動かして、
「CGじゃないでしゅよ、よく見てみるでしゅよ」
そう言われてもう一度よく見る金田、
「やっぱりCGじゃねーか」
「ちがうでしゅよ。この人が、あたしの王子様、ハルキ様でしゅよ」
するとCGキャラクターが長い髪を掻き上げて、
『やあ、そこにいるのは のり子のクラスメートかな? はじめまして、僕はハルキだよ。よろしくね』
それを聞いて感極まった相羽がタブレットを抱きしめて、
「キャー、ハルキ様ったら、自分から自己紹介するなんて、なんて社交的なんでしゅかー! 惚れ直してしまいましゅ!」
目の前の信じられない光景を目の当たりにして、完全に動きが止まる二人。
「おい、マジか、お前」
放課後の教室、ちらほらと学生が帰って行く中で、いつものメンバーが金田の周りに集まって来る。
「おい、どうした金田、大丈夫か?」
久遠が金田の目の前に手をかざす。
「おっと、まただ、また放心状態になってしまった。あまりにショッキングなモノを見てしまって、頭が変になった」
「あたしもー、なんか あの子と同じクラスなのが怖くなって来た」
ガバッと雛形が机に突っ伏す。
八木はまっすぐに机に向かって、
「でも、本当なの? 相羽さんがCGキャラクターと付き合っているって」
「あいつがそう言ったんだ、本人の口から。しかもナース服姿で」
「それも驚きだよね」と海老原はスナック菓子の袋を開けながら、
「昼休みに一人でコスプレをしているって、聞いた事がない。
でも、僕も見たかったな、あの子のナース服姿。ああいう内気な子の方が、印象がガラリと変わって、良かったりするんだよね」
「なに期待してんだよ、この変態」
雛形が足を伸ばして海老原を蹴る。
久遠がスマートフォンの画面をみんなに向けて、
「金田たちが見たのって、この画像・音声認識型育成シミュレーションアプリ、『ファジルの古城』の『ハルキ』ってキャラクターだろうね。このアプリは五年前に流行った事があって、俺も試しに遊んでみたが、ときおり会話が成立しなかったり、こちらの質問を無視されたりと、不満が残るアプリだったな。他のユーザーからも賛否は分かれていた」
海老原がスマートフォンの画面に顔を近づけて、
「ああ、これなら僕もやったよ。いろいろな美少女と会話が楽しめて、時間があっという間に過ぎてしまうんだ。テスト期間中にやってしまうと大変なんだよね。結局最後まで隠れキャラの帰国子女とは付き合えなかった」
雛形が顔を曇らせる。
「あんたも相羽さんと同類?」
八木がスマートフォンを手にして、自分でも『ファジルの古城』を検索しながら、
「つまり相羽さんはそのアプリに夢中になり過ぎて、そのハルキという架空の相手と現実世界で付き合っているように錯覚しているってこと?
でもそれと、シャンデリア・ナイトに参加しないのって、何か関係があるの?」
金田が腕を組んで、ぐらぐらと椅子を後ろへ倒しながら、
「それがさあ、おっかしいんだよな。あの後でさ、『お前がもしシャンデリア・ナイトに参加してくれるなら、この変態行為をみんなに黙っていてやる』と交換条件を突き付けていたら、そのハルキってアプリ野郎が横から口を挟んで来て、『のり子、絶対にシャンデリア・ナイトには参加してはダメだよ』なんて言うんだ」
ガタッといって久遠が思わず立ち上がる。
「そんなはずはない、そんなはずはないぞ金田。『ファジルの古城』は、次世代スマートフォンのプロモーションとしての役割もあって、早期リリースという納期の関係から、まだ開発段階で配信されたアプリだ。『AIは人類に対する脅威だ』とホーキング博士が警鐘を鳴らしたのに対して、ゲーム雑誌のインタビューの中で、ファジルの古城の開発者は、これはAIというにはあまりに張りぼて感があって、お遊び程度のゲームアプリの域を出ない、ユーザーのだいたいの年齢や男女の区別、職業などを覚えたりは出来るが、人に向かってアドバイスをしたり、あれこれ指示をするというプログラムは組んでいないと、その安全性をアピールしていた。俺がこのアプリをプレイしていた感じでは、ユーザー側にわざとそう答えるように持って行く、誘導質問が多かった印象がある。それを、単なるアプリのキャラクターが、ユーザーである相羽に対して、シャンデリア・ナイトに出るなと指示して来るなんて、絶対にあり得ない」
雛形がドンと机を叩いて、
「あり得ないって言ったって、あたしだって横で聞いていたもん。そのハルキってキャラクターがはっきりと『シャンデリア・ナイトに出るな』って」
八木が困ったように久遠の顔を見る。
「久遠くんの話を聞く限りでは、そんな事あり得ない感じだけど」
久遠はメガネに指を触れて、ピカッとレンズを光らせながら、
「一つだけ、可能性として考えられる事はある」
「なになに」と雛形が久遠に聞き耳を立てる。
久遠はみんなの前で人差し指をピンと立てて、
「相羽のタブレットがコンピューターウィルスに感染している、という可能性だ」
海老原がスナック菓子の袋を丸めながら、
「ああ、なるほどね。『ファジルの古城』って、実は比較的容易にユーザーの設定を改造できるんだ。インターネットに掲載されている改造コードを使えば、いきなり全員のキャラクターと付き合った状態から始められたり、所持金がマックスだったり、当時やりたい放題の状態だった。すぐにバージョンアップされて、それからはさすがに改造の難易度もあがって、しかも犯罪行為として検挙された奴らもいるから、アプリを改造する人はごく一部になって行ったけど。相羽のタブレットがコンピューターウィルスに感染していたとしたら、そんなのやりたい放題だね」
八木はそれらの話をノートにまとめながら、
「もしそうだとすると、相羽さんは そのコンピューターウィルスに感染したハルキという架空のキャラクターに阻まれて、いつまでもシャンデリア・ナイトに参加できないって事ね」
「コンピューターウィルスかあ」と雛形が乱暴に頬杖を突いて、
「久遠、なんとかならない?」
「そんな雑に俺に頼むな。俺だって、そこまでパソコンに詳しいわけでもないんだ」
そこでみんな、少し黙り込んで、小さな沈黙が生まれる。
すると金田がガバッと立ち上がって、「あ、俺、いい事を思いついた!」とみんなの顔を一つ一つ見て、
「みんなでハルキを誘拐しようぜ!」
「えーっ!」
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