上 下
5 / 19
第1章 異世界でレベリング

第3話 良薬は口に苦し

しおりを挟む
 今日もレベリングするが、今日はそれだけじゃない。そのために、多くのものを用意したんだ。
 森の中程まで来たので、俺はさっそく、傷薬づくりの道具を取り出す。

 〔傷薬の作り方〕
 用意するもの  1人分(多め)
 ・なべ(ばあちゃんのを拝借)
 ・ビン(同じく)
 ・火打ち石(〈ファイヤ〉使えないので、じいちゃんの倉庫から拝借)
 ・スライムの破片 適量(リーフスライムとやらの方が良いらしいが、持ってない。)
 ・ボタナ草×4
 by ばあちゃんの書斎にあった本

 昨日の夜、寝る前に魔法書でも読もうかと、ばあちゃんの書斎に行ったら、面白そうな本を見つけて開いたらこれがあった。
 結局、魔法に関してはまだ何もしてない。べっ、別に自爆して炎に突っ込んだのがトラウマになった訳ではない。

 それはそうと、早く作らないと。
 ここは森の中なので、キッチンなど無い。
 そのため、かまどから作らなあかん。

「適当な石を並べて、あとは、金網(じいちゃんの倉庫からパクったじゃなくて拝借した。)を敷く。・・・はい、かまど完成。」

 かまどに小枝と枯れ葉を入れ、点火する。意外と火打ち石で火をつけるのは難しかった。
 ①火がついたら、なべにスライムを入れて火にかける。
 ②暖まったら、ボタナ草を潰して入れて、良くかき混ぜる。
 ③水分がほどよく蒸発し、良く混ざったら、ビンに詰めて完成。

「意外と簡単だな。てか、スライムで本当に大丈夫なんだろうな。」

 試しに、余ったスライムの破片を口に入れてみる。

「ゴフォッ。ウゴァ。っっっ、にっが。」

 あまりの苦さに思わず吐き出す。
 てか、苦い、苦すぎる。不味いというよりは、純粋に苦い。

「【スキル】〈苦味耐性〉を獲得しました。」

 その強烈な苦さからか、新たな【スキル】まで獲得出来てしまった。
 この傷薬は外部薬だが、内服薬ないふくやくを作るには、リーフスライムの方が良いのだろう。この苦さだと飲み込めないし。

「さてさて、今日もレベリングをしますか。」

 ついでに、ボタナ草も少し採って来よう。
 〈回復促進〉のLvUPもしたいし、そもそも火傷をはやく治したい。

 ◇
「グrrぁッ。」

 木剣を振りかざしながらゴブリンがおそってくるが、それをやすやすとかわして、剣を突き立てる。

「レベル28になりました。魔力量が140000に上昇し、ステータスポイントが10ポイント付与されました。【称号】[ゴブリンキラー]を獲得しました。」

 ま、魔力量が桁ヤバい。この世界の標準値を知らんけど、さすがにこのゼロが何個あるか数えるのが面倒になってくる桁までいかないだろう。
 てか、[ゴブリンキラー]か。なんかカッコいいけど、ゴブリンが可哀想になってきたわ。俺ってそんなにゴブリン狩っていたかな?
 まぁ、基本的にゴブリン中心で狩っていたけど。

「てか、ステータスを全然確認してなかったな。」

 最近はステ振りもおろそかになっていた。

「ステータスオープン。」

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 イロアス  5歳 Lv28    魔力量130700/140000

【称号】
   [俊足の暗殺者]
 [忍び寄る者]
 [暗殺者]
 [スライムキラー]
 [ゴブリンキラー]

【イレギュラーユニット特典】
 ・1LvUPごとに魔力量+5000、ステータスポイント+10。
 ・10LvUPごとにエクストラポイント+2

【ステータスパラメーター】  SP…1
 ・筋力…60     ・魔法防御力…30
 ・知力…60     ・物理防御力…30
 ・素早さ…60    ・器用…35

【エクストラスキル】    EP…3
 ・〈鑑定〉Lv2

【スキル】
 ・〈忍び足〉Lv3
 ・〈熱耐性〉Lv1
 ・〈苦味耐性〉Lv1
 ・〈回復促進〉Lv1

【アイテムボックス】
 ・セプチーニの枝×1
 ・スライムの破片×47
 ・リフレ草×43
 ・ボタナ草×4
 ・傷薬17g

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 いつの間にか、[スライムキラー]も獲得してた。傷薬だけgグラム表示になってるし。

 ステ振りを一気にしたから、身体が軽い。
 まぁ、もう少しレベリングするか。
 ゴブリンでは、少し経験値不足な気がしたが、左手の火傷を庇いつつなので、森のさらに奥へとは進まなかった。

 ◇
「ただいま。」
「おかえり、イロアス。今日は何を持って帰ったんだい?」

 毎回、なにかしらの動物も狩っているから、もうばあちゃんも慣れてきたようだ。

「今日は、跳ねウサギを捕まえたよ。ところで、じいちゃんは?」

 昨日と違って今日はじいちゃんの姿が見当たらない。
 ばあちゃんとじいちゃんは交互で居なくなるのかと考えていると・・

「まぁ、逃げ足のはやい跳ねウサギをよく捕まえたね。本当にうちのイロアスは5歳児かどうか怪しくなってくるのぅ。」

 どうやら、あからさまに5歳児っぽくない俺に懐疑かいぎの目を向けられているようだ。

「ところで、じいさんなら倉庫前におるよ。オロ鹿の干し肉を作るために、あの大きな鹿を解体するんだとさ。ついさっき行ったから、もしかしたら、見れるかもしれんが、私にゃあんな血なまぐさいのはごめんだね。」

