凱旋の五重奏 ~最強と呼ばれた少年少女達~

渚石(なぎさいさご)

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第一章 ~伝説の魔剣~

第15話 卑情な豚、非情な機械

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「行かなくていいのかい?」
「どこにですか?」

 さも当然のように聞き返すクレア。昨日の「立派な人導騎士にして見せますとも」発言はなんだったのだろうか。一晩にして宣言を忘れていく。それがクレアクオリティ。
 これには流石のフィリートも苦笑い。先生モードのクレアは本当に頼りになるのだが家にいるときのクレアはめっぽう頭が悪い。数ヶ月前の話ではあるが朝ご飯を食べた一時間後に「あれ、朝ご飯まだ?」と言いだしたときはフィリートもフェリスも呆けてしまったものだ。

「フェリスのところだよ。ついてないとフェリスが答えを見つけられないじゃないか」
「……? …ああぁぁぁあ!! 申し訳ありません!!すぐに!!」
「頼んだよ」

 終始苦笑いで応答を行うフィリート。心底「しょうがないなこの子は」と心の中で笑っているのだろう。
 そんなことを露ほども知らないクレアはまるで魔法をかけたかのように髪を秒で整え、いつものサラサラツヤツヤの髪に戻る。所々アホ毛化している部分もあるがサラサラツヤツヤったらサラサラツヤツヤなのである。

「行って参ります!」
「あぁ!フェリスは学院に行くと言ってたよ!参考までに!」
「が、学院!?わかりました!ありがとうございます!」

 そういって階段を駆け下りていく。クレアの姿が玄関から走り去って見えなくなるのに十数秒要さなかった。




 クレアがオルタナ家を発ちフェリスを追いかけている頃、。オルタナ家を出発したフェリスは最初の内は学院の方へ向かっていたが、父フィリートの視線が自分から外れるのと同時に方向を九十度変え、走り出した。

 煌びやかな豪邸。フェリスが向かったのはそんな表現が似つかわしい立派な家だった。

 トントン

 フェリスが大きな扉を叩きしばらくすると、ドタドタという忙しい足音が近づき、その足音の主であろうと思われる人物によって扉が開かれた。

「入れ」
「失礼します」

 身長は160cmほど。一般的には少し小柄だろうと思われる身長に、ぼてっとした腹を惜しげも無く晒しており「清潔感がまるでない」といった印象を抱かせる。しかし、その首からは十数個はあるのではないかと思われるキラキラと光る宝石がぶら下げられているため、裕福な暮らしをしていることが裏付けられる。

 そんな体型でのっしのっしと歩く様はまるで倦怠感を隠しもない熊のようである。

 玄関で靴を脱ぎその熊について行くフェリス。熊の身長が一般男性と比べて小さめと言ってもフェリスはまだ10歳。子供の域を決して出ることのない身長だ。熊の頭を見ようとすれば当然首を傾け見上げなければならない。その差は約頭三つ分と言ったところだろう。

 お互いに無言で歩き続ける二人だったが、豪邸で一番大きいであろう部屋に入り、立派なソファーに座るやいなや、豚…もとい熊が言葉を発した。

「で、どうなんだ小僧。引き受ける気にはなったか。」
「……まだ少し悩んでいます。」
「何故だ?お前にとっては破格の条件だとしか思えないのだが、何が不満だ。」
「あなたのような者に力を貸すこと自体に不満を持っているのです。」
「ほぉ、小僧。貴様、私が本気を出せば貴様の家など木っ端みじんに出来るということを忘れておらんか? 引き受けた方が貴様にとっても…ひいては貴様の親父殿にとっても最良だと思うがね? どうなんだ? んん?」
「…………」

 熊の横暴で悪辣な煽りに態度に毅然として真顔を貫き、己の意思を変えようとはしないフェリス。そんな態度に熊の方がしびれを切らし、とうとう声を荒げ始めた。

「ええい!! どうにか言ったらどうなんだ!! お前のような没落貴族は私に従うしかないといい加減悟れ!! この…この…」

 上手い罵倒の言葉が見つからないのかワナワナと震えるだけで続きを発しない熊。顔を真っ赤にさせている。
 だが、フェリスはそれでも表情を微動だにしない。まるでその身にシルバを降臨させているようである。

 だが、フェリスはそれでも表情を微動だにさせない。まるでその身にシルバを降臨させているようである。

「お言葉ですが、デナルさん。こちらを」

 そう言ってフェリスはおもむろに一枚の紙切れを大理石で作られたテーブルに置いた。最初の内は顔を真っ赤にさせながら「そのような紙切れの存在など知らんっ!!」と声を上げていたが、やはり気になったのか紙切れに書いてある文面がチラと目に入ると、食い入るように書き記された文字を読み始めた。すると、赤かった顔がどんどん青くなっていく。

