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第10話 4歳 仕込みが8割、ライブ感が2割
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何がお楽しみなのか。俺は別に暴力を振るうことを楽しんでいるわけじゃない、悪党をぶちのめす正義の味方ごっこが楽しいんだ。
囚われの姫を助ける為に悪党どもを殴る。最高だよなぁ?
俺のために悪が存在することに感謝。悪党でいてくれてありがとう。今の俺は正義の味方だ。
さて、悪徳商業ギルドをぶっ潰すぞ!
と意気込んではいるが、本当にここが黒幕なのか、拉致監禁されているのかは分からない。もしかしたらお転婆姫がご厄介になっているだけという可能性もある。
まずは事情を知っていそうな偉いやつを攫って尋問が必要だ、情報も必要だし舞台を整える意味もある。
なので。
「動くんじゃねぇぞ、ちょっとでも動けばどうなるか分かるか?大丈夫、お前を傷つけたりしない、殺しもしない。ただこの可愛い嬢ちゃんの指が減っちまうだけだ。一本ずつな」
商業ギルドにはギルド長室という分かりやすい部屋があったので特定は容易だった。後は自宅まで尾行して人払いをした所で襲うだけの簡単なお仕事。
「わ、わかった。何が望みだ?金ならここにあるのはこれで全部だ」
「子供だからと舐めてんのか?見くびるんじゃあねえ、そんな事じゃねぇんだよ会長さんよ」
会長の自室にいた幼女のほっぺたに、道を聞くついでにチンピラから奪った汚ねぇナイフをびたびた打ち付けてやる。ちょいと引いてやるだけで一生もンの傷ができちまうなぁ。ガキはブルブル震えるばかりで言葉も出ない。
「ヒ、ヒィィ」
「孫か?愛人にでも産ませたか?それとも、攫ってきたガキとお楽しみかぁ?」
「…っ!」
「おおっと!いい反応じゃあねぇか。こりゃ当たりだなぁ。いい趣味してるねぇ!ギャハハハハ!」
「そ、それは…!」
「攫った鬼族はどこだ」
「は?」
メシャア!
「きゃあああああ!」
「おっとすまん、イラついて指をへし折っちまったわ。切り落とさないと駄目だったなスマンスマン」
幼女の指が折れてはならない方向に折れてしまっている。ホントは折ったんじゃなくて脱臼させたんだが、普通にクソ痛いんだこれが。
「ま、待て!待ってくれ!」
「俺に命令するな。嬢ちゃんばかりじゃ可愛そうだな、お前にもペナルティ1つだ」
「待って!やめろ!うぎゃあああああ!」
こっちは普通にへし折る。大丈夫、ゆっくり治すといいさ。
「デカい声を出すなよ、人が来たら処理しなきゃいけなくなるだろ?分かるよなぁ?さっさと問いに答えろ」
「うぐぐぐ…、さ、攫われた鬼族の姫は、そこだ」
「は?」
ブルブル震えるガキを示す商業ギルドの会長。
「角がねぇだろ」
「鬼族の角が生えるのはもっと成長してからだ」
「なんで閉じ込めてねぇんだ」
「閉じ込められていたのを助け出したのだ」
ほーん、なーほーね。
「姫!助けに来ましたぞ!」
「ヒィ!来ないで…来ないで…おねえちゃぁん……助けてぇ…」
駄目みたいですね。
「攫ったのは誰だ」
「ギルドの人間だ。すまない事をしてしまった、鬼族にお返しするつもりだったのだ!本当だ!」
「なぜ鬼族の女に懸賞金を懸けた」
「この少女を引き渡すためだ!だから生け捕りさせるようにした!」
「生け捕りと言っても危険はあるだろう。女が傷ついてもよかったのか?女以外はどうなってもよかったのか?少女を返そうとする優しい会長としてはおかしいよなぁ」
「そ、それは」
見えた!隙の糸!!
「お前は鬼族に欲情したのだ!美しい鬼姫と知り、姉妹を並べて所有しようとした!違うか!?」
「なっ、そ、それは違う!私はただ二人を引き合わせて喜ぶ姿を鑑賞して感謝されたかっただけで…」
「なぁにぃ!この変態野郎が!てめぇは赤スパ長文嫌がらせで泣かせて楽しむゲス以下の屑だぜ!」
「いったいなにをへぶぅ!」
軽いストマックブローで黙らせる。顔は殴らない、こいつには役割がある。全ての悪を背負うという役割がなぁ!
