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序章
プロローグ
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「お母様、どこにいかれるんですか??」
「あなたが幸せになれる場所よ。」
樹木が乱立し、色とりどりの花が咲き乱れる春の森を、幼き少年は母親と共に散歩していた。鳥の甲高い鳴き声に虫の集会、四季折々に見せる森の姿の中で一番散歩に向いている季節と言えよう。
暑くもなく寒くもなく、適度に暖かいその空間は来る者すべてに等しく癒しを与える。心を落ち着かせる木の匂いに、木の葉を通して燦々と降り注ぐ太陽の光が、歩く二人の親子を幻想の世界へ導いているようだ。
母親はどこに行くのかわからないのにも関わらず豊かな自然と無邪気にふれあう我が子を、見守るようなしかしどこか儚げのある面持ちで見つめていた。
9年前、母が少年――クレイヴの妹となる子を身籠もったその時から、クレイヴと二人で出かけるなんてことは早々なかったから。
今や娘のリリも8歳児。そろそろ魔法を自在に使い始める頃であろう。しかし、この子は……
ぼんやりと遠くを見てそんなことを考えていたが、やがて道も細くなり始めた。
そして、更に進むと……親子の前に小さな湖が現れた。クレイヴは、幾度となく見てきたその光景に別段何を感じることも無く、そのほとりまでトコトコと歩く。いつも通りの湖。いつも通りのせせらぎ。小さな魚影が浮かび上がっては消えていく様子。
実に――神秘的だ。しかし、何度でも言おう。これは少年にとっては見慣れた光景なのだ。
――――母親が、おかしな挙動を見せなければの話であるが。
「クレイヴ・アレイド」
先ほどまでの表情とは明らかに違う、凜とした表情で自分の愛しい息子の名を厳しい声音で呼んだ。フルネームで呼ばれたことからいつもと違う雰囲気であると察したクレイヴは戯れている蝶のことを一気に意識の外へ追いやり、母の前までとことこと歩いてきた。
母の前まで来るとすぐさま気をつけの姿勢をとり、子供ながらに気を引き締めた表情をとった。
「一回しか言いません。いいですか?」
クレイヴはじっと頷く。ごくり、と生唾を呑み込む音が辺りに響いた。
「今からあなたの名前はレイヴン。レイヴン・シュレイクです。」
「……??」
当然の反応だろう。いきなり名前を変えると言い始めたのだから。
「今は理解出来なくても大丈夫です。やがて私の言ったことが理解できるように、いえ、理解できる歳になるまで生き延びてくれればそれで……」
クレイヴの頭の上には未だに数個のクエスチョンマークがくるくると舞い踊っている。10年間呼ばれ続けた名前を一瞬にして変えられ、お別れの言葉のようなものまで母親が呟いているのだ。無理もない。
「あなたが今から使う名前――レイヴン・シュレイクは、あなたの本当の名前とあなたの大好きなこの森、レインシュの森のアナグラムになっているの。あなたの本当の名前-クレイヴアレイドの名を絶対に忘れないように、ね?」
「あなぐらむってなんですか?お母様?」
未だに重要なことに気づかない息子に、少し苦笑を向ける母親。そうじゃないのよ、大事なのはここなの。そう、教えてあげたい。しかし、今の母親にはその資格も時間も、勇気すらもなかった。
「文字を並び替えたものということよ」
そうして、結局は息子の質問に素直に答える形になってしまった。
なるほど、といった表情のクレイヴ。でも何故自分の名前を変える必要があるのか、その一点から意識がずれることはなかった。その意識を汲み取ったのか、母親が再び口を開く。
「いい? レイヴンシュレイク。あなたは今からどんなときも一人で生きていかなければならないの」
なぜ?先ほどから聞けば聞くほど謎は解決するどころか深まるばかり。自分には優しい母がいて、頼れる父も、さらに可愛い妹までいるのに。
