165 / 232
日常編 新生アウトキャスト
6
しおりを挟む
「下ごしらえしてきた鶏肉を出してもらえますか?」
メラニアが愛用のエプロンをして簡易的に作った調理台の前に立って、夕食の食材を取って欲しいと申し出ていた。
かまど等の準備はすでにメリーたちが済ませてくれていたので、調理をするだけになっていた。
「これか?」
「はい、それです。ダンジョン内ではご飯は楽しみの一つだと皆さんから聞いていたので、少し手間をかけてきました」
メラニアの背負ってきた荷物の中から、油紙に包まれたものを取り出して、彼女に渡していた。
受け取った油紙の包みを開くと、そこにはハーブをまぶした大量の鶏肉が入っているのが見えた。
ハーブはローズマリー、タイム、セロリ、あとニンニクがまぶされている。
ハーブで匂い付けされた鶏肉を取り出したメラニアが、油を揉み込んでいき、塩と胡椒をまぶしていく。
その鶏肉を適当な大きさに切り分け鉄串に刺してかまどの上に並べて焼き始めていた。
「んん~。いい匂いがするー!」
「メラニアのご飯、期待できる」
「メラニアさんは料理上手ですからね。私も色々と習わないと」
「私は食べる専門かデザート専門になりそうね」
「メラニア―。もう、食べていい?」
「姉上、オレも腹減った」
みんながメラニアの料理する姿を注視して、夕食が出来上がるのを待っていた。
今回の探索はメラニアが料理番としてメンバーの食事を準備することに決まっていたのだ。
これは、メラニアが探索の方で役に立てないと思ったようで、自らが料理番をすると出発前に言っていたのであった。
なので、探索の疲れを小休止で回復させたメラニアが包丁を握って料理をしている。
彼女は貴族の令嬢であるのだが、実家があまり裕福ではなかったようで、使用人はおらず家事、炊事は幼少時から母親にしっかりと仕込まれて育ってきていたようで料理の腕は本職顔負けのものであった。
「今しばらくお待ちくださいね。今度はチーズとベーコンを出してもらえます?」
「任せるのじゃ! これでいいのか?」
「はい。ありがとね。クイーンちゃん」
クイーンがメラニアの背嚢から紙に包まれたチーズの塊を取り出して手渡していた。
潜る前に背嚢の荷造りを手伝っていたので、すぐに場所を探し出せたようだ。
受け取ったチーズを一口サイズに切り分けると、周囲にベーコンを巻き付けたものと粗びき粒胡椒をまぶしたものを交互に串へ刺していく。
それを遠火で炙り始めていた。
「よし、あとは鍋に牛肉を入れて、エールで煮ていくだけですね。取ってもらえます?」
「おぅ、鍋と牛肉だな」
「あと、玉ねぎと赤い蓋の瓶を取り出してもらえるとありがたいです」
メラニアの背嚢から言われた食材を出して手渡していく。
食材に関してはメラニアに一任してあるが店は俺がいつも使っている所をすでに紹介してあったので、素材はいいものを使ってあるはずだ。
食材を受け取ったメラニアが玉ねぎを手早く剥いて、薄切りにして、油を引いた鍋で炒め始める。
すぐに飴色に変化した玉ねぎから食欲を刺激する匂いが立ち始めていた。
「いい匂いー。ファーマのお腹鳴っちゃうなぁ」
ファーマさん、よだれが垂れておりますぞ。
「わふぅう(おいしそうな匂い)」
ハクもよだれ、よだれ。
「メラニア―。まだー?」
クイーンよ。まだ早い。
食いしん坊三人衆がメラニアの夕食が完成するのを心待ちにして待っていた。
そんな三人の食欲を更に刺激するように牛肉にも焼き色を付けて行く。肉の焼ける匂いが小部屋に広がると俺の腹も鳴っていた。
そして牛肉にも焼き色がつくと、メラニアが赤い蓋の瓶を開け、中の液体をすべて入れていた。
「本当ならきちんと煮だして取ったスープを持ってくるんですけどね。保存の問題もありますし、少し手抜きですが……」
透明な澄んだスープはメラニアが家で仕込んでいたブイヨンスープだと思われた。
メラニアが時間と手間をかけて、丁寧に香味野菜や肉を煮詰めて灰汁を取り作り上げたスープは素材の味が煮込まれていて、それだけでもかなり美味いスープなのだ。
「おおぉ。メラニアのブイヨンスープ入りか……。これは期待できるな」
「隠し味はこれです」
メラニアが取り出したのはカーラが楽しみにしていたエールの入れた小さな樽を取り出していた。
そして中身を鍋に注いでいく。
「ああぁ、エール。もったいない。私の飲む分が」
飲んベえなカーラが鍋に注がれるエールを見てあたふたとしているが、エールは肉を軟かくするために入れたのと推察された。
「さて、あとは煮えるのを待つだけですね。煮えるまでは串焼きをつつきながらお酒を飲むことにしましょうか」
メラニアが夕食の準備を終えたことを告げ、先に焼いていた鶏の串焼きと炙っていたチーズを皿に盛り付けて出してくれた。
