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一章
26.ご乗車中の爆発にはご注意
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「出発してください」
ロイエルが声をかけると馬車が動き始めた。
馬車が出発してからしばらく経つとロイエルは【ヒルアール王国】の屋敷で長老の合図で出てきた様な透明な板を見ながらメガネに触れていた。何をしているんだと思いながら見ているとロイエルがようやく口を開いた。
「ハルトでしたっけ? 貴方は能力を持っていないんですか」
「え、まぁ、はい」
「おい、まじかよ。久しぶりに見たぜ、能力なし。人生終わりだなァ」
これまで黙っていたからまともな筋肉野郎かと思っていたがやはりやばいタイプの筋肉野郎だったようだ。
心無いことを言われたハルトだったがもはやその言葉には慣れていた。だが一人、その言葉を許す事が出来ない者がいた。
「取り消して」
「あ?」
「今の言葉取り消して」
「敬語を使え敬語を」
「ハルトを馬鹿にしないで」
ドートの言葉に怒ったシノをハルトがどうにかなだめようとするが落ち着く気配はない。このまま言ったらまずいんじゃないかと思っているとロイエルが「能力なしとはそう言われる人生なんです」と言った。
「謝って」
「お前犠牲者だろ? 犠牲者になったら一生奴隷なんだよ。誰が奴隷の話しを聞くかよ。それに能力がないって事はそのうちどっかで死ぬ運命なのに俺等が引き取ってやってるんだ。感謝してほしいくらいだぜ」
「………」
ドートの言葉を聞いたシノは黙る。そしてシノはドートに向かって指を向ける。ハルトはシノがこれからしようとしている事はポーズから分かり止めようとする。
「おい、シノ!!」
「……ハルト」
「なっ!?」
シノはドートに指を向けたままハルトにキスをする。目の前でいきなりキスを見せられたロイエルとドートはポカンとしていた。
ハルトがなんで今キスをするんだと思っていると…………。
馬車が大爆発を起こした。爆発で飛ばされたハルトとシノだったが何故か傷ひとつついていなかった。
「何やってんだよ!!!」
「仕方ない。戦略的撤退」
「撤退ではないだろ! めちゃくちゃ攻撃しちゃってるし!! 馬車木っ端微塵だし!」
「キスしてたから大丈夫。私達は」
「私達はってことは……!?」
周りを見るとそこは広い草原が広がっていた。その中に爆発して倒れる馬車、どこかに走って逃げる馬、ほぼ死んでる状態みたいなドート、爆発したのに普通に立っているロイエルがいた。
「こんな事をしてきた犠牲者は今までに居ませんでしたよ。いいでしょう。そちらがその気なら」
ロイエルは服の汚れを手で払いながら言う。
「ハルト、やろ。皆のために」
いきなり真面目になるシノに驚きながらもハルトはそうだなと言って立ち上がる。
「来い、神託官。この剣で消し去ってやる!!!」
「……ハルトじゃ剣は無理だよ」
「え、酷。改めて言われると普通に傷つくぞ、そういうの」
ハルトは大人しく剣をしまったのだった。
ロイエルが声をかけると馬車が動き始めた。
馬車が出発してからしばらく経つとロイエルは【ヒルアール王国】の屋敷で長老の合図で出てきた様な透明な板を見ながらメガネに触れていた。何をしているんだと思いながら見ているとロイエルがようやく口を開いた。
「ハルトでしたっけ? 貴方は能力を持っていないんですか」
「え、まぁ、はい」
「おい、まじかよ。久しぶりに見たぜ、能力なし。人生終わりだなァ」
これまで黙っていたからまともな筋肉野郎かと思っていたがやはりやばいタイプの筋肉野郎だったようだ。
心無いことを言われたハルトだったがもはやその言葉には慣れていた。だが一人、その言葉を許す事が出来ない者がいた。
「取り消して」
「あ?」
「今の言葉取り消して」
「敬語を使え敬語を」
「ハルトを馬鹿にしないで」
ドートの言葉に怒ったシノをハルトがどうにかなだめようとするが落ち着く気配はない。このまま言ったらまずいんじゃないかと思っているとロイエルが「能力なしとはそう言われる人生なんです」と言った。
「謝って」
「お前犠牲者だろ? 犠牲者になったら一生奴隷なんだよ。誰が奴隷の話しを聞くかよ。それに能力がないって事はそのうちどっかで死ぬ運命なのに俺等が引き取ってやってるんだ。感謝してほしいくらいだぜ」
「………」
ドートの言葉を聞いたシノは黙る。そしてシノはドートに向かって指を向ける。ハルトはシノがこれからしようとしている事はポーズから分かり止めようとする。
「おい、シノ!!」
「……ハルト」
「なっ!?」
シノはドートに指を向けたままハルトにキスをする。目の前でいきなりキスを見せられたロイエルとドートはポカンとしていた。
ハルトがなんで今キスをするんだと思っていると…………。
馬車が大爆発を起こした。爆発で飛ばされたハルトとシノだったが何故か傷ひとつついていなかった。
「何やってんだよ!!!」
「仕方ない。戦略的撤退」
「撤退ではないだろ! めちゃくちゃ攻撃しちゃってるし!! 馬車木っ端微塵だし!」
「キスしてたから大丈夫。私達は」
「私達はってことは……!?」
周りを見るとそこは広い草原が広がっていた。その中に爆発して倒れる馬車、どこかに走って逃げる馬、ほぼ死んでる状態みたいなドート、爆発したのに普通に立っているロイエルがいた。
「こんな事をしてきた犠牲者は今までに居ませんでしたよ。いいでしょう。そちらがその気なら」
ロイエルは服の汚れを手で払いながら言う。
「ハルト、やろ。皆のために」
いきなり真面目になるシノに驚きながらもハルトはそうだなと言って立ち上がる。
「来い、神託官。この剣で消し去ってやる!!!」
「……ハルトじゃ剣は無理だよ」
「え、酷。改めて言われると普通に傷つくぞ、そういうの」
ハルトは大人しく剣をしまったのだった。
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