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第7章 ダーゼン寺院
剣と剣
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門のところからリーカーが現れた。
「その決闘を受ける!」
「リーカー。やめるのだ!」
ナガス管長は止めようとした。
「いえ、お止めくださるな。剣士として決闘を申し込まれたからには逃げるわけにいかぬ」
リーカーはマークスの前に出て来た。
「いい心構えだ! リーカー! 剣士の生き様を教えてやる!」
マークスは剣の柄に手をかけてリーカーとの間合いを詰めてきた。リーカーも剣の柄に手をかけた。
「マークス様!」
ミラウスが剣を抜いてそばに寄ろうとしたが、
「来るな! これは1対1の決闘だ! 手出し無用!」
とマークスは声を上げた。それを聞いてミラウスは思いとどまった。
「姑息な魔法など使わぬ。正々堂々かかって来い!」
マークスはリーカーに言った。両者は柄に手をかけたまま、その間合いを保ちながら左に回り始めた。言い知れぬほどの緊張感が辺りを包んでいた。
(腕前はマークスの方が上だ。しかしリーカーには必死さがある。それを考えると五分と五分・・・はたして・・・)
2人の戦いを見ているナガス管長はそう思っていた。2人はにらみ合ったままそのまましばらく時間が流れた。
「ヤーッ!」
その静寂を打ち破ってマークスが剣を抜いてリーカーに斬りかかった。リーカーも剣を抜いてその剣を受け止めてはね返すと、今度は斬り返した。だがそれをひらりと避けたマークスが剣を振り下ろしてきた・・・両者の剣がぶつかって火花を飛ばしていた。
「マークス様・・・」
ミラウスは加勢できない自分を歯がゆく思っていた。自分であれば魔法力をフルに使ってリーカーをすぐに葬るのに・・・なぜ、マークス様は剣士としてのメンツにこだわるのか・・・ミラウスは唇をかんでいた。
リーカーとマークスは剣を合わせ、また離れ、そして駆け回り・・・門から離れて丘の方にまで戦いの場を移していた。お互いに五分と五分、死力を尽くしていた。
「カキーン!」
また剣が合わさり鍔競り合いになった。お互いに顔と顔を向け合った。マークスが言った。
「リーカー! エミリー様だけでもこちらに渡すのだ!」
「エミリーは渡せぬ。亡き妻に誓ったのだ。エミリーを守り抜くと!」
リーカーはそう声を上げた。
「貴様は追われる身だ。エミリー様まで危険が及ぶ」
「いや、私が狙いではない。エミリーが狙いなのだ」
「なに!」
マークスは驚いた。
「ワーロンが企んでいる。いや、その背後に何者かがいるのだ!」
リーカーはそう言って剣を押し戻してマークスから離れた。2人の間に少しばかり距離ができた。
「しかしこうなったからには剣士としての意地がある。貴様を倒す!」
マークスは剣を大上段に構えた。
「望むところ・・・我らは道を切り開かねば前に進めぬ」
リーカーも剣を構えなおした。
「いざ!」
2人が必殺の剣を放とうとお互いに駆け寄った。そして両者は交差し、
「カキーン! グサ!」
と音が響き渡り、そのまま通り過ぎた。しばらく2人は動かずそのままだった。
しばらくしてリーカーが振り返った。肩から袈裟斬りに斬られていたがそこは鉄に置き換わっており、リーカーは無事だった。
「リーカー! 見事だった・・・」
そう言うとマークスは崩れるように倒れた。リーカーも振り返ってマークスを見た。マークスは深手を受けていたがまだ生きていた。彼は何とか身を起こした。リーカーが声をかけた。
「さらばだ」
「なぜ止めを刺さぬ? 生かしておくとまた貴様を斬りに来るぞ」
マークスは息も絶え絶えに言った。
「あなたにはもはやその気はないはず・・・」
リーカーはその場を離れた。
「待て!」
ミラウスがその後を追おうとしたが、
「追うな!」
とマークスが止めた。ミラウスはマークスの方を向いた。
「なぜです!」
「今回のことは陰謀のにおいがする。予想もつかないほど大きな・・・。だからリーカーを斬っても解決せぬ。だからお前に頼みがある」
「何でしょうか?」
ミラウスはマークスを抱き起した。
「私のことはもう構うな。それより王宮のサランサ様の元へ行け! サランサ様のお力を借りて、一体、何が行われているかを調べるのだ。そして魔騎士の誇りにかけて女王様をお守りするのだ」
「はっ。心得ました」
「さあ、行け!」
ミラウスはそっとマークスを下した。そして頭を下げると魔兵を連れて王宮に向かって行った。
マークス体を少し起こし、はかすかに見えるリーカーの後姿を見ていた。
「リーカー! 貴様の意志は確かに受け取った。このマークス、王宮の陰謀を阻止する。この傷が癒えたら王宮に向かうからな。それまでは生きているのだ!」
◇◇◇◇
寺院の門のところにはエミリーが心配して出て来ていた。彼女はリーカーを見ると、
「パパ!」
と声をかけて駆け寄った。リーカーはエミリーを抱き上げた。
「ここから出るぞ!」
それを聞いてナガス管長が尋ねた。
「ここから行かれるのですか?」
「はい。私の居場所が知れた以上、ここには私を狙う魔騎士たちが押し寄せるでしょう。大変なご迷惑をかける。私は自らの道を切り開くため、エミリーと別の場所に移ります」
「そうか。ならば止めはせぬ。くれぐれも気をつけてな」
ナガス管長は大きくうなずいてそう言った。
