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第8章 父の姿
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サングラスをかけた男が周囲を警戒しながらある屋敷に入って行った。そこには一人のマコウ人が待っていた。
「よく来られた。待ってましたよ。」
「ひやひやしましたよ。今回は。でもうまくいきました。」男はサングラスを外しながら言った。
「これもあなたのおかげです。山根課長!」マコウ人の前にいるのは調査課の山根課長、その人だった。
「これで今まで通り。私が地球代表部の情報を売る。」
「そして私が報酬を渡す。ウインウインですな。」マコウ人が笑いながら言った。
「第4係を潰したからこれで我らを脅かす者はない。奴ら、この関係をかぎつけてきていたからな。」山根も笑顔で返した。すると部屋の電気が消えた。そして
「フフフフ・・・」その部屋にいきなり笑い声が響き渡った。
「何者だ!」山根は辺りを見渡した。暗がりでよく見えず、ライターに火をつけた。すると壁にいくつかの人影が浮かび上がった。
「うわっ!」驚いた山根とマコウ人はあわててその部屋を出た。それでもその人影が近づいてくる。それは5つあった。
「許さぬ・・・許さぬ・・・」その声は彼らを追いかけてきた。山根とマコウ人は屋敷の広い庭に出た。月が雲で隠れていたが、庭灯がわずかに辺りを照らしていた。
「まさか・・・」山根とマコウ人は顔を見合わせた。彼らの前にほのかに5つの人影が揺れていた。死んだ職員が幽霊になって来たのではないかと・・・彼らは恐怖に駆られていた。
「お前らが悪いんだ! 情報漏洩の件をつかんだからだ!」山根は叫んだ。
「やはりそうか!」その人影から一つ、前に出た。それは忍び装束の半蔵だった。
「貴様! 例の忍者か!」
「おおよそはつかんでおる。このマコウ人に何回も情報を売ったのであろう。それが第4係に知られ、自分の身が危なくなったお前はある計画を実行した。」半蔵は言った。その背後からまた一つ、人影が前に出た。それは疾風だった。
「第4係を偽情報でおびき寄せて監禁した。そこで自らが救出作戦に携わり、作戦のどさくさに紛れて職員を殺そうとした。事故に見せかけてな。だが地球代表部所属の特殊機動隊を使うつもりが、我らを使うことになったので計画が狂った。だから救出した職員を小型機に乗せて、それを爆破して殺害した。獅子身中の虫とはお前のことだ!」
「くそ! そこまで知られたか!」山根は唇を噛んだ。
「お前の動きは以前からマークされておる。もう言い逃れできんぞ!」疾風は言った。
「貴様ら忍者に何ができる!」マコウ人が叫んだ。
「我らは闇。闇に生まれ闇に生きる者。重大な機密を知る貴様らを公式には処罰できぬ。だがこんなことが許されようか・・・いや決して許すことはできぬ。」半蔵は言った。
「お前たちのためにどれほどの人が悲しんでいることか!」疾風は声を上げた。
「貴様らは我らが地獄に案内仕る!」半蔵はそう言うとレーザー刀を抜いた。それに合わせて疾風も刀を抜き、その背後にいる児雷也と霞と佐助も姿を現して刀を抜いた。
「何を! 貴様らこそ世間を騒がす輩! ここで討ち倒してやるわ!」マコウ人は持っていたカバンからカプセルを取り出し、バイオノイドを出現させた。
「やれ! こいつらを叩っ斬れ!」マコウ人の言葉にバイオノイドが剣を抜いて忍者たちに向かって来た。
「バサッ!」半蔵は袈裟斬りでバイオノイドを倒した。そして山根とマコウ人の方に近づいた。その顔は鬼のように険しかった。
「やれ! こいつらをやるんだ!」山根は恐怖に駆られて叫んだ。半蔵の前にバイオノイドが立ちふさがった。疾風はそこに割って入り、バイオノイドを斬り倒していった。その周囲では児雷也と霞と佐助がバイオノイドと戦いを繰り広げていた。数多く出現させたバイオノイドは次々に倒され、やがてすべて消えてなくなった。
「これで貴様らの最期だ!」疾風が言った。
