闇の者

広之新

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第4章 ちぐはぐな部品

復讐

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 夜の地球取締局の事務所に人の声が聞こえていた。その事務所の周囲は厳重に警備されていたが、中は爆破される危険があったため、立ち入り禁止にしていたはずだった。
「奴は始末した。邪魔する者がいたが、もう大丈夫だろう。最後の爆弾が手に入った。」
「ああ、あの男がいい爆弾を作ってくれた。後はこれで最後の仕上げだ。」
「どこをやればいいのか?」
「ふふふ。今度は取締局本部だ。そこを爆破されればヤエクも面目を失うだろう。そうすれば俺が警備部長だ。じゃあ、警備の情報は教えるから仕掛けて来てくれ。」それはダバ主任だった。
「悪い奴だな。こんなことを思いつくとは。」
「お前もな。俺が警備部長になれば、お前を通してウクラ星のバイオノイドを大量に購入することになるだろう。地球自治運動の過激派を抑える目的でな。傭兵上がりのお前にはもったいない話だな。はっはっは。」
「その時は頼むぜ!はっはっは。」その男はウクラ星人だった。彼は圭吾を殺し爆弾を持ち去った者だった。2人の笑い声が事務所に響き渡った。だが、
「はっはっはっは・・・」別の笑い声が混じっているのに気付いた。
「何者だ!」ダバ主任は叫んだ。ウクラ星人はナイフを手に取って周囲を見渡した。すると部屋の隅の暗がりに人の影が見えた。
「誰だ!」ダバ主任が言った。すると暗がりから2つの影が浮かび上がった。それは忍び装束を身にまとっていた。
「貴様ら!例の忍者か!最近、街中を騒がしているという。」ダバ主任が指さして言った。
「お前らこそ世間を大いに騒がしているであろう。私利私欲のため、山根圭吾を脅迫して爆弾を作らせ、それで地球取締局の事務所を爆破して多くの人を殺めてな。」半蔵は言った。
「しかも邪魔になった山根圭吾まで殺した。」児雷也は言った。
「何を!」ウクラ星人はとっさにナイフを投げつけた。
「カーン!」児雷也はレーザー刀を素早く抜いて叩き落とした。
「果たしてこんなことが許されるだろうか・・・いいや、決して許されぬ。」半蔵は言った。すると暗がりから疾風と霞と佐助も姿を現した。5人がレーザー刀を抜いていた。
「貴様ら! 我らに刀を向けるつもりか!」ダバ主任は恐怖を覚えながらもそう言った。
「我らは闇だ。闇に生まれ、闇に生きる者。たとえ天が許しても我らは許さぬ。貴様らを地獄に案内仕る。」半蔵は言った。
「知られたからには生きてここから出さぬ。お前たちならば斬り捨てても誰も文句を言うまい。やれ!」ダバ主任が言うと、ウクラ星人はカプセルから多数のバイオノイドを出した。
「ウクラ星のバイオノイドだ。けた違いに強いぞ。うかつだったな。」ウクラ星人が言った。
「それはどうかな?」半蔵がレーザー刀を構えた。
「やれ!」ウクラ星人が叫ぶと戦士たちが5人に向かって来た。
ウクラ星の戦士たちは二刀流で右、左と剣を繰り出してきた。それをレーザー刀で次々に受けていった。
「ふふふ。我が星のバイオノイドは最強の部類に属する。マコウ人のバイオノイドとはわけが違うぞ。」ウクラ星人は不気味に笑いながら言った。
半蔵たちは剣を受けたり避けたりしていたが、少しずつ後ろに下がっていた。
「今だ!行け!」ウクラ星人が言った。バイオノイドは大きく剣を振り上げたが、それは柱や資料棚にぶつかって振り下ろすことができなかった。その隙に半蔵たちは刀を小さく横に払った。
「ビシッ!」と音を立ててバイオノイドが斬られ、床に転がった。
「おのれ!」ウクラ星人は落ちている剣を拾った。するとその前に
「俺が相手だ!」児雷也が立ちふさがった。
「こいつは俺がやります。手出ししないでください。」児雷也は言った。半蔵たちはうなずいて少し後ろに下がった。
「俺は、元は傭兵だ。ナイフや剣なら得意中の得意だ。俺の前に立ったことを後悔させてやる。」ウクラ星人は言った。
「散っていった人々の無念を晴らしてやる!」児雷也はレーザー刀を構えた。ウクラ星人は左手で剣をもち、右手でナイフを振り上げていた。児雷也との間合いを図りながら、少しずつ近づいてきた。児雷也は少しずつ左に体を移しながら、刀を横に下げた。しばらくの間、沈黙が続いた。
「ヤアー!」その静けさを破るように、ウクラ星人はナイフを投げた。それを児雷也は刀で叩き落とした。そこにウクラ星人は踏み込んで剣を振り下ろしてきた。
「ズバッ!」と音がした。児雷也の振り上げた刀は、向かってくる剣が届く前にウクラ星人を斬り裂いた。
「ぐあー!」と血しぶきを上げてウクラ星人はばったりと倒れた。
「うぐぐぐ・・・」ダバ主任は恐怖で声にもならない音を漏らしていた。
「お前はどうする?向かってくるか? それとも取締局に自首するか?」半蔵が言った。
「うぐ・・・貴様らなどに誰が!こうなったら道連れにしてくれる!」ダバ主任は近くにあった爆弾のスイッチを押した。

「ドッカーン!」大きな音がして事務所から炎が上がった。
「やられたか!」周囲を警備していた取締官は悔しそうに叫んだ。その炎は事務所を焼き尽くしてもうもうと煙を吐き、中は粉々に破壊されているようだった。
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