そんな思いが頭をよぎる。だが、何故?とは聞けない。聞いてしまえばもっとわからなくなってしまうかもしれないから。
「では……ではお母様やお父様……リリはどうなさるのですか?」
クレイヴがやっとの思いでひねり出したその問いに、母親は驚いた様子を見せた。
自分に今から何が起こるかもわからないのに、家族とは言え他人の心配をするなんて、と。そう思ったのだろう。
――こんなにも心優しい子に……どうして私は……
込み上がってくるそんな思いを無理矢理胸のそこに押し込む。そして、痛々しい苦笑を以てこう返した。
「大丈夫。あなたが無事でいられるなら私もお父様もリリも……みんな大丈夫よ。だから……だから……」
言葉を紡いでいくうちに、泣き顔だけは見せまいと堪えていた感情の堤防がとうとう決壊した。
森に響くシクシクとすすり泣く母親の泣き声は、隠しきれない母親の素直な感情そのものであり且つ、父親の心を代弁したものでもあった。
だが、国を守るためには……一族が築いてきたこの強固な国を保つためには仕方なかったのだ。国と自分の息子を天秤にかけ……かけさせられ……そして行き着いた答えがこれだった。後悔しかない。しかし、これ以外の方法がない。
自分ではどうしようもできないもどかしさが、母親に、より一層自責させたのだ。
一通り泣いた後、母親は「こんなところ最後まで見てほしくなかったのに」と悲しい笑顔を浮かべ、クレイヴに湖に浸かるよう言った。
言われるがままに湖の中に服を着たまま浸かっていくクレイヴ。
しかし、先ほどから訳のわからないことを言う母親に対して、クレイヴはとうとう聞いてしまったのだ。
「何故……なにゆえそのようなことをしなければならないのですか……?」
この一言を皮切りに母親の中に残っていた水分という水分が涙となって吹き出した。「ごめんなさい」という今にも消え入りそうで、壊れそうな悲痛とも言える叫びを伴って。
この時点でクレイヴは既に悟っていた。これは自分には理解しがたい問題の収束方法なのではないか、と。
自分が家族にとって軽い存在であるとは思いたくもないし母親の涙を見る限りそうではないだろうということから、自分のことを犠牲にしなければならないほど悄然たる問題なのであろう、と。
10歳ながらにして母親の状況のみからここまで考え抜くことの出来るレイヴンはなかなかの洞察力と考察力の持ち主と言えよう。故にクレイヴは母の指示にこれ以上疑問を抱きながらも従うことにした。
「ごめんね……ごめんね…………強く……強く生きるんですよ…………」
クレイヴも母もそれ以上何も言わなかった。永遠とも感じられる数秒間を見つめあった後、母親は自らの手の甲に軽く傷を付け、滴った血を自分の腕ににじませた。そしてその手の延長線がクレイヴと湖を貫くように胸の前に突き出し、呪文を紡ぎ始めた。
「……-水の神よ、数多の災厄より、其の躯体を守り給え。我が御霊、其の為に捧ぐ。【終ワリ無キ水神ノ守リ】。」
刹那、今まで穏やかに親子二人の会話を見守っていた湖が突如としてざわめくように波立ち、やがて湖の中央に馬の形を模した水の塊が現れ始めた。鬣や尻尾は勿論のこと水で構成されているのだが、燃え盛る炎のようにゆらゆらと揺らめいている。
さらに、首筋から背筋まで伸びる直線とそれになめらかにつながる尾てい骨までの曲線は、ただでさえ精悍な風貌に美しさすら感じさせる。
そうして水で構成された馬は、自分をより馬の形状に近づけようと、まるで湖の水を虐げるように吸い上げている。程なくして完全な水馬の形状となると、何かを思い出したようにクレイヴのいる方向をじっと見つめ始めた。
そして、見つめ合うこと、数秒。
水馬は、思い立ったようにクレイヴに向かって超突進を開始。
驚きのあまり逃げるという選択肢すら浮かんでいないであろうクレイヴを飲み込むようにして自分の体に取り込んだ。そしてクレイヴを取り込んだことを確認すると、水馬はさらに加速。我が子の名前を必死に叫ぶ母親のことなど意に介さずあっという間に森を抜けた。
