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第24話 5歳~6歳 学園パニック

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 今生初めての学校。婆さんに案内されて入った教室は未就学児童の集まる部屋だった。

「チャーン!バブー!」

「ハーイ!アリガトデス!」

 1秒で退出した。



「ばぁさんよぉ、俺は舐められるのが大嫌いなんだ。次はないぜ」

「ほほほ、冗談ですよ。年齢だけを見たらあのグループになるというだけです。ですが本当にいいのですか?あなたの中には強い魔力を感じますが、あなた自身は全く扱えていない。魔力を纏うことすらしていない。それはつまり魔法を習得する素養が無いという事です。高等部に所属すれば実践的な魔力の扱いと、相性のいい幾つかの魔法は覚えられると思いますが、それだけで終わってしまうと思いますよ」

「それで十分だ。さっさとしてくれ」

「残念です。さあ着きましたよ、こちらが高等部の学び舎です。連絡はしてありますので後はご自分で」

「連絡?」

「魔法というのは色々な使い方があるのですよ。存分に学ばれるとよろしい」

 そう言って婆さんは消えていった。魔法ってのはすげぇ、でもあの消える速度なら100回は殺せるな。



「フレア、中には入れないがとりあえず近くまで行こう、部屋が分かったら声かけるぜ」

『うん~わかった~』



 中々大きな学校だ。3階建てかな?500人ぐらいは収容できそう。同じ服を着た青少年がうろちょろしているのでアレは制服か。

 どこに行ったらいいか分からんが、連絡してるっていうんだからまぁ大丈夫だろ。誰か捕まえて教員の所に案内させよう。

「おーい、ちょっと暇なやついるか」

 一番近くに突っ立っていた馬鹿そうな連中に声をかけた。なぜ馬鹿を選ぶのか?明確な理由がある。

「なんだ?子供?」

「なんかナマイキそうじゃね?」

「こっち来んじゃねぇウセろ」

「オラオラオラァ!」

「「「ずびばぜんでじたあ゙」」」

「教員のところへ案内しろ」

 話が早い!




「君が学長の言っていた子か。早速問題を起こしたな。お前にはこの学び舎に通う資格はない、帰りなさい」

「あぁ?いいからさっさと魔法の習得方法を教えろ、出来ないなら出来るやつに会わせろ」

「なんだと!お前のような生徒がいるからぁだだだだだだだ!!離せ!!はなっ!離して!!すいません!!!」



「わざわざ国を跨いできたってのにこんなのしかいないのか。魔導王国が聞いて呆れる」

「なんですって!この国を侮辱するのは許さない!」

 俺の言葉に反応したのはアクセル全開でぶち切れた金髪蒼眼の見るからにお嬢様。やめろ、その容姿は俺に効く。



「俺はわざわざ別の国から竜に乗ってきたんだ。魔法を学ぶなら魔導王国アンティカだと言う話を信じてな。だがここで見るのは雑魚ばかりだ、棍棒持った鬼の方が使い物になったぞ」

「侮辱は許さないと言ったわ!魔法決闘を申し入れる!」

「あん?」







『アレキサンダー!がんばれー!』

「おう!余裕だ任せておけ!」

「ほ、本当に竜に乗ってきたのね……」

 魔法決闘と言うのを申し込まれて表に出てきた。土が剥き出しのグラウンドだな。教員も生徒もぞろぞろ出てきて見世物みたいで気分が悪い。

「それで、魔法決闘ってのは何なんだ、決闘って言うんだから殺し合いでいいんだよな?」

「そうね、概ねそれで間違いないわ。ただし、魔法以外で攻撃できない特殊な魔法陣の中で行うだけ。あんたの馬鹿にした魔導国家の魔法に平伏しなさい!」



 元気な姉ちゃんだ。見た目は高校生くらい?自分で言うのもなんだが、見た目幼稚園児相手にガチギレするか普通?かなりイカれた姉ちゃんだ。

 話をしている間も教師たちがブツブツ唱えながら陣を形成していく。出来上がったのは直系20メートルくらいのドーム、即席なのに大したもんだ。



「本当にいいんですね?始まってしまえば勝負がつくまで止められません」

「もちろん。その子に魔法の力を見せてすぐに終わりよ」

「いいぜ、俺は女相手でもぜんぜん顔面行ける、ワンパンだよ」

「女の子の顔を殴るですって!?最低!クズ男!」

 そう思うなら決闘申し込むんじゃねぇよ……。

「それでは両者位置について!」

 位置ってどこだよ、ルール知らねぇよボケ共が。




「魔法決闘!開始!」

「自由な風よ!刃となれ!ザル・ティレーンヴォラ・シュカ、ケトルウル・トラー!」

「呪文長過ぎるわ。疾風膝裏打チィ!」

 疾風膝裏打ち!それはただ素早い動きで背後に回って膝裏を軽く叩く技!相手は膝を地面に打ち付け、そのまま顔面ダイブしてしまうのだ!しかし!

「な、なにぃ!」

 折れない!膝が曲がらない!幼児に叩かれただけでもカックンする膝が!これはまさか!?



