ゲームっぽい世界に転生したので人間性を捨てて限界まで頑張る ~転生勇者もヒロインズも魔王もまとめてぶちのめす~

無職無能の自由人

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第46話 わからせるまでもない

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 ケトへのわからせは済んだ。

 光の玉は出なかったけど、別にそれをカツアゲしていたわけじゃない。ただ舐め腐った態度を戒めただけだ。



『大変な目にあったのです。半年で普通の子供がこんなに強くなるのはおかしいのです』

「ステータスは無くなったけどスキルは残ってるからなぁ、体力は70倍くらいだっけ?多分これが活きてるんだろう。それとこの鍛錬ωってのも効いてるんじゃね」



 ―――――――――

 アレキサンダー

 9歳



 ジョブ 狂乱の凶王

 レベル ー



 体力 ー

 魔力 ー



 スキル

 狂化ω

 体力+5%

 体力+20%

 体力+50%

 体力+100%

 体力+200%

 体力+300%

 体力+400%

 体力+500%

 魔力+5%

 魔力+20%

 魔力+50%

 魔力+100%

 魔力+200%

 魔力+300%

 魔力+400%

 魔力+500%

 魔力+600%

 体魔力+5%

 体魔力+20%

 体魔力+50%

 体魔力+100%

 体魔力+200%

 体魔力+300%

 体魔力+400%

 体魔力+500%

 体魔力+600%

 体魔力+700%

 体魔力+800%

 体魔力+900%

 体魔力+1000%

 鍛錬ω

 天壌無窮



 スキルアーツ

 狂戦士化

 修羅道 



 魔法

 魔力暴走

 ――――――――――



『でも転職した直後は普通の子供だったのです』

「うーむ、どこかで殻を破ったんだろうな。熊と戦った後に桃を食ったんだが、次の戦闘では拳で腹を貫いてたからなぁ」

『この天壌無窮というのはなんなのですか?』

「それ分かんないんだよ、ついでに言うと狂化も全然効いてないよな」

『え?』

「あはは!アレキサンダーは面白いね!」

「なんだ?何が言いたい?」



『もう9歳なのに随分ちっちゃくなっちゃったのです』

「ふむ、まぁそうなんだが。10個も食ったからなぁ、本来なら幼児に戻ってるところだ。ベルには感謝だな」

「そろそろ無くなっちゃったんじゃない?また貰いに行こうよ!」

「うーむ、とりあえずベルのところへ行ってみるか」





「なんじゃ帰っておったのか、よく来たの」

「追い返さなくなったのか」

「わしらの王じゃからのう、仕方ないのじゃ」

「何だそりゃ。ところで可能性の実から若返り効果を抜くのはかなり出来上がってたんだな、貰った分を10個食ったがこの程度で済んだわ」

「ふむ……」

 ベルがしげしげと見てくる。なんだ?服脱いだほうがいいか?脚の日もサボってないぞ!全部脱ぐか!?



