60 / 60
第60話 ラストアタックは唐突に
しおりを挟む
「あはははははは!もっとがんばれ!また捕まえちまうぞ!捕まったら痛いぞぉ!」
「ちくしょう!ここまで化け物だとは聞いてないぞ!」
楽しい!
何も含む事の無い殺し合い!目についた奴全部殺していい!しかも殺しても殺しても湧いてくるし煽りも罵倒も織り交ぜて最高だぜ!
湧き出す魔物の質も上がっているが相変わらずの混雑でギチギチだ、しかしその中でもしっかり動く奴も現れだした。
『ブルクラッシュ!』
『スカイドライブ!』
天と地で挟み込む必殺の連携攻撃!
「ははははは!小癪小癪!魔物風情が連携スキル何ぞ使いおって!アレキサンダー流・霞二段撃ち!」
天地同時の攻撃を天地同時に迎え撃って打ち砕く!拳が腹を突き破り、噴水のような返り血を浴びながら四方に迫る雑魚共を旋風脚で切り裂く。殺して殺して、息つく暇も無くまた殺した。
真紅に輝く竜を殺した、炎の巨人を殺した、氷の女王を殺した、豪奢な戦乙女を殺した、巨大ロボットを殺した、変身を繰り返す泥の塊を殺した、死を振りまく骸骨を殺した、統率された騎士団を殺した、羽の生えた大きな人間を殺した、多様なスキル扱う半人蜘蛛を殺した、出てくる全てを殺し続けた。
敵はどんどん強くなる。腕がちぎれ、下半身がもげ、首がへし折られ、全ての魔力を使い果たした。それでも殺す、スキル修羅道の効果により勝ち続ける限り永遠に殺し続ける事ができる。
勇者には目もくれなくなった。どうせあいつは魔物を出し続けるしか無い、そうしなければ俺は容赦なくダンジョンの奥で邪神とやらを殺す。どうやらあいつはそれが大層嫌な様子だ。
1秒毎に殺す、数秒ごとに命を失いそうになる、そんな遊び。
笑顔の俺と苦渋に満ちた勇者の遊びの様な戦いは、時を忘れる程続いた。
――――――――――
正真正銘の化け物だ。
こいつが殺しているのはそれぞれ別の世界を終わらせた化け物達、そこにいる生物を殺し尽くし勝利し続けた化け物達、それが拳の一振りで消し飛ばされている。
どんどん強くなっている。元から化け物だったが、あそこまでではなかったはずだ。自分で気づいているんだろうか?お前の強さは存在するだけで世界が発狂するほどだ。
もう戦い続けて1ヶ月になる。途中で休む方法も考えていたっていうのに台無しだ。血を啜り肉を食いちぎるなんて本当にあるんだな。怪我をした事もあったが気づいたら治っている、そして今じゃ怪我すらしない。化け物って言葉でも足らないな。
俺自身も何度も殺されて復活した。余分に痛めつけられて堪ったもんじゃない。今では近寄らずにアイテムボックスで魔石を回収して地上に吐き出す作業だけを続けている。
もう少しだ、もう少しで終わる。本当に損な役割だったぜ、でも俺は結局大した事も出来なかったしなー。仕方ない仕方ない、これも勇者の役目だろう。後はきっとアレキサンダーがなんとかしてくれる。
今になって考えたら俺、イキりすぎて恥ずかしかったよ。イキるのが格好いいみたいに思ってたし、ルーリアに唆されたってのもあったが、それにしても酷かった。
故郷ではよかったな。俺はみんなを守りたかったし、実際俺の力でみんなを守れたはずだ。その後がなぁ、まぁ全て今更だ。
さて、時間だな。さようなら。
――――――――――
「『勇者の誓い』『ブレイブモード』『真・光明剣』!」
「遅い遅い遅い!アレキサンダー流・弧月陣!」
欠けた月を描く片手廻し受け!勇者の剣を弾き、カウンターの拳が勇者の腹を貫通する!