「馬鹿ね!魔法攻撃しか駄目って言ったでしょ!自由な風よ!刃となれ!ザル・ティレーンヴォラ・シュカ、ケトルウル・トラー!」

 女のクソ長い詠唱の後に風の刃が現れて迫ってくるんだが。

「おっそ」

 何がしたいんだよ、止まった的を狙ってるつもりか?

「くっ!魔法決闘なんだから魔法を撃ち合いなさい!」

「魔法が使えねぇからここに来たんだよ」



 さっきのはフレアに俺の攻撃が通じなかったのと同じ類の効果だと思う。とは言えこんな即席の陣に大した神秘があるとも思えんが。

「お前から吹っ掛けた勝負だ。死ぬ覚悟はあるよな?」

「な、なによ。そんな事言っても怖くないから!」

「まぁいいか、死んだら死んだ時だ。クソ弱い魔法なら習得する価値も無いしもういいよ」

 口から大きく呼吸をして酸素を取り込み、心臓を震わせて全身に酸素と血液を送り込んでパンプアップさせる。もういいわ、ここに来て見たのは小細工ばっかりだ。半端な陣なんぞ一発で砕いてやるよ、こんな物が竜や魔王に通じるわけねぇだろうが!



『そこまでです!』



 さっきの婆さんか。これは殺し合いだと確認してるんだよ、甘ったれたことを抜かすな!!

「はああぁぁぁ!メガトン・クラッシュ・アレキサンダー・パンチ!!」

 怒りに燃える拳を地面に叩きつける!大地の怒りを知れ!

 ゴゴォォン!!

 拳から発生する第一波!大地との衝突による第二波!圧力に耐えきれず地面が爆発する第三波!そして俺の怒りが第四の衝撃波だ!!

 陣を細切れに突き破り!野次馬を蹴散らし!校舎を倒壊させ!捲れ上がった大地は灼熱のマグマと化して降り注ぐ!

「ぎゃあああ!」

「たすけてぇぇ!」

「子供たちを守りなさい!リクサヴェル・シンデリウム!」

 婆さんの短い呪文で結界が発生した。校舎を支えマグマを受け止める力強い結界。ちゃんとした魔法もあるじゃねぇか、さっさと見せろ。



「いけない!」

 それでも結界の中の物には効果は無い、間近で衝撃波を受けて倒れている女に向かって校舎の一部が降り注ぐ。

「きゃあああ!」

「フレア」

『は~い!』

 バガン!

 フレアの尾撃で校舎の一部は粉々に粉砕されて吹き飛んでいった。全てが脆い。



「これで力の差が・・・ん?」

『あれぇ?』

「ぁ、、これは、、、」

 そこに居たのはお姉さんではなく、最初に見た教室に居そうなちびっ子だった。







「大変な事をしてくれましたね」

「俺は挑まれた側だ。俺は竜のフレアを連れてるんだぞ、力を隠してない。あの程度の連中が竜をどうにか出来ると思っていたのか?フレアだけでこの街全てを更地に出来る。なぜ戦おうとするのか不思議だ」

「……はぁ。確かにこちらにも落ち度がありました。大変危険な存在だと伝えていたのですが」

「教員の教育が出来ていなかったな」



「それはそれとして、まだ我が校で学ぶつもりがあるなら力を振るわないことを約束してください。あそこまでやらなくてもやり様は有ったでしょう?」

「一度力を見せて屈服させておかないとだらだらと面倒が起こるだろ。最善だった」

「はあぁぁぁ。それは分かりました。後は被害の方ですが」

「死人も大怪我もいなかったのは確認してる。修繕と治療で金貨5000枚を支払おう。隣の国の通貨もつかえるだろ?」

「それで十分です」

「んじゃ後はさっきのガキだな」

「はあぁぁぁぁぁぁぁ………」





「ガキ、お前の変身魔法。とぉっても素晴らしいぞ。それを教えてくれ」

「なによ、そんなの簡単よ、誰だって出来るわ。あんな力を持ってる癖に変身魔法を教えろなんて随分嫌味なこと!」

『誰でも簡単…みんなそう言って……でも僕は………うぅっ』

「ゴラァ!!フレアが泣いちゃっただろうが!誠心誠意教えろ!」

「えぇぇぇぇ?あの、ごめんなさいフレアさん?私が必ずあなたが変身魔法を使えるようにするから。泣かないで?一緒に頑張りましょう?」

『うん、うん!ありがとう、ぼく頑張る!ねぇ友達になろうよ!僕は赤竜のフレア!』

「ありがとう、私はアリシア・エリゼ・アンティカ・フェアリス。特別にアリーと呼んでいいわ!竜の友達が出来るなんて夢みたい!」

 ん?………ん?





 まぁ色々あったものの、こうして俺の魔法学園生活が始まったわけだが。







 ~半年後~

「19998!19999!20000!!ぷっふー!今日も筋肉に魔力が染みるぜ!」

『アレキサンダー!ご飯取りに行こうよう!』

「おう!飯の後は朝までトレーニングするから先に寝ててくれよな!」




 俺はひたすら筋トレを続けていた。

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