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第40話 人の王
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「そもそも加護ってなんなんだよ」
『もう分かっておるのではないか?この世界は何者かの遊び場じゃ。竜や巨人を使って戦っておったが激しすぎて世界が壊れそうになってのう、今では勇者と魔王じゃの。都合よく作られておるじゃろ?しかし竜王様は激しいお方でのう、全てが気に入らず破壊するために王となったのじゃ』
「ほ~ん、邪ってのじゃダメだったのか?」
『所詮は邪の虜よ。竜王様がそんなもんになるわけがないんじゃよ。竜王様最高~!愛してる~!』
「なんだそりゃ、俺が邪悪に染まって強化したらどうするんだ」
『どうもせん、竜王様の邪魔になるならいつでも消してやるだけじゃ』
なるほどな。それなら魔王に加護をもらうなんてのは絶対に無い。邪で強化か王で弱体かだな。
「邪の方が早いな。ダンジョンの魔物が強かったのはそういう事なんだな」
『ほう、邪の眷属になるか。それもよかろう』
「その前に1つ聞きたい。竜王は力を失ったんだろ?その後どうなったんだ?」
『はっはっはっ!気づいたか!竜王様は竜の力さえ失い小さなトカゲになってしまわれた、しかしそれは昔の話、今では名実共に我らが王よ!世界を作った者であろうともはや我らが王に手は出せぬ!まぁその為にあの木を守らにゃならんかったのだが』
「あの実を食い続けたのか、あの木はなんなんだ?」
『わからん、だが邪悪なものでは無い。ダンジョンも邪悪な存在である事以外わからん。あれらは別の世界から来たものじゃ、この世界を作ったものですらも歯痒く思っておることじゃろう。みなそれらを利用しているだけのこと』
「ふーん、随分都合よく揃っている様に見えたがな。ところで竜王に会わせて欲しいんだが」
『あ?今なんつった?』
「いや、竜王に会いたいと」
『GAAAAAAAAAA ! ! 舐めとんのか餓鬼が!竜王様に会いたいじゃと!?3000年早いわ!!』
「なんだ?会うのは難しいか?」
『当たり前じゃぼけぇ!会えるんじゃったらわしが毎日通っとるわ!ぶっ殺すぞ!!』
「そうなのか。じゃあ竜王に近い奴はいないか?子供とか」
『子供!?竜王様に子供じゃと!?ぐぅぅぅっ!く、苦しい!竜王様に子供の可能性を考えただけで…あ、頭が割れそうじゃ……!竜王様には幸せになってもらいたいのじゃ!しかし!でも!竜王様ぁ!ああああああ!!』
竜王とは何かとんでもなくヤバイ存在なのでは?もう放っておこう。
「すまん、王になるには特別な方法があるのか」
『いらんいらん!転職と同じじゃ。そうじゃった、己を王と認める者達を供にしておけ。あの頃はわしも竜王様をお慕いするただの弱い竜じゃった!華麗にして雄大な竜王様はあの時に王となりわしらはその姿をこの眼に焼き付けたのじゃあ!おぉ竜王様!我らが竜王様ぁぁ!』
「帰ろう、もうここで情報は得られない」
『う、うん。このままでいいのかな』
『関わらない方がいいのです』
「その通りだ、いくぞ」
竜の谷を出て帰路についた。帰る頃には夜になってしまうがフレアにはがんばってもらう。
『アレキサンダーは王になるの?』
「そうだな、元々王になる予定だったし、誰かの下とか眷属なんて性に合わん」
『力が無くなるけどいいのですか?勇者と無理に戦う必要はないのです』
「まぁそうだな、勇者を殺そうというのは俺の気持ちの問題でしか無い。だが、竜王ってのはどうやら俺よりずっとスケールが大きいようだ。負けを認めるのも性に合わん」