「ぐぼぉぉぉっ!……げぼっ!やっぱつえぇな」
「あぁん?どうした品切れか?もっと出せよ!足りねぇよ!!」
「悪いな、本当に品切れなんだ。おっとまだ殺すなよ、最後なんだ」
勇者が姿を見せた、そういえばしばらく見ていなかったな。どれくらいの間だ?よく思い出せない。
「無限に出せるんじゃなかったのか、何がしたかったんだ」
「もう分かってるんじゃないのか?ハイになってるのか?邪神が溜め込んだ力は全部出し切った。いつか完全に顕現するため、世界の支配権を確実に奪うため、他勢力を消し飛ばす為の力がお前一人に潰されたんだ。もう邪神のやぼーは終わりだ」
「………」
「俺はこいつの力を吸い出す為のポンプ役でしかなかった。お前の存在を最初から知っていたのか、途中で利用することを思いついたのかは知らない。ただ世界は俺を利用してお前に邪神の力を処理させようとした、そしてそれは今成功したんだ」
「なんでそんな事がわかる」
「母なる世界は寛大だぜ!繋がったら全部教えてくれた、俺は勇者だからな!世界のお気に入りのオモチャさ!俺を餌にして邪神に食いつかせたんだ。食いついたが最後、飲み込もうとしても俺には強力な加護が付いていて逆に引き上げられたというわけだ!俺はオモチャで!餌で!ただのポンプだ!何事もなかったらきっとゲームみたいに活躍して楽しく過ごす物語を見物していたんだろうさ!」
なんだ、随分スレたなこいつ。頭のイカれた悪ガキだった頃の方がまだ見れたぜ。
本当に見ちゃいられねぇ。
「なぜ妹鬼、ルーリアや町の人間を殺した」
「あぁ。町の人間は殺したかったわけじゃない、力を得た時に漏れてしまったんだ。だからこれは罪滅ぼしでもある。ルーリアには気をつけろよ、あいつは世界の代行者気取りだ。予言だか神託だかで頭がイカれてるんだろう。俺が殺したがきっと復活してる」
つまらねぇな、さっきまであんなに楽しかったのに。仕組まれた茶番だと?勇者はただのお仕事をやっていた?滅茶苦茶ムカツクぜ。
「白けたわ。もう帰る、お前はこのまま勝手にくたばれ」
「待ってくれ!頼む!ダンジョンの奥で邪神が復活してる、だが力も意識も無い半端な復活だ。殺してしまえば完全に排除出来る。それが最終目的なんだ」
「あぁ?んなもん知るか」
「ミレイなんだ!俺がちゃんと逃げずに守るように!ミレイが入れ物にされたんだ!既に力も意識も無い、ミレイの体に邪神の魂が移っただけだ、守ってやってくれ!」
腹に大穴を空けたまま叫びやがるから口端から汚い血が飛んでくる。不快だぜ、なんで俺がそんな事をしなきゃならんのだ。イライラさせやがってクソ勇者が!
「オラァ!!」
「がああああ!な、なぜ・・・」
「頼み事なんて出来る立場かよクソガキ、自分でケリつけろ」
イラついたのでもう一度顔面を砕いてから大事に取っておいたソーマをぶっかけた。流石巨人製の入れ物だぜ、あの戦いでも割れないとはな。ケチらずいっぱいくれたしよ、巨人サイズの一人分なのかも知れんが。
勇者も勇者の言葉も無視して帰る。遊びは終わりだ。
入口がどの辺りだったか分からないので適当に天井をぶち抜いて外に出た。
『あ!アレキサンダーだ!』
『アレキサンダーが帰ってきたのです!』
「なんだお前ら、ずっと待ってたのか」
『凄かったんだよ!ずっとすごい量の魔石が吹き出してたんだ』
『いくら集めても無くならなかったのです。母もとっくに完全回復して魔石のお風呂で泳いでいるのです。勝ちマクリ!って叫んでたのです』
「なんだそりゃ」
どうも中で倒していた大量の魔物の魔石がこっちに出ていたらしい。再回収しないように勇者が運んでたんだろう。
「勇者も邪神もお前も生きている、なぜだ?」
「!」
妹鬼だ、突然現れやがった。厄介な能力だな、指輪以外にも色々持っていそうだ。
「オラァ!」
「がはっ」
『えぇぇぇっ!』
会話など不要!有無を言わずに気絶させて捕まえた!この手に限る!
「ちょっとイライラしててな、意味深な事を言って消えるとかされたらブチキレちまいそうだからよぉ」
『うーん、いいと思うよ!』
『本当に野蛮なのです。女の子にくらいは優しくするのです』
こいつはふん縛って姉と対話させてからジャスティス尻叩き100連発だな。腫れ上がって垂れ流しながらさっきの雰囲気が出せるのか観物だぜ!