「あれはな、半分も抜けておらんよ。10個も食えばそんな歳でいられるわけがないのじゃ」

「あん?どういう事だよ」

「知らん。だがこうなるかもしれんと思って渡した。お主は思い込みが強いからのう、大丈夫と思ったから大丈夫だったのじゃ」

「訳の分からんことを。それより可能性の実はまだあるのか?無いなら取ってくるが」

「実験にだいぶ使ってしまったのじゃ。残りはいくつか隠してあるだけじゃが、自分で食べる以上には取ってくるでない。ほいほい配るようなものではないのじゃ」

「まぁそりゃそうか」



「ところでお主、魔石を持っておらんか?最近は人が増えたし色々と荒れだしておるからの、魔石があれば作物の育成を早く出来るのじゃ」

「うーん、昨日拾ったクソでかいやつだけ持ってるな。ケトを連れていけば大量に集まるんだが」

「それ置いていけ。我が国には農業くらいしか無いからのう、王が頑張って稼いでくるのじゃ」

「分かったよ。また来る」

 ベルの家を出てから気づいた。そういえばベルからも光の玉は出なかったなと。




「さて、それじゃあそろそろ勇者に会いに行くか。別にぶっ殺すほどの相手では無くなっちまったが、精霊王を取り戻さないとな」

『そうなのです!早く母を助けるのです!』

「スパイさせてたアマンダの話じゃ王座を奪って城にいるらしいからな。面倒くさいし城まで直接飛ぼうぜ」

「ぼくに任せといて!」

 うにょんうにょんとフレアが竜の姿に戻る。こいつ今では人の姿でいる事が大半になってないか?

『いいよー!行こー!』

「王都には行ったこと無いし、とりあえず前の村にでも行って場所を聞いておくか」

 大体見当はついてるし空から探せばすぐなんだけど、一応な。





 ドズゥン。

 フレアの背に乗ってほんの20分、かつて勇者に出会った村に着いた。

 元山賊を村人に引き入れてしまうような緩い村だったんだが。

「勇者ってやっぱイカれてるな」

 村は焼かれていた。あの時勇者は引き返していたが、気が変わった?当時の王がやった?クソザコ村人狩りとは恐れ入るぜ。



「誰かいないのか―!」

 村を歩いて人を探してみる。あの時会った村長は若くて賢く精悍だった、税を免れて多少の物資を隠しておくくらいの事はやってたんじゃないかな。

 焼かれてから暫く経っている様で人は見つからなかった。だが大量に処刑されたような形跡も無い。何らかの理由で村だけ焼かれたか、もしくは自分たちで焼いたか。連れて行かれたか。どちらにしろここにはもう何もない。

「行こう、街道に沿って行けば大きな街が見つかるはずだ」




 フレアに乗ってゆっくりと道沿いに進む。途中でそれなりの規模の街を見かけるんだが、どの街も門の外に軍が駐留している。一帯ありゃ何をしてるんだ?あんな風に街に取り付かれてたらピリついていそうだ。

『アレキサンダー!あれじゃない?お城があるよ!アリーちゃん元気かなぁ』

「そういえば勇者に呼びつけられてるらしいな、ここに居るかもしれんぞ」

『ほんと!?アリーちゃんに会いたいなぁ!』

「よし、このまま城の中の空いてる所に降りちまえ。アリーが居たら気づいてすっ飛んでくるだろ」

『分かった―!』



 ドズゥン!

 城の中庭に強制着陸。相手はこちらに対応せざるを得なくなり、無駄な問答や待ち時間をカット出来るのだ。

「こら!フレアだめでしょー!」

『あぁ!アリーちゃぁぁん!』

「この手に限る」




 フレアは人間に変身した。相変わらずアリーにそっくりで、双子がきゃいきゃいやっているようにしか見えん。BAUBAUー!

 フレアの変身を見て俺も変身する事にした。だって俺今6歳の姿だぜ?勇者とやり合うならもうちょっとさぁ。

 という事で大急ぎで大人のイメージの俺に変身。身長230cm、ケトに出させたヤベェ雰囲気の鎧を纏い、僅かな隙間からミチミチに満ちた筋肉が鎧を押し上げているのが窺えるスタイル。腰には細身の直剣、背中にはダンジョンで拾った大剣だ。なお使ったことはない。



「アレキサンダー!あんたもう元にもどったの!?それなら頭もちゃんと鍛えなさいよ!」

「なんだぁてめぇ」

 いきなり失礼な奴だ。こいつには出会い頭で強烈にわからせた筈なんだが?鳥頭なんだろうか?小便チビってガタガタ震えていたのにな。

「ちびって無い!」

「すまん、声に出てしまった」



 ごちゃごちゃと話してる間に兵士の数も増えてきた。どれだけ人数を集めてもフレアが尻尾を振るだけで人間に止める術なんて無いのに、力の差が分からん奴らだ。わからせが必要か?



