48 / 63
ハニートラップ返し
しおりを挟む「じゃあ、コンラッド第一王子に接触してるのなんで?」
あの王子はマライア様と仲が悪い。善意で第二皇子との仲を取り持とうなんて絶対しないと思う。
考えられる事は一つだけ。
マライア様の足を引っ張ることを企んでいる。
それしか考えられない。
両親も私の質問に微妙な顔を見せ、その予想が外れていない事を察する。
「あのバカ王子はマライア様の瑕疵を作ろうとしているのよ。側近達やその親も関わってる。王太女の座から引き摺り下ろして、女王制度を撤廃し、新たな新王制を確立して、自分が国王になるそうよ」
バカ過ぎる……!
これであの王子、反逆者決定なんですけど?
え?
死にたいの?
「そして、瑕疵が出来て廃嫡された元王女を、ネブロス帝国の第二皇子が娶って実質国外追放にする。そこまでが彼らの筋書きらしい。何ともまあ、杜撰で稚拙な計画だな」
「類は共を呼ぶってことよ。バロー男爵とデイジーは、国政を担う有力貴族に近づく為に、その息子である側近達を籠絡する役目を担ってたの。つまり彼らの目的は最初からバカ王子と、側近達の親との接触を狙ってたってわけ」
「マライア様を追い落としたいコンラッド第一王子と、マライア様を手に入れたいネブロス帝国第二皇子の利害が一致したってことね」
そして両陛下は、全部まとめて潰すことにしたと──。
もう息子は捨てるってことか。まあ、さすがに洒落にならないことやらかしてるものね……。
「そういうこと」
「同情の余地なしね……。彼らの父親は何でそんな事に加担したの?女王制度に不満があるわけ?」
「言っただろう。昔から愚か者は女と金で破滅するって。ネブロスのハニートラップに引っかかって誑かされたんだよ。スケベ親父と守銭奴を手玉に取ったのさ」
「でもそのハニートラップ要員は、ウチのハニートラップに引っかかってもらったけどね。うふふっ」
「え!?」
母によると、宰相や騎士団長を誑かした愛人達にハニートラップをしかけ、既に落としているらしい。
「あれ?確か騎士団長の愛人って同性愛者の若い男だったよね?」
「暗部の精鋭部隊も見目の良い男ばかりで、ハニートラップは得意なんだぞ。なんせダイアナ達に鬼の特訓を受けているからな」
「それにエゼルの魔道具があるからウチは最強よ」
「お役に立てて光栄です」
「大活躍よ!ネブロスの敗因は、王家の影が持つ独自の魔道具の存在を知らないことね。まさか自分達の計画がだだ漏れで、全ての証拠を押さえられているなんて夢にも思ってないでしょう」
そう。エゼルは影の魔道具も作っている。
これも私の前世の知識を元にエゼルが実用化させた。
写真や動画を撮影して映す投影機、私がキャサリン様達と使っているスレッド、録音機や認識阻害、幻影機など、諜報に役立つ魔道具をいくつも作り上げた。
もちろんこれらは世に出回っていない。
誰もその存在を知らない。
「陛下達は、証拠を国際裁判所に提出して世界にネブロス帝国の悪事を晒すつもりでいる。そうなれば皇家は諸外国からの信頼を失い、負債を抱えてどうにもできず、自滅するだろう」
「あの国は欲のために侵略を繰り返してきた国だから、力でねじ伏せられた国民達は皇家に対して不満を抱えているわ。大義名分さえ与えれば、帝国は簡単に内部崩壊するでしょうね」
諸外国からのライフラインを断たれれば、借金だらけの皇家にもはや内乱に抵抗する力はない。
我が国に目をつけたのが運の尽き。
「卒業パーティーが楽しみね」
──────────────────────
新連載始めました。
『親友を抱いていたのは、私にプロポーズをした恋人でした』
R18作品です。
興味ある方は読んでいただけると嬉しいです。
267
お気に入りに追加
2,512
あなたにおすすめの小説

アルバートの屈辱
プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。
『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。

【完結】今世も裏切られるのはごめんなので、最愛のあなたはもう要らない
曽根原ツタ
恋愛
隣国との戦時中に国王が病死し、王位継承権を持つ男子がひとりもいなかったため、若い王女エトワールは女王となった。だが──
「俺は彼女を愛している。彼女は俺の子を身篭った」
戦場から帰還した愛する夫の隣には、別の女性が立っていた。さらに彼は、王座を奪うために女王暗殺を企てる。
そして。夫に剣で胸を貫かれて死んだエトワールが次に目が覚めたとき、彼と出会った日に戻っていて……?
──二度目の人生、私を裏切ったあなたを絶対に愛しません。
★小説家になろうさまでも公開中

義妹が大事だと優先するので私も義兄を優先する事にしました
さこの
恋愛
婚約者のラウロ様は義妹を優先する。
私との約束なんかなかったかのように…
それをやんわり注意すると、君は家族を大事にしないのか?冷たい女だな。と言われました。
そうですか…あなたの目にはそのように映るのですね…
分かりました。それでは私も義兄を優先する事にしますね!大事な家族なので!
命を狙われたお飾り妃の最後の願い
幌あきら
恋愛
【異世界恋愛・ざまぁ系・ハピエン】
重要な式典の真っ最中、いきなりシャンデリアが落ちた――。狙われたのは王妃イベリナ。
イベリナ妃の命を狙ったのは、国王の愛人ジャスミンだった。
短め連載・完結まで予約済みです。設定ゆるいです。
『ベビ待ち』の女性の心情がでてきます。『逆マタハラ』などの表現もあります。苦手な方はお控えください、すみません。
【完結】365日後の花言葉
Ringo
恋愛
許せなかった。
幼い頃からの婚約者でもあり、誰よりも大好きで愛していたあなただからこそ。
あなたの裏切りを知った翌朝、私の元に届いたのはゼラニウムの花束。
“ごめんなさい”
言い訳もせず、拒絶し続ける私の元に通い続けるあなたの愛情を、私はもう一度信じてもいいの?
※勢いよく本編完結しまして、番外編ではイチャイチャするふたりのその後をお届けします。


やり直し令嬢は本当にやり直す
お好み焼き
恋愛
やり直しにも色々あるものです。婚約者に若い令嬢に乗り換えられ婚約解消されてしまったので、本来なら婚約する前に時を巻き戻すことが出来ればそれが一番よかったのですけれど、そんな事は神ではないわたくしには不可能です。けれどわたくしの場合は、寿命は変えられないけど見た目年齢は変えられる不老のエルフの血を引いていたお陰で、本当にやり直すことができました。一方わたくしから若いご令嬢に乗り換えた元婚約者は……。
私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない
文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。
使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。
優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。
婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。
「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。
優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。
父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。
嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの?
優月は父親をも信頼できなくなる。
婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる