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第1章 異世界でレベリング
第14話 魔物掃討と魔力石探索
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「えぇ!?なんですか、この量。しかも今どこから取り出したのですか!?」
さすがに多すぎたか。けどまぁ、今出したのは全体量の30%くらいなんだよな。全部買い取ってもらえるか心配
になってきた。あと、アイテムボックスは便利なんだが……目立つな。
「ちょっと、量が多いのでギルドの裏に来てもらっていいですか?」
マーラはそう言うと、魔物の解体などをしているギルドの裏へとイロアスを案内した。
「へぇ、こんな場所があるのか。」
ギルド裏には、大きな倉庫みたいなものがあり、そこに素材を保管しているらしかった。
今も大柄な職員がイノシシっぽい魔物の角を取っている。
あれは、エランドって名前だったか?さっき何十匹か倒したけど。
「よぉ、マーラの嬢ちゃん。隣にいるのは彼氏かい?」
「えっ、ち、違いますよ。今日会ったばかりですし。」
マーラの顔が少し赤面していたのは、声をかけてきた男性にバレていた。
「どうも、新人のイロアスです。」
うわ~、ゴリマッチョ。この上腕二頭筋どうなってんの?それに背たっか。
マーラに話しかけてきた大柄な男は、160cmあるイロアスを軽々と超え、
「俺はガードンだ。まだCランクだが拳闘会では何度か優勝しているぜ。兄ちゃんもだいぶ強そうだな。」
武器は一切使用禁止の拳だけのバトル。それが拳闘会だ。体力と筋力がものを言う勝負で、優勝者は男の中の漢と言われている。
それに、何度も優勝するとは、相当の強さをもつ脳筋だ。けど、勘は鋭いようだ。
「ギルド職員じゃないのに、何故ガードンさんがいるのですか?」
ギルマス部屋よりは立ち入り禁止レベルは低いが、それでもここは普通は立ち入れないはずだ。
あ、でも、ギルド職員兼冒険者なら行けるのか。けど、兼任できるのか?
「ガードン様には解体を手伝ってもらっているんです。立派な筋肉をお持ちですし。」
「よーし、お前ら。こっちによこせ、俺がやってやるよ。」
…なんとも単純な思考だな。マーラにとっては扱いやすい労働力なのだろうか?
「イロアス様、さっきの魔物を出してもらえますか?」
「あの、さっき出したやつ以外にもまだ多くあるんだが……全部出していい?」
いや、全部じゃなくて今の貯蔵量の半分にしよう。多分、ガードンさんが過労で倒れるから。
「まだ…多くあるんですか?」
「さっきと同じくらい入ってます。」
驚きすぎて固まってしまったマーラの横に、次々と魔物を出して山を作る。
その様子を、解体員たちは口をあんぐりと開けて見ていた。
「ほい、これで全てです。」
「「「「多すぎだろっ!!」」」」
見事に見ていた人々の声がハモった。まぁ、合計40体くらいだから、多いのだろうが…そこまでか?
「なんでこんなに多いのですか?」
「いや、雑に狩ったから。木々とか切り倒しながら狩っていましたし。」
「見たことない魔物もいるのですが……これはどこで倒したものですか?」
「多分、ダンジョン。」
そう言うと、一瞬静寂が訪れた。
どうやら、また固まってしまったらしい。
「そもそもどこから取り出したのですか?こんな多くの魔物を。」
「う~ん。」
なんて言えばいいんだろう?普通に言っても伝わらないだろうし。
「多分、アーティファクトの一種だろう。マジックバッグって言ったっけか?」
「あの伝説のアーティファクトですか!?」
いや、伝説なんか言われても知らん。というか、なんか余計にややこしくなった気がする。
「まぁ、深くは詮索しないほうがいいだろう。」
みんなが色々と推論を言い合っているなか、ガードンが低い声で言う。そこで、みんなは静かになった。
ありがとうガードンさん!脳筋とか言っちゃったけど、あんたはやはり漢だ。
「そうですね、ステータスとか武器とかは後ろめたいこと以外は守秘権利がありますし。」
そうそう、俺は全然後ろめたくないよ。うん、管理者とかのチートあるけど。
「じゃあ、この量だと解体と査定にだいぶ時間がかかるので、その間イロアス様は時間をつぶしておいてください。」
「兄ちゃん、更に魔物持ってくるんじゃねえぞー!」
「ははは、さすがにもう疲れたので大丈夫ですよ。」
『まだまだ行けるけどな』と、イロアスは心の中でつぶやいた。
これから頑張ってくださる方々にお辞儀をして、イロアスはギルドを出た。
「さて、今度は木材を売りに行くか。」
【アイテムボックス】の中には、
・セプチーニの木材×23
・オーク材×31
・ウォールナットの木材×27
・ダークフォレストの木材×11
などがあった。他にも花とか薬草とかも混じって入っていたので、後で整理するのが面倒くさそうだ。
さっきギルドで聞いた材木生成場はここからあまり離れていないので、昼食をとらずにすぐに向かった。
「すみませ~ん、誰かいませんかー?」
たどり着いたのは町の少し外れにある工場だった。
とても広くて、いかにも工場っぽいのだが、音がまったくしない。
今日は休みなのだろうか?