「竜が襲って来たって聞いたんだが?どこにもいないじゃないか。アリー、お茶の続きをしよう。って、アリーが二人!?姉妹!?そんな設定あったっけ?」



『勇者なのです。やはり薄っすらと母の気配がするのです』

「今度こそ話をつけるから少し待ってろ」




「アレス様、こちらは竜のフレアです。私のお友達なのですが、会いに来てしまったようですわ」

「ぶぶぷ…!」

 ですわって何だよ!お嬢様部にでも入ったのか?

 ちょっと吹き出したせいでギロリと睨まれてしまった。なかなかいい目をするじゃないか。



「竜だって?そうか変身か。フレアって言うんだな、俺は勇者王アレスだ。よろしくな。一緒にお茶にしようよ」

 勇者王…勇者王ね、勇者王。中々のセンスだ。俺は一度も凶王と名乗った事は無いんだが、恥ずかしがらずに名乗るべきなのかもしれん。




「待て待て勇者よ。名乗らせてもらおう。俺はここから北の小さな国の王、狂乱の凶王アレキサンダーだ」

「狂乱のきょう王?ダッサ!なんだそれ。そんなの無いだろ馬鹿馬鹿しい。ここの北はトーリアだぞ、国の名前を言ってみろよ」

 ビキィ!!

 アレキサンダーの羞恥心に8381のダメージ!アレキサンダーの怒りゲージに3648万追加!



「国の名前はまだ無い。出来たばかりでな。建国と即位式にはそこのアリーにも祝福してもらった」

「は!?モブの分際で俺のアリーを呼び捨てにしてんじゃねぇよ!こいつを牢に入れておけ!」

 ビシャアァァァ!!

 アレキサンダーに5661万お笑いダメージ!怒りは消え去った!

「お、俺のアリー!?ハハハハハハハハハ!俺のアリー!ハハハハハハハハ!!よかったなアリー!勇者くんはお前に惚れてるみたいだぞ!ぶはははははははははは!!!」

「ちょ!ちょっと止めなさいよ!」

「ははははははははは!こいつは傑作だ!姫さん集めて何をしているのかと思ったら恋愛ごっこかよ!お前まだ10歳くらいだろ!?やっぱイカれてんなぁ勇者!!」

「おまえぇぇぇぇぇ!」



「アレキサンダーさん、それくらいにしてください」

「あ、カバンちゃん。じゃないエリナ。久しぶりだなエリナ、俺のことをすぐに見抜くとは流石俺とお前の仲だ。あの日の昼食は楽しんでもらえたかな?お前の為に大森林の奥地でバジリスクの卵とか大怪牛とか取ってきてたんだぜ」

「エリナまで!?許さん!俺が直々に相手してやる!」

「………煽らないでください」

「聞いたか!?エリナまでだってよ!勇者くんこいつにも色気出してんのかよ!!アハハハハハハハハ!他人の趣味に口を出すのはヤボかもしれんがよ、こんなチンチクリンのどこがいいんだよ!アハハハハハハハハハ!」




 ブチィィィ!

 何かがブチ切れる音が響く!アリーとエリナから迸る魔力!逆巻く風を纏うアリー!輝く冷気を纏うエリナ!そして勇者の周りには小さなスパークが巻き起こる!

「アレキサンダーと言ったな!お前は殺す!」

「お仕置きです」

「言っていい事と悪いことがあるわ」



「勇者よ、抜けよ水の剣を。お前が持っているんだろう」

「な、なにを!」

「水の剣は大剣だろう?お前の手には合わないか?ならこれと交換してやってもいいぞ?これは扱いやすくてな、お前には全力で戦ってもらいたい」

 腰の剣を取り外して見せてやる。握りの細い細身の直剣。羽のように軽くて子供でも扱いやすいだろう。加護を無視して切り裂く事の出来る神秘の剣だ。子供勇者にはふさわしい、これを使って戦ってくれりゃいいよ。