邪神は消え去った。特に脅威もなく、超常の存在同士の争いの中で敗北した。
ダンジョンは町と共に消え去り、勇者も姿を消した。
馬鹿みたいな量の魔石の大部分は国に還元せずに全て大精霊にくれてやった。ダンジョンが無くなった以上、魔石の生成技術でも出来ない限り頼るのはよくないと考えたからだ。
水の精霊王は巨大な窪地を作り、そこに魔石を流し込んで魔石の湖を作り出した。大量の精霊が集まる楽園となっているようだ。新たな第三勢力とか作るんじゃねぇぞ?
「ルーリア!無事だったか。なぜあんな事をしたのかはゆっくり話せばいい。お前が戻って本当によかった」
「ふん!お前は姉とはいえわた…」
「ナマ言ってんじゃねぇぞオラァ!ジャスティス尻叩き!ジャスティス尻叩き!」
「ぎゃいん!ぎひぃん!ひぃ、ごべんなざいぃ…!」
やはり暴力!暴力は全てを解決する!
脅威にもならないクソガキの制裁なんてこれで十分だ。暇な精霊を餌付けして見張りに付け、ルバンカに再教育を命じた。
「ありがとうアレキサンダー!本当にありがとう」
ふわり、小さな光の玉がルバンカから抜け出して俺の元へ。
「おぉぉぉぉ!久々の!」
力が溢れてくる!既に十分に強くなったはずなのに、欠けていた何かを取り戻すかのような、俺に必要な物だと確信出来るこの感覚!
「ありがとうルバンカ、もうずっとこの国に居ろ」
「あ、アレキサンダー!!……はい!ずっと一緒にいます!」
よしよし、これで鬼族の事はこいつに任せていいだろう。
鬼、魔族、人族、精霊が共に暮らす奇妙な国。竜のフレアに乗って再び訪れた巨人の里では興味を持つ巨人も現れ、数人を国に迎え入れることが出来た。
ますます発展する我が国。俺に出来ることはあんまり無いんだが、まぁ王様ってそういうもんだろ?国に対して出来ることはないが、俺は独立独歩の真の王としてやらなきゃいけない事がある。
「世界樹よ!お前には興味が無いが、勇者を操った奴らをぶん殴らなきゃならん!道を示せ!」
ワシャワシャ!ワシャワシャワシャ!
これまでになく激しく揺れ動く世界樹!何かが落ちてくる!
『よく言ったわ!私と一緒に世界を破壊するわよ!』
「だれだお前!!」
戦いは続く、俺を舐めているこの世の全てを分からせる日まで。
『アンナと仲良くなったアスナが三人で寝たいって言ってたのです』
戦いばっかりじゃよくない!みんないい子で!いいおねショタを!
――――――――――
ここまで読んでくださってありがとうございます。
アレキサンダーくんの冒険は続きますが、このお話はここまでです。
お付き合いいただき、本当にありがとうございました。
新作を始めました。こちらもよろしくお願いたします。
魔物を駆逐せよ!と言われたけどムカついたので忘れてしまいました。
11/28中に2章の始まりまで順次投稿します。その後は毎日0時更新予定。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/445499096/258923189
「ちくしょう!ここまで化け物だとは聞いてないぞ!」
楽しい!
何も含む事の無い殺し合い!目についた奴全部殺していい!しかも殺しても殺しても湧いてくるし煽りも罵倒も織り交ぜて最高だぜ!
湧き出す魔物の質も上がっているが相変わらずの混雑でギチギチだ、しかしその中でもしっかり動く奴も現れだした。
『ブルクラッシュ!』
『スカイドライブ!』
天と地で挟み込む必殺の連携攻撃!