「何を!」山根は落ちていた剣を拾って疾風に斬りかかってきた。疾風は刀を横に払って通り過ぎた。
「ドサッ!」疾風の背後で山根は倒れた。
「あわわわ・・・」マコウ人は恐怖で後ろに逃げた。半蔵は飛び上がってその前に立ち、刀をマコウ人の首元に突き付けた。
「ゆ、許してくれ! 命は取らないでくれ!」マコウ人は震えていた。
「お前の主人に言え! このようなことをしていると次はお前だとな!」半蔵はそう言って刀を引いた。
「ひいーっ!」マコウ人は慌てて逃げて行った。
総督府に大山参事が呼ばれていた。寒々とした、だだっ広い会議室のソファに大山参事はマコウ人に囲まれて座らされた。
「この度のこと、どう説明する!」前に座るサンキン局長が問い詰めていた。その横でリカード管理官が大山参事をじっと見ていた。
「アハマの視察に出た職員が飛行時事故で亡くなったのは事実です。しかし秘密にしていることなどありません。」大山参事は答えた。
「そうかな? その職員は機密を扱う部署ではなかったのかな? そのために職員が拉致されたのではないのか?」サンキン局長はさらに問うてきた。だが、
「担当課長が急に亡くなりまして、その辺のことは不明です。しかし調査しましたが不審なことはありませんでした。」大山参事は冷静に言った。彼は今回の事件については絶対、マコウ人には何も言うまいと決めていた。
「しかしな・・・」サンキン局長がさらに問い詰めようとするのをリカード管理官が手で制した。
「大山参事。このような仕事をしていると機密事項の一つや二つは必ずあろう。しかしそれを隠していると必ず手痛いしっぺ返しを食らうことになる。覚えておかれた方がいい。」リカード管理官はそう言って席を立った。大山参事はリカード管理官に強い威圧感を覚え、冷や汗を流していた。
「では、今日はこの辺で・・・」サンキン局長も席を立ち、リカード管理官の後を追った。
リカード管理官は廊下を歩きながら窓の外の景色を見ていた。そこには明るい日の光にあふれていた。
「地球人め・・・」リカード管理官はそう呟いた。
翔は気になってまた蓮の家の前まで来ていた。今日は外に蓮の姿はなかった。
「蓮はどうしているのか・・・」翔はその場でたたずんでいた。彼の脳裏にはまた幼い頃の記憶がよみがえっていた。
父が死んだと聞かされ、疾風は落ち込んでずっと家に閉じこもっていた。祖母は心配して言葉をかけたが、疾風は心を開こうとしなかった。
そこに先代のお頭がふいに家を訪れてきた。彼は疾風を横に座らせて話し始めた。
「お前の父は立派な忍びだった。任務を達成するため、そして仲間の命、いや多くの人を救うために散って行ったのだ・・・」
先代のお頭は疾風の父の話をたくさんしてくれた。そこで父の本当の姿を知った。父は闇の者だった。疾風はそれを聞いていくうちに、自分の信じる者のために生きた父を誇りに思うようになった。そして自分も父と同じようになりたいと思った。
「お頭。僕は父の跡を継ぎたい。」疾風は幼いながらも決心した。
「厳しい鍛錬、辛い日々が待っているぞ。しかも人の情を捨てねばならんぞ。それでもいいのか?」先代のお頭は疾風の目をじっと見て問うた。
「はい。」疾風はおおきくうなずいた。
しばらく待っていると蓮が外に出て来た。彼は翔の姿を見つけて駆け寄ってきた。
「この間はごめんよ。あんなこと言って・・・お兄さんが悪いわけじゃないのに・・・」蓮は言った。
「いや、いいんだ。」
「昨日ね、地球代表部の代理の人が来たんだ。お父さんの話をたくさんしてくれたよ。」蓮は言った。
「そうか。それはよかった。」翔は微笑んだ。その代理の男はお頭だと翔は直感した。
「僕もいつまでもくよくよしないと決めたんだ。その方がお父さんは喜ぶって。そして決めたんだ。僕は将来、お父さんのように人の役に立つ仕事に就く。」蓮の目は輝いていた。それは明日への希望をはっきり持ったからだった。蓮なら父を失った悲しみに打ち勝って生きていける・・・翔はそう確信した。
「だからお兄さんに頼みがあるんだ。」蓮は言った。
「何だい?」
「お父さんが勤めていた地球代表部を見たいんだ。連れて行っておくれよ。」