「聞け、俺は魔王の動向を調査している協会の人間だ。我らの調べでは2日後に魔王の手下の鬼共がやってくる。こいつらは姫の一族とは敵対しているのだ。1日だけやつらから姫を守れ、夜には一族の鬼の軍団が加勢に来る。そこで思う存分英雄として振る舞うがいい」
「魔王!?魔王の軍勢と戦って、わ、私が英雄に」
「そうだ、魔王から姫を守るのは英雄の所業だろう?お前がやるんだ。戦いの後には協会がお前を英雄に認定する。民衆には英雄が必要だからな、お前は人だけじゃなく鬼族にとっても英雄となる」
「しかし魔王軍と戦うなんて私には…」
「大丈夫だ、今回の襲撃では30体程度しか出撃していない。魔王もまだ万全ではないんだ。今ここで戦わなくてどうする!領主を説得して魔王軍を打ち倒すのだ!」
「わ、私が……。しかし領主様を説得なんて一体どうすれば」
「今魔王の手先の斥候が街に入っている。三人組の鬼の女達だ」
「なんと!」
「こいつらは人間から奪った金で豪遊しているぞ。だがひとたび近づけばその薄汚い凶暴さを見せる筈だ。捕まえさせてみろ、強く美しい女達だぞ。どうせ魔王軍のやつらだ、後は英雄殿の好きにすればいい」
「な、なるほど!」
何がなるほど何だよ馬鹿が。何故コレがギルド長なの?世襲?
「頑張ってくれ英雄殿。姫の運命も、人類と魔王の戦いも、英雄殿しだいだ」
「私はやる!やってやるぞ!」
「ありがとう!この街は救われた!」
ギルド長はこれでいいだろう、後はこっちで上手く合わせて踊らせればいい。
それよりちっこい姫をどうにかしないとな。
前回の反省を踏まえてガキでも容赦なく恐怖を叩き込んだのだが失敗だった。安心して、ぼくは君の敵じゃないよ。
理由もわからず震えているだけの4歳のガキ。哀れなガキの脱臼をパキッと嵌めてやり、耳元に寄せて安心のウィスパーボイスを聞かせてやる。
「いたぁぁぁい!」
「姫、お前だけは俺が殺す。今の痛みはほんのお遊びさ、俺が本当の地獄を教えてやる。だが俺は忙しいので後2日だけ生きていていいぞ。存分に祈れ、そうすれば助けがあるかもしれないなぁ」
たっぷり恐怖しておけばいい、姉に助けられた時に存分に縋るようにな。
笑顔で母者謹製の痛み止めを塗ってやるとバイブレーションが(強)に変化した。よしよし。
勝利を確信して音もなく消えた。後は適当に盛り上がってくれるだろう。
明日は強く当たって後は流れでお願いします。
仕込みは大体終わった。物凄い悪役ムーブになってしまったが、子供を攫ってお咎めも無いような組織なら徹底的に潰すのが正解だ。
ちっちゃい姫は可哀想だが、明後日には姉ちゃんと会えるよ。ここまでやったんだから絶対に守ってやらないとな。
鬼の姫姉妹も、鬼族の平和も、全部守ってやる。だから後2日我慢してろ。
囚われの姫を助ける為に悪党どもを殴る。最高だよなぁ?
俺のために悪が存在することに感謝。悪党でいてくれてありがとう。今の俺は正義の味方だ。
さて、悪徳商業ギルドをぶっ潰すぞ!
と意気込んではいるが、本当にここが黒幕なのか、拉致監禁されているのかは分からない。もしかしたらお転婆姫がご厄介になっているだけという可能性もある。
まずは事情を知っていそうな偉いやつを攫って尋問が必要だ、情報も必要だし舞台を整える意味もある。
なので。
「動くんじゃねぇぞ、ちょっとでも動けばどうなるか分かるか?大丈夫、お前を傷つけたりしない、殺しもしない。ただこの可愛い嬢ちゃんの指が減っちまうだけだ。一本ずつな」
商業ギルドにはギルド長室という分かりやすい部屋があったので特定は容易だった。後は自宅まで尾行して人払いをした所で襲うだけの簡単なお仕事。
「わ、わかった。何が望みだ?金ならここにあるのはこれで全部だ」
「子供だからと舐めてんのか?見くびるんじゃあねえ、そんな事じゃねぇんだよ会長さんよ」
会長の自室にいた幼女のほっぺたに、道を聞くついでにチンピラから奪った汚ねぇナイフをびたびた打ち付けてやる。ちょいと引いてやるだけで一生もンの傷ができちまうなぁ。ガキはブルブル震えるばかりで言葉も出ない。
「ヒ、ヒィィ」
「孫か?愛人にでも産ませたか?それとも、攫ってきたガキとお楽しみかぁ?」
「…っ!」
「おおっと!いい反応じゃあねぇか。こりゃ当たりだなぁ。いい趣味してるねぇ!ギャハハハハ!」
「そ、それは…!」
「攫った鬼族はどこだ」
「は?」
メシャア!