「ははははは!小癪小癪!魔物風情が連携スキル何ぞ使いおって!アレキサンダー流・霞二段撃ち!」
天地同時の攻撃を天地同時に迎え撃って打ち砕く!拳が腹を突き破り、噴水のような返り血を浴びながら四方に迫る雑魚共を旋風脚で切り裂く。殺して殺して、息つく暇も無くまた殺した。
真紅に輝く竜を殺した、炎の巨人を殺した、氷の女王を殺した、豪奢な戦乙女を殺した、巨大ロボットを殺した、変身を繰り返す泥の塊を殺した、死を振りまく骸骨を殺した、統率された騎士団を殺した、羽の生えた大きな人間を殺した、多様なスキル扱う半人蜘蛛を殺した、出てくる全てを殺し続けた。
敵はどんどん強くなる。腕がちぎれ、下半身がもげ、首がへし折られ、全ての魔力を使い果たした。それでも殺す、スキル修羅道の効果により勝ち続ける限り永遠に殺し続ける事ができる。
勇者には目もくれなくなった。どうせあいつは魔物を出し続けるしか無い、そうしなければ俺は容赦なくダンジョンの奥で邪神とやらを殺す。どうやらあいつはそれが大層嫌な様子だ。
1秒毎に殺す、数秒ごとに命を失いそうになる、そんな遊び。
笑顔の俺と苦渋に満ちた勇者の遊びの様な戦いは、時を忘れる程続いた。
――――――――――
正真正銘の化け物だ。
こいつが殺しているのはそれぞれ別の世界を終わらせた化け物達、そこにいる生物を殺し尽くし勝利し続けた化け物達、それが拳の一振りで消し飛ばされている。
どんどん強くなっている。元から化け物だったが、あそこまでではなかったはずだ。自分で気づいているんだろうか?お前の強さは存在するだけで世界が発狂するほどだ。
もう戦い続けて1ヶ月になる。途中で休む方法も考えていたっていうのに台無しだ。血を啜り肉を食いちぎるなんて本当にあるんだな。怪我をした事もあったが気づいたら治っている、そして今じゃ怪我すらしない。化け物って言葉でも足らないな。
俺自身も何度も殺されて復活した。余分に痛めつけられて堪ったもんじゃない。今では近寄らずにアイテムボックスで魔石を回収して地上に吐き出す作業だけを続けている。
もう少しだ、もう少しで終わる。本当に損な役割だったぜ、でも俺は結局大した事も出来なかったしなー。仕方ない仕方ない、これも勇者の役目だろう。後はきっとアレキサンダーがなんとかしてくれる。
今になって考えたら俺、イキりすぎて恥ずかしかったよ。イキるのが格好いいみたいに思ってたし、ルーリアに唆されたってのもあったが、それにしても酷かった。
故郷ではよかったな。俺はみんなを守りたかったし、実際俺の力でみんなを守れたはずだ。その後がなぁ、まぁ全て今更だ。
さて、時間だな。さようなら。
――――――――――
「『勇者の誓い』『ブレイブモード』『真・光明剣』!」
「遅い遅い遅い!アレキサンダー流・弧月陣!」
欠けた月を描く片手廻し受け!勇者の剣を弾き、カウンターの拳が勇者の腹を貫通する!
「ぐぼぉぉぉっ!……げぼっ!やっぱつえぇな」
「あぁん?どうした品切れか?もっと出せよ!足りねぇよ!!」
「悪いな、本当に品切れなんだ。おっとまだ殺すなよ、最後なんだ」
勇者が姿を見せた、そういえばしばらく見ていなかったな。どれくらいの間だ?よく思い出せない。
「無限に出せるんじゃなかったのか、何がしたかったんだ」
「もう分かってるんじゃないのか?ハイになってるのか?邪神が溜め込んだ力は全部出し切った。いつか完全に顕現するため、世界の支配権を確実に奪うため、他勢力を消し飛ばす為の力がお前一人に潰されたんだ。もう邪神のやぼーは終わりだ」
「………」
「俺はこいつの力を吸い出す為のポンプ役でしかなかった。お前の存在を最初から知っていたのか、途中で利用することを思いついたのかは知らない。ただ世界は俺を利用してお前に邪神の力を処理させようとした、そしてそれは今成功したんだ」
「なんでそんな事がわかる」
