転生機族の英雄譚 ~俺は病弱な妹を救うためだけにゲーム知識を駆使して超難関のハーレムENDを目指すことにした~

シンギョウ ガク

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第十八話 初戦果

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「そろそろ、接敵するよ。相手はまだこっちを見つけられてない」

「敵、確認。ナイトウォーカー型の妖霊機ファントムからやる」


 モニターの右端に、ザガルバンドに酷似した機体が1機と、大型犬の5倍の体躯を持つ黒い犬の姿が3体見えた。ザガルバンドに酷似した機体は、頭部と胸部が異様に膨らんでいる。ナイトウォーカーが戦闘で大破したザガルバンドに寄生して動かしていると思われた。


「りょーかい、機体は良好。だけど、激しいのは長くもたないからね」

「あれくらいなら一撃さ」


 俺の操作に反応し、飛ぶように走る機体は、こちらの存在に気付いていないナイトウォーカーの直前まで急接近する。敵がこちらに気付いた時には、手に持ってた剣で胴体を一閃していた。


 横一線に斬られたナイトウォーカーの上半身がズレて落ちる。残った下半身から、黒い潤滑油が噴き出した。


妖霊機ファントム撃破」

「損傷なし。出力安定」

「次、ヘルドック」


 飼い主を目の前で殺されたヘルドックたちが、敵意をむき出しにしてこちらを睨みつけてくる。目の前の敵は、妖霊機ファントムたちから吐き出される高濃度の魔素によって変異した生物だ。


 ヘルドックの場合、もとはただの野良犬だが、巨大化と凶暴化をして普通の人間では対処できない存在になっている。そのため、『魔物』という呼称が与えられたとゲームでは解説されてた。


 巨大で凶暴化したとはいえ、ただのわんこ。霊機に乗っていれば恐れるほどの存在ではない。


 吠えて飛びかかってきたヘルドックに狙いをつけ、首を一刀で斬り落とす。頭を失った身体は切り口から黒い靄を吐き出し続けた。


「味気ない。魔物では鍛錬にもならないな」

「まだ戦闘は終わってないよ。集中して」

「ああ、すぐに終わらせるさ」


 仲間の死で怒り狂ったヘルドックたちが、涎を垂らし大きな口を開けて飛びかかってきた。俺はかわす操作もせず、剣を一閃させる。

 ヘルドックの牙が機体に触れる直前、2体とも上下二枚に斬り放されて黒い靄を撒き散らしながら地面に落ちた。


「戦闘終了」

「損傷なし……。でも、要点検って箇所多数だね」


 機士席の小型モニターには、簡易的な機体の状況が示されている。損傷こそないものの、戦闘による過度な負荷で各部の関節が黄色く点滅していた。


「『試運転だけにしてくれ』って言ってた整備担当者が怒りそうだ……。とりあえず、整備担当者と、義父上にいいわけするため、魔石とナイトウォーカーの寄生部分は持ち帰るとするか」

「それがいいと思う」


 黒い靄を吐き出し終えたヘルドックは、遺骸も残さずに消え去り、魔石と呼ばれるエネルギー結晶体が残されていた。


 魔石は精霊融合反応炉を動かす予備動力炉のエネルギー源にされたり、霊機などを製造する工場の動力源としても使われており、高値で取引される品物だ。同様に妖霊機ファントムの素材も霊機開発に使用されたりするため、高額な値が付く。


 今回倒した分を売れば、点検で部品交換しても、けっこうなお釣りが出るくらいの利益にはなると思う。


 地面に転がったヘルドックの魔石を拾い上げ、ナイトウォーカーの上半身から頭部を斬り落として脇に抱えると、格納庫に戻ることにした。


 日暮れ近くに格納庫に帰還したら、試運転で飛び出していった俺が行方知れずになったと大騒ぎになってた。とりあえず、義父上に行方不明になった事情を報告して騒ぎは収まったが、『多少は自重しろ』と苦笑いをされてしまった。
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