「なんじゃ、今日は何も売ってないぞ。」
大きな工場の隣にある家から、おじいさんが顔をだす。
どこかカールじいちゃんに似ていて、年寄りなのに元気そうな人だった。
「いえ、木材を売りに来たのですが、買い取ってもらえますか?」
「小僧が木を切って来たのか?」
おじいさんは訝しげにイロアスの方を見る。
「はい、魔法で。」
「ほう、斧ではなくか。どれ、一度見せてみろ。」
どうやら、品質によっては買ってくれそうだ。
「わかりました。今出しますが、ここに置いてもいいですか?」
「今じゃと?近くに置いてきたのではないのか?」
あ、そうだった。【アイテムボックス】は便利だけど、目立つんだった。
「実は、マジックバッグを持っていまして。」
「こりゃたまげた。伝説級のアーティファクトをこんな小僧がもっておるんか。」
ガハハと豪快におじいさんは笑った。
「家の前にドカンと置かれても困るからのう。ちと工場まで来ておくれ。」
そう言うと、おじいさんはスタスタと工場の方に向かう。
歳に似合わぬ、軽やかな足取りだった。
「今、なんか失礼なこと考えたか?」
「いえ、まったく。これっぽっちも。」
…なんでこんなエスパーみたいな人が多いんだ?
「ここが加工工場じゃ。ここで木材を材木にしておる。」
へぇ、木材と材木って同じもんだと思ってたけど違ったのか。
(木材が木を切ったもので、材木が加工しやすいように木を同じ長さで切ったり、枝や樹皮を剥いだものらしいです)
「ここに数本出してくれ。そういえば、木材の種類はなんだ?」
「セプチーニ、オーク、ウォールナット、ダークフォレストです。それぞれ20本くらい。」
「……」
おじいさんは固まった。
「驚くことが多すぎて、驚けんかったわい。」
「はぁ。」
今日は驚かれまくったから、なんか慣れたな。何が慣れたのか良く分からないが、なんか慣れた。
「まず、量が多すぎるんじゃ!4種類20本って、80本ではないか。」
「正確には、92本です。」
「変わらんわっ!」
おじいさんから盛大なツッコミが入った。
「しかもだぞ、ダークフォレストは魔力を含んだ木のことじゃ。これがどれほど貴重か分かるか?」
「スタンピードを起こす魔力石並くらい?」
「分からんだろ…‥そうじゃ、数十年に一度見つかるか見つからんかというくらいの代物を……」
「11本取って来ましたね。」
「ありえんっ!」
再度ツッコミが入る。
「まったく、変わった小僧じゃ。ほれ、全種類1本ずつ出してみい。」
細いベルトコンベアーみたいなところに、1本ずつ出していく。
意外とセプチーニは長かった。
「ほぉ。本当にダークフォレストじゃ。久しぶりじゃのう、この質感は。」
おじいさんは丸太を撫でながら呟いた。
ちなみに、自分の身長の何倍もある大きな木々を片手で軽々と取り出したイロアスに対して、おじいさんは驚かなかった。どうやら、驚きすぎて疲れたらしい。
「これ、全部買い取れますか?」
おじいさんが椅子に座ると、イロアスは口を開いた。
ギルドとこれ合わせれば、だいぶ多くの金が手に入る。じいちゃんとばあちゃんに何か買って帰ろうか。
「大丈夫じゃ。ただ、支払いは分割で頼む。金が足りん。」
「わかりました。ところで、この材木を使って何が作れるんですか?」
「なんでもじゃ。」
おお、なんでもか。なんでもって言われると漠然としすぎてて悩むんだよなぁ。
「おすすめは?」
「う~む。家具なら家具全般、杖や剣の柄なども作れる。アクセサリーなども多々あるが……」
おすすめ多いな。まぁ、木製製品が多いからしょうがないか。
家具はばあちゃんと要相談で、杖はいらん。シルフィには聞いておこう。アクセサリーはシルフィにプレゼントしよう。まぁ、持ってても困らないから数個作ってもらうか。
あとは………
「あっ!」
「なんじゃ、いきなり。」
「あの、設計図持ってるんで、オーダーメイドお願いしていいですか?」
「まぁ、見てからじゃな。」
そう、ビームセイバーの柄と、レールガンのグリップの側面(バックストラップ)を木製にしてもらおうと思うのだ。なんかお洒落だし。
「これです、お願いします。あ、実物もあります。」
机に設計図・ビームセイバー・レールガンを置く。
ゴトゴトと危なっかしいものを置いても、おじいさんはもう何も驚かなかった。
「ふむふむ。これは面白い。小僧、頭がキレるな。このレールガンとやらの動力はどういう仕組みなんじゃ?」
「これは、電磁石を利用していまして、電流の大きさによって威力が大きく左右されます。そこでここの回路をいじって……………」
数分後
「なるほど、お主天才じゃな。これは常人の発想ではない。」
すみません、前世の偉人の発想です。俺じゃありません。てか、前世の知識もチートだな。禁忌目録に気をつけないと。
「はぁ、ありがとうございます。それで、ここのカバー部分と柄を作って欲しいのですが。」
「分かった。なら、ダークフォレストが良いな。そうすると、魔力石を表面に出さなくとも魔力を伝導させることができるんじゃ。」
へぇー、なるほど。魔力を含んだ木は、魔力伝達が良いのか。
「あと、アクセサリーを数個お願いしたいのですが、ネックレスやブレスレットって作れますか?」
「ふんっ。儂を誰だと思っとるんじゃ。簡単だわい。」
「じゃあ、木材全部置いておきますね。」
「まて、最初に少し金は渡しておく。こんな貴重なものを勝手に置いていってもらっても困るんじゃ。」
そう言うと、おじいさんは作業机から白金貨を1枚取り出した。
おいおいおい、大金すぎんだろ。白金貨だぞ、白金貨。銅貨100枚で銀貨1枚、銀貨1000枚で金貨1枚で更に金貨100枚で白金貨1枚となるから……銅貨10000000枚。いち、じゅう…千万枚!? おかしいだろーー!
