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第10章 闇に咲く花
計画
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街中の川から死体が上がった。ジャコー取締官がバイオノイドとともに現場に駆け付けた。すでに野次馬でいっぱいだったが、それを排除して死体を調べた。派手な服を着ており、全体の印象はガラが悪そうないかがわしい者のようだが、その顔を見て、
(これは!)ジャコ―取締官は驚きを隠せなかった。それはM3地域の潜入を命じた地球人のスパイの亡骸だった。
(潜入に失敗したか・・・)もうこれで3人目となる。この作戦はやはり難しいのか・・・ジャコー取締官は唇をかみしめた。
夜になって作業が終わり、疲れた人たちは小屋に入って雑魚寝した。いびきが聞こえ、辺りは皆、寝入ったようだった。霞は寝たふりをしていると、「トントン」と肩を叩くものがあった。霞は目を開けて静かにその方を見た。そこには大作がいた。
「ちょっと話がある。外に。」大作はひそめた声で言った。霞はうなずくと静かに彼の後について小屋の外に出た。
「すまなかったな。疲れているのに。ええと・・・玲香だったな。」大作が言った。
「ええ。話って?」
「単刀直入に言おう。ここから脱出しよう。みんなと力を合わせて。」大作はじっと霞を見た。
「わかった。でもどうやって。」霞は答えた。大作は、昼間にあんな光景を見たのに霞がビビっていないのに好意を持ったようだった。
「そうかい。玲香も手伝ってくれるんだな。それはよかった。仲間は多くいる。作業が始まる前に位置について奴らを一斉に襲う。そうして手出しができないようにして電磁スクリーンのスイッチを破壊して外に出る。」大作は言った。
「でも出た後は? すぐにつかまるか、殺されてしまうかも。」霞は言った。
「その時はその時だ。どうせここにいれば皆、死んでしまうだろう。それならイチかバチか、やってみるだけよ! 今ならまだ逃げるだけの体力は残っている。」大作は言った。
(稚拙な計画だわ。でもこれに乗った方が怪しまれずに済む。外に出れば仲間の協力が得られる。)霞は思った。
「ええ、いいわ。決行はいつ?」霞は尋ねた。
「すぐに決行した方がいい。明日朝はどうだ? 仲間にはそう言っておく。」大作は言った。
森の中のオフロード車の中で半蔵たちは焦りを感じていた。
「おかしい。霞からの連絡がありません。何かあったのかも・・・」疾風が言った。
「洞窟周囲にも動きはありません。」佐助も言った。児雷也は何度も何度も故障していないか、機器をチェックしていた。もしかしたら…という不安が広がっていた。半蔵はじっと腕組みをしていた。彼も同様に不安を感じていた。しかし、
「信じよう。霞を。彼女ならやり遂げるはずだ。もしそうでなくても何らかの動きを見せるはずだ。」と静かに言った。それを聞いて3人はうなずいた。
朝になり霞は小屋から出た。すると大作がすうっと寄ってきて耳打ちした。
「今朝、決行する。」
霞は小さくうなずいた。大作はしばらく行って振り返ると霞に目配せした。
(これは!)ジャコ―取締官は驚きを隠せなかった。それはM3地域の潜入を命じた地球人のスパイの亡骸だった。
(潜入に失敗したか・・・)もうこれで3人目となる。この作戦はやはり難しいのか・・・ジャコー取締官は唇をかみしめた。
夜になって作業が終わり、疲れた人たちは小屋に入って雑魚寝した。いびきが聞こえ、辺りは皆、寝入ったようだった。霞は寝たふりをしていると、「トントン」と肩を叩くものがあった。霞は目を開けて静かにその方を見た。そこには大作がいた。
「ちょっと話がある。外に。」大作はひそめた声で言った。霞はうなずくと静かに彼の後について小屋の外に出た。
「すまなかったな。疲れているのに。ええと・・・玲香だったな。」大作が言った。
「ええ。話って?」
「単刀直入に言おう。ここから脱出しよう。みんなと力を合わせて。」大作はじっと霞を見た。
「わかった。でもどうやって。」霞は答えた。大作は、昼間にあんな光景を見たのに霞がビビっていないのに好意を持ったようだった。
「そうかい。玲香も手伝ってくれるんだな。それはよかった。仲間は多くいる。作業が始まる前に位置について奴らを一斉に襲う。そうして手出しができないようにして電磁スクリーンのスイッチを破壊して外に出る。」大作は言った。
「でも出た後は? すぐにつかまるか、殺されてしまうかも。」霞は言った。
「その時はその時だ。どうせここにいれば皆、死んでしまうだろう。それならイチかバチか、やってみるだけよ! 今ならまだ逃げるだけの体力は残っている。」大作は言った。
(稚拙な計画だわ。でもこれに乗った方が怪しまれずに済む。外に出れば仲間の協力が得られる。)霞は思った。
「ええ、いいわ。決行はいつ?」霞は尋ねた。
「すぐに決行した方がいい。明日朝はどうだ? 仲間にはそう言っておく。」大作は言った。
森の中のオフロード車の中で半蔵たちは焦りを感じていた。
「おかしい。霞からの連絡がありません。何かあったのかも・・・」疾風が言った。
「洞窟周囲にも動きはありません。」佐助も言った。児雷也は何度も何度も故障していないか、機器をチェックしていた。もしかしたら…という不安が広がっていた。半蔵はじっと腕組みをしていた。彼も同様に不安を感じていた。しかし、
「信じよう。霞を。彼女ならやり遂げるはずだ。もしそうでなくても何らかの動きを見せるはずだ。」と静かに言った。それを聞いて3人はうなずいた。
朝になり霞は小屋から出た。すると大作がすうっと寄ってきて耳打ちした。
「今朝、決行する。」
霞は小さくうなずいた。大作はしばらく行って振り返ると霞に目配せした。
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