魔法少女 ペコラ・パコラ・ポコラ

右藤秕 ウトウシイナ

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01:マホウショウジョ03

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―――――――――――――――――――
◆災厄
―――――――――――――――――――

 まるで昼間のように、世界が赤い光に包まれた。次いで、耳をつんざく轟音が、大気をズタズタに切り裂く。窓ガラスが吹き飛ぶ。壁にヒビが入る。世界が激しく揺さぶられ、大きな建物が崩れる音が聞こえた。
 外へ逃げるべきだと思ったが、あまりの揺れで動くことは出来なかった。

 5分ほど続いた後、揺れや音は収まった。

「……な、なんだよ今の……!? ペチカ!!?」
「ダイジョブ。女の子も無事だよ」
「……とにかく、念のためココを出よう。崩れてくるかも」
「う、うん」

 少女を毛布でくるみ、抱きかかえ……るのは無理だったのでおぶって校舎を出る。ゴーレム化のせいで重くなったわけではないようだが、それでも、お姫様ダッコは軽々と出来るものではなかった。

「(騙された! マンガみたいに出来ないじゃないか!!)」

 外にでると、様子は一変していた。学校の周りの建物が軒並み倒壊していたのだ。夕焼けが半壊した校舎を赤く照らしている。いや、よく見ると、それは夕焼けではなく、北の方角に広がる巨大な火災による照り返しだった。
 被害はかなりの広範囲に及んでいるようだ。おまけに雨まで降り始めた。

「…………!!!!」

 俺は言葉を失って立ち尽くした。これは何の冗談だ?
 しばらく放心していたが、頭を振って気持ちを切り替え、歩き出す。

 辺りを見回すと、校舎のB棟が完全に倒壊していた。何らかの攻撃が直撃した痕跡がある。俺達のいた保健室のあるA棟が無事だったのは、隣にあるB棟が盾になってくれたためらしい。

 ところどころ戦車やヘリといった兵器の残骸まである。見る限り生きている人間はいなかった。大学や部活の仲間はちゃんと避難したのか。俺の実家の方は大丈夫だろうか。携帯端末を確認すると圏外になっていた。ネットもテレビもダメだ。
 さすがに俺も血の気が引いてきた。空腹とショックで足がふらつく。

「まさかこの街で生きているのは俺達だけじゃないだろうな……」

 動揺を隠し切れない俺の耳に、背後からの物音が届いた。人が瓦礫の上を歩く足音だ。
 生存者を期待して振り向いた俺は、愕然となってよろめいた。
 そこには、人の形をした異形、マホウショウジョが立っていたのだ。

「(まずい……!!)」

 ウナジの辺りがゾワゾワと引きつった。
 さっきとはまた別の個体だ。髪型や顔つきが違うし、少しおとなしめの服を着ていた。全体的には可憐で愛らしい女の子のようにも見えるのだが、その目には瞳がなく、代わりにただ昏い、奈落のような空洞があるだけだ。

「あれは、サーリタイプだよ。原初の魔法使いサーリによく似てるからそう呼ばれてるんだ」
「種類があるのか!?」
「全部で7種類いるらしいよ。サーリ、アーク、キュア……後は忘れちゃった」
 敵から目を離さずに、ゆっくりと後ずさりして背負っていた少女を物陰に下ろす。なんとか敵の注意を俺に向けさせねば。雨はやがて激しさを増していった。

 マホウショウジョがステッキを構え口を開く。

「ペコラパコラポコラ」
「避けて!!」

 俺の頭にしがみついて、ペチカが叫んだ。
 幾何学模様や魔法陣を複雑に組み合わせた光の攻撃が、俺に向けて放たれた。咄嗟に横っ飛びしてそれをかわす。呪文スペルの後に攻撃が発動されるので、比較的タイミングを読みやすい。俺の後ろにあった大木が粉々に吹き飛んだ。

 マホウショウジョが俺に向かって歩き出す。とりあえず、気を引くことには成功したようだ。

 止まっていてはやられるだけなので、物陰に隠れて移動しつつ動きまわった。とはいえ、避けてばかりではこの敵には勝てるはずもない。少女を置いて逃げ出すという選択肢もない。