『でも弱くなっちゃったら勇者に勝てないのです』
「ふっふっふっ。ケトよ、俺は勇者でも魔王でも、ましてや竜や精霊でもない。生まれた時は只人だったのだ。あったのはこの頭脳のみ。レベルなどいらん、弱くなるというなら再び鍛え上げるだけだ。お前らも手伝ってくれるよな?」
『何でも手伝うよ!』
『任せるのです!』
村には友がいる、母者は俺が強かろうが弱かろうが今更態度を変えることも無いだろう。全てを無くすわけじゃない、一時的に力を落とすだけだ。怖がる必要はない。はずだ。
『今日はアリーのところに行かなかったから挨拶して行っていい?』
「あぁ手短にな」
魔法国の城に着くとフレアは詠唱もせずにパッと変身してアリーに会いに行った。流石は竜だな、最初は随分と苦労していたが、今となっては息を吸うように魔法を扱うようになった。
「お前より上手いんじゃね?」
『精霊は魔法特化なのです!精霊の魔法はあんなものじゃないのです!見るのですゲェッコ!』
いきり立ったケトが生み出したのは水の龍、胴が長いタイプの龍だ。それが夜空を泳いでいる。
「ほ~、大したもんだ。だいぶ力が戻ったのか?」
『アレキサンダーの魔力を食べていたので当然なのです』
今ならたっぷりと水源になれそうだな。などと考えながら夜空を泳ぐ龍を眺めていた。
「何事かと思ったらアナタでしたのね」
「あん?お前婆さんか?行方不明じゃなかったのか」
「どう見ても若い女性でしょ?ちょっと色々見て回っているのよ」
「ほ~ん、なんか面白い物はあったか?」
「そうね、今は勇者くんのそばにいるのよ。本人は世直し旅行中なんだけど」
「あぁあれか。片っ端から処刑してるんだろ?やりすぎなんじゃないか?」
「王様がね。人生をやり直すために隣の国に仕官したんだけど、あれはダメねぇ。勇者くんが捕らえたのを反逆者として処刑してるのよ、わざわざ国民減らしてどうするんだか」
「勇者は知らないのか?」
「たぶんね、知ってても止めるとは限らないけど」
「ふーん」
雑談をしているうちにフレアが帰ってきた。無事にアリーとは話が出来たようだ。
「じゃあな婆さん」
「だから婆さんじゃないでしょ、今度からはアマンダお姉さんと呼びなさい」
「けっ!お姉さんねぇ。そういやもう一人の婆は10歳ほどに若返ってちゃん付けしてたぞ」
「へ?」
「フレアたのむ」
『いくよー!』
「ちょ!ちょっとまって!まってー!」
婆さんが呼び止めてたが無視した。正直言って元婆さんズは苦手だ。
翌朝。
「姫さん、ちょっと転職先を見てくれ」
「おやアレキサンダーさん、お姉ちゃんとお話する為に理由を見つけてきたたたたた!!あいたーーー!」
久々のリストロック。手が、手が温ぇぇ柔らけぇぇ!俺のおねショタを求める心は限界かもしれん。
しかし完全なポーカーフェイスで確実に苦しみを与える事に成功した。
「ぐぬぬぬぬ、抜かりました。まだこんな余裕を残していたとは」
「いいから見てくれ。お前に出来ないなら出来る奴を探さなきゃならんからな」
「戦闘職なら全部いけるはずですよ。そういう特性ですから」
「戦闘職じゃねぇんだ」
「ふーん?では目を瞑って、なりたい職業があるなら具体的に浮かべてください」
王だ!王!最強の王!王の中の王!絶対王者!永遠の王!俺は王となり世界に新たな秩序を敷くのだ!俺こそが王だ!!
「これは……出ましたよ。たぶんなりたいのはこれでしょう」
「ふふふ、今回は会心の手応えだ」
わざわざ紙に書いて俺に渡してくる。そういうルールなの?
紙には俺の希望通り王と記されていた。狂乱の凶王と。
「おらぁぁ!!」
ドガァン!!