森には、自分の息子の名前を悲哀の感情を剥き出しにして叫ぶ灰色の声音が響くだけであった。
「あなたが幸せになれる場所よ。」
樹木が乱立し、色とりどりの花が咲き乱れる春の森を、幼き少年は母親と共に散歩していた。鳥の甲高い鳴き声に虫の集会、四季折々に見せる森の姿の中で一番散歩に向いている季節と言えよう。
暑くもなく寒くもなく、適度に暖かいその空間は来る者すべてに等しく癒しを与える。心を落ち着かせる木の匂いに、木の葉を通して燦々と降り注ぐ太陽の光が、歩く二人の親子を幻想の世界へ導いているようだ。
母親はどこに行くのかわからないのにも関わらず豊かな自然と無邪気にふれあう我が子を、見守るようなしかしどこか儚げのある面持ちで見つめていた。
9年前、母が少年――クレイヴの妹となる子を身籠もったその時から、クレイヴと二人で出かけるなんてことは早々なかったから。
今や娘のリリも8歳児。そろそろ魔法を自在に使い始める頃であろう。しかし、この子は……
ぼんやりと遠くを見てそんなことを考えていたが、やがて道も細くなり始めた。
そして、更に進むと……親子の前に小さな湖が現れた。クレイヴは、幾度となく見てきたその光景に別段何を感じることも無く、そのほとりまでトコトコと歩く。いつも通りの湖。いつも通りのせせらぎ。小さな魚影が浮かび上がっては消えていく様子。
実に――神秘的だ。しかし、何度でも言おう。これは少年にとっては見慣れた光景なのだ。
――――母親が、おかしな挙動を見せなければの話であるが。
「クレイヴ・アレイド」
先ほどまでの表情とは明らかに違う、凜とした表情で自分の愛しい息子の名を厳しい声音で呼んだ。フルネームで呼ばれたことからいつもと違う雰囲気であると察したクレイヴは戯れている蝶のことを一気に意識の外へ追いやり、母の前までとことこと歩いてきた。
母の前まで来るとすぐさま気をつけの姿勢をとり、子供ながらに気を引き締めた表情をとった。
「一回しか言いません。いいですか?」
クレイヴはじっと頷く。ごくり、と生唾を呑み込む音が辺りに響いた。
「今からあなたの名前はレイヴン。レイヴン・シュレイクです。」
「……??」
当然の反応だろう。いきなり名前を変えると言い始めたのだから。
「今は理解出来なくても大丈夫です。やがて私の言ったことが理解できるように、いえ、理解できる歳になるまで生き延びてくれればそれで……」
クレイヴの頭の上には未だに数個のクエスチョンマークがくるくると舞い踊っている。10年間呼ばれ続けた名前を一瞬にして変えられ、お別れの言葉のようなものまで母親が呟いているのだ。無理もない。
「あなたが今から使う名前――レイヴン・シュレイクは、あなたの本当の名前とあなたの大好きなこの森、レインシュの森のアナグラムになっているの。あなたの本当の名前-クレイヴアレイドの名を絶対に忘れないように、ね?」
「あなぐらむってなんですか?お母様?」
未だに重要なことに気づかない息子に、少し苦笑を向ける母親。そうじゃないのよ、大事なのはここなの。そう、教えてあげたい。しかし、今の母親にはその資格も時間も、勇気すらもなかった。
「文字を並び替えたものということよ」
そうして、結局は息子の質問に素直に答える形になってしまった。
なるほど、といった表情のクレイヴ。でも何故自分の名前を変える必要があるのか、その一点から意識がずれることはなかった。その意識を汲み取ったのか、母親が再び口を開く。
「いい? レイヴンシュレイク。あなたは今からどんなときも一人で生きていかなければならないの」
なぜ?先ほどから聞けば聞くほど謎は解決するどころか深まるばかり。自分には優しい母がいて、頼れる父も、さらに可愛い妹までいるのに。
そんな思いが頭をよぎる。だが、何故?とは聞けない。聞いてしまえばもっとわからなくなってしまうかもしれないから。
「では……ではお母様やお父様……リリはどうなさるのですか?」