「おいペチカ、俺にアレはないのか!?」
「アレ?」
「実は偉大な魔法使いの転生だとか、なぜかレベルがカンストして無双だとか、なにかそういうの!?」
「……ないよ」
「なんかあるだろ!?」
「ないってば。てか、この世界じゃ、魔法を使えるってだけでもう十分チートじゃないかな?」
「まあそうだけど……」

 俺は持ち物を確認した。

「(今ある物だけで戦えってことか)」

 昨日作った炎系魔法「一乃炎ウヌス・フレイマ」、魔導書一式。ペチカ。自分。斜めがけのバッグ。他に使えそうなものはない。

「くそ!!」

 走りつつ、バッグからスクロールを取り出す。
 こちらが攻撃する前に、マホウショウジョのステッキから連続で光の攻撃が繰り出された。

「なっ!!!!」

 必死で体をひねり、ギリギリで回避する。今の攻撃にはなぜか呪文がなかった。

「あぶね!!」
「連続攻撃の時は、呪文を省略できるよ!!」

 ペチカが解説してくれた。聞いてないぞ。などと文句を言っている暇はない。手をかざし、俺はできるだけ早口でスクロールを読み上げた。

「エルスマギカ コアル_ニーグラ ロカチオン_デクステラ+0.15 ルード_マーナ フェオ リラーセ_イグニス_フェオ…………エグゼカウテ!!」

 手の先からオレンジ色に輝く炎弾が、雨をモノともせず射出された。だが、ターゲットを捉えることは出来なかった。

「くっ!!」

 所定のハンドゼスチャを行い、続けて手を突き出すと2発目の「一乃炎ウヌス・フレイマ」が連続して放たれた。こちらも呪文スペルの詠唱を省略することが出来るようだ。
 2発目は見事に命中した。

「よし!!」

 しかし、相手の服を少し燃やしただけで、大したダメージは与えられなかった。所詮、練習用の魔法だ。

「クソッ!! もっと強い魔法はないのかよ!?」
「あるけど、スクロールの準備をしてる時間はないよ」

 敵の攻撃をかわすには動き続けるしかない。元々体力のない俺は、もう息が切れ始めていた。さらに悪い事に、体力だけの問題でもなかった。魔法を使うには、術者の持つマナ――即ち精神力――が消費される。使えるマナにも限界があるのだ。

 苦しくなってきて、思わず俺は足を止めた。すかさずマホウショウジョが肉薄し俺に体当たりを食らわせてきた。

「くはっ!!」
「ヨミ!!!!」

 ふっとばされ、瓦礫にぶつかって止まる。バッグが飛ばされて中身がばらまかれた。背中を強打して息ができない。立ち上がろうにも、すぐには体が動かなかった。

「(まずい……!! このままじゃ……や、やられる!!!!)」

 だが、マホウショウジョはすぐには動かなかった。首をぎこちなく傾けて、今、俺とぶつかった箇所を手で触っている。何事か思案しているようだ。
 ただしそれも一瞬。すぐに奴は口を開いた。

「ペコラパコラポコラ……プロプレム・レクティオ」
「!!!!!!」

 この呪文は覚えがある。女子大生の集団を殺したものだ。
 時間の流れがひどくゆっくりに感じられた。雨粒の一粒一粒が識別出来るほどにはっきりと見えた。頭のなかを過去の様々な思い出が駆け巡った。
 俺は死を覚悟した。

――だがしかし。

 永遠とも思える一瞬が過ぎていったが、俺はいつまでも死ななかった。

「…………!?」
「な……なんでヨミに『選別』の呪文を!?」

 ペチカが、驚いたと言うより、納得がいかないといった顔で言った。

「どういう事だ!?」

 マホウショウジョはステッキを下ろし、ゆっくりと一歩踏み出した。

「今の呪文は選別っていって、あいつらが仲間を増やすときに使う呪文なんだ。仲間になる適正があるかどうか、判断するんだよ」
「……適正!?」
「あの呪文をくらって死ななかったってことは、ヨミには適正があるってこと!! ……魔法を習得してたおかげかも」
「お、俺を仲間にしようとしたのか!?」
「そうだけど、問題はそこじゃない」

