妖言惑衆

奏琉

文字の大きさ
上 下
2 / 15

しおりを挟む
先程からかなりこの道を進んでいるような気がしていたが、まだ道を抜けることは無い。
まだ、5時前のはずなのにあたりは薄暗くなり始めていた。
夏にこれほど早く暗くなることはそうそうないだろう。
時刻が気になり、スマホを取り出し電源を入れる。
そこに表示されていた時間は、4時44分。
不吉な数字だ。
あたりの薄暗さに、どこかおかしいと感じた私は正直に親に迷ったと伝えるべく電話をかけようとした。 

「ツーッツーッ」

しかし、その電話は誰にも繋がることがない。
画面を見ると、圏外と表示されている。
私は一体どんな場所に足を踏み入れてしまったのだろうか。
7割の好奇心と、3割の恐怖や不安を抱えながら再び道を歩み始める。
そうして歩んでいるうちに、私は気がついてしまった。
景色が全く変わらないことに。

赤い屋根の家。

三輪車の止まっている、子供がいるであろう家。

空き家となってしまっているのだろうか、少し寂れている家。

お人形の家のような、綺麗な造りの家。

そして、眠っているのだろうピクリとも動かない犬を飼っている家。

なぜもっと早く気が付かなかったのだろう。
段々と好奇心よりも恐怖が勝っていく。

“、、、リーン”

不意に、後ろから鈴の音。

「何ッ!?」

声を出すことで多少恐怖を和らげようとしながら、後ろをバッと振り向く。
しかし、そこにはなんの変わりもない私か歩んできた道が広がるのみ。
何も無かったことにホッとしながら前に向き直ると、私は唖然とした。

なぜなら、そこには道がなかったから。

否。

今まで見えていた道のかわりに、数多くの鳥居が立ち並んでいたから。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

性転換マッサージ2

廣瀬純一
ファンタジー
性転換マッサージに通う夫婦の話

お嬢様、お仕置の時間です。

moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。 両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。 私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。 私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。 両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。 新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。 私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。 海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。 しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。 海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。 しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

[恥辱]りみの強制おむつ生活

rei
大衆娯楽
中学三年生になる主人公倉持りみが集会中にお漏らしをしてしまい、おむつを当てられる。 保健室の先生におむつを当ててもらうようにお願い、クラスメイトの前でおむつ着用宣言、お漏らしで小学一年生へ落第など恥辱にあふれた作品です。

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

RUBBER LADY 屈辱の性奴隷調教

RUBBER LADY
ファンタジー
RUBBER LADYが活躍するストーリーの続編です

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

処理中です...