メラニアが愛用のエプロンをして簡易的に作った調理台の前に立って、夕食の食材を取って欲しいと申し出ていた。
かまど等の準備はすでにメリーたちが済ませてくれていたので、調理をするだけになっていた。
「これか?」
「はい、それです。ダンジョン内ではご飯は楽しみの一つだと皆さんから聞いていたので、少し手間をかけてきました」
メラニアの背負ってきた荷物の中から、油紙に包まれたものを取り出して、彼女に渡していた。
受け取った油紙の包みを開くと、そこにはハーブをまぶした大量の鶏肉が入っているのが見えた。
ハーブはローズマリー、タイム、セロリ、あとニンニクがまぶされている。
ハーブで匂い付けされた鶏肉を取り出したメラニアが、油を揉み込んでいき、塩と胡椒をまぶしていく。
その鶏肉を適当な大きさに切り分け鉄串に刺してかまどの上に並べて焼き始めていた。
「んん~。いい匂いがするー!」
「メラニアのご飯、期待できる」
「メラニアさんは料理上手ですからね。私も色々と習わないと」
「私は食べる専門かデザート専門になりそうね」
「メラニア―。もう、食べていい?」
「姉上、オレも腹減った」
みんながメラニアの料理する姿を注視して、夕食が出来上がるのを待っていた。
今回の探索はメラニアが料理番としてメンバーの食事を準備することに決まっていたのだ。
これは、メラニアが探索の方で役に立てないと思ったようで、自らが料理番をすると出発前に言っていたのであった。
なので、探索の疲れを小休止で回復させたメラニアが包丁を握って料理をしている。
彼女は貴族の令嬢であるのだが、実家があまり裕福ではなかったようで、使用人はおらず家事、炊事は幼少時から母親にしっかりと仕込まれて育ってきていたようで料理の腕は本職顔負けのものであった。
「今しばらくお待ちくださいね。今度はチーズとベーコンを出してもらえます?」
「任せるのじゃ! これでいいのか?」
「はい。ありがとね。クイーンちゃん」
クイーンがメラニアの背嚢から紙に包まれたチーズの塊を取り出して手渡していた。
潜る前に背嚢の荷造りを手伝っていたので、すぐに場所を探し出せたようだ。
受け取ったチーズを一口サイズに切り分けると、周囲にベーコンを巻き付けたものと粗びき粒胡椒をまぶしたものを交互に串へ刺していく。
それを遠火で炙り始めていた。
「よし、あとは鍋に牛肉を入れて、エールで煮ていくだけですね。取ってもらえます?」
「おぅ、鍋と牛肉だな」
「あと、玉ねぎと赤い蓋の瓶を取り出してもらえるとありがたいです」
メラニアの背嚢から言われた食材を出して手渡していく。
食材に関してはメラニアに一任してあるが店は俺がいつも使っている所をすでに紹介してあったので、素材はいいものを使ってあるはずだ。
食材を受け取ったメラニアが玉ねぎを手早く剥いて、薄切りにして、油を引いた鍋で炒め始める。
すぐに飴色に変化した玉ねぎから食欲を刺激する匂いが立ち始めていた。
「いい匂いー。ファーマのお腹鳴っちゃうなぁ」
ファーマさん、よだれが垂れておりますぞ。
「わふぅう(おいしそうな匂い)」
ハクもよだれ、よだれ。
「メラニア―。まだー?」
クイーンよ。まだ早い。
食いしん坊三人衆がメラニアの夕食が完成するのを心待ちにして待っていた。
そんな三人の食欲を更に刺激するように牛肉にも焼き色を付けて行く。肉の焼ける匂いが小部屋に広がると俺の腹も鳴っていた。
そして牛肉にも焼き色がつくと、メラニアが赤い蓋の瓶を開け、中の液体をすべて入れていた。
「本当ならきちんと煮だして取ったスープを持ってくるんですけどね。保存の問題もありますし、少し手抜きですが……」
透明な澄んだスープはメラニアが家で仕込んでいたブイヨンスープだと思われた。
メラニアが時間と手間をかけて、丁寧に香味野菜や肉を煮詰めて灰汁を取り作り上げたスープは素材の味が煮込まれていて、それだけでもかなり美味いスープなのだ。
「おおぉ。メラニアのブイヨンスープ入りか……。これは期待できるな」
「隠し味はこれです」
メラニアが取り出したのはカーラが楽しみにしていたエールの入れた小さな樽を取り出していた。
そして中身を鍋に注いでいく。
「ああぁ、エール。もったいない。私の飲む分が」
飲んベえなカーラが鍋に注がれるエールを見てあたふたとしているが、エールは肉を軟かくするために入れたのと推察された。
「さて、あとは煮えるのを待つだけですね。煮えるまでは串焼きをつつきながらお酒を飲むことにしましょうか」
メラニアが夕食の準備を終えたことを告げ、先に焼いていた鶏の串焼きと炙っていたチーズを皿に盛り付けて出してくれた。
0
お気に入りに追加
9,222
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