それに、貴重な白金貨をそんな机の中にしまうなし。盗られても知らんぞ。
ちなみに、銅貨1枚が1円くらいの価値なので、白金貨は千万円相当になる。
「多くないか?」
「いや、これじゃだいぶ少ないくらいじゃ。それほどまでにダークフォレストは貴重であるし、他の木材も量が多く、品質がよく、切り口がきれいに水平に切られておる。相当な力で一瞬にして切ったような切り口だったのう。つまり、値が張るってことじゃ。」
……今日だけで収入が半端ないな。無駄遣いしないように気をつけよう。
「じゃあ、ありがたくもらいますね。」
「あげたのではない、買い取ったのじゃ。」
「じゃあ、買い取りありがとうございます。」
「加工や制作はまた明日からやるから、3日後くらいに来い。追加注文も受けるぞ。」
イロアスは、おじいさんにお辞儀をすると工場を出…
「そういえば、おじいさんの名前は何と言うのですか?僕はイロアスです。」
「フィリナスじゃ。」
フィリナスか…カッコいい名前だな。若かりし頃は騎士とかやってそうだ。
「ふんっ。今も若いわい。」
だからなんで分かるんだよ。
今度こそ工場を出て、再度ギルドに向かった。
さすがに多すぎたか。けどまぁ、今出したのは全体量の30%くらいなんだよな。全部買い取ってもらえるか心配
になってきた。あと、アイテムボックスは便利なんだが……目立つな。
「ちょっと、量が多いのでギルドの裏に来てもらっていいですか?」
マーラはそう言うと、魔物の解体などをしているギルドの裏へとイロアスを案内した。
「へぇ、こんな場所があるのか。」
ギルド裏には、大きな倉庫みたいなものがあり、そこに素材を保管しているらしかった。
今も大柄な職員がイノシシっぽい魔物の角を取っている。
あれは、エランドって名前だったか?さっき何十匹か倒したけど。
「よぉ、マーラの嬢ちゃん。隣にいるのは彼氏かい?」
「えっ、ち、違いますよ。今日会ったばかりですし。」
マーラの顔が少し赤面していたのは、声をかけてきた男性にバレていた。
「どうも、新人のイロアスです。」
うわ~、ゴリマッチョ。この上腕二頭筋どうなってんの?それに背たっか。
マーラに話しかけてきた大柄な男は、160cmあるイロアスを軽々と超え、
「俺はガードンだ。まだCランクだが拳闘会では何度か優勝しているぜ。兄ちゃんもだいぶ強そうだな。」
武器は一切使用禁止の拳だけのバトル。それが拳闘会だ。体力と筋力がものを言う勝負で、優勝者は男の中の漢と言われている。
それに、何度も優勝するとは、相当の強さをもつ脳筋だ。けど、勘は鋭いようだ。
「ギルド職員じゃないのに、何故ガードンさんがいるのですか?」
ギルマス部屋よりは立ち入り禁止レベルは低いが、それでもここは普通は立ち入れないはずだ。
あ、でも、ギルド職員兼冒険者なら行けるのか。けど、兼任できるのか?
「ガードン様には解体を手伝ってもらっているんです。立派な筋肉をお持ちですし。」
「よーし、お前ら。こっちによこせ、俺がやってやるよ。」
