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第7章 父は巡検剣士 ーガオヤ村ー
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国境にキハダ山という険しい山があった。その峠は通行の難所で、道が険しくて薄暗く多くの旅人を苦しめていた。しかも山賊が出ることもあった。それでもガオヤ村に行くにはそこを通らねばならなかった。そこでその土地には王都から巡検剣士が派遣され、治安を守っていた。
今日も峠に山賊が出没したようで村中が大騒ぎになった。村人の一人が大急ぎで彼を呼びに行った。
「ジャード様、また山賊が!」
その声に畑を耕していた男が顔を上げた。
「山賊か! トータ。行くぞ!」
「はい。父上。」
それは剣士の親子らしかった。2人はすぐに剣を持つと山道を登り、峠に向かった。
「ふははは。身ぐるみすべておいていけ!」山賊の頭が逃げ遅れた旅人たちを取り囲んでいた。
「お願いです。命ばかりは。」旅人は身につけたものをすべて差し出した。
「女はおいていけ!売り飛ばしてやる!」その一行には若い女性もいた。
「そればかりはご勘弁を。私たちの大事な娘なのです。」娘の親が必死に頭を下げた。
「いや、ならぬ。言うことを聞かぬならお前から殺すぞ!」山賊の頭は剣を振り上げて脅した。その時、
「待て!」と村の者に呼ばれた男が走って来た。その後ろに少年がついてきていた。
「命が惜しくないのか!」山賊の頭が大声で怒鳴った。
「この村の巡検剣士、ジャードだ!旅人たちを放せ!」ジャードは鋭い目で威嚇して剣を抜く構えを見せた。
「今度はやられぬわ!皆の者、やれ!」山賊の頭が叫ぶと手下たちがジャードに向かって来た。ジャードも走り寄るとすっと剣を抜いて横に払った。すると向かってくる手下たちの服が真横に斬り裂かれた。
「うわっ!」手下たちは斬られた服を見て声を上げた。
「今度向かって来れば体を真っ二つにする。さあ、どうだ!」ジャードは剣を構えなおした。
「いつもいつも・・・しかしなぜ斬らぬ?我らにいらぬ情けでもかけようとするのか?」山賊の頭が訊いた。
「お前もこの村の出だろう。肉親がいなくなったはいえ、この村の者に違いない。心を入れ替えてここでまじめに働く気はないか?こんなことをしても何にもならんぞ。」ジャードは言った。
「うるさい!俺は・・・」山賊の頭は返す言葉がなくなっていた。
「待っているぞ。私は待っているぞ。」ジャードは微笑んだ。その言葉にどうにもならなくなった山賊の頭は
「く、くそ!覚えていろ!」と捨てセリフを残して逃げて行った。その後を、服を斬られた手下たちが追いかけて行った。
「もう安心だ。山賊たちはしばらく襲ってこないだろう。」ジャードは剣をしまった。
「ありがとうございます。」「ありがとうございます。」旅人たちは頭を下げて口々に礼を言った。
「いや、なんの、なんの。」ジャードは笑顔で答えていた。
「父上。お見事でした。」トータはジャードのそばに寄った。
「うむ。お前も剣の腕を磨いて早く一人前になれ。こうして人の役に立つことができる。」ジャードは言った。
「はい。」トータはそんな父が誇らしかった。不自由な山暮らしではあったが、父と一緒にいれることがうれしかった。
「あ、うううう・・・。」突然、ジャードが片膝をついて苦しみだした。持病の発作が出たようだった。
「父上!」トータは驚いてジャードの背中をさすった。ジャードは息も絶え絶えに苦悶の表情を浮かべていた。
「これはいかん!」群衆の中から一人の老人が出て来た。手入れされていない白髪に白いひげをした老人で、旅の者らしかった。彼はジャードのそばに寄って体の様子を診て、
「早くどこかで休ませた方がよい。どなたか手伝っていただけぬか。」と周りの人に声をかけた。
「ああ、大変だ。ジャード様の家にみんなで運ぼう。」村人がそう言ってジャードを運んでいった。