「ああ。わかった。中は見学できるだろう。その前におばあさんにあいさつしてからな。」
2人は連れ立って蓮の家の入っていった。明るい日差しが2人を照らしていた。
「よく来られた。待ってましたよ。」
「ひやひやしましたよ。今回は。でもうまくいきました。」男はサングラスを外しながら言った。
「これもあなたのおかげです。山根課長!」マコウ人の前にいるのは調査課の山根課長、その人だった。
「これで今まで通り。私が地球代表部の情報を売る。」
「そして私が報酬を渡す。ウインウインですな。」マコウ人が笑いながら言った。
「第4係を潰したからこれで我らを脅かす者はない。奴ら、この関係をかぎつけてきていたからな。」山根も笑顔で返した。すると部屋の電気が消えた。そして
「フフフフ・・・」その部屋にいきなり笑い声が響き渡った。
「何者だ!」山根は辺りを見渡した。暗がりでよく見えず、ライターに火をつけた。すると壁にいくつかの人影が浮かび上がった。
「うわっ!」驚いた山根とマコウ人はあわててその部屋を出た。それでもその人影が近づいてくる。それは5つあった。
「許さぬ・・・許さぬ・・・」その声は彼らを追いかけてきた。山根とマコウ人は屋敷の広い庭に出た。月が雲で隠れていたが、庭灯がわずかに辺りを照らしていた。
「まさか・・・」山根とマコウ人は顔を見合わせた。彼らの前にほのかに5つの人影が揺れていた。死んだ職員が幽霊になって来たのではないかと・・・彼らは恐怖に駆られていた。
「お前らが悪いんだ! 情報漏洩の件をつかんだからだ!」山根は叫んだ。
「やはりそうか!」その人影から一つ、前に出た。それは忍び装束の半蔵だった。
「貴様! 例の忍者か!」
「おおよそはつかんでおる。このマコウ人に何回も情報を売ったのであろう。それが第4係に知られ、自分の身が危なくなったお前はある計画を実行した。」半蔵は言った。その背後からまた一つ、人影が前に出た。それは疾風だった。
「第4係を偽情報でおびき寄せて監禁した。そこで自らが救出作戦に携わり、作戦のどさくさに紛れて職員を殺そうとした。事故に見せかけてな。だが地球代表部所属の特殊機動隊を使うつもりが、我らを使うことになったので計画が狂った。だから救出した職員を小型機に乗せて、それを爆破して殺害した。獅子身中の虫とはお前のことだ!」
「くそ! そこまで知られたか!」山根は唇を噛んだ。
「お前の動きは以前からマークされておる。もう言い逃れできんぞ!」疾風は言った。
「貴様ら忍者に何ができる!」マコウ人が叫んだ。
「我らは闇。闇に生まれ闇に生きる者。重大な機密を知る貴様らを公式には処罰できぬ。だがこんなことが許されようか・・・いや決して許すことはできぬ。」半蔵は言った。
「お前たちのためにどれほどの人が悲しんでいることか!」疾風は声を上げた。
「貴様らは我らが地獄に案内仕る!」半蔵はそう言うとレーザー刀を抜いた。それに合わせて疾風も刀を抜き、その背後にいる児雷也と霞と佐助も姿を現して刀を抜いた。
「何を! 貴様らこそ世間を騒がす輩! ここで討ち倒してやるわ!」マコウ人は持っていたカバンからカプセルを取り出し、バイオノイドを出現させた。
「やれ! こいつらを叩っ斬れ!」マコウ人の言葉にバイオノイドが剣を抜いて忍者たちに向かって来た。
「バサッ!」半蔵は袈裟斬りでバイオノイドを倒した。そして山根とマコウ人の方に近づいた。その顔は鬼のように険しかった。
「やれ! こいつらをやるんだ!」山根は恐怖に駆られて叫んだ。半蔵の前にバイオノイドが立ちふさがった。疾風はそこに割って入り、バイオノイドを斬り倒していった。その周囲では児雷也と霞と佐助がバイオノイドと戦いを繰り広げていた。数多く出現させたバイオノイドは次々に倒され、やがてすべて消えてなくなった。
「これで貴様らの最期だ!」疾風が言った。
「何を!」山根は落ちていた剣を拾って疾風に斬りかかってきた。疾風は刀を横に払って通り過ぎた。
「ドサッ!」疾風の背後で山根は倒れた。
「あわわわ・・・」マコウ人は恐怖で後ろに逃げた。半蔵は飛び上がってその前に立ち、刀をマコウ人の首元に突き付けた。
