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第5章 ニールの港
裏街道の刺客
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ニールの港に向かってリーカーとエミリーは裏街道を進んでいた。そこは野原の中の一本道で身を隠すところはなかった。だが幸いなことに魔法の黒カラスは飛んでおらず、親子2人は誰にも知らせずまま港に入れるように思えた。
野原の中に寝転んでいる男が2人いた。滅多に人の通ることのない裏街道で彼らは網をかけていた。そこにリーカーたちが通りかかった。
「おっ? 誰か来る」
男の一人が気配を感じてが身を起こした。そして草の間から裏街道の方をのぞいた。
「ドン兄貴。親子連れが歩いていますぜ」
「親子連れ? どれどれ」
ドン兄貴と呼ばれた男も身を起こした。彼も2人の姿をとらえた。
「何か、訳アリのようですぜ」
「うーむ・・・。もしかすると・・・。おい、ヤス! こいつは大物かもしれねえぜ」
ドンは声を弾ませた。
「そうなんですか?」
「ああ、多分、あいつだ。リーカーだ」
「リーカー? あの妻殺しの?」
ヤスが目を見開いて驚いていた。
「そうだ。ザウス将軍から俺たち賞金稼ぎに情報があった奴だ。生け捕りだろうが死んでいようがばく大な賞金が出るっていう事だ」
「じゃあ、早速ここでやっちまいましょう」
ヤスは立ち上がろうとした。それをどんが右手で制した。
「ちょっと待て! 奴は魔法剣士らしい。それも手練れの。うっかり手を出したらこっちがやられてしまうぞ」
「じゃあ。指をくわえて見ているだけですかい?」
ヤスが残念そうに言った。
「君子危うきに近寄らずだ。別の獲物を探すか・・・」
ドンはそう言ってまた草むらに寝転んだ。するとその真上の空中に陰険な男の顔が浮かんでいるように見えた。
「ひいっ!」
ドンは驚いて飛び起きた。するとその顔は降りてきて黒いマントとトンガリ帽の男の姿になった。
「な、なんだ! 貴様!」
ドンとヤスはビビっていた。
「ふふふ。儂はウイッテ。お前たちに力を貸してやろうと思ってな」
その男は魔法使いのウイッテだった。ドンが聞いた。
「力を貸すって、どういうことだ?」
「あのリーカーを討ち取りたいのだろう」
「ああ、しかし奴は魔法も使える。それじゃあ、敵わない。剣だけなら俺たちでやれるのだが・・・」
ドンはあきらめたように言った。
「ははは。そんなことか。では奴が魔法を使えないようにしてやろう。それなら奴に挑むか?」
ウイッテは不気味に笑って言った。
「そ、そうなのか? それはありがてえ。それならやってやるさ。」
ドンは胸を叩いた。
「では手伝ってやろう。ただし魔法が使えなくなるのは、リーカーの周り10メートルだけだ」
「十分だ。それなら我らが討ち果てせる」
ドンがそう言うとヤスはうなずいた。
◇◇◇◇
王宮のワーロン将軍の執務室ではザウス隊長が情報を集めていた。
「リーカーはマールの町にいたらしいのですが、そこから姿を消したようです」
「マールか・・・。すると次はどこに?」
ワーロン将軍は地図をじっと見た。ザウスは答えた。
「ツーロンの町かダーセン寺院、ヤハト村・・・そんなところでしょうか。」
「いや・・・奴は裏をかくはず。ニールの港かもしれん」
ワーロン将軍の目が光った。
「まさか・・・かなりの難所を通らねばなりません」
「いや、だからこそ。人が通らぬからよいのかもしれん。マーカスに伝えて見よ」
ワーロン将軍は確信に満ちてそう言った。
◇◇◇◇
リーカーはエミリーとともに細い道を歩いていた。そこからはもう山に入る。その険しい山道を抜ければニールの港に着くはずだった。
「エミリー大丈夫か?」
リーカーが声をかけるとエミリーはうなずいた。しかしその顔には疲労の色があった。
「少し休むか・・・」
リーカーは大きな木の根元にエミリーを座らせた。そして魔法で水や食べ物を出そうとした。その時、リーカーは何かの気配を感じた。周囲に結界のようなものが張られている・・・そんな感じだった。
(なんだ? これは?)
気が付くと魔法をかけたはずだが、水や食べ物は出ていなかった。リーカーは再び魔法をかけたがやはり何も出ていなかった。
(魔法が使えぬ・・・)
すると矢が飛んできた。リーカーはすぐに剣を持つとそれを払った。それでも矢は次々に飛んできた。普段なら魔法の結界で防ぐところだが、それが使えないためエミリーを抱いて木の陰に隠れた。
「リーカー! 覚悟しろ!」
リーカーの前に男が現れた。それは弓に矢をつがえたヤスだった。
「何者だ?」
リーカーが声を上げた。
「賞金稼ぎのヤス! お前の首には懸賞金がかけられている。恨みはないが討たせてもらう!」
ヤスは矢を放った。それをリーカーが剣で払った。ヤスはまた矢をつがえてじりじりと近づいてきていた。
(もう少し、接近してくれば、次に矢を放った瞬間に飛び出せば斬ることができる!)