「母なる世界は寛大だぜ!繋がったら全部教えてくれた、俺は勇者だからな!世界のお気に入りのオモチャさ!俺を餌にして邪神に食いつかせたんだ。食いついたが最後、飲み込もうとしても俺には強力な加護が付いていて逆に引き上げられたというわけだ!俺はオモチャで!餌で!ただのポンプだ!何事もなかったらきっとゲームみたいに活躍して楽しく過ごす物語を見物していたんだろうさ!」
なんだ、随分スレたなこいつ。頭のイカれた悪ガキだった頃の方がまだ見れたぜ。
本当に見ちゃいられねぇ。
「なぜ妹鬼、ルーリアや町の人間を殺した」
「あぁ。町の人間は殺したかったわけじゃない、力を得た時に漏れてしまったんだ。だからこれは罪滅ぼしでもある。ルーリアには気をつけろよ、あいつは世界の代行者気取りだ。予言だか神託だかで頭がイカれてるんだろう。俺が殺したがきっと復活してる」
つまらねぇな、さっきまであんなに楽しかったのに。仕組まれた茶番だと?勇者はただのお仕事をやっていた?滅茶苦茶ムカツクぜ。
「白けたわ。もう帰る、お前はこのまま勝手にくたばれ」
「待ってくれ!頼む!ダンジョンの奥で邪神が復活してる、だが力も意識も無い半端な復活だ。殺してしまえば完全に排除出来る。それが最終目的なんだ」
「あぁ?んなもん知るか」
「ミレイなんだ!俺がちゃんと逃げずに守るように!ミレイが入れ物にされたんだ!既に力も意識も無い、ミレイの体に邪神の魂が移っただけだ、守ってやってくれ!」
腹に大穴を空けたまま叫びやがるから口端から汚い血が飛んでくる。不快だぜ、なんで俺がそんな事をしなきゃならんのだ。イライラさせやがってクソ勇者が!
「オラァ!!」
「がああああ!な、なぜ・・・」
「頼み事なんて出来る立場かよクソガキ、自分でケリつけろ」
イラついたのでもう一度顔面を砕いてから大事に取っておいたソーマをぶっかけた。流石巨人製の入れ物だぜ、あの戦いでも割れないとはな。ケチらずいっぱいくれたしよ、巨人サイズの一人分なのかも知れんが。
勇者も勇者の言葉も無視して帰る。遊びは終わりだ。
入口がどの辺りだったか分からないので適当に天井をぶち抜いて外に出た。
『あ!アレキサンダーだ!』
『アレキサンダーが帰ってきたのです!』
「なんだお前ら、ずっと待ってたのか」
『凄かったんだよ!ずっとすごい量の魔石が吹き出してたんだ』
『いくら集めても無くならなかったのです。母もとっくに完全回復して魔石のお風呂で泳いでいるのです。勝ちマクリ!って叫んでたのです』
「なんだそりゃ」
どうも中で倒していた大量の魔物の魔石がこっちに出ていたらしい。再回収しないように勇者が運んでたんだろう。
「勇者も邪神もお前も生きている、なぜだ?」
「!」
妹鬼だ、突然現れやがった。厄介な能力だな、指輪以外にも色々持っていそうだ。
「オラァ!」
「がはっ」
『えぇぇぇっ!』
会話など不要!有無を言わずに気絶させて捕まえた!この手に限る!
「ちょっとイライラしててな、意味深な事を言って消えるとかされたらブチキレちまいそうだからよぉ」
『うーん、いいと思うよ!』
『本当に野蛮なのです。女の子にくらいは優しくするのです』
こいつはふん縛って姉と対話させてからジャスティス尻叩き100連発だな。腫れ上がって垂れ流しながらさっきの雰囲気が出せるのか観物だぜ!
邪神は消え去った。特に脅威もなく、超常の存在同士の争いの中で敗北した。
ダンジョンは町と共に消え去り、勇者も姿を消した。
馬鹿みたいな量の魔石の大部分は国に還元せずに全て大精霊にくれてやった。ダンジョンが無くなった以上、魔石の生成技術でも出来ない限り頼るのはよくないと考えたからだ。
水の精霊王は巨大な窪地を作り、そこに魔石を流し込んで魔石の湖を作り出した。大量の精霊が集まる楽園となっているようだ。新たな第三勢力とか作るんじゃねぇぞ?
「ルーリア!無事だったか。なぜあんな事をしたのかはゆっくり話せばいい。お前が戻って本当によかった」
「ふん!お前は姉とはいえわた…」
「ナマ言ってんじゃねぇぞオラァ!ジャスティス尻叩き!ジャスティス尻叩き!」
「ぎゃいん!ぎひぃん!ひぃ、ごべんなざいぃ…!」
やはり暴力!暴力は全てを解決する!