 そう、俺には秘密がある。先ほど例の彼女に告白された時、俺はその秘密を打ち明けようとした。

「……マホウジョウジョになれるのは……若い女の子だけなんだ」
「――!!!!」

 マホウショウジョが更に一歩、こちらに向かって進む。

「……まさか、ヨミ……」
「…………」


―――――――――――――――――――
◆秘密
―――――――――――――――――――

 数年前。

 小学6年生だった俺は、近所の友だちと河原で水遊びをしていた。
 魚を追いかけたり、石を投げたり、飛び込んだり。調子に乗って、俺はいつの間にか素っ裸になっていた。
 同じく素っ裸の友達が、不思議そうにこちらを見た。

「おい、おまえ、ち××ん、付いてないぞ?」
「は? 何言ってんだよ。それは大人になったら生えてくるって母さんが……」
「いや、だって、オレたち昔からついてるし」
「な、なんだってー!!!!」

 小さい頃から、俺は男として育てられてきた。
 自分でもそう思い込んでいたし、全く疑いもしなかったが、そうではなかった。俺は両親に騙されていたのだ。どうして!? 何のために!!?

 後で聞いてみたが、父も母も詳しい理由は結局教えてくれなかった。ただ、お前のためだ、としか……。

 生物学的には、俺は完全に女だった。

 中学に入ってから胸が少し膨らんできたけれど、目立つ程でもなかった。髪はそれほど長くないし、身長も女子にしては高いほうだ。細身で顔つきも中性的なため、女の子みたいと言われることも少なくはなかったが。

 それでも、男の格好をしていれば女だと思われることはなかった。メガネをかけるようになってからは、誰も何も言わなくなった。
 もちろん、ちゃんと女らしくすれば絶世の美少女(自称)であることに間違いはないはずだった。

 自分の性別に、俺は全く納得できなかった。10年以上男として生きてきたのだ。今更女になどなれるわけがない。
 いろいろ問題はあったが、悩んだ末、俺はこのまま生きることを選んだ。一緒に遊んでいた者達には、厳重に口止めをしておいた。

 それに、何を隠そう。俺は女の子の方が好きだった……。


**********


「まさか、ヨミが女だったなんて……」

 マホウショウジョは、俺に体当りした時にその可能性に気づいたのだろう。

「その話は後だ……」

 痛みを我慢して、なんとか体を起こす。しかし、這うようにして逃げる俺に、マホウショウジョは難なく追いついた。

 振り向きざま、更に数発の一乃炎ウヌス・フレイマを食らわせたが効果は薄かった。

 ついに俺は、マホウショウジョに捕まってしまった。胸ぐらをつかまれて、軽々と同じ目線まで持ち上げられる。

「ヨミ、逃げて!!」

 マホウショウジョの腕は、その細さにもかかわらずとんでもない力だ。もがいても暴れても、振りほどくことは出来なかった。のみならず、そいつはあろうことか俺に唇を重ねてきた。

「!!!!!!!?」

 柔らかく温かい感触だった。すごくいい匂いがして、胸が締め付けられるように切なくなる。少しだけ血の匂いが混ざっていた。
 瞳のない目がこちらを凝視していた。

「あわわ、まずいよ! 仲間にされるよ!!」

 慌てたペチカが呪文を唱えた。彼女にも魔法が使えるようだ。ただ、その攻撃は全く役に立たなかった。妖精達の魔法は、身体の大きさに比例してとても弱い。

 降りしきる雨の中、俺のファーストキスは訳の分からない化け物に奪われてしまった。俺の精神構造はほぼ男だったから、それほどショックでもなかったが。
 ただしこの行為事態は、俺に破滅をもたらすものに違いなかった。選別に合格した俺は、仲間にされてしまうのだ。

「(冗談じゃない!!)」

 両腕でマホウショウジョの頭を引き剥がそうとしても、俺の力ではびくともしない。
 口を塞がれているので、呪文を唱えることも出来ない。

「………………」

 呪文を省略した魔法連続使用の効果はいつまで継続するのだろう。試してみるしかない。ダメなら俺はここまでだ。
 ハンドゼスチャを行い、右手をマホウショウジョの顔面に貼り付ける。