「あぁ!自前の家具なのに!」
「どういう事だぁ!これはぁ!!」
「私のせいじゃないですよ!まず何を希望したんですか!?」
「王だよ王!最強の王、王の中の王、永遠の王だ!!」
「なんのために!?」
「勇者をぶっ殺して竜王よりも強くなってこの世界そのものを破壊するためだ!!」
「狂乱の凶王であってるんじゃないですか!?」
ん?まぁ、そうかも?
「弁償してくださいね」
「ケチくせぇな」
まぁとにかく王になれるようで安心した。後は俺を王と認める者を供にしておくんだったな。
10日後に王となる事に決めた。それまでに知り合いに声をかけて周ろう。
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『どうもせん、竜王様の邪魔になるならいつでも消してやるだけじゃ』
なるほどな。それなら魔王に加護をもらうなんてのは絶対に無い。邪で強化か王で弱体かだな。
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『ほう、邪の眷属になるか。それもよかろう』
「その前に1つ聞きたい。竜王は力を失ったんだろ?その後どうなったんだ?」
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「あの実を食い続けたのか、あの木はなんなんだ?」
『わからん、だが邪悪なものでは無い。ダンジョンも邪悪な存在である事以外わからん。あれらは別の世界から来たものじゃ、この世界を作ったものですらも歯痒く思っておることじゃろう。みなそれらを利用しているだけのこと』
「ふーん、随分都合よく揃っている様に見えたがな。ところで竜王に会わせて欲しいんだが」
『あ?今なんつった?』
「いや、竜王に会いたいと」
『GAAAAAAAAAA ! ! 舐めとんのか餓鬼が!竜王様に会いたいじゃと!?3000年早いわ!!』
「なんだ?会うのは難しいか?」
『当たり前じゃぼけぇ!会えるんじゃったらわしが毎日通っとるわ!ぶっ殺すぞ!!』
「そうなのか。じゃあ竜王に近い奴はいないか?子供とか」
『子供!?竜王様に子供じゃと!?ぐぅぅぅっ!く、苦しい!竜王様に子供の可能性を考えただけで…あ、頭が割れそうじゃ……!竜王様には幸せになってもらいたいのじゃ!しかし!でも!竜王様ぁ!ああああああ!!』
竜王とは何かとんでもなくヤバイ存在なのでは?もう放っておこう。
「すまん、王になるには特別な方法があるのか」
『いらんいらん!転職と同じじゃ。そうじゃった、己を王と認める者達を供にしておけ。あの頃はわしも竜王様をお慕いするただの弱い竜じゃった!華麗にして雄大な竜王様はあの時に王となりわしらはその姿をこの眼に焼き付けたのじゃあ!おぉ竜王様!我らが竜王様ぁぁ!』
「帰ろう、もうここで情報は得られない」
『う、うん。このままでいいのかな』
『関わらない方がいいのです』
「その通りだ、いくぞ」
竜の谷を出て帰路についた。帰る頃には夜になってしまうがフレアにはがんばってもらう。
『アレキサンダーは王になるの?』
「そうだな、元々王になる予定だったし、誰かの下とか眷属なんて性に合わん」
『力が無くなるけどいいのですか?勇者と無理に戦う必要はないのです』
「まぁそうだな、勇者を殺そうというのは俺の気持ちの問題でしか無い。だが、竜王ってのはどうやら俺よりずっとスケールが大きいようだ。負けを認めるのも性に合わん」
『でも弱くなっちゃったら勇者に勝てないのです』
「ふっふっふっ。ケトよ、俺は勇者でも魔王でも、ましてや竜や精霊でもない。生まれた時は只人だったのだ。あったのはこの頭脳のみ。レベルなどいらん、弱くなるというなら再び鍛え上げるだけだ。お前らも手伝ってくれるよな?」
『何でも手伝うよ!』
『任せるのです!』