リーカーは間合いを図っていた。しかしリーカーの背後にもう一つ人影が迫っていた。それはナイフを投げ作ようとしているドンだった。リーカーが動いた瞬間、ナイフを投げて背中に突き立てようとしていた。
野原の中に寝転んでいる男が2人いた。滅多に人の通ることのない裏街道で彼らは網をかけていた。そこにリーカーたちが通りかかった。
「おっ? 誰か来る」
男の一人が気配を感じてが身を起こした。そして草の間から裏街道の方をのぞいた。
「ドン兄貴。親子連れが歩いていますぜ」
「親子連れ? どれどれ」
ドン兄貴と呼ばれた男も身を起こした。彼も2人の姿をとらえた。
「何か、訳アリのようですぜ」
「うーむ・・・。もしかすると・・・。おい、ヤス! こいつは大物かもしれねえぜ」
ドンは声を弾ませた。
「そうなんですか?」
「ああ、多分、あいつだ。リーカーだ」
「リーカー? あの妻殺しの?」
ヤスが目を見開いて驚いていた。
「そうだ。ザウス将軍から俺たち賞金稼ぎに情報があった奴だ。生け捕りだろうが死んでいようがばく大な賞金が出るっていう事だ」
「じゃあ、早速ここでやっちまいましょう」
ヤスは立ち上がろうとした。それをどんが右手で制した。
「ちょっと待て! 奴は魔法剣士らしい。それも手練れの。うっかり手を出したらこっちがやられてしまうぞ」
「じゃあ。指をくわえて見ているだけですかい?」
ヤスが残念そうに言った。
「君子危うきに近寄らずだ。別の獲物を探すか・・・」
ドンはそう言ってまた草むらに寝転んだ。するとその真上の空中に陰険な男の顔が浮かんでいるように見えた。
「ひいっ!」
ドンは驚いて飛び起きた。するとその顔は降りてきて黒いマントとトンガリ帽の男の姿になった。
「な、なんだ! 貴様!」
ドンとヤスはビビっていた。
「ふふふ。儂はウイッテ。お前たちに力を貸してやろうと思ってな」
その男は魔法使いのウイッテだった。ドンが聞いた。
「力を貸すって、どういうことだ?」
「あのリーカーを討ち取りたいのだろう」
「ああ、しかし奴は魔法も使える。それじゃあ、敵わない。剣だけなら俺たちでやれるのだが・・・」
ドンはあきらめたように言った。
「ははは。そんなことか。では奴が魔法を使えないようにしてやろう。それなら奴に挑むか?」
ウイッテは不気味に笑って言った。
「そ、そうなのか? それはありがてえ。それならやってやるさ。」
ドンは胸を叩いた。
「では手伝ってやろう。ただし魔法が使えなくなるのは、リーカーの周り10メートルだけだ」
「十分だ。それなら我らが討ち果てせる」
ドンがそう言うとヤスはうなずいた。
◇◇◇◇
王宮のワーロン将軍の執務室ではザウス隊長が情報を集めていた。
「リーカーはマールの町にいたらしいのですが、そこから姿を消したようです」
「マールか・・・。すると次はどこに?」
ワーロン将軍は地図をじっと見た。ザウスは答えた。
「ツーロンの町かダーセン寺院、ヤハト村・・・そんなところでしょうか。」
「いや・・・奴は裏をかくはず。ニールの港かもしれん」
ワーロン将軍の目が光った。
「まさか・・・かなりの難所を通らねばなりません」
「いや、だからこそ。人が通らぬからよいのかもしれん。マーカスに伝えて見よ」
ワーロン将軍は確信に満ちてそう言った。
◇◇◇◇
リーカーはエミリーとともに細い道を歩いていた。そこからはもう山に入る。その険しい山道を抜ければニールの港に着くはずだった。
「エミリー大丈夫か?」
リーカーが声をかけるとエミリーはうなずいた。しかしその顔には疲労の色があった。
「少し休むか・・・」
リーカーは大きな木の根元にエミリーを座らせた。そして魔法で水や食べ物を出そうとした。その時、リーカーは何かの気配を感じた。周囲に結界のようなものが張られている・・・そんな感じだった。
(なんだ? これは?)
気が付くと魔法をかけたはずだが、水や食べ物は出ていなかった。リーカーは再び魔法をかけたがやはり何も出ていなかった。
(魔法が使えぬ・・・)
すると矢が飛んできた。リーカーはすぐに剣を持つとそれを払った。それでも矢は次々に飛んできた。普段なら魔法の結界で防ぐところだが、それが使えないためエミリーを抱いて木の陰に隠れた。
「リーカー! 覚悟しろ!」
リーカーの前に男が現れた。それは弓に矢をつがえたヤスだった。
「何者だ?」
リーカーが声を上げた。
「賞金稼ぎのヤス! お前の首には懸賞金がかけられている。恨みはないが討たせてもらう!」
ヤスは矢を放った。それをリーカーが剣で払った。ヤスはまた矢をつがえてじりじりと近づいてきていた。
(もう少し、接近してくれば、次に矢を放った瞬間に飛び出せば斬ることができる!)
リーカーは間合いを図っていた。しかしリーカーの背後にもう一つ人影が迫っていた。それはナイフを投げ作ようとしているドンだった。リーカーが動いた瞬間、ナイフを投げて背中に突き立てようとしていた。
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