…なんとも単純な思考だな。マーラにとっては扱いやすい労働力なのだろうか?
「イロアス様、さっきの魔物を出してもらえますか?」
「あの、さっき出したやつ以外にもまだ多くあるんだが……全部出していい?」
いや、全部じゃなくて今の貯蔵量の半分にしよう。多分、ガードンさんが過労で倒れるから。
「まだ…多くあるんですか?」
「さっきと同じくらい入ってます。」
驚きすぎて固まってしまったマーラの横に、次々と魔物を出して山を作る。
その様子を、解体員たちは口をあんぐりと開けて見ていた。
「ほい、これで全てです。」
「「「「多すぎだろっ!!」」」」
見事に見ていた人々の声がハモった。まぁ、合計40体くらいだから、多いのだろうが…そこまでか?
「なんでこんなに多いのですか?」
「いや、雑に狩ったから。木々とか切り倒しながら狩っていましたし。」
「見たことない魔物もいるのですが……これはどこで倒したものですか?」
「多分、ダンジョン。」
そう言うと、一瞬静寂が訪れた。
どうやら、また固まってしまったらしい。
「そもそもどこから取り出したのですか?こんな多くの魔物を。」
「う~ん。」
なんて言えばいいんだろう?普通に言っても伝わらないだろうし。
「多分、アーティファクトの一種だろう。マジックバッグって言ったっけか?」
「あの伝説のアーティファクトですか!?」
いや、伝説なんか言われても知らん。というか、なんか余計にややこしくなった気がする。
「まぁ、深くは詮索しないほうがいいだろう。」
みんなが色々と推論を言い合っているなか、ガードンが低い声で言う。そこで、みんなは静かになった。
ありがとうガードンさん!脳筋とか言っちゃったけど、あんたはやはり漢だ。
「そうですね、ステータスとか武器とかは後ろめたいこと以外は守秘権利がありますし。」
そうそう、俺は全然後ろめたくないよ。うん、管理者とかのチートあるけど。
「じゃあ、この量だと解体と査定にだいぶ時間がかかるので、その間イロアス様は時間をつぶしておいてください。」
「兄ちゃん、更に魔物持ってくるんじゃねえぞー!」
「ははは、さすがにもう疲れたので大丈夫ですよ。」
『まだまだ行けるけどな』と、イロアスは心の中でつぶやいた。
これから頑張ってくださる方々にお辞儀をして、イロアスはギルドを出た。
「さて、今度は木材を売りに行くか。」
【アイテムボックス】の中には、
・セプチーニの木材×23
・オーク材×31
・ウォールナットの木材×27
・ダークフォレストの木材×11
などがあった。他にも花とか薬草とかも混じって入っていたので、後で整理するのが面倒くさそうだ。
さっきギルドで聞いた材木生成場はここからあまり離れていないので、昼食をとらずにすぐに向かった。
「すみませ~ん、誰かいませんかー?」
たどり着いたのは町の少し外れにある工場だった。
とても広くて、いかにも工場っぽいのだが、音がまったくしない。
今日は休みなのだろうか?
