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7.教育
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最初のお茶会以降も王子からはお茶会に何度か誘われたが、なるべく断れるものは断るようにした。
行かざるを得ないものに対しても、なるべく距離をとるように、かといって不自然にはならないようにと最新の注意を払っている。
ありがたいことに彼の周りには常に人が寄っていくので、自分から近づかなければ接点は少ない。
こうしてお茶会の頻度(もしくは単に誘われる頻度)が減ってくるにつれて、ルーズヴェルト家では本格的な教育が始まっていた。
そういえば、ソーマお兄さまは学園への入学よりも早く、外国へ留学していた。
僕が8歳になる前のことだが、留学する直前まで僕と離れるのが嫌だと言い続けていた。
侍従のクロムが留学すると聞いて小さくガッツポーズしていたのを僕は見逃さなかったけどね。
僕もお兄さまのことを少し怖いと思っていたから正直ホッとした。
年々見つめてくる目に粘り気を増していたお兄さまは、会うたび僕のどんなところが天使なのか語ってきたり、僕の顔中撫で回してきたりと猟奇的な怖さがあった。
お兄さまの留学の理由が最初はなんでなのか分かっていなかったが、ルーズヴェルト家の厳しい教育を受けるにつれて、雇われている教師からお兄さまはルーズヴェルト家の血にふさわしくないから国外へのパイプも兼ねてそちらに回ってると聞かされた。
僕もルーズヴェルト家の血にふさわしくないと判断されたら国外に行くことになるのだろうか。
ゲームの知識が多少あってもわからないことだらけだし、特にこの家は秘密が多いように感じる。
そして不思議なことの1つは、ルーズヴェルト家の教育の厳しさが異常であることだ。
それはもう最悪としか言いようのないくらいに。
父上からは、全ての面において完璧以上であれと言われており、通常の学習はもちろん、全ての貴族がどんな生業をしていて特徴は何か、家族構成や全員の性格なども覚えこまされている。
家庭教師からの抜き打ちの質問に答えられなかったり時間を要すると、すぐさま鞭が飛んでくるのだ。
さらに体術や馬術、剣などを使った接近戦にはより一層力を入れている。
決められた基準を満たさない場合には罰があり、罰を受けるときにはだいたいバラ鞭で叩かれる。
跡が残らないようバラ鞭を使用しているとのことだが、鞭を振るう教師は嬉々としてやっているように思うし、治療を担当するお抱え医師は手つきが気持ち悪い。
赤くなっていないところにまで「念の為こちらにも薬を塗っておきましょうね」といやらしく手を回してくるので、その度にクロムに「そこは関係ないのでは。必要な部分だけで結構です」と指摘されて舌打ちをしてる。
僕を無知な少年だと思ってやっているのだと思うと余計に腹立たしいよね。
クロムはいつも僕の支えになってくれていて、お抱え医師が治療のため部屋から出るよう指示しても護衛という立場を利用して僕のそばにいてくれる。
教師や医師の担当を変えるよう父上に進言したいとも言ってくれたが、冷酷な父上がどのように判断するかわからず、万が一にもクロムに被害が生じたら僕は自分を許せないだろう。
あれでも教師や医師の身分はそれなりに高いので、卑怯な手を使われたらたまらない。
そばにいてくれているだけでどれだけ助けられているか。
クロムに心配をかけないようにというモチベーションは僕を勇気づけるものだ。
そんなわけで僕は技を必死に身につけていき、今では大抵の状況でも自分1人で対応できると思う。
ゲームではこんな設定は聞いたことがなく、ノエルの背景がまさかこんなかんじだったとは…とびっくりしている。
でもノエルの悪役らしい行動が巧妙で抜け目が少なく、断罪できないこともあるというのはこうした教育のたまものかもしれないな。
そして、これもまた不思議なことに僕の悪い噂は相変わらずなのだ。
むしろいろいろ追加されているような気さえする。
