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二学期
参
しおりを挟む「みんな、久しぶり。夏休みは楽しめたかな」
教壇の前に立ってにっこり笑ってそういったのは漢方薬学の先生、来生豊楽先生だ。
私たちは豊楽先生を見上げてあんぐりと口を開ける。一学期とは変わり果てたその"頭"に絶句した。
「あ、これか?」
豊楽先生は自分の頭をぺしっと叩いて笑う。
私達も笑っていいものなのか、こっそりと視線を合わせてみんなはお互いの様子を伺う。
長い前髪を七三にかき分けたオシャレな髪型だった豊楽先生の髪の毛が一本も残らずなくなっていたのだ。
豊楽先生は整った顔立ちなので見た目にはさほど影響はしていないが、久しぶりの再会でツルツルになっていたらどんな反応をすれば良いのか戸惑う。
「えっとー……思い切ったイメチェン?」
私たちを代表して慶賀くんがそう尋ねる。豊楽先生はその質問が面白かったのか声を上げて笑った。
「違う違う。熱射病で溶けただけだ」
「なんだよ、熱射病か~……熱射病?」
熱射病って熱中症のことだよね。熱中症で髪の毛が抜ける?
あれ、でも豊楽先生は"溶けた"って……。
「俺は雪童子だ。だから夏の間は体が溶けやすくなってて、今年の夏は髪が溶けたって訳だ」
「豊楽先生って妖だったんだ!」
雪童子、一学期の妖生態学の授業で習った記憶がある。
寒い雪の日に積雪の中から生まれる妖で、何十年と生きたあと水に溶けてまた積雪から生まれるのだと。体が雪でできていること以外姿も人と変わらず非常に友好的な妖で、その多くが現世で生きているのだとか。
頭の中では理解していたつもりだけれど、こうして身近に妖がいることには驚かされる。
良く考えればここの社は妖も人も参拝に来るところだ。神職が人だけとは限らない。
あれ、でも……。
「妖にも"言霊の力"ってあるんですか?」
「お、いい質問だ。じゃあ授業に入る前に復習がてら妖生態学の話をしようか」
豊楽先生はチョークを手に取った。
「いいかな、妖は君たち人間のように言霊の力は持たない。代わりに別の力を持っているんだけれど、それが何か分かるかな、慶賀」
「うえ!? 俺!?」
突然指名されて顔をひきつらせた慶賀くんは「うんと、えーと」と頭を抱える。
「その、あれだよ! あれ、そうだ妖────」
「妖力です」
口を挟んだのは恵衣くんだ。
「おいこら恵衣ーっ! 俺やっと捻り出したのに!」
「0.5秒以内に答えなければいけない質問に時間を使うな。ただでさえ授業と関係の無い話をしているんだ」
その言葉には思わず豊楽先生も苦笑いをうかべる。
「まあまあ喧嘩しないで。恵衣の言う通り、妖が持つのは"妖力"だ。なら、言霊の力と妖力の違いは分かるかい」
「え、えーと……」
「言霊の力は"言葉通りにする力"、妖力は"イメージ通りにする力"です」
こんにゃろう、と慶賀くんは唇を尖らせた。
「その通りだ恵衣。慶賀はもう少し勉強しなさい」
「……はーい」
豊楽先生にまで注意されて不服ながらもちゃんと返事をした慶賀くんに、隣の席の泰紀くんが「偉い偉い」とわしゃわしゃ頭を撫でる。
「妖の神職は妖力を使って力をどういうふうに使いたいのかをイメージすることで言霊の力と同じような力を得ることが出来るわけだ」
「それって、めちゃくちゃ難しくねぇか? 言霊はただ言葉を発せば良いだけだけどさ、妖力はイメージ力がいるんだろ?」
「その通り。妖力を扱うことは言霊の力を扱うことより27倍難しいと言われている」
27倍、まるで想像もつかない。
力の調整にあんなに苦労したんだ。それでも眞奉の力に頼っている部分の方が大きい。豊楽先生はきっとそれ以上に苦労したんだろう。
「だから、自然と妖の神職は少なくなるし、力が強い種族である天狗や妖狐の神職に偏りが出る。だから種族間での差別が────と、ここからは妖生態学で勉強してくれ。そろそろ授業を始めようか」
チョークを置いた豊楽先生は黒板を消しながら手を払うと今日の分のプリントを配り始める。
「センセ~、今日は何つくんのー?」
「今日は虫刺されの軟膏だ。ちょっと強めの生薬も使うから、余っても持って帰るなよ慶賀」
