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第43話 ガキに煽られるガキ大将
しおりを挟む3人を乗せて村に帰った。村と言っても城塞化しているし、集めた金で水道等の設備も整えられており、とりあえず都市国家としてならおかしくないかな?いや人口が少なすぎるか。
「こんな事になっていたなんて…、これに気づかないなんて我が国はもう限界なのでしょうね」
「こいつが一人で稼いだ金で無理やりやってるんでしょ?気にすること無いわよ」
仲良く慰めている。いいぞ、今日だけ仲良くしてくれたら明日から戦争しても構わない。
「母者、戻りました。みな準備できていますか」
「えぇ大丈夫よ。でもまずは挨拶ね、アレキサンダーも覚えなさい」
母者達が挨拶を交わしている。母者はどこで上流階級の振る舞いを覚えてくるんだろう?王族出身とかは絶対にない、元は普通の村人だったぞ。
3人を降ろして次は鬼族のところだ。
「アレキサンダー、今日はおめでとう」
「おうありがとうな、ルバンカ今日はバッチリ決めてるな」
「あ、あぁ。今日は晴れの日だし、アレキサンダーのご両親にも会うわけだしな」
「そうか、王への転職の後に昼食会しかないんだが、豪勢にしたから楽しんでいってくれよな」
「ありがとう、今日はいい日だ」
即鬼の二人も同行した。同行者の居ない二人の姫の方がおかしいんだが、そこは俺じゃなく竜への畏怖だろうな。
村に連れ帰って母者達に紹介した。ルバンカが緊張して何か失敗したらしいが知らん。
時間も押しているので、皆で軽く挨拶を終えたら俺の転職だ。終わってから昼食会があるのでそこで思う存分挨拶してくれりゃいい。
立会うのは、母者、転職係の元姫さん、トーリア姫のカバンちゃん、アンティカ姫のアリー、鬼族の姫ルバンカ、アルニアの宮廷魔道士アマンダ、竜のフレア、精霊のケト、元聖女のおば…ベル、水の町の元市長の娘で宰相のリリス。そして弟のダイオスにも参加してもらう。全部で11人だ。
ルバンカのお供や村の連中は昼食会の準備をしてもらっている。
「ベルナデッドぉぉぉ!!」
「アマンダぁぁぁ!!」
元気な声が聞こえてくる、きっと俺を祝福しているんだろう。今は構っている余裕がない。
いよいよ儀式の開始が迫る。流石に緊張してきた。
人前で儀式をすることにじゃない、自分の力が失われる恐怖に対してだ。
「ステータス」
―――――――――
アレキサンダー
8歳
ジョブ 狂修羅
レベル 1038
体力 2,924,070
魔力 5,530,011
スキル
狂化ω
体力+5%
体力+20%
体力+50%
体力+100%
体力+200%
体力+300%
体力+400%
体力+500%
魔力+5%
魔力+20%
魔力+50%
魔力+100%
魔力+200%
魔力+300%
魔力+400%
魔力+500%
魔力+600%
体魔力+5%
体魔力+20%
体魔力+50%
体魔力+100%
体魔力+200%
体魔力+300%
体魔力+400%
体魔力+500%
体魔力+600%
体魔力+700%
体魔力+800%
体魔力+900%
体魔力+1000%
鍛錬ω
天壌無窮
スキルアーツ
狂戦士化
修羅道
魔法
魔力暴走
――――――――――
短い間だったがダンジョンで大幅に上がっていた。
凄まじい力が自分の中にあるのは実感している。本気で地面を殴れば大災害が発生するし、息を吹くだけで町を破壊できるだろう。でもそんなの出来るからってやるか?
やらない、使わない、使えない、だから数値はいいよ。この世界を作った何かに付与されたヘンテコな力だ、その何かが加護する相手をぶん殴るのならお返しするのが筋だよな。
自分の腕を見る、まだ幼いのによく鍛え上げられた短くて太い腕だ。この筋肉とお別れするのが寂しい、だって物心ついた頃からずっと一緒に頑張ってきたんだもんな。
だが永遠のお別れじゃない、俺は必ず力を取り戻す。再び鍛え上げ、レベルやステータス等に頼らず、自由に力を奮うんだ!