 紙切れを見る前とは違う意味でプルプルと震えだしたデナル。それを好機とみたフェリスはたたみかけに入った。

「これを国家に提出すれば…本当に没落するのはどちらでしょうね」

 フェリスのいう国家とは言葉の通り人導国家ガレンドを治めている国家のことだ。国の方針や時には軍事、経済についての方針をも決定する機関である。勿論人を裁く機能も持ち合わせており、貴族の恐れる機関の一つと言ってもいいだろう。

 そんな機関に突き出す。そう言われたデナルは先程とは比べものにならないほど激昂した。額には脂汗なのか冷や汗なのかよくわからない液体が滲んでいる。

「んぬああぁあ!!こんな紙切れが信用されるはずもあるまい!!私を陥れようとしてもそうはいかんぞ!逆に貴様らが疑われることになる!!絶対にだ!!」

 怒声が豪邸に響くや否や、壁の向こう側からドタドタッ!と何かが動くような音がした。恐らく、この家でデナルに仕えている使用人達の足音だろう。デナル自体が世間からよく思われてはおらず、使用人であれば尚更デナルの痛いほどのデナルの言動を耳にする機会は多い。

 当然使用人達からもよく思われていない。というよりむしろ嫌われている。そんなデナルにお客様が一発かましてくれたのだ。喜び興奮するあまりジャンプもしたくなるだろう。

「貴様らは私の言うことのみを聞いていれば良いんだ!! お前の母上の事、聞きたくないのか!?」

 フェリスがこのような醜い獣と関わっているのには訳があった。
 この獣が提示してきた条件を飲み込むことでフェリスの母―アリアナの死因について教える、と誘われたことが発端であった。

 今思えばタイミングが悪かったのかもしれない。フェリスが丁度母の死因が病気ではないと断定した時、見計らったように声をかけてきたのである。

 当時、フェリスは母の死因について独自で調査を行っていた。聞き込みなどは出来るはずもないので、母の遺物である日記を読み耽ったり日々の記憶を洗いざらい思い出しそれを紙切れにまとめてみたり。

 そんな中かけられた「教えてやる」という言葉はフェリスにとってはまさに天啓にも思えた。

 しかし、フェリスはその誘いを丁重に断ったのだ。何しろ、獣の提示してきた条件が周りを巻き込みかねないことだったから。

『私が西の恐封きょうほう山に入っている間、山の周りの警備をしろ。無事達成できればお前が抱いてる疑問について教えてやる。』

 恐封山―昔話の中に登場する元魔族領の山であり、魔族の七柱の一人―グイクスの治める領地だったという伝説が残る山だ。

 幼い頃から「あの山には近づいてはいけない」と父、母から教わっていたフェリスは好奇心から色々と調べたことがあった。しかし詳しいことはよくわからず、昔話やそれに連なる文献には「山に足を踏み入れれば不幸になる」とだけ書いてあったのだ。

 それからも父や母に聞いたりしたが、渋い顔をされて誤魔化されただけで特に何も得られるものはなかった。

 そんな経緯のある恐封山。フェリスは勿論、世間一般的にもよく思われていない。そんな山に一体何をしようというのか。少なくともこの男とその山の組み合わせを見るに良からぬ事ではないのだろう。もしこれが実行されれば、世間を巻き込みかねない何かが起こってしまう気がする。フェリスの幼い頃から磨き抜かれた警戒心がそう警鐘を鳴らしたのだ。

 故にフェリスはその行いすらも頓挫させようとデナルの今までに行ってきたありとあらゆる粗を探ってきた。

 上手く証拠が隠滅され中々見つけることができなかったが、それでもやっと一つ見つけることが出来た。

『平民の奴隷化計画』

 それを叩きつけた瞬間のデナルの表情から如何にデナルの急所を突いたものであったかは予測はつく。

「……、今はあなたを如何に国に突き出すか、それが重要だと判断したまでです」

 鬼の首を取った。フェリスはそう思っただろう。
 しかし、クズがクズたる所以はこういうところにある。こういう人物は追い詰めれば追い詰めるほど危険なのだ。フェリスは身を以てそれを知ることになる。

「……ふっふっふふ…はーっはっは!!小僧!!よくもまぁぬけぬけとこんな資料を見つけ出してくれたものだな!だが私がその程度で大人しくなるとでも思うたか愚か者め!!」