「お、おまえその剣は!そうか、お前のせいで!お前のせいでこの国は!」

「あぁ?知らねぇよ。そんでこれいらないのか?」

「お前を殺せば同じことだ!」

 殺してでも奪い取るかよ。いいね、話が早い。

 ここに至っても加護の影響は無い。俺は自由だ、何者にも縛られていない。勇者を殴りたいなら殴るだけだ。それを証明したい。

「実は俺もそう思っていたんだ。フレア、ケト、手を出すなよ」

『出すわけ無いのです』

「がんばれー!」





「勇者くんにわからせの時間だ」



「馬鹿にしやがって!一撃で終わりだ!『縮地』『居合い切り』!」

 素手のまま踏み込んで来たのに次の瞬間には大剣が握られている。なかなかトリッキーな動きじゃないか、これが勇者の戦い方か。

「天地無明・無刀取り!」

 勇者の動きに逆らわず、剣を握る手の上から両手で優しく絡めほぐす。勝利を確信して剣を振り抜く勇者。しかしその手に剣は無い。



「これか、なるほど何かの力を感じる」

「な!?盗賊のスティールか!?早すぎる!」

「引いてください!冷徹なる光!ケリュテ・リヒトシュトラール!」

 カバンちゃんから危険な魔力を感じて飛び上がる、一瞬遅れて突き出した手から放たれるボンレスレーザー!

 ギュゴォォ!!

 奇怪な音を立てて空を貫く光!跡には凍りついた空気の柱が残る!

 これ完全に殺す気だろ、カバンちゃんブチ切れてるじゃねぇか。俺はこんなん当たらないけど、勇者くんは凍りついてね?



 余裕こいて空中に浮かぶ凍った柱に立とうとした所に今度はアリーからの追撃だ。

「風よ!全てを破壊しなさい!エルプレッショネ・エクスプロージョン」

 ドンドンドンズドォォォン!!!

 何も無い空中に突然火炎を伴う爆発と強烈な衝撃波が炸裂する!咄嗟に凍った柱を砕き、その間に入り込んだ!

「服が破けちゃうだろうが!」

 凍った柱で周囲を塞ぎ、低く構えて衝撃が収まるのを待つ。その視界の先で勇者くんが右に左に吹き飛ばされ、素っ裸になるのを確認してしまった。

「惨い……戦いとはいつも悲惨なものよ」



 俺はノーダメージ、アリーとエリナは好戦的に眼をギラギラと光らせている。だが勇者くんは瀕死だ。

「これ以上戦えば勇者は死ぬ。それでもやるか?」

「………引きなさい、この決着は必ず」

「今は見逃してあげる、でも出した言葉は消えないのよ」

 何言ってんだこいつら、怒りすぎだろ。手に入れた力に酔ってるのか?それとも勇者に惚れて頭がおかしくなってるのか?




「そんなに怒るなよ、勇者くんとの恋愛を馬鹿にしたのは謝るよ。趣味に口を出すのはよくなかった。俺が悪かった、応援するぜ。ほら、介抱してやれよ。男はそういう時にグッと来たりするんだよ。チャンスだぜ!」

 グッ!と親指を立てて応援する。超禍々しい兜をかぶっているのでマッスルスマイルが見せられないのが残念だが、俺の真心は通じるはずだ。

 ビキビキビキィィィ!!

 怒りの波動が場を支配する!なぜだ!?

「深淵に眠る女王よ…ここにあなたへの供物を……」

「ころすころすころすころすころす………」




『アレキサンダー!今はもう帰るのです!一刻も早く母を開放するのです!』

『アリーちゃんまたねぇ!』







 フレアに咥えられて王都を後にした。得た物は水の剣、そしてなにか危険な物を生み出してしまった気がする。

 しかしまぁとりあえず。




「勇者くんクソ雑魚だったな」
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