「アレキサンダー、全ての準備ができましたよ」
「母者、ありがとうございます。俺は王になり、なり、母者?」
あれ?母者?母者だよな?中学生くらいの少女だけどさぁ、母者だよね?
「おほほほ!若い子がいっぱい居たので母も小ジワが恥ずかしくなっちゃって、1つ食べちゃったわ」
「そ、そうですか。喜んでもらえたようで何より」
「アレキサンダー!私も貰ったんだ!これで歳も近くなったし……何も障害は無いな!」
いやお前まで何やってんの!?後ろに控えてる二人まで少女になってるじゃあねぇか!お前それで帰って普通に受け入れてもらえると思ってんのかよ!
「ま、まぁいい。始めよう」
儀式と言ってもただの転職だ。竜の長老の言葉に習って人を集めただけ。家の中でいつも通り行って終わりである。
「それでは、目を瞑って祈ってください」
「おう」
もう三度目だ、頭にビビビッっと電流が走って終わりのはず。
「にゃむにゃむにゃむにゃむにゃむ……カーッ!」
「!」
俺の体から力が抜ける、魔力が抜ける、そしてずっと守ってくれていた誰かが居なくなる。
ステータスなんて気持ち悪いと思っていた。勇者の遊び場の様な世界を気持ち悪いと思っていた。だが今なら分かる、俺の事を守ってくれていたんだ。俺だけじゃない、レベルというシステムがある種族は全て何かから守られていた。いやそれすら関係ないのかも知れない。この世界は確かに愛されていた。
俺にも加護はあったんだ。勇者や竜とは違うだけで、みんな守られている。それを捨てた時に初めて、全てを守る優しい何かの存在に触れた。
(今までありがとう。俺はもう、ひとりで大丈夫だ)
消えゆく何かに感謝を捧げ、この世界を全力で生き抜くことを再び誓った。
目を開けて自分の腕を見る。細く柔らかそうな腕だ、本当に代わってしまった。
今の俺は無力な只人、もう一度ここから始めるんだ。よし!頑張るぞ!!
小さく拳を握って突き上げた。爽やかな気分だ、力を失っても欠片ほどの後悔も感じなかった。俺は大丈夫だ!
「ステータス」
―――――――――
アレキサンダー
8歳
ジョブ 狂乱の凶王
レベル ー
体力 ー
魔力 ー
スキル
狂化ω
体力+5%
体力+20%
体力+50%
体力+100%
体力+200%
体力+300%
体力+400%
体力+500%
魔力+5%
魔力+20%
魔力+50%
魔力+100%
魔力+200%
魔力+300%
魔力+400%
魔力+500%
魔力+600%
体魔力+5%
体魔力+20%
体魔力+50%
体魔力+100%
体魔力+200%
体魔力+300%
体魔力+400%
体魔力+500%
体魔力+600%
体魔力+700%
体魔力+800%
体魔力+900%
体魔力+1000%
鍛錬ω
天壌無窮
スキルアーツ
狂戦士化
修羅道
魔法
魔力暴走
――――――――――
レベルも能力も表記が無くなってしまった。スキルはそのままなんだな。スキルは魂に刻まれると聞いたことがある。ジョブによって手に入れた物だが、これは既に俺の物だったって事かな。
見守ってくれていた皆に顔を向けた。みんなまっすぐに俺を見ている。
「どうした、弱そうで頼りないか?すぐに力を取り戻すさ、祝福してくれよ」
「か、か、か、」
「か?」
「かわいいーーー!」
「は?うぉっ!」
女共が襲ってくる!こわい!なんだ!?体が弱くなって心まで弱くなっちまったのか!?この俺がこんなやつらなんぞに!
「離れろ!はなれろー!うおぉ!」
「うひょひょひょ!めんこいのじゃー!あのアレキサンダーがこの様な無力な少年になるとは驚きなのじゃ!」
「ベルちゃん!私の子ですよ!抱いてあげたのなんて生後数日だけだったんですから!今こそ母の愛を教えてあげないと!」
「かわいいかわいいかわいい!あの生意気なアレキサンダーがこんなぷにぷにになるなんて!」
「はなれろボケ共が!ぶっ殺されてぇか!」
「ほほほほほ!そんな所もかわいいわね!」
「………今のアレキサンダーさんなら倒せそうです」
「世界の為にやった方がいいかもしれません」
クソ!滅茶苦茶しやがって!力さえあれば!力がほしい!力が!!