脅威にもならないクソガキの制裁なんてこれで十分だ。暇な精霊を餌付けして見張りに付け、ルバンカに再教育を命じた。
「ありがとうアレキサンダー!本当にありがとう」
ふわり、小さな光の玉がルバンカから抜け出して俺の元へ。
「おぉぉぉぉ!久々の!」
力が溢れてくる!既に十分に強くなったはずなのに、欠けていた何かを取り戻すかのような、俺に必要な物だと確信出来るこの感覚!
「ありがとうルバンカ、もうずっとこの国に居ろ」
「あ、アレキサンダー!!……はい!ずっと一緒にいます!」
よしよし、これで鬼族の事はこいつに任せていいだろう。
鬼、魔族、人族、精霊が共に暮らす奇妙な国。竜のフレアに乗って再び訪れた巨人の里では興味を持つ巨人も現れ、数人を国に迎え入れることが出来た。
ますます発展する我が国。俺に出来ることはあんまり無いんだが、まぁ王様ってそういうもんだろ?国に対して出来ることはないが、俺は独立独歩の真の王としてやらなきゃいけない事がある。
「世界樹よ!お前には興味が無いが、勇者を操った奴らをぶん殴らなきゃならん!道を示せ!」
ワシャワシャ!ワシャワシャワシャ!
これまでになく激しく揺れ動く世界樹!何かが落ちてくる!
『よく言ったわ!私と一緒に世界を破壊するわよ!』
「だれだお前!!」
戦いは続く、俺を舐めているこの世の全てを分からせる日まで。
『アンナと仲良くなったアスナが三人で寝たいって言ってたのです』
戦いばっかりじゃよくない!みんないい子で!いいおねショタを!
――――――――――
ここまで読んでくださってありがとうございます。
アレキサンダーくんの冒険は続きますが、このお話はここまでです。
お付き合いいただき、本当にありがとうございました。
新作を始めました。こちらもよろしくお願いたします。
魔物を駆逐せよ!と言われたけどムカついたので忘れてしまいました。
11/28中に2章の始まりまで順次投稿します。その後は毎日0時更新予定。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/445499096/258923189
20
お気に入りに追加
96
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(2件)
あなたにおすすめの小説

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!
異世界で穴掘ってます!
KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語

悪役貴族に転生したから破滅しないように努力するけど上手くいかない!~努力が足りない?なら足りるまで努力する~
蜂谷
ファンタジー
社畜の俺は気が付いたら知らない男の子になっていた。
情報をまとめるとどうやら子供の頃に見たアニメ、ロイヤルヒーローの序盤で出てきた悪役、レオス・ヴィダールの幼少期に転生してしまったようだ。
アニメ自体は子供の頃だったのでよく覚えていないが、なぜかこいつのことはよく覚えている。
物語の序盤で悪魔を召喚させ、学園をめちゃくちゃにする。
それを主人公たちが倒し、レオスは学園を追放される。
その後領地で幽閉に近い謹慎を受けていたのだが、悪魔教に目を付けられ攫われる。
そしてその体を魔改造されて終盤のボスとして主人公に立ちふさがる。
それもヒロインの聖魔法によって倒され、彼の人生の幕は閉じる。
これが、悪役転生ってことか。
特に描写はなかったけど、こいつも怠惰で堕落した生活を送っていたに違いない。
あの肥満体だ、運動もろくにしていないだろう。
これは努力すれば眠れる才能が開花し、死亡フラグを回避できるのでは?
そう考えた俺は執事のカモールに頼み込み訓練を開始する。
偏った考えで領地を無駄に統治してる親を説得し、健全で善人な人生を歩もう。
一つ一つ努力していけば、きっと開かれる未来は輝いているに違いない。
そう思っていたんだけど、俺、弱くない?
希少属性である闇魔法に目覚めたのはよかったけど、攻撃力に乏しい。
剣術もそこそこ程度、全然達人のようにうまくならない。
おまけに俺はなにもしてないのに悪魔が召喚がされている!?
俺の前途多難な転生人生が始まったのだった。
※カクヨム、なろうでも掲載しています。

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした
高鉢 健太
ファンタジー
ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。
ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。
もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。
とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
いや、脳の鍛え方www
脳筋理論にしか考えられんのだが!?www
コメントありがとうございます!
知恵熱で賢くなると思ってるのは主人公だけかもしれません!
ここすごくイイ