リーカーとエミリーはまた道を歩き始めた。彼らを狙う追っ手から逃れるために・・・。
「その決闘を受ける!」
「リーカー。やめるのだ!」
ナガス管長は止めようとした。
「いえ、お止めくださるな。剣士として決闘を申し込まれたからには逃げるわけにいかぬ」
リーカーはマークスの前に出て来た。
「いい心構えだ! リーカー! 剣士の生き様を教えてやる!」
マークスは剣の柄に手をかけてリーカーとの間合いを詰めてきた。リーカーも剣の柄に手をかけた。
「マークス様!」
ミラウスが剣を抜いてそばに寄ろうとしたが、
「来るな! これは1対1の決闘だ! 手出し無用!」
とマークスは声を上げた。それを聞いてミラウスは思いとどまった。
「姑息な魔法など使わぬ。正々堂々かかって来い!」
マークスはリーカーに言った。両者は柄に手をかけたまま、その間合いを保ちながら左に回り始めた。言い知れぬほどの緊張感が辺りを包んでいた。
(腕前はマークスの方が上だ。しかしリーカーには必死さがある。それを考えると五分と五分・・・はたして・・・)
2人の戦いを見ているナガス管長はそう思っていた。2人はにらみ合ったままそのまましばらく時間が流れた。
「ヤーッ!」
その静寂を打ち破ってマークスが剣を抜いてリーカーに斬りかかった。リーカーも剣を抜いてその剣を受け止めてはね返すと、今度は斬り返した。だがそれをひらりと避けたマークスが剣を振り下ろしてきた・・・両者の剣がぶつかって火花を飛ばしていた。
「マークス様・・・」
ミラウスは加勢できない自分を歯がゆく思っていた。自分であれば魔法力をフルに使ってリーカーをすぐに葬るのに・・・なぜ、マークス様は剣士としてのメンツにこだわるのか・・・ミラウスは唇をかんでいた。
リーカーとマークスは剣を合わせ、また離れ、そして駆け回り・・・門から離れて丘の方にまで戦いの場を移していた。お互いに五分と五分、死力を尽くしていた。
「カキーン!」
また剣が合わさり鍔競り合いになった。お互いに顔と顔を向け合った。マークスが言った。
「リーカー! エミリー様だけでもこちらに渡すのだ!」
「エミリーは渡せぬ。亡き妻に誓ったのだ。エミリーを守り抜くと!」
リーカーはそう声を上げた。
「貴様は追われる身だ。エミリー様まで危険が及ぶ」
「いや、私が狙いではない。エミリーが狙いなのだ」
「なに!」
マークスは驚いた。
「ワーロンが企んでいる。いや、その背後に何者かがいるのだ!」
リーカーはそう言って剣を押し戻してマークスから離れた。2人の間に少しばかり距離ができた。
「しかしこうなったからには剣士としての意地がある。貴様を倒す!」
マークスは剣を大上段に構えた。
「望むところ・・・我らは道を切り開かねば前に進めぬ」
リーカーも剣を構えなおした。
「いざ!」
2人が必殺の剣を放とうとお互いに駆け寄った。そして両者は交差し、
「カキーン! グサ!」
と音が響き渡り、そのまま通り過ぎた。しばらく2人は動かずそのままだった。
しばらくしてリーカーが振り返った。肩から袈裟斬りに斬られていたがそこは鉄に置き換わっており、リーカーは無事だった。
「リーカー! 見事だった・・・」
そう言うとマークスは崩れるように倒れた。リーカーも振り返ってマークスを見た。マークスは深手を受けていたがまだ生きていた。彼は何とか身を起こした。リーカーが声をかけた。
「さらばだ」
「なぜ止めを刺さぬ? 生かしておくとまた貴様を斬りに来るぞ」
マークスは息も絶え絶えに言った。
「あなたにはもはやその気はないはず・・・」
リーカーはその場を離れた。
「待て!」
ミラウスがその後を追おうとしたが、
「追うな!」
とマークスが止めた。ミラウスはマークスの方を向いた。
「なぜです!」
「今回のことは陰謀のにおいがする。予想もつかないほど大きな・・・。だからリーカーを斬っても解決せぬ。だからお前に頼みがある」
「何でしょうか?」
ミラウスはマークスを抱き起した。
「私のことはもう構うな。それより王宮のサランサ様の元へ行け! サランサ様のお力を借りて、一体、何が行われているかを調べるのだ。そして魔騎士の誇りにかけて女王様をお守りするのだ」
「はっ。心得ました」
「さあ、行け!」
ミラウスはそっとマークスを下した。そして頭を下げると魔兵を連れて王宮に向かって行った。
マークス体を少し起こし、はかすかに見えるリーカーの後姿を見ていた。
「リーカー! 貴様の意志は確かに受け取った。このマークス、王宮の陰謀を阻止する。この傷が癒えたら王宮に向かうからな。それまでは生きているのだ!」
◇◇◇◇
寺院の門のところにはエミリーが心配して出て来ていた。彼女はリーカーを見ると、
「パパ!」
と声をかけて駆け寄った。リーカーはエミリーを抱き上げた。
「ここから出るぞ!」
それを聞いてナガス管長が尋ねた。
「ここから行かれるのですか?」
「はい。私の居場所が知れた以上、ここには私を狙う魔騎士たちが押し寄せるでしょう。大変なご迷惑をかける。私は自らの道を切り開くため、エミリーと別の場所に移ります」
「そうか。ならば止めはせぬ。くれぐれも気をつけてな」
ナガス管長は大きくうなずいてそう言った。
リーカーとエミリーはまた道を歩き始めた。彼らを狙う追っ手から逃れるために・・・。
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