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一章
21.ついに明かす
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夜に本日二回目の魔法特訓をする事にしたハルト達は夜になるまでの時間を潰す為に家に戻った。しかし家の中には先に戻っていたはずのアリアの姿はなかった。
その時ハルトはアリアの元気がなかった事を思い出しそれが原因でどこかへ消えてしまったのではないかと焦りシノと一緒に家の中を探し始めた。初めに二階に駆け上がったシノが一部屋一部屋扉を開けて確認しているがやはりアリアの姿はなかったようでシノは頭の上で手でバツ印を作って知らせた。それを見たハルトはもしかしたらと思って家の外も確認してみることにした。シノを家の中においてハルトはまず家の裏の小屋に行ってみることにした。小屋に着いて扉を開けると中にはしゃがみこんだアリアの姿があった。
「こんなところにいたんですか! アリアさん」
「あれ、ハルトくん? どうしたのそんな慌てた顔をして」
「あ、いやアリアさんが元気なさそうな顔をしていたのでどこかに行ってしまったのかなって。俺の母もそうだったので」
「そうなのね、でも安心して。私はただ二人の服を洗濯してただけだから」
するとアリアは揉み込んでいたハルトの服を見せる。ハルトが入ってきた時はアリアの体で見えなかったが下には桶の中に服や下着が入っておりそれを揉み洗いをしていたようだ。
(変な勘違いしてしまった。はずっ)
「でも元気って言ったら嘘になっちゃうかもね」
「え?」
「ロルガルドさんが言ってたの覚えてる? 前にラットって男が犠牲者になったって」
「はい。誰にも相談せずに居なくなったとか」
「ラットはね言葉より先に行動を起こしちゃう人で時にはイラってするときもあってでもここぞって時は助けてくれたりいつもいつもそんな感じだったの」
桶に張られている水からポチャンという音が聞こえてくる。アリアの声が次第に震えてくると同時にポチャンという音の回数も増えていった。
「……私はそんな馬鹿と一緒にいる時間が何より大好きでかけがえのないものだった。でも彼はやっぱり馬鹿だったの。犠牲者の話がこの村にやってきたその日の夜にラットは【ロイゼン王国】に一人で走り出してしまった。そしてそれ以降帰ってこなかった。馬鹿よね。ほんと……馬鹿」
「……アリアさん」
「関係ない話しちゃってごめんね。あ、そうだハルトくんも手伝ってくれる?」
「あ、はい。もちろん」
(はっきりと言ってはいないがラットさんはきっとアリアさんにとって大切な存在だったんだろう。それなのに神託官は……)
もうひとつ用意されていた桶の前にハルトもしゃがみこんだ。するとアリアが「じゃあこれをお願い」と言って絶対ハルトのやるべきではないシノの下着などなどを桶の中に入れた。ハルトはそれを持ち上げ返そうとするがアリアはそれを拒んだ。
「アリアさん!? さ、流石にこれは……!!」
「なに~? いっつも一緒にいるんでしょ。これくらいこなさなきゃ」
「俺とシノは出会ってそんなに時間経ってませんから!!」
「あれそうだったの? てっきりもう長いこと一緒に旅してる冒険者かと思ってた」
「実はとある事情でここに来てて……」
「そうなのね。そう言えばハルトくん、気になってたんだけど黒髪なのね」
異世界特有の黒髪を恐ろしい者とするやつかとハルトは思った。しかし別に怪しいやつでも恐ろしい者でもないハルトは本当の事を打ち明けようかと悩んだ。そして悩みに悩んだ挙げ句アリアに本当の事を話すことにした。
その時ハルトはアリアの元気がなかった事を思い出しそれが原因でどこかへ消えてしまったのではないかと焦りシノと一緒に家の中を探し始めた。初めに二階に駆け上がったシノが一部屋一部屋扉を開けて確認しているがやはりアリアの姿はなかったようでシノは頭の上で手でバツ印を作って知らせた。それを見たハルトはもしかしたらと思って家の外も確認してみることにした。シノを家の中においてハルトはまず家の裏の小屋に行ってみることにした。小屋に着いて扉を開けると中にはしゃがみこんだアリアの姿があった。
「こんなところにいたんですか! アリアさん」
「あれ、ハルトくん? どうしたのそんな慌てた顔をして」
「あ、いやアリアさんが元気なさそうな顔をしていたのでどこかに行ってしまったのかなって。俺の母もそうだったので」
「そうなのね、でも安心して。私はただ二人の服を洗濯してただけだから」
するとアリアは揉み込んでいたハルトの服を見せる。ハルトが入ってきた時はアリアの体で見えなかったが下には桶の中に服や下着が入っておりそれを揉み洗いをしていたようだ。
(変な勘違いしてしまった。はずっ)
「でも元気って言ったら嘘になっちゃうかもね」
「え?」
「ロルガルドさんが言ってたの覚えてる? 前にラットって男が犠牲者になったって」
「はい。誰にも相談せずに居なくなったとか」
「ラットはね言葉より先に行動を起こしちゃう人で時にはイラってするときもあってでもここぞって時は助けてくれたりいつもいつもそんな感じだったの」
桶に張られている水からポチャンという音が聞こえてくる。アリアの声が次第に震えてくると同時にポチャンという音の回数も増えていった。
「……私はそんな馬鹿と一緒にいる時間が何より大好きでかけがえのないものだった。でも彼はやっぱり馬鹿だったの。犠牲者の話がこの村にやってきたその日の夜にラットは【ロイゼン王国】に一人で走り出してしまった。そしてそれ以降帰ってこなかった。馬鹿よね。ほんと……馬鹿」
「……アリアさん」
「関係ない話しちゃってごめんね。あ、そうだハルトくんも手伝ってくれる?」
「あ、はい。もちろん」
(はっきりと言ってはいないがラットさんはきっとアリアさんにとって大切な存在だったんだろう。それなのに神託官は……)
もうひとつ用意されていた桶の前にハルトもしゃがみこんだ。するとアリアが「じゃあこれをお願い」と言って絶対ハルトのやるべきではないシノの下着などなどを桶の中に入れた。ハルトはそれを持ち上げ返そうとするがアリアはそれを拒んだ。
「アリアさん!? さ、流石にこれは……!!」
「なに~? いっつも一緒にいるんでしょ。これくらいこなさなきゃ」
「俺とシノは出会ってそんなに時間経ってませんから!!」
「あれそうだったの? てっきりもう長いこと一緒に旅してる冒険者かと思ってた」
「実はとある事情でここに来てて……」
「そうなのね。そう言えばハルトくん、気になってたんだけど黒髪なのね」
異世界特有の黒髪を恐ろしい者とするやつかとハルトは思った。しかし別に怪しいやつでも恐ろしい者でもないハルトは本当の事を打ち明けようかと悩んだ。そして悩みに悩んだ挙げ句アリアに本当の事を話すことにした。
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