「(――くらえ!! 一乃炎ウヌス・フレイマ!!!!)」

 目の前で炎が弾けた。
 マホウショウジョを倒すまではいかなかったが、彼女?は驚いて俺を突き飛ばした。
 俺は死の口づけから開放された。どうやら仲間にされずに済んだようだ。

「ヨミ!!」

 ペチカが心配して飛び回っている。この小さな闇妖精には戦闘能力はほとんど無い。しかし、その腕には一つのスクロールが抱きしめられていた。先ほどバッグからこぼれ落ちたものを拾って来てくれたのだ。敵のスキをついて俺に投げてよこした。

「これは……」

 それは昨日作った失敗魔法、転送の魔法だった。昨日の実験の様子を思い出す。転送したフィギュアはテーブルにめり込んで……

「――そうか!!」

 気力を振り絞って、俺は立ち上がった。
 マホウショウジョがもたもたしてる間に走りだす。辺りを確認する。最適な場所を探す。

 昨日のペチカの話だと、敵を魔法で転送することは出来ないという事だった。敵のマナ系は敵に所有権があり、別人が参照・操作出来ないからだ。そのため敵を岩の中に転送するといった攻撃は使えない。

 でも実際に、フィギュアはテーブルにめり込んだ。フィギュアのような無機物には、マナ系の所有権が誰にもないため操作可能というわけだ。つまり、工夫次第で攻撃魔法として使うことが出来る。

 俺は口の中で呪文を詠唱し始めた。

 ある場所に、頭のなかで目印をつけて立ち止まる。俺の隣には、人の半分ぐらいの大きさの瓦礫があった。目印と瓦礫の距離は目測で約3m。
 マホウショウジョが俺を追って、ゆっくりと歩いてきた。あと2m。
 ステッキを構え、俺に向ける。あと1m。
 ……あと30cm、というところで、マホウショウジョの動きは止まった。

「ペコラパコラ……」
「(やば!!)」

 その時、ペチカが後ろから現れて体当たりを食らわせた。体重の軽いペチカの攻撃など、全くダメージを与えることはなかったが、マホウショウジョは少しだけバランスを崩し、半歩よろけて目印の上に立った。

「(今だ!!!!)――エグゼカウテ!!!!」

 瓦礫に手を触れて、俺は呪文の最後の一文を叫んだ。瓦礫の周りの空間が揺らめき、光とともに転送される。

 敵自体を転送出来ないのであれば、逆に異物を敵の中に転送させれば良い。ただ、敵の現在地の座標がわからなければ、異物を正確に転送させることも出来ない。
 ではどうするか。簡単だ。異物を転送する予定地に、敵をおびき寄せればいいだけだ。

 昨日作った失敗転送魔法は、所有権を持つ者がいない任意の物質を3m前方に転送する。これには敵の座標は必要ない。敵が転送予定地に来るのを待てばいいのだ。

 マホウショウジョが立っている正にその場所に、瓦礫が転送された。2つの影が重なって融合する。感情があるのかどうか、瓦礫から突き出しているマホウショウジョの顔が驚愕に歪んだように見えた。
 魂を引き裂く叫び声が響き渡った。そのまま、マホウショウジョは炎に包まれて、溶けるように消えた。

「うきゃー!! やったーー!!!!」

 嬉しそうにペチカがはしゃぎ回った。それを見ていた俺の視界がナナメに歪む。

「……あれ?」

 体中から力が抜けて、俺は倒れこんだ。頬に雨が打ち付ける。

「ヨミ! ……マナの使いすぎだよ」
「そう、だな」

 マホウショウジョがいた辺りに、魔法のステッキが落ちていた。ペチカがそれを拾ってきて俺に渡した。

「その魔法のステッキは『素材』として使えるから、保存しといて」

 しばらく呼吸の乱れは収まらなかった。熱くなった体を雨が冷やしていく。
 ペチカも相当疲れたようで、俺の額の上に止まって大きくため息をついた。

 とりあえず俺達は生き延びた。だが、根本的な問題は何一つ解決していない。マホウショウジョとは何者か。この街は一体どうなってしまったのか。

 現時点で、この先どうなるかは全く想像もつかなかった。


 【続く】

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