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第14章 駆け落ちの行方
下劣な者
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宇宙港のそばに古い倉庫があった。そこは使われなくなって久しく、壁は崩れかけてクモの巣が張っていた。しかしその中にはいくつかの人影があり、彼らの話声が聞こえてきていた。
「うまくいった。」リーダーらしい男は満足そうに顔がほころんでいた。
「王女を握れば王も我らのいうことを聞くだろう。」
「これで我がカンナン党が主導権を握れるわけですね。」
彼らはカンナン党の構成員だった。駆け落ちした2人を地球まで追ってきた。そして行方を突き止め、バイオノイドを使ってカズン王女たちを拉致したのだった。
カズン王女とソランはその隅で、縄で縛られて椅子に括りつけられていた。2人はすでに意識を取り戻していた。彼らの会話を聞いて、カズン王女は
「そんなことはさせません! 私は王族を離れ、この人の妻になるのです。王はもう関係ありません!」と声を上げた。
「フフフ。元気な王女様だ。しかし王様はどう思うかな? 可愛い娘を握られればいうことを聞くしかないと思うが・・・」リーダーの男はにやにや笑っていた。
「卑怯者! それでも王族を敬うユーナンの民ですか!」王女は叫んだ。
「そうだよ。俺たちは王族を敬う。その力で星を支配したいのさ。」リーダーの男は舌なめずりしながら言った。その下劣な態度にカズン王女は軽蔑したようにキッと睨んだ。
「その目はなんだ! 王族のくせに平民と駆け落ちなどと・・・。なんと下劣な女だ。王家の品位を落とす愚か者だ!」リーダーの男は怒りながら大声を出した。
「やめろ! お前たちが何をしているかわかっているのか! こんなことが知れたらお前たちは死刑だ!」横で聞いていたソランが叫んだ。
「何を! お前が王女を誘惑したからこんなことになったのだ! ユーナンの者なら身分違いは判るはずだ。それを破ったお前こそ死刑だ。いやその前に俺たちで裁いてやる! 王女ともどもな!」
「そんなことはさせない!」ソランは縄を外そうと必死にもがいていた。
「おっと、おとなしくしな! もう逃げられねえぜ。観念しな!」ソランの近くにいる男が彼の顔を何度もひっぱたいた。しかしソランはそれにひるむことなく、
「カズンだけでも縄を放せ! 彼女は王女なんだぞ!」と声を上げた。
「こいつ! 生意気な!」別の男が言った。
「さて我らの裁きをつけるか。平民との恋に走った王女もけしからんが、王女を誘惑したこの男も許しがたい。大きな罰を与えねばならない。」リーダーの男が静かに言った。
「リンチして殺すか? そうすれば王女も王族の誇りを取り戻して我らのいうことを聞くかもしれない。」男の一人が近くの棍棒を手に取った。
「や、やめて!」カズン王女が叫んだ。
「王女様、よく見ておくんだな。好きな男がなぶり殺されるのを!」男は棍棒を振り上げ、ソランに振り下ろそうとした。
「うまくいった。」リーダーらしい男は満足そうに顔がほころんでいた。
「王女を握れば王も我らのいうことを聞くだろう。」
「これで我がカンナン党が主導権を握れるわけですね。」
彼らはカンナン党の構成員だった。駆け落ちした2人を地球まで追ってきた。そして行方を突き止め、バイオノイドを使ってカズン王女たちを拉致したのだった。
カズン王女とソランはその隅で、縄で縛られて椅子に括りつけられていた。2人はすでに意識を取り戻していた。彼らの会話を聞いて、カズン王女は
「そんなことはさせません! 私は王族を離れ、この人の妻になるのです。王はもう関係ありません!」と声を上げた。
「フフフ。元気な王女様だ。しかし王様はどう思うかな? 可愛い娘を握られればいうことを聞くしかないと思うが・・・」リーダーの男はにやにや笑っていた。
「卑怯者! それでも王族を敬うユーナンの民ですか!」王女は叫んだ。
「そうだよ。俺たちは王族を敬う。その力で星を支配したいのさ。」リーダーの男は舌なめずりしながら言った。その下劣な態度にカズン王女は軽蔑したようにキッと睨んだ。
「その目はなんだ! 王族のくせに平民と駆け落ちなどと・・・。なんと下劣な女だ。王家の品位を落とす愚か者だ!」リーダーの男は怒りながら大声を出した。
「やめろ! お前たちが何をしているかわかっているのか! こんなことが知れたらお前たちは死刑だ!」横で聞いていたソランが叫んだ。
「何を! お前が王女を誘惑したからこんなことになったのだ! ユーナンの者なら身分違いは判るはずだ。それを破ったお前こそ死刑だ。いやその前に俺たちで裁いてやる! 王女ともどもな!」
「そんなことはさせない!」ソランは縄を外そうと必死にもがいていた。
「おっと、おとなしくしな! もう逃げられねえぜ。観念しな!」ソランの近くにいる男が彼の顔を何度もひっぱたいた。しかしソランはそれにひるむことなく、
「カズンだけでも縄を放せ! 彼女は王女なんだぞ!」と声を上げた。
「こいつ! 生意気な!」別の男が言った。
「さて我らの裁きをつけるか。平民との恋に走った王女もけしからんが、王女を誘惑したこの男も許しがたい。大きな罰を与えねばならない。」リーダーの男が静かに言った。
「リンチして殺すか? そうすれば王女も王族の誇りを取り戻して我らのいうことを聞くかもしれない。」男の一人が近くの棍棒を手に取った。
「や、やめて!」カズン王女が叫んだ。
「王女様、よく見ておくんだな。好きな男がなぶり殺されるのを!」男は棍棒を振り上げ、ソランに振り下ろそうとした。
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