押し倒されながらそう願った。そして天井付近に目が行った時、そこに俺から抜けていった力がまだ留まっていること気づいた。
小さく、しかし大きな力を感じる星の輝きの様なそれ。それはゆっくりと降りてきて、俺の周りをぐるぐると周り、やがて俺の、俺の周りの連中に吸い込まれていった。
『あばばばばばばばばばば!!』
「そっちかよ!」
ヤバイブツを決めたかの様に痙攣する女たち。白目を剥いて涎を垂らしながら痙攣する姿はあまりに醜い。俺にあんな事をするからバチがあたったに違いない、ざまぁ!
「すごい…凄い力が流れ込んでくる……これが私の本当の力………」
「は?」
「私レベル300を超えています!」
「すごい魔力、この力があれば…!」
「やったやったやった!私は大魔道士よ!」
「アレキサンダー!ぼく強くなったよ!」
『大精霊に昇格したのです!すごいのです!』
「外で魔法を撃ってきます!」
「私もー!」
「は?」
「全てを凍らせ、沈黙の世界を創り出せ!コキュートス・ディストラクション!」
バキィィィン!!
カバンちゃんが手を突き出した先、目に見える距離全てに放射状に広がる白銀の世界。宙に向けて放ったのに、凍った世界は落ちることすらない。固まったままそこに留まっている。これは神秘だ、ありえない事だ。
『溶かせー!GOOOOOOO ! !』
その神秘をフレアの炎が溶かしていく。以前に見た威力とは桁違いだ、見ているだけで心の芯が震えてくる地獄の業火。
「すごいすごいすごーい!あははははは!」
「ど、どうなっているんだ…これはいったい……」
『アレキサンダーから出ていった力が皆に配られたのです。竜の長老様が言っていたのはこれだったのですね』
「長老が?」
『竜の長老様は言っていたのです。竜王様が王になるのを目に焼き付けた、その頃はただの弱い竜だったと』
「じゃあ何か、あいつはその時に竜王の力をもらったって事か」
『そういう事だと思うのです。そしてその後竜王様を守るために更に強くなったはずなのです』
「そうか、あいつ竜王の事を慕ってたもんな」
「だがケトよ、そうなるととてもヤバイ問題がある」
『なんです?』
「俺、別に慕われてないし。なんなら敵対するのが確定してる奴もいるんだ」
『竜の長老は自分を王と認める者達を供にしろと言っていたのです。自分の王と他国の王では全然違うのです。適当に選ぶからこうなるのです。ざまぁ!』
「舐めんじゃねぇぞオラァ!」
『フン!』
ガッ!
「な、なにぃ!?」
『いつまでも強者ぶってるんじゃないのです!訓練するのです!ざぁこざぁこなのです!』
「あ、あ、ああああああ!!」
俺の自尊心が!壊れていく!こんなマスコットに力で負けて煽られて!俺の自尊心がぁぁぁ!
『ざぁこざぁこなのです!』
「楽しそうね!ざぁこ!ざぁこ!」
「よわよわ少年!」
「叫んじゃってメンタルざっこぉ」
「そんな王様で大丈夫なのぉ?」
「こんな雑魚ならワシでもワンパンなのじゃ!」
「ああああああああああああ!!!!!」
おれの自尊心がぁぁ!自尊心そのものがぁぁぁ!
俺は!!!弱い!!!!!
地に膝を打ち付け、両掌が砂を掴む。なんという絶望、恐怖は己の内にあったのではない、与えられるものだったのだ。
「にいちゃん」
その時、小さな手が俺の肩に触れた。顔を上げるとそこには弟のダイオスがいた。
「お、弟よ、お前は今でも俺を兄と…」
「ざぁこ」
「ああああああああああ!!」
後ろで母者達がクスクス笑っている。わかってるさ、軽い冗談だ。俺の態度にイラつく事もあっただろうし多少の意趣返しも仕方ない。大丈夫、あいつらの笑顔を見たらさ、……わりぃ、やっぱつれぇわ。
俺は走り出した。100メートル16秒くらいの微妙な速さで走った。
俺の心にあるのは2つ。必ず力を取り戻すこと。そしてガキは嫌いだという事だ。
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