「なんじゃ、今日は何も売ってないぞ。」
大きな工場の隣にある家から、おじいさんが顔をだす。
どこかカールじいちゃんに似ていて、年寄りなのに元気そうな人だった。
「いえ、木材を売りに来たのですが、買い取ってもらえますか?」
「小僧が木を切って来たのか?」
おじいさんは訝しげにイロアスの方を見る。
「はい、魔法で。」
「ほう、斧ではなくか。どれ、一度見せてみろ。」
どうやら、品質によっては買ってくれそうだ。
「わかりました。今出しますが、ここに置いてもいいですか?」
「今じゃと?近くに置いてきたのではないのか?」
あ、そうだった。【アイテムボックス】は便利だけど、目立つんだった。
「実は、マジックバッグを持っていまして。」
「こりゃたまげた。伝説級のアーティファクトをこんな小僧がもっておるんか。」
ガハハと豪快におじいさんは笑った。
「家の前にドカンと置かれても困るからのう。ちと工場まで来ておくれ。」
そう言うと、おじいさんはスタスタと工場の方に向かう。
歳に似合わぬ、軽やかな足取りだった。
「今、なんか失礼なこと考えたか?」
「いえ、まったく。これっぽっちも。」
…なんでこんなエスパーみたいな人が多いんだ?
「ここが加工工場じゃ。ここで木材を材木にしておる。」
へぇ、木材と材木って同じもんだと思ってたけど違ったのか。
(木材が木を切ったもので、材木が加工しやすいように木を同じ長さで切ったり、枝や樹皮を剥いだものらしいです)
「ここに数本出してくれ。そういえば、木材の種類はなんだ?」
「セプチーニ、オーク、ウォールナット、ダークフォレストです。それぞれ20本くらい。」
「……」
おじいさんは固まった。
「驚くことが多すぎて、驚けんかったわい。」
「はぁ。」
今日は驚かれまくったから、なんか慣れたな。何が慣れたのか良く分からないが、なんか慣れた。
「まず、量が多すぎるんじゃ!4種類20本って、80本ではないか。」
「正確には、92本です。」
「変わらんわっ!」
おじいさんから盛大なツッコミが入った。
「しかもだぞ、ダークフォレストは魔力を含んだ木のことじゃ。これがどれほど貴重か分かるか?」
「スタンピードを起こす魔力石並くらい?」
「分からんだろ…‥そうじゃ、数十年に一度見つかるか見つからんかというくらいの代物を……」
「11本取って来ましたね。」
「ありえんっ!」
再度ツッコミが入る。
「まったく、変わった小僧じゃ。ほれ、全種類1本ずつ出してみい。」
細いベルトコンベアーみたいなところに、1本ずつ出していく。
意外とセプチーニは長かった。
「ほぉ。本当にダークフォレストじゃ。久しぶりじゃのう、この質感は。」
おじいさんは丸太を撫でながら呟いた。
ちなみに、自分の身長の何倍もある大きな木々を片手で軽々と取り出したイロアスに対して、おじいさんは驚かなかった。どうやら、驚きすぎて疲れたらしい。
「これ、全部買い取れますか?」
おじいさんが椅子に座ると、イロアスは口を開いた。
ギルドとこれ合わせれば、だいぶ多くの金が手に入る。じいちゃんとばあちゃんに何か買って帰ろうか。
「大丈夫じゃ。ただ、支払いは分割で頼む。金が足りん。」
「わかりました。ところで、この材木を使って何が作れるんですか?」
「なんでもじゃ。」
おお、なんでもか。なんでもって言われると漠然としすぎてて悩むんだよなぁ。
「おすすめは?」
「う~む。家具なら家具全般、杖や剣の柄なども作れる。アクセサリーなども多々あるが……」
おすすめ多いな。まぁ、木製製品が多いからしょうがないか。
家具はばあちゃんと要相談で、杖はいらん。シルフィには聞いておこう。アクセサリーはシルフィにプレゼントしよう。まぁ、持ってても困らないから数個作ってもらうか。
あとは………
「あっ!」
「なんじゃ、いきなり。」
「あの、設計図持ってるんで、オーダーメイドお願いしていいですか?」
「まぁ、見てからじゃな。」