「そ、そんな事する訳ないだろぉ~?」
「声が裏返ってるぞ」
そんなやり取りにくすくす笑いながら、漢方薬学の授業は始まった。
その日の放課後、私は雅楽練習室を訪ねた。「失礼します」と声をかけて中を覗くと、練習していた人たちは一斉にこちらを見る。
「巫寿ちゃん、いらっしゃい」
直ぐに私に気がついた聖仁さんが手を振りながら駆け寄ってくる。
「皆、集まって!」
手を打った聖仁さんの周りに皆がわらわらと集まる。興味津々といった露骨な視線が刺さりちょっと居心地が悪い。
人だかりの中に瑞祥さんを見つけ目が合う。小さく手を振ってくれた。
「今日から入部する、高等部1年生の椎名巫寿さんです」
おお、と歓声が上がってパチパチと拍手が起こる。
「高等部からの編入生で、まだ慣れないことも多いと思うからフォローしてあげてください」
はーい、と返事したみんなの声は私を歓迎しているような温かいものでほっとする。じゃあ解散、と言った瞬間私の周りにわっとみんなが駆け寄ってくる。
あちこちから質問や自己紹介が飛んできて目を回していると、すかさず聖仁さんが間に入ってくれた。
「はいはい、気になるのは分かるけれど部活の後でね。練習に戻って」
部長のケチー、と不服そうな声はあったものの皆は練習に戻り始める。
「瑞祥、盛福、玉珠。ちょっと来て」
瑞祥さんは知っているけれど、後のふたりは聞いた事のない名前だった。再び戻ってきたのは瑞祥さんと、中等部の体操服姿の女の子二人だった。
一人はショートカットが良く似合うはつらつとした女の子で、目をキラキラ輝かせながら私をみあげる。もう1人の女の子は眼鏡をかけたお下げ髪の女の子、私と目が合うと恥ずかしそうにはにかんで足元に目線を落とす。
「初等部は今日はいないんだけど、神楽部の女子部員だよ。二人とも自己紹介してあげて」
「はーい! 中等部三年の蛍原盛福です! よろしくお願いします、巫寿さん!」
勢いよくぺこりと頭を下げた盛福ちゃんに私も頭を下げる。
「ちゅ、中等部二年の、妻夫木玉珠です……!」
お下げの女の子が玉珠ちゃんという名前らしい。
よろしくお願いします、と笑いかけると顔を真っ赤にして何度もペコペコと頭を下げる。
「二人で巫寿ちゃんに基礎練習のやり方教えてあげて」
「聖仁! 私は!?」
「瑞祥はこれから俺と奉納舞の練習だから駄目だよ。二人に任せれば大丈夫だから」
くそぅ、と唇を尖らせた瑞祥さんは「後で喋ろうな」と私の頭をぐしゃぐしゃと撫でると聖仁さんについて行った。
盛福ちゃんと玉珠ちゃん指導の元基礎練習を1時間ばかり教えてもらった後、休憩の号令がかかる。ふう、と息を吐いたその瞬間両側から腕をガッシリと掴まれて「え!?」と声を上げる。
「巫寿さん!」
「み、巫寿さん……!」
見れば頬を赤くして目をキラキラ輝かせた盛福ちゃんとちゃんが私を見上げていた。
「う、うん?」
「あの話聞かせてください!!」
「聞かせてください……っ」
何の話かさっぱり分からず目を瞬かせていると、二人はわらわらと集まりだした部員を跳ね除けて私を部屋の隅へ引っ張る。
「おい盛福! 抜け駆けすんなしー!」
「ずりぃぞお前ら!」
男の子たちのそんな声が聞こえて余計に困惑する。
そんな男の子たちにべぇっと舌を出して笑った盛福ちゃんは、「巫寿さん、ここ座って!」と私を促す。言われるがまま畳の上に腰を下ろすと、二人はすとんと私の前に正座をして身を乗り出した。
「あの話、本当ですか!?」
「あの、ごめんね。さっきから何の話だろ……?」
「もー! 巫寿さんったら謙遜しちゃって!」
「け、謙遜?」
バシバシと肩を叩かれたが、本当に謙遜している訳でもないし何の話かさっぱり分からない。
「開門祭の時、空亡の残穢を封印したって……!」
「あ……」
「やっぱり噂は本当だったんですか!?」
二人は手を取り合って「きゃーっ」と騒ぐ。そんなふたりに思わず苦笑いで頬をかいた。
薫先生からはあの日、まねきの社の御祭神さまが現れて大騒ぎになったと聞いた。その騒動を調べるべく騒ぎを遡った誰かが空亡の残穢の一件を知りいつの間にか生徒の間で広まったようだ。
「巫寿さんたち高等部一年の先輩方が、残穢を封じる鳥居を封印し直したって!」