「うむ・・・。これは心の臓の発作。」老人がジャードを診ながら言った。
「この薬を。」トータは家にあった薬をもってきてジャードに飲ませた。
「うう・・・。」ジャードはその薬を飲んでやっと落ち着いたようだった。
「お助けいただいてかたじけない。」ジャードは老人に言った。
「いやいや、しかし前から心の臓の発作がありましたな。それで医者から薬をもらわれているのですな。」老人が言った。
「はい。時々こういうことがあります。」トータが言った。
「しばらくは安静にした方がよいですな。申し遅れました。私は旅の方術師のライリーと申します。」老人が言った。
「私は王様に任じられた巡検剣士のジャードと申します。そして息子のトータです。」ジャードが言った。
「巡検剣士の方でしたか。あの剣さばきはお見事でございました。」老人は言った。
「いや、お見苦しいところをお見せした。」ジャードは頭をかいた。
「しかしあの者たちをお斬りになりませんでしたな。」
「斬れば恨みが強くなろう。大掛かりで村を襲うかもしれぬ。それにあの者たちも人だ。きっと苦しんであのようなことをしているのであろう。だがいつかは心を入れ直してくれると信じている。ここは人も少ない。あの者たちがここの村を手伝ってくれたらありがたいのだが・・・いや、つまらぬことを言った。」ジャードは言った。
「いえ、ご立派な考えです。」老人はふかくうなずいた。
「ところでご老人はこの地には何のために?」ジャードが尋ねた。
「気が向くままの旅をしております。ここは気が休まりますゆえ、しばらく留まろうと思っております。」老人が答えた。
「しかし村には宿屋はありませんし・・・。もしよろしければしばらく、ここに泊られたらどうかな。大したおもてなしはできませんが。」ジャードが言った。
「そうさせていただければありがたいです。ご厄介になります。」老人はジャードの家に泊めてもらうことになった。
ガオヤ村は山に囲まれたところで、村人は細々と作物を作って暮らしていた。貧しい村なのだが村人たちは心優しく、倒れたジャードを次々に見舞いに来た。
「ジャード様。うちに畑で取れたものです。少しですがどうぞ。」
「煮物を作ってまいりました。お召し上がりください。」
「イノシシを獲ってきた。肉でも食べりゃ、精が出ますぜ。」
村人たちはジャードを心配していた。
「心配かけたがもう大丈夫だ。」ジャードは笑顔で言った。
「そりゃあ、よかった。」「よかった。」村人たちも笑顔になって喜んだ。
「ここの村の者は優しい者ばかりだ。だからここでみんなを守ろうと思うのだ。」ジャードはそばにいる老人に言った。
「いや、あなた様だからみんなが心を寄せているのでしょう。」老人は言った。
「そうだよ。ジャード様にどれだけ助けられたことか。」
「困っているものがあればジャード様が助けて下さる。ありがたいお方じゃ。」
村人たち口々に言った。
「ご老人。しばらくここにいるって聞いたよ。その間、ジャード様の体を診てくれよ。頼むよ。」村人は老人に言った。
「わかりました。しばらくここでご厄介になりますので、しっかり務めさせていただきます。」老人はうなずきながら言った。
夜になり、辺りは暗くなった。老人は窓を開けて外の風に当たっていると、
「えい!」「えい!」と掛け声が聞こえてきた。老人は庭に降りると、トータが木刀を懸命に振っていた。
「これは精が出ますな。」老人が声をかけた。トータは手を止めて、
「ええ、毎日、こうして稽古をしております。私も早く父上の様に強くなりたいのです。」トータは汗を拭いた。
「お父上は立派なお方でございますな。」老人は言った。
「ええ、強いばかりではない。みんなから頼りにされている。尊敬する父です。私も父上の様な巡検剣士になりたいのです。」トータは目を輝かしていった。
「あなたがそう思っておられるとお父上もうれしいでしょう。これは稽古のお邪魔をいたしました。」老人は微笑みながら頭を下げると、部屋に戻っていった。
