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一章

64.vsメルリル④

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 メルリルを直接攻撃する役目はハルトが引き受け、シノはハルトがメルリルに対しての攻撃に集中出来るように少し走るペースを落とし後ろにつく。ハルトは拳に火の魔法である爆発を込めてメルリルにさらに近づく。だがメルリルはそう簡単に近づかせるはずもなく小さな尖った氷の塊をいくつかハルトに対して放った。その小さな氷の塊は小さいうえに高速で移動するため回避が困難である。その為ハルトは放たれた小さな氷の塊がいくつか体をかすり、血を流した。

 しかしハルトは諦めず痛みなど気にせず走り続けた。もはやこれくらいの痛みはハルトにとって気にするほどのことでもない。そしてハルトはメルリルの目の前まで来たところで殴りかかる。

「おらぁぁぁぁぁぁぁああああ!!!!」

 バッゴォーン!!

 大きな音をたて爆発を起こした。爆発で発生した煙の中からハルトが吹き飛んできて地面に転がった。ラムネは戦闘しながらハルトに声をかける。シノは急いで駆け寄りハルトの体を起こした。

「大丈夫?……」

「大丈夫だけど……今何が起こったんだ?」

「……わからない」

 その時煙の方から、

 バサン

 バサン

 と言った風が何かに動かされてるような音が聞こえてきた。その音が鳴ると同時に煙は一瞬で消え去りその中からは多少の傷はついているものの致命傷は負っていないメルリルの姿があった。そしてメルリルの背中の翼が動いていた。

「あれで飛ばされたのか! 翼なんでずるだろ……」

「ハルト!!!」
「東雲くーん!!」

 ちらっと結華達の事を見たハルトだがすぐに見るのを止めシノの手に触れる。ハルトはシノの目を見て「ありがとう」と礼を言って立ち上がる。そしてハルトは結華達に背を向けて話し始める。

「どうして来たんだ」

「私達も一緒に戦うため!!」
「ハルト、俺達で協力しよう! ここにいるみんなで共闘すれば勝てるから!」

「無駄な犠牲を出すだけだ。早く戻った方がいい」

「それは出来ない。俺達はこの国の人々を救うという使命もあるんだ。だから俺達はここからどかないしどかすこともできない。ハルト、一緒に戦おう」

 海斗、結華、楓、京香、麻衣美の後ろでは新たに新たに現れた氷の鎧と生徒が戦っていた。ハルトは戦い合っている音を聞いて理解する。彼らに何を言っても俺からは離れはしないんだと。

 ハルトは魔法を近づいてくる氷の鎧に放とうとしながら結華達に一言、

「勝手にしてくれ」

 とだけ言う。その言葉を聞けた結華達は非常に嬉しそうにしていた。そして結華と楓と麻衣美は非戦闘系能力スキルの為一度後ろへと下がっていく。京香と海斗は戦闘系能力《スキル》なのでその場に残り氷の鎧と接敵する。後ろからは少しずつ戦闘系能力《スキル》の生徒達が氷の鎧を倒し進んできていた。

「シノ、俺達もやるか」

「うん。私達二人は最強」

 二人はメルリルの方を見ながらそう言った。

 その近くにはひたすらずっと斬っても斬っても現れる氷の鎧と戦い続けているラムネの姿がハルト達の視界にちらちら映っていた。

「ちょっとぉぉぉお二人さぁああん!! いつまで戦ってればいいんですかぁぁぁぁあああ!!!!」
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