 マジか、早く見たい。少しグロいだろうけど自分で干し肉作れるようになりたい。あれって長期保存ができるし。

 ◇
「じいちゃん!鹿はもう解体したの?」

 はぁはぁと肩で息をしつつ、じいちゃんに尋ねる。

「いや、まだやっとらんが・・イロアスやは興味あるのか?」

 子供らしくないと、またもや疑うような視線が送られる。

「将来的に自給自足すると思うので、長期保存が利く、干し肉の作り方は有用だと考えたんだ。」

「そうかそうか。イロアスは頭がええ。あ、頭と脳かけたわけじゃないけえな。」

 そう言って、じいちゃんは俺を笑わしてくる。
 なるほど、頭と脳か、良くそういったワード同士が結びつくよな。年寄りって。

「まぁ、今から解体するけぇ。そこで見とき。」

 オロ鹿を片手で持ちつつそう言うじいちゃんは何かカッコよかった。
 その後、オロ鹿の足を縄でくくって、倉庫の雨よけ用の天井に吊るす。
 鹿の体重で柱がミキッと言ったけど大丈夫か?・・・あ、柱と幹をかけたわけじゃないよ・・ぅん・・・・スミマセン。

「ここからが見どころじゃ。」

 一言言うと、包丁・・いや剣を持って吊るされたオロ鹿と対峙たいじした。
 剣を構えて、フウッと一呼吸した後の一拍。その一瞬にすべてが終わった。
 ドサッという音とともに、綺麗に等しい大きさに切られたオロ鹿の肉塊が下に置かれた木の板に落ちた。

 はっや。剣筋見えなかったぞ。3連撃くらいだったか?てか、切るの上手うますぎだろ。切り口も俺のとは全然違うし。
 一言でまとめると、じいちゃんめっちゃ強い。カッコいい。・・・あ、二言か。

「あた、こ、腰が。いたたた。」

 あ、そこまでか。腰をさすっている姿なんて老人そのものだし。
 けど、じいちゃんとばあちゃんって一体何者なんだ?ばあちゃんに関しては、魔法を易々やすやすと扱うし、じいちゃんに関しては、あの剣技。常人離れしてないか?
 じいちゃんとばあちゃんは俺が何者なのか気になっているけど、俺はその2人が何者なのかとても気になる。

「このあと、このブロックを秘伝の調味料につける。干すのは明日じゃな。」

 ひ、秘伝の調味料か!なんだか美味そうな響き。
 その作業は家の中でやるらしく、俺らは家の中に戻った。

 ◇
 夕食の後、俺はばあちゃんの書斎から、魔法書を拝借した。夜、寝る前に読むためだ。

「基本魔法の1つが〈ファイヤ〉なのか。短縮詠唱コマンドワードが〈ファイヤ〉、詠唱だと『燃えよ、炎のごとく〈ファイヤ〉』・・なるほど、俺はまだ体内の魔力を感知出来てないから、魔法が発動できないのか。」

 じゃあ、魔力を感知するにはどうすればいいんだ?
『ステータス確認の儀に、魔晶石に触れること。』・・・・ステータス確認の儀は、12歳になったら行われるからな。これじゃ、遅すぎる。
『魔力石《まりょくせき》に触れ、魔力の流れをつかむ。』か。いいな、これにしよう。でも、魔力石ってどこにあるんだ?しかも、魔力石ってなんだ?

「魔力石、魔力石、あ、あった。652ページ。えーっと、『魔力石…触れると、自動的に触れた者の魔力をため込む石。魔力の扱いに長けた者だと、ため込まれた魔力を逆に引き出す事も出来る。洞窟の奥深くにある場合が多い。青く丸い石。』・・・・しっかし、ここらに洞窟なんてあったかな?・・あ、1つあったか。」

 何か嫌な予感がしたから中に入るのをやめておいたけど、魔法のためには仕方ない。明日にでも行くか。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった! でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、 他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう! 主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!? はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!? いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。 色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。 *** 作品について *** この作品は、真面目なチート物ではありません。 コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております 重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、 この作品をスルーして下さい。 *カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。

魅了が解けた貴男から私へ

砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。 彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。 そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。 しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。 男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。 元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。 しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。 三話完結です。

ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

幼い公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~

朱色の谷
ファンタジー
公爵家の末娘として生まれた6歳のティアナ お屋敷で働いている使用人に虐げられ『公爵家の汚点』と呼ばれる始末。 お父様やお兄様は私に関心がないみたい。愛されたいと願い、愛想よく振る舞っていたが一向に興味を示してくれない… そんな中、夢の中の本を読むと、、、

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。

ひさまま
ファンタジー
 前世で搾取されまくりだった私。  魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。  とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。  これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。  取り敢えず、明日は退職届けを出そう。  目指せ、快適異世界生活。  ぽちぽち更新します。  作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。  脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

処理中です...