クレイヴがやっとの思いでひねり出したその問いに、母親は驚いた様子を見せた。
自分に今から何が起こるかもわからないのに、家族とは言え他人の心配をするなんて、と。そう思ったのだろう。
――こんなにも心優しい子に……どうして私は……
込み上がってくるそんな思いを無理矢理胸のそこに押し込む。そして、痛々しい苦笑を以てこう返した。
「大丈夫。あなたが無事でいられるなら私もお父様もリリも……みんな大丈夫よ。だから……だから……」
言葉を紡いでいくうちに、泣き顔だけは見せまいと堪えていた感情の堤防がとうとう決壊した。
森に響くシクシクとすすり泣く母親の泣き声は、隠しきれない母親の素直な感情そのものであり且つ、父親の心を代弁したものでもあった。
だが、国を守るためには……一族が築いてきたこの強固な国を保つためには仕方なかったのだ。国と自分の息子を天秤にかけ……かけさせられ……そして行き着いた答えがこれだった。後悔しかない。しかし、これ以外の方法がない。
自分ではどうしようもできないもどかしさが、母親に、より一層自責させたのだ。
一通り泣いた後、母親は「こんなところ最後まで見てほしくなかったのに」と悲しい笑顔を浮かべ、クレイヴに湖に浸かるよう言った。
言われるがままに湖の中に服を着たまま浸かっていくクレイヴ。
しかし、先ほどから訳のわからないことを言う母親に対して、クレイヴはとうとう聞いてしまったのだ。
「何故……なにゆえそのようなことをしなければならないのですか……?」
この一言を皮切りに母親の中に残っていた水分という水分が涙となって吹き出した。「ごめんなさい」という今にも消え入りそうで、壊れそうな悲痛とも言える叫びを伴って。
この時点でクレイヴは既に悟っていた。これは自分には理解しがたい問題の収束方法なのではないか、と。
自分が家族にとって軽い存在であるとは思いたくもないし母親の涙を見る限りそうではないだろうということから、自分のことを犠牲にしなければならないほど悄然たる問題なのであろう、と。
10歳ながらにして母親の状況のみからここまで考え抜くことの出来るレイヴンはなかなかの洞察力と考察力の持ち主と言えよう。故にクレイヴは母の指示にこれ以上疑問を抱きながらも従うことにした。
「ごめんね……ごめんね…………強く……強く生きるんですよ…………」
クレイヴも母もそれ以上何も言わなかった。永遠とも感じられる数秒間を見つめあった後、母親は自らの手の甲に軽く傷を付け、滴った血を自分の腕ににじませた。そしてその手の延長線がクレイヴと湖を貫くように胸の前に突き出し、呪文を紡ぎ始めた。
「……-水の神よ、数多の災厄より、其の躯体を守り給え。我が御霊、其の為に捧ぐ。【終ワリ無キ水神ノ守リ】。」
刹那、今まで穏やかに親子二人の会話を見守っていた湖が突如としてざわめくように波立ち、やがて湖の中央に馬の形を模した水の塊が現れ始めた。鬣や尻尾は勿論のこと水で構成されているのだが、燃え盛る炎のようにゆらゆらと揺らめいている。
さらに、首筋から背筋まで伸びる直線とそれになめらかにつながる尾てい骨までの曲線は、ただでさえ精悍な風貌に美しさすら感じさせる。
そうして水で構成された馬は、自分をより馬の形状に近づけようと、まるで湖の水を虐げるように吸い上げている。程なくして完全な水馬の形状となると、何かを思い出したようにクレイヴのいる方向をじっと見つめ始めた。
そして、見つめ合うこと、数秒。
水馬は、思い立ったようにクレイヴに向かって超突進を開始。
驚きのあまり逃げるという選択肢すら浮かんでいないであろうクレイヴを飲み込むようにして自分の体に取り込んだ。そしてクレイヴを取り込んだことを確認すると、水馬はさらに加速。我が子の名前を必死に叫ぶ母親のことなど意に介さずあっという間に森を抜けた。
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