そう、ビームセイバーの柄と、レールガンのグリップの側面(バックストラップ)を木製にしてもらおうと思うのだ。なんかお洒落だし。
「これです、お願いします。あ、実物もあります。」
机に設計図・ビームセイバー・レールガンを置く。
ゴトゴトと危なっかしいものを置いても、おじいさんはもう何も驚かなかった。
「ふむふむ。これは面白い。小僧、頭がキレるな。このレールガンとやらの動力はどういう仕組みなんじゃ?」
「これは、電磁石を利用していまして、電流の大きさによって威力が大きく左右されます。そこでここの回路をいじって……………」
数分後
「なるほど、お主天才じゃな。これは常人の発想ではない。」
すみません、前世の偉人の発想です。俺じゃありません。てか、前世の知識もチートだな。禁忌目録に気をつけないと。
「はぁ、ありがとうございます。それで、ここのカバー部分と柄を作って欲しいのですが。」
「分かった。なら、ダークフォレストが良いな。そうすると、魔力石を表面に出さなくとも魔力を伝導させることができるんじゃ。」
へぇー、なるほど。魔力を含んだ木は、魔力伝達が良いのか。
「あと、アクセサリーを数個お願いしたいのですが、ネックレスやブレスレットって作れますか?」
「ふんっ。儂を誰だと思っとるんじゃ。簡単だわい。」
「じゃあ、木材全部置いておきますね。」
「まて、最初に少し金は渡しておく。こんな貴重なものを勝手に置いていってもらっても困るんじゃ。」
そう言うと、おじいさんは作業机から白金貨を1枚取り出した。
おいおいおい、大金すぎんだろ。白金貨だぞ、白金貨。銅貨100枚で銀貨1枚、銀貨1000枚で金貨1枚で更に金貨100枚で白金貨1枚となるから……銅貨10000000枚。いち、じゅう…千万枚!? おかしいだろーー!
それに、貴重な白金貨をそんな机の中にしまうなし。盗られても知らんぞ。
ちなみに、銅貨1枚が1円くらいの価値なので、白金貨は千万円相当になる。
「多くないか?」
「いや、これじゃだいぶ少ないくらいじゃ。それほどまでにダークフォレストは貴重であるし、他の木材も量が多く、品質がよく、切り口がきれいに水平に切られておる。相当な力で一瞬にして切ったような切り口だったのう。つまり、値が張るってことじゃ。」
……今日だけで収入が半端ないな。無駄遣いしないように気をつけよう。
「じゃあ、ありがたくもらいますね。」
「あげたのではない、買い取ったのじゃ。」
「じゃあ、買い取りありがとうございます。」
「加工や制作はまた明日からやるから、3日後くらいに来い。追加注文も受けるぞ。」
イロアスは、おじいさんにお辞儀をすると工場を出…
「そういえば、おじいさんの名前は何と言うのですか?僕はイロアスです。」
「フィリナスじゃ。」
フィリナスか…カッコいい名前だな。若かりし頃は騎士とかやってそうだ。
「ふんっ。今も若いわい。」
だからなんで分かるんだよ。
今度こそ工場を出て、再度ギルドに向かった。
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『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】
『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】
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【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】
フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!
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