「きゃあああああ!」
「おっとすまん、イラついて指をへし折っちまったわ。切り落とさないと駄目だったなスマンスマン」
幼女の指が折れてはならない方向に折れてしまっている。ホントは折ったんじゃなくて脱臼させたんだが、普通にクソ痛いんだこれが。
「ま、待て!待ってくれ!」
「俺に命令するな。嬢ちゃんばかりじゃ可愛そうだな、お前にもペナルティ1つだ」
「待って!やめろ!うぎゃあああああ!」
こっちは普通にへし折る。大丈夫、ゆっくり治すといいさ。
「デカい声を出すなよ、人が来たら処理しなきゃいけなくなるだろ?分かるよなぁ?さっさと問いに答えろ」
「うぐぐぐ…、さ、攫われた鬼族の姫は、そこだ」
「は?」
ブルブル震えるガキを示す商業ギルドの会長。
「角がねぇだろ」
「鬼族の角が生えるのはもっと成長してからだ」
「なんで閉じ込めてねぇんだ」
「閉じ込められていたのを助け出したのだ」
ほーん、なーほーね。
「姫!助けに来ましたぞ!」
「ヒィ!来ないで…来ないで…おねえちゃぁん……助けてぇ…」
駄目みたいですね。
「攫ったのは誰だ」
「ギルドの人間だ。すまない事をしてしまった、鬼族にお返しするつもりだったのだ!本当だ!」
「なぜ鬼族の女に懸賞金を懸けた」
「この少女を引き渡すためだ!だから生け捕りさせるようにした!」
「生け捕りと言っても危険はあるだろう。女が傷ついてもよかったのか?女以外はどうなってもよかったのか?少女を返そうとする優しい会長としてはおかしいよなぁ」
「そ、それは」
見えた!隙の糸!!
「お前は鬼族に欲情したのだ!美しい鬼姫と知り、姉妹を並べて所有しようとした!違うか!?」
「なっ、そ、それは違う!私はただ二人を引き合わせて喜ぶ姿を鑑賞して感謝されたかっただけで…」
「なぁにぃ!この変態野郎が!てめぇは赤スパ長文嫌がらせで泣かせて楽しむゲス以下の屑だぜ!」
「いったいなにをへぶぅ!」
軽いストマックブローで黙らせる。顔は殴らない、こいつには役割がある。全ての悪を背負うという役割がなぁ!
「聞け、俺は魔王の動向を調査している協会の人間だ。我らの調べでは2日後に魔王の手下の鬼共がやってくる。こいつらは姫の一族とは敵対しているのだ。1日だけやつらから姫を守れ、夜には一族の鬼の軍団が加勢に来る。そこで思う存分英雄として振る舞うがいい」
「魔王!?魔王の軍勢と戦って、わ、私が英雄に」
「そうだ、魔王から姫を守るのは英雄の所業だろう?お前がやるんだ。戦いの後には協会がお前を英雄に認定する。民衆には英雄が必要だからな、お前は人だけじゃなく鬼族にとっても英雄となる」
「しかし魔王軍と戦うなんて私には…」
「大丈夫だ、今回の襲撃では30体程度しか出撃していない。魔王もまだ万全ではないんだ。今ここで戦わなくてどうする!領主を説得して魔王軍を打ち倒すのだ!」
「わ、私が……。しかし領主様を説得なんて一体どうすれば」
「今魔王の手先の斥候が街に入っている。三人組の鬼の女達だ」
「なんと!」
「こいつらは人間から奪った金で豪遊しているぞ。だがひとたび近づけばその薄汚い凶暴さを見せる筈だ。捕まえさせてみろ、強く美しい女達だぞ。どうせ魔王軍のやつらだ、後は英雄殿の好きにすればいい」
「な、なるほど!」
何がなるほど何だよ馬鹿が。何故コレがギルド長なの?世襲?
「頑張ってくれ英雄殿。姫の運命も、人類と魔王の戦いも、英雄殿しだいだ」
「私はやる!やってやるぞ!」
「ありがとう!この街は救われた!」
ギルド長はこれでいいだろう、後はこっちで上手く合わせて踊らせればいい。
それよりちっこい姫をどうにかしないとな。
前回の反省を踏まえてガキでも容赦なく恐怖を叩き込んだのだが失敗だった。安心して、ぼくは君の敵じゃないよ。
理由もわからず震えているだけの4歳のガキ。哀れなガキの脱臼をパキッと嵌めてやり、耳元に寄せて安心のウィスパーボイスを聞かせてやる。
「いたぁぁぁい!」
「姫、お前だけは俺が殺す。今の痛みはほんのお遊びさ、俺が本当の地獄を教えてやる。だが俺は忙しいので後2日だけ生きていていいぞ。存分に祈れ、そうすれば助けがあるかもしれないなぁ」
たっぷり恐怖しておけばいい、姉に助けられた時に存分に縋るようにな。
笑顔で母者謹製の痛み止めを塗ってやるとバイブレーションが(強)に変化した。よしよし。
勝利を確信して音もなく消えた。後は適当に盛り上がってくれるだろう。
明日は強く当たって後は流れでお願いします。
仕込みは大体終わった。物凄い悪役ムーブになってしまったが、子供を攫ってお咎めも無いような組織なら徹底的に潰すのが正解だ。
ちっちゃい姫は可哀想だが、明後日には姉ちゃんと会えるよ。ここまでやったんだから絶対に守ってやらないとな。
鬼の姫姉妹も、鬼族の平和も、全部守ってやる。だから後2日我慢してろ。
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