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「最弱の村」 side勇者一行

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「ちゃんと荷物は持ったかえ?着替えと、タオル、それから、、、なんじゃったろうか?」


杖をつき、背中をまげながらもこの村の長老は俺達の荷物の確認をしていく。


「ばあちゃん、ちゃんと持ったから大丈夫だよ。着替えようのパンツだって3枚もある!」


自信満々に答えた俺はカイ=エフォート。


村のソンボウ?ってやつを守るためにこの村から出て、魔王を倒しに行かなくてはならないらしい。


だが、この村には若者と呼ばれる類の者が極端に少ない。


そのため、選ばれたのが俺ってわけだ。


何も1人で行く訳では無い。


「おいおい、カイ。もっと必要なものがあるだろう?」


苦笑いを浮かべながら窘めてくる、エルド=テンダー。


兄的存在で、俺達のまとめ役だ。


そして、


「あんた、なに下品な事言ってんのよ!」


顔を真っ赤にして喚く純情ガール。


もとい、リリー=エトワール。


この村の若い人間で唯一の女。


まぁ、性格はガサツで俺よりも男らしいけど。


この3人で、今日この村を発つ。


「カイや、勇者の印はもったかえ?それをなくしたら勇者という肩書きまでなくなってしまうからねぇ。ちゃんと気ぃつけなさいねぇ。」


そう、聞いて驚け。


俺は勇者の末裔だ。


と言っても、俺は両親が居ないため勇者だったじいちゃんに育てられた。


そのじいちゃんももういない。


ただ、じいちゃんは決まって二人きりの時に魔王の話をしてくれたんだ。


「俺はな、昔魔王と戦ったんだ。奴は本気を出すこともしていなかったが、奴との戦いは楽しかったよ。きっと俺はもう奴との約束を守ることができないだろう。だから、カイ。お前が奴との約束を果たしてくれないか?」


魔王のことを話す時、じいちゃんは優しそうな顔をする。


皆が殺そうと躍起になっている魔王だけど、本当に悪いやつなのか。


それを確かめるためにも早く魔王をみつけなくては。


「ちゃんと持った。じゃあ行こうか!」


これ以上小言を言われたくなくて逃げるように出発しようとするが襟首を杖で捕まえられ、進めなくなる。


「なにすんだよ!」


バッと後ろを振り返るといつもとは違い、緊張したような引き締まった表情をしている長老。


「カイ、エルド、リリー。この村は最弱の村と呼ばれ、蔑まれてきた。しかし、それが戦うすべを持たぬからではないことはお主らもよく知っておろう。いいか、お前達が変えるのだ。この村のことなら心配するな。我らはこの村を守る為なら戦える。主らは主らのすべきことをやれ!」


いつになく力がこもった長老の声。


激励されているようでむず痒くなる。


「「「任せとけ!!」」」


さぁ、俺達の旅はここから始まる。
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