村には友がいる、母者は俺が強かろうが弱かろうが今更態度を変えることも無いだろう。全てを無くすわけじゃない、一時的に力を落とすだけだ。怖がる必要はない。はずだ。
『今日はアリーのところに行かなかったから挨拶して行っていい?』
「あぁ手短にな」
魔法国の城に着くとフレアは詠唱もせずにパッと変身してアリーに会いに行った。流石は竜だな、最初は随分と苦労していたが、今となっては息を吸うように魔法を扱うようになった。
「お前より上手いんじゃね?」
『精霊は魔法特化なのです!精霊の魔法はあんなものじゃないのです!見るのですゲェッコ!』
いきり立ったケトが生み出したのは水の龍、胴が長いタイプの龍だ。それが夜空を泳いでいる。
「ほ~、大したもんだ。だいぶ力が戻ったのか?」
『アレキサンダーの魔力を食べていたので当然なのです』
今ならたっぷりと水源になれそうだな。などと考えながら夜空を泳ぐ龍を眺めていた。
「何事かと思ったらアナタでしたのね」
「あん?お前婆さんか?行方不明じゃなかったのか」
「どう見ても若い女性でしょ?ちょっと色々見て回っているのよ」
「ほ~ん、なんか面白い物はあったか?」
「そうね、今は勇者くんのそばにいるのよ。本人は世直し旅行中なんだけど」
「あぁあれか。片っ端から処刑してるんだろ?やりすぎなんじゃないか?」
「王様がね。人生をやり直すために隣の国に仕官したんだけど、あれはダメねぇ。勇者くんが捕らえたのを反逆者として処刑してるのよ、わざわざ国民減らしてどうするんだか」
「勇者は知らないのか?」
「たぶんね、知ってても止めるとは限らないけど」
「ふーん」
雑談をしているうちにフレアが帰ってきた。無事にアリーとは話が出来たようだ。
「じゃあな婆さん」
「だから婆さんじゃないでしょ、今度からはアマンダお姉さんと呼びなさい」
「けっ!お姉さんねぇ。そういやもう一人の婆は10歳ほどに若返ってちゃん付けしてたぞ」
「へ?」
「フレアたのむ」
『いくよー!』
「ちょ!ちょっとまって!まってー!」
婆さんが呼び止めてたが無視した。正直言って元婆さんズは苦手だ。
翌朝。
「姫さん、ちょっと転職先を見てくれ」
「おやアレキサンダーさん、お姉ちゃんとお話する為に理由を見つけてきたたたたた!!あいたーーー!」
久々のリストロック。手が、手が温ぇぇ柔らけぇぇ!俺のおねショタを求める心は限界かもしれん。
しかし完全なポーカーフェイスで確実に苦しみを与える事に成功した。
「ぐぬぬぬぬ、抜かりました。まだこんな余裕を残していたとは」
「いいから見てくれ。お前に出来ないなら出来る奴を探さなきゃならんからな」
「戦闘職なら全部いけるはずですよ。そういう特性ですから」
「戦闘職じゃねぇんだ」
「ふーん?では目を瞑って、なりたい職業があるなら具体的に浮かべてください」
王だ!王!最強の王!王の中の王!絶対王者!永遠の王!俺は王となり世界に新たな秩序を敷くのだ!俺こそが王だ!!
「これは……出ましたよ。たぶんなりたいのはこれでしょう」
「ふふふ、今回は会心の手応えだ」
わざわざ紙に書いて俺に渡してくる。そういうルールなの?
紙には俺の希望通り王と記されていた。狂乱の凶王と。
「おらぁぁ!!」
ドガァン!!
「あぁ!自前の家具なのに!」
「どういう事だぁ!これはぁ!!」
「私のせいじゃないですよ!まず何を希望したんですか!?」
「王だよ王!最強の王、王の中の王、永遠の王だ!!」
「なんのために!?」
「勇者をぶっ殺して竜王よりも強くなってこの世界そのものを破壊するためだ!!」
「狂乱の凶王であってるんじゃないですか!?」
ん?まぁ、そうかも?
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「ケチくせぇな」
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