俺だけLVアップするスキルガチャで、まったりダンジョン探索者生活も余裕です ~ガチャ引き楽しくてやめられねぇ~
シンギョウ ガク
ファンタジー
仕事中、寝落ちした明日見碧(あすみ あおい)は、目覚めたら暗い洞窟にいた。
目の前には蛍光ピンクのガチャマシーン(足つき)。
『初心者優遇10連ガチャ開催中』とか『SSRレアスキル確定』の誘惑に負け、金色のコインを投入してしまう。
カプセルを開けると『鑑定』、『ファイア』、『剣術向上』といったスキルが得られ、次々にステータスが向上していく。
ガチャスキルの力に魅了された俺は魔物を倒して『金色コイン』を手に入れて、ガチャ引きまくってたらいつのまにか強くなっていた。
ボスを討伐し、初めてのダンジョンの外に出た俺は、相棒のガチャと途中で助けた異世界人アスターシアとともに、異世界人ヴェルデ・アヴニールとして、生き延びるための自由気ままな異世界の旅がここからはじまった。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。

雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜
霞杏檎
ファンタジー
祝【コミカライズ決定】!!
「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」
回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。
フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。
しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを……
途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。
フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。
フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった……
これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である!
(160話で完結予定)
元タイトル
「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」

転生者は力を隠して荷役をしていたが、勇者パーティーに裏切られて生贄にされる。
克全
ファンタジー
第6回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門日間ランキング51位
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門週間ランキング52位

凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!
椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。
しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。
身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。
そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!

荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明
まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。
そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。
その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。