これではやっぱり僕の断罪はまぬがれないのだろうか…
不安を感じつつ、自分の意思ではどうにもできない現状に歯痒くなる日々だった。
行かざるを得ないものに対しても、なるべく距離をとるように、かといって不自然にはならないようにと最新の注意を払っている。
ありがたいことに彼の周りには常に人が寄っていくので、自分から近づかなければ接点は少ない。
こうしてお茶会の頻度(もしくは単に誘われる頻度)が減ってくるにつれて、ルーズヴェルト家では本格的な教育が始まっていた。
そういえば、ソーマお兄さまは学園への入学よりも早く、外国へ留学していた。
僕が8歳になる前のことだが、留学する直前まで僕と離れるのが嫌だと言い続けていた。
侍従のクロムが留学すると聞いて小さくガッツポーズしていたのを僕は見逃さなかったけどね。
僕もお兄さまのことを少し怖いと思っていたから正直ホッとした。
年々見つめてくる目に粘り気を増していたお兄さまは、会うたび僕のどんなところが天使なのか語ってきたり、僕の顔中撫で回してきたりと猟奇的な怖さがあった。
お兄さまの留学の理由が最初はなんでなのか分かっていなかったが、ルーズヴェルト家の厳しい教育を受けるにつれて、雇われている教師からお兄さまはルーズヴェルト家の血にふさわしくないから国外へのパイプも兼ねてそちらに回ってると聞かされた。
僕もルーズヴェルト家の血にふさわしくないと判断されたら国外に行くことになるのだろうか。
ゲームの知識が多少あってもわからないことだらけだし、特にこの家は秘密が多いように感じる。
そして不思議なことの1つは、ルーズヴェルト家の教育の厳しさが異常であることだ。
それはもう最悪としか言いようのないくらいに。
父上からは、全ての面において完璧以上であれと言われており、通常の学習はもちろん、全ての貴族がどんな生業をしていて特徴は何か、家族構成や全員の性格なども覚えこまされている。
家庭教師からの抜き打ちの質問に答えられなかったり時間を要すると、すぐさま鞭が飛んでくるのだ。
さらに体術や馬術、剣などを使った接近戦にはより一層力を入れている。
決められた基準を満たさない場合には罰があり、罰を受けるときにはだいたいバラ鞭で叩かれる。
跡が残らないようバラ鞭を使用しているとのことだが、鞭を振るう教師は嬉々としてやっているように思うし、治療を担当するお抱え医師は手つきが気持ち悪い。
赤くなっていないところにまで「念の為こちらにも薬を塗っておきましょうね」といやらしく手を回してくるので、その度にクロムに「そこは関係ないのでは。必要な部分だけで結構です」と指摘されて舌打ちをしてる。
僕を無知な少年だと思ってやっているのだと思うと余計に腹立たしいよね。
クロムはいつも僕の支えになってくれていて、お抱え医師が治療のため部屋から出るよう指示しても護衛という立場を利用して僕のそばにいてくれる。
教師や医師の担当を変えるよう父上に進言したいとも言ってくれたが、冷酷な父上がどのように判断するかわからず、万が一にもクロムに被害が生じたら僕は自分を許せないだろう。
あれでも教師や医師の身分はそれなりに高いので、卑怯な手を使われたらたまらない。
そばにいてくれているだけでどれだけ助けられているか。
クロムに心配をかけないようにというモチベーションは僕を勇気づけるものだ。
そんなわけで僕は技を必死に身につけていき、今では大抵の状況でも自分1人で対応できると思う。
ゲームではこんな設定は聞いたことがなく、ノエルの背景がまさかこんなかんじだったとは…とびっくりしている。
でもノエルの悪役らしい行動が巧妙で抜け目が少なく、断罪できないこともあるというのはこうした教育のたまものかもしれないな。
そして、これもまた不思議なことに僕の悪い噂は相変わらずなのだ。
むしろいろいろ追加されているような気さえする。
これではやっぱり僕の断罪はまぬがれないのだろうか…
不安を感じつつ、自分の意思ではどうにもできない現状に歯痒くなる日々だった。
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