庭からはしばらく、「えい!」「えい!」とトータの声が聞こえていた。その声はジャードのいる部屋にも聞こえていた。彼はトータがたくましく育っていることに喜びを感じていた。
今日も峠に山賊が出没したようで村中が大騒ぎになった。村人の一人が大急ぎで彼を呼びに行った。
「ジャード様、また山賊が!」
その声に畑を耕していた男が顔を上げた。
「山賊か! トータ。行くぞ!」
「はい。父上。」
それは剣士の親子らしかった。2人はすぐに剣を持つと山道を登り、峠に向かった。
「ふははは。身ぐるみすべておいていけ!」山賊の頭が逃げ遅れた旅人たちを取り囲んでいた。
「お願いです。命ばかりは。」旅人は身につけたものをすべて差し出した。
「女はおいていけ!売り飛ばしてやる!」その一行には若い女性もいた。
「そればかりはご勘弁を。私たちの大事な娘なのです。」娘の親が必死に頭を下げた。
「いや、ならぬ。言うことを聞かぬならお前から殺すぞ!」山賊の頭は剣を振り上げて脅した。その時、
「待て!」と村の者に呼ばれた男が走って来た。その後ろに少年がついてきていた。
「命が惜しくないのか!」山賊の頭が大声で怒鳴った。
「この村の巡検剣士、ジャードだ!旅人たちを放せ!」ジャードは鋭い目で威嚇して剣を抜く構えを見せた。
「今度はやられぬわ!皆の者、やれ!」山賊の頭が叫ぶと手下たちがジャードに向かって来た。ジャードも走り寄るとすっと剣を抜いて横に払った。すると向かってくる手下たちの服が真横に斬り裂かれた。
「うわっ!」手下たちは斬られた服を見て声を上げた。
「今度向かって来れば体を真っ二つにする。さあ、どうだ!」ジャードは剣を構えなおした。
「いつもいつも・・・しかしなぜ斬らぬ?我らにいらぬ情けでもかけようとするのか?」山賊の頭が訊いた。
「お前もこの村の出だろう。肉親がいなくなったはいえ、この村の者に違いない。心を入れ替えてここでまじめに働く気はないか?こんなことをしても何にもならんぞ。」ジャードは言った。
「うるさい!俺は・・・」山賊の頭は返す言葉がなくなっていた。
「待っているぞ。私は待っているぞ。」ジャードは微笑んだ。その言葉にどうにもならなくなった山賊の頭は
「く、くそ!覚えていろ!」と捨てセリフを残して逃げて行った。その後を、服を斬られた手下たちが追いかけて行った。
「もう安心だ。山賊たちはしばらく襲ってこないだろう。」ジャードは剣をしまった。
「ありがとうございます。」「ありがとうございます。」旅人たちは頭を下げて口々に礼を言った。
「いや、なんの、なんの。」ジャードは笑顔で答えていた。
「父上。お見事でした。」トータはジャードのそばに寄った。
「うむ。お前も剣の腕を磨いて早く一人前になれ。こうして人の役に立つことができる。」ジャードは言った。
「はい。」トータはそんな父が誇らしかった。不自由な山暮らしではあったが、父と一緒にいれることがうれしかった。
「あ、うううう・・・。」突然、ジャードが片膝をついて苦しみだした。持病の発作が出たようだった。
「父上!」トータは驚いてジャードの背中をさすった。ジャードは息も絶え絶えに苦悶の表情を浮かべていた。
「これはいかん!」群衆の中から一人の老人が出て来た。手入れされていない白髪に白いひげをした老人で、旅の者らしかった。彼はジャードのそばに寄って体の様子を診て、
「早くどこかで休ませた方がよい。どなたか手伝っていただけぬか。」と周りの人に声をかけた。
「ああ、大変だ。ジャード様の家にみんなで運ぼう。」村人がそう言ってジャードを運んでいった。
「うむ・・・。これは心の臓の発作。」老人がジャードを診ながら言った。
「この薬を。」トータは家にあった薬をもってきてジャードに飲ませた。
「うう・・・。」ジャードはその薬を飲んでやっと落ち着いたようだった。
「お助けいただいてかたじけない。」ジャードは老人に言った。