 先程まで激昂していたくせになにを、と眉をひそめてデナルをにらみ付けるフェリス。恐らく今し方余計な悪知恵でも働いたのだろう。

 デナルの口が、目が、半月状に大きく歪む。その顔は実に気味悪く、憎悪や私怨、さらに快楽と言った感情が剥き出しだ。目の奥には既に光はなく、怪奇なデーモンの人形を無理矢理動かしたかのようにケタケタと笑っている。

「そうだなぁあ?? お前の担当教師…なんだったっかな?? クレア…とかいったかな?? ふふっふふふふ……貴様の大切な人が減れば親父さんはどんな表情になるか…楽しみだなぁ」

「っっ!! 貴様ぁぁぁあ!!!」

 その言葉を聞いたフェリスは激昂。机の向こう側にいるデナルに、机を飛び越えて殴りかかった。

 パチンッ!

 フェリスが殴りかかってくることをさも分かっていたかのような落ち着いた態度で、デナルはブクブクと太った指を鳴らす。

 同時に、フェリスが何かに殴られたように後ろに大きく吹き飛び壁にぶつかった。いや、殴られたようにではなく、実際に殴られたのだ。

 ドカッ!という派手な音が部屋中に…隣の部屋にまで響く。先程まで高揚していた使用人達も突然の鈍い音に驚いているだろう。

「カハッ!?」

 肺で息をしようとするも衝撃で息が出来ない。お腹がとんでもない痛みに襲われている。
 フェリスが理解できる状況はそれくらいだった。

 どうやって自分に衝撃を与えたのか、などと考えている余裕もない。いつも理想状態で戦っているフェリス達にとって「痛み」は無縁なものであったが為、そんなことを考えられる状況にないのだ。

 それでも尚、頑としてデナルを睨み続けているのはフェリスの心の強さによるところだろう。そんなことは露知らず、睨まれている本人は先程までの気味悪い笑みとは違う、へらへらとした軽快な表情でお腹を揺らしながら笑っている。

「なっ…にを…っ!!」

「デナル様に危害が加わりそうだったため攻撃しましたが、よろしかったでしょうか」

 フェリスの声を遮るようにして発せられた抑揚のない低い声。それは明らかにデナルに向けられたものであることは瞬時に理解できた。むしろフェリスのことなど気にも留めていないのかもしれない。

「あぁ、流石だよぉオルガ。ついでにそこのチビスケにこの世の摂理というものを教えてやんな」
「了解しました」

 オルガと呼ばれた20歳半ば程度の巨漢は生気のない目をフェリスに向け、無機質な声でそう応えた。そしてフェリスの方へ一定の歩幅で、一定の速度で歩み寄っていく。何も疑問を抱いていないかのように。

「っ!! くっ!!」

 少しは肺へのダメージを和らげることが出来たのだろう。お腹を押さえながらオルガから逃げようとよろよろとよろめきながらも千鳥足で逃げ始めたフェリス。
 下手をすれば命すら落としかねない。あの男からはそれほど危険な匂いがする。

 しかし、巨漢はその瞬間超加速を見せた。

 フェリスの首を右手で掴みあげ、壁に叩きつける。「カハッ!?」という声とも言えないような声と共にフェリスが再び呼吸困難に陥り、今にも白目を剥いて失神しそうになっているのにも関わらず、それでも巨漢は右手を絞り続ける。

 その様子を見たデナルはへらへらとした笑みを少し引きつらせ、こういった。

「お、オルガ?その辺にしとくんだよ?こ、殺してはいけないからな?」
「了解しました」

 また無機質な声。その応答と共にフェリスの首が解放される。オルガはフェリスを見ることなく、デナルの方を向くが、その感情に起伏はない。10歳の子供にとてつもなく非道な事をしたのにもかかわらず。

 流石のデナルもこれには動揺したのか、オルガに自分の後ろで待機するよう命じる。そしてフェリスの方をニンマリと見た。

「これでわかったか? お前には私に従う以外の選択肢はない。よく覚えておくことだ。…わかったならその薄汚い顔を私の前から失せさせろ。あぁ、お前が提示してきたあの紙だがなぁ、あれはお前を捕まえるための餌だ。あんな事実どーっこにもなぁい」
「………」
「わかったならさっさと失せな。……オルガ、こいつをつまみ出せ」
「了解しました」
 「ああ、それと恐封山には三日後の夕刻に来い。しっかり見張りとしての役割は果たしてもらう。」

 そうして、デナルの家から追い出されたフェリスの口には血が滲んでいた。だが切り傷ではない。腹しか殴られていないのだから。かといってそれは内臓の損傷によるものでもなかった。

 強く、強く噛み締められたその歯茎から大量に滲み出たものだった。
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