「間違いでは、ないけれど……そんなに立派な武勇伝じゃないよ」
「それでも凄いです! 中等部じゃ皆さんを讃えるためのファンクラブまであるんですから!」
ファンクラブ!?と素っ頓狂な声を上げる。
あの一件は私達からすれば、自分たちの未熟さが招いたかなり痛い出来事だ。散々怒られたし迷惑もかけた。そのおかげで夏休みは潰れるし地獄のような補習も受けなければいけなくなった。
私たちの中でもあまり話題には振れないようにしていた出来事を、私たちの知らないところではそんなことになっていたなんて……。
「ずーっと話を聞きたいと思ってたんです! 巫寿・嘉正担として!」
「みこ、え……? 担?」
「あ、何々担っていうのは、何々のファンって意味です!」
「あ、そうなんだ……」
話の勢いについて行けなくて何だか頭まで痛くなってきたような気がする。苦笑いでこめかみを押えた。
「あ、あの……巫寿ちゃんって呼んでもいいですか……?」
「あ、玉珠ずるーい! 私も巫寿ちゃんって呼んでもいいですか!?」
「うん、それはもちろんだよ。歳も近いし、なんならここでは二人の方が先輩だし……話し方も固くしないで、気軽に友達みたいに接して欲しいな」
そう提案すれば二人は胸の前で手を組むと感極まったように瞳をうるうるさせながら天を仰いだ。
そんな大袈裟な。
それにしても私たちの知らないところでファンクラブが出来ていたなんて。
通りで最近、廊下を歩いている時にやけに視線を感じたわけだ。
皆に話したら、どんな反応をするだろう?
「────ファンクラブぅ?」
その日の夕食の席で、神楽部で聞いた話を伝えると案の定みんなして苦い顔をした。私と同じで他のみんなも鳥居の一件は苦い思い出だったらしい。
「何々担ってのがあるみたいで。あ、担っていうのは何々のファンって意味なんだけど」
「ぼ、僕にファンがいるの……?」
信じられない、と目を見開いた来光くんがハッと後ろを振り返る。キャッと黄色い悲鳴が上がり、顔を真っ赤にして俯いた。
「おお~、来光担結構いるじゃん!」
「か、からかうなよっ」
来光くんはがつがつとお米をかきこんだ。
「とにかく人に見られてるってことだろ。これからの行動は慎むように。特に三馬鹿」
「だからいつも言ってるけど僕を頭数に入れないで!」
ぷりぷり怒る来光くんにくすくす笑いながら、「でも確かにそうだよなぁ」と心の中で思う。
皆から見られているということは、いつもよりも自分の行動には気をつけないといけないという事だ。
「兄さま、兄さま」
ふと背後から声が聞こえて振り返れば、嘉正くんの弟の嘉明くんが立っていた。
お、嘉明!と声をかけた泰紀くんに、「ひっ」と息を飲んで嘉正くんの背中に隠れる。聞くところによると昔泰紀くんと慶賀くんにトラウマになるような遊び方に付き合わされたらしい。
「嘉明、どうしたの?」
嘉正くんは箸を置いて振り返った。
「兄さま、箱持ってる……?」
「箱? どんな箱? 図工で使うの?」
「ううん。タマゴからカブト虫の幼虫たくさん生まれたの。虫かごせまそうだから」
「お前部屋で虫飼ってるの? 絶対かごから逃がすなよ」
「逃がさないもん」
唇を尖らせた嘉明くんに嘉正くんはやれやれと肩を竦めた。
「後で部屋においで。空き箱、欲しいやつ持って行っていいから」
「やった! ありがと、兄さま」
「ん。ほら、早くご飯食べてきな」
そう言ってぽんと頭に手を置いた嘉正くんは「ん?」と険しい顔をする。自分の席へ戻ろうと背を向けた嘉明くんを呼び止めてそのおでこに手のひらを押し当てる。
「やっぱり……お前熱あるよ。そういや声もちょっと変かも」
そう言われた嘉明くんは不思議そうな顔でぼーっと嘉正くんの顔をみあげる。
確かにその頬っぺたはいつもよりも赤くなっていた。
「ごめん巫寿、俺の食器下げといてもらっていい? 嘉明のこと医務室に連れてってくる」
「もちろんだよ。嘉明くん、お大事にね」
そう言って小さく手を振るとケホケホと咳き込みながら「ありがと、巫寿ちゃん」と笑った。
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