「いやいや、しかし前から心の臓の発作がありましたな。それで医者から薬をもらわれているのですな。」老人が言った。
「はい。時々こういうことがあります。」トータが言った。
「しばらくは安静にした方がよいですな。申し遅れました。私は旅の方術師のライリーと申します。」老人が言った。
「私は王様に任じられた巡検剣士のジャードと申します。そして息子のトータです。」ジャードが言った。
「巡検剣士の方でしたか。あの剣さばきはお見事でございました。」老人は言った。
「いや、お見苦しいところをお見せした。」ジャードは頭をかいた。
「しかしあの者たちをお斬りになりませんでしたな。」
「斬れば恨みが強くなろう。大掛かりで村を襲うかもしれぬ。それにあの者たちも人だ。きっと苦しんであのようなことをしているのであろう。だがいつかは心を入れ直してくれると信じている。ここは人も少ない。あの者たちがここの村を手伝ってくれたらありがたいのだが・・・いや、つまらぬことを言った。」ジャードは言った。
「いえ、ご立派な考えです。」老人はふかくうなずいた。
「ところでご老人はこの地には何のために?」ジャードが尋ねた。
「気が向くままの旅をしております。ここは気が休まりますゆえ、しばらく留まろうと思っております。」老人が答えた。
「しかし村には宿屋はありませんし・・・。もしよろしければしばらく、ここに泊られたらどうかな。大したおもてなしはできませんが。」ジャードが言った。
「そうさせていただければありがたいです。ご厄介になります。」老人はジャードの家に泊めてもらうことになった。
ガオヤ村は山に囲まれたところで、村人は細々と作物を作って暮らしていた。貧しい村なのだが村人たちは心優しく、倒れたジャードを次々に見舞いに来た。
「ジャード様。うちに畑で取れたものです。少しですがどうぞ。」
「煮物を作ってまいりました。お召し上がりください。」
「イノシシを獲ってきた。肉でも食べりゃ、精が出ますぜ。」
村人たちはジャードを心配していた。
「心配かけたがもう大丈夫だ。」ジャードは笑顔で言った。
「そりゃあ、よかった。」「よかった。」村人たちも笑顔になって喜んだ。
「ここの村の者は優しい者ばかりだ。だからここでみんなを守ろうと思うのだ。」ジャードはそばにいる老人に言った。
「いや、あなた様だからみんなが心を寄せているのでしょう。」老人は言った。
「そうだよ。ジャード様にどれだけ助けられたことか。」
「困っているものがあればジャード様が助けて下さる。ありがたいお方じゃ。」
村人たち口々に言った。
「ご老人。しばらくここにいるって聞いたよ。その間、ジャード様の体を診てくれよ。頼むよ。」村人は老人に言った。
「わかりました。しばらくここでご厄介になりますので、しっかり務めさせていただきます。」老人はうなずきながら言った。
夜になり、辺りは暗くなった。老人は窓を開けて外の風に当たっていると、
「えい!」「えい!」と掛け声が聞こえてきた。老人は庭に降りると、トータが木刀を懸命に振っていた。
「これは精が出ますな。」老人が声をかけた。トータは手を止めて、
「ええ、毎日、こうして稽古をしております。私も早く父上の様に強くなりたいのです。」トータは汗を拭いた。
「お父上は立派なお方でございますな。」老人は言った。
「ええ、強いばかりではない。みんなから頼りにされている。尊敬する父です。私も父上の様な巡検剣士になりたいのです。」トータは目を輝かしていった。
「あなたがそう思っておられるとお父上もうれしいでしょう。これは稽古のお邪魔をいたしました。」老人は微笑みながら頭を下げると、部屋に戻っていった。
庭からはしばらく、「えい!」「えい!」とトータの声が聞こえていた。その声はジャードのいる部屋にも聞こえていた。彼はトータがたくましく育っていることに喜びを感じていた。
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