「ゆ、許してくれ! 命は取らないでくれ!」マコウ人は震えていた。
「お前の主人に言え! このようなことをしていると次はお前だとな!」半蔵はそう言って刀を引いた。
「ひいーっ!」マコウ人は慌てて逃げて行った。
総督府に大山参事が呼ばれていた。寒々とした、だだっ広い会議室のソファに大山参事はマコウ人に囲まれて座らされた。
「この度のこと、どう説明する!」前に座るサンキン局長が問い詰めていた。その横でリカード管理官が大山参事をじっと見ていた。
「アハマの視察に出た職員が飛行時事故で亡くなったのは事実です。しかし秘密にしていることなどありません。」大山参事は答えた。
「そうかな? その職員は機密を扱う部署ではなかったのかな? そのために職員が拉致されたのではないのか?」サンキン局長はさらに問うてきた。だが、
「担当課長が急に亡くなりまして、その辺のことは不明です。しかし調査しましたが不審なことはありませんでした。」大山参事は冷静に言った。彼は今回の事件については絶対、マコウ人には何も言うまいと決めていた。
「しかしな・・・」サンキン局長がさらに問い詰めようとするのをリカード管理官が手で制した。
「大山参事。このような仕事をしていると機密事項の一つや二つは必ずあろう。しかしそれを隠していると必ず手痛いしっぺ返しを食らうことになる。覚えておかれた方がいい。」リカード管理官はそう言って席を立った。大山参事はリカード管理官に強い威圧感を覚え、冷や汗を流していた。
「では、今日はこの辺で・・・」サンキン局長も席を立ち、リカード管理官の後を追った。
リカード管理官は廊下を歩きながら窓の外の景色を見ていた。そこには明るい日の光にあふれていた。
「地球人め・・・」リカード管理官はそう呟いた。
翔は気になってまた蓮の家の前まで来ていた。今日は外に蓮の姿はなかった。
「蓮はどうしているのか・・・」翔はその場でたたずんでいた。彼の脳裏にはまた幼い頃の記憶がよみがえっていた。
父が死んだと聞かされ、疾風は落ち込んでずっと家に閉じこもっていた。祖母は心配して言葉をかけたが、疾風は心を開こうとしなかった。
そこに先代のお頭がふいに家を訪れてきた。彼は疾風を横に座らせて話し始めた。
「お前の父は立派な忍びだった。任務を達成するため、そして仲間の命、いや多くの人を救うために散って行ったのだ・・・」
先代のお頭は疾風の父の話をたくさんしてくれた。そこで父の本当の姿を知った。父は闇の者だった。疾風はそれを聞いていくうちに、自分の信じる者のために生きた父を誇りに思うようになった。そして自分も父と同じようになりたいと思った。
「お頭。僕は父の跡を継ぎたい。」疾風は幼いながらも決心した。
「厳しい鍛錬、辛い日々が待っているぞ。しかも人の情を捨てねばならんぞ。それでもいいのか?」先代のお頭は疾風の目をじっと見て問うた。
「はい。」疾風はおおきくうなずいた。
しばらく待っていると蓮が外に出て来た。彼は翔の姿を見つけて駆け寄ってきた。
「この間はごめんよ。あんなこと言って・・・お兄さんが悪いわけじゃないのに・・・」蓮は言った。
「いや、いいんだ。」
「昨日ね、地球代表部の代理の人が来たんだ。お父さんの話をたくさんしてくれたよ。」蓮は言った。
「そうか。それはよかった。」翔は微笑んだ。その代理の男はお頭だと翔は直感した。
「僕もいつまでもくよくよしないと決めたんだ。その方がお父さんは喜ぶって。そして決めたんだ。僕は将来、お父さんのように人の役に立つ仕事に就く。」蓮の目は輝いていた。それは明日への希望をはっきり持ったからだった。蓮なら父を失った悲しみに打ち勝って生きていける・・・翔はそう確信した。
「だからお兄さんに頼みがあるんだ。」蓮は言った。
「何だい?」
「お父さんが勤めていた地球代表部を見たいんだ。連れて行っておくれよ。」
「ああ。わかった。中は見学できるだろう。その前におばあさんにあいさつしてからな。」
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