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夏休みと祟り

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「────30分に一本って、電車の数少なくない?」

「そうかな。不便だなとは思ったことないよ」

「電車が通ってるだけありがてぇだろ! 俺ん家なんて山奥だから、村のヤツら全員原付の免許持ってるんだぞ」


週末の土曜日、私の家の最寄り駅に集まったのはチーム出仕のメンバーのみんなだ。今日は各々にエナメルバッグやリュックを背負っている。


「それにしてもすごい偶然。巫寿の家の近くのお社だったなんてね」

「ほんとだね。お社は駅を挟んで反対側なんだけど、歩けば三十分くらいで着くよ」


今日は慶賀くんが誘ってくれた夏祭りの日。

しかもその祭りが開催されるお社は、以前魑魅の残穢で穢れた私の家を浄化して下さった神職さまたちがいる「ゆいもりの社」だったのだ。

なので夏祭りの後はみんな私の家に一泊して、日曜日のお昼に各々の家へ帰ることになっている。


「巫寿の家ってどんな感じなの? 部屋って洋風!?」


興味津々に尋ねる慶賀くん。


「洋風……かはさておき、床はフローリングだよ。ソファーとかもあるし、和室ではないかな」

「ソファー! すげぇ! 俺、一度でいいからソファーに座ってみたかったんだよ!」


来光くん以外のみんなは実家がお社だから、部屋はきっと和室なんだろう。

どこにでもある2LDKのアパートなので、みんなの期待に応えられるかどうか不安になる。

あんまり期待しないでね、と肩を竦めた。


「そういえば、巫寿のお友達も今日は一緒に行くんだよね?」

「あ、うん。みんな快諾してくれてありがとう。親友なの」

「気にしないで。巫寿の親友なら、きっと直ぐに仲良くなれると思うし」


嘉正くんのその言葉にほっと息を吐いた。

実は慶賀くんたちと電話をした後、トークアプリを確認すると恵理ちゃんからもお祭りに誘うメッセージが届いていたのだ。

慌てて双方に友達から誘われていることを伝えれば、恵理ちゃんも慶賀くんたちも「みんなで行けば良いじゃん」と快諾し、みんなでお祭りへ行くことになった。


「みんなお昼はまだだよね? どうする?」


外は焼けるように暑かったので、みんなさっぱりしたものがいいはずだ。

駅前商店街にある店のラインナップを思い出しながら、「冷やし中華とか、ざる蕎麦とかなら近くにあるよ」と言おうと口を開きかけたが、


「あ、なら俺マック行きたい!」

「僕もケンタかマックかなぁ」

「モスが近くにあればそれでもいいね」

「マックもいいけどびくドンだろ!」

「びくドンはさすがになさそうだよ」


みんなが口々にファストフードの有名どころを上げていく。

堪らずファストフードでいいの?と目を瞬かせながら尋ねれば、みんなは深く頷く。


「学校始まったら三食和食だからね」

「たまにはハンバーグとかエビフライとか、出してくれればいいのになぁ」

「クリスマスの日に親子丼が出て、俺泣きそうになったことある」


なるほど、と小さく吹き出す。

神修での食事は三食きっちり栄養バランスのとれた一汁三菜の和食が出される。

脂ののった鯖や塩麹が効いた焼き鮭、合わせ味噌の味噌汁にお新香、どれもお店で出せるくらい美味しい。

それに私はどちらかと言えば和食派なのでそんなに苦痛に思ったことは無いけれど、初等部や中等部から通うみんなはもう飽きてしまったようだ。

夏休み中にジャンクフードをお腹の中に貯めとくつもりなんだろう。


「じゃあマックにしよっか。ファストフードはそれくらいしかなくて」

「やりぃ! 俺ロコモコバーガーにしよ!」

「僕、新作のカルピスシェイク飲みたいなぁ」

「クーポン持ってるぜ!」


早速クーポンを物色し始めたみんな。

その背中がなんだかおかしくって仕方がない。

神修でみんなと過ごした一学期を振り返ってみれば楽しかったことは沢山あるけれど、学校の外で普通の高校生みたいにみんなと過ごすのも新鮮で楽しい。


ファストフード店でお昼を済ませたあと、私たちは日が暮れるまで商店街をブラブラ歩いた。

そして約束の十八時に駅前に戻ってくると浴衣姿の恵理ちゃんの姿があった。


「みこー!」


袖を押えながら大きく手を振る恵理ちゃんに答える。

恵理ちゃんは目を輝かせて首をめぐらせると、興奮気味に私の耳元に顔を寄せた。


「えっ、待って待って。男友達とは聞いてたけど、顔面偏差値高くない!?」

「へ、偏差値?」

「んもう! 昔からこの手の話には疎いんだから!」


焦れったそうに私の方をばしばしと叩くと、こほんと咳払いをしてみんなに向き直った。


「はじめまして、相澤恵理あいざわえりです! みこ・・とは幼稚園の頃からの幼なじみです!」


恵理ちゃんはしきりに前髪を引っ張りながらはにかんだ。


「はじめまして恵理ちゃん。巫寿のクラスメイトのうべ嘉正かしょうです」


ぽっと頬を赤くした恵理ちゃんはぺこぺこと何度も頭を下げる。
自己紹介を簡単に済ませ私たちはゆいもりの社へ向かって歩き出した。


道案内も兼ねて私と恵理ちゃんが先頭を歩く。


「ちょっと巫寿! 何なのあのナチュラルイケメンは!」


後ろを歩く嘉正くんたちをちらちらと気にしながら恵理ちゃんは小声でそう言った。


「初対面でサラッと下の名前を呼ぶとか、どこの国の王子様なのーっ!」


いやそれは、と口を挟んだが恵理ちゃんには聞こえていないらしい。

何はともあれお互いに嫌な印象は抱かなかったようで一安心だ。

顔を真っ赤にさせて後ろの雑談に参加する恵理ちゃんの姿に、そういえば昔からミーハーなところがあったなと思い出す。

そんな感じでみんなでわいわい歩いていると遠くに大きな鳥居が見えた。山の麓にあるそれは「ゆいもりの社」の表の鳥居だ。

鎮守の森の木々には赤い提灯が飾られている。社号の「ゆいもり」の文字と社紋が黒で描かれた提灯は暗闇の中をふわふわ漂っているようだ。

人で賑わう楽しげな声と和楽器で奏でられる祭囃子が風に乗って聞こえてくる。社頭へ続く石階段をたくさんの人が昇り降りしているのが見えた。

注連縄のかかった赤い鳥居に、社頭へ続く石階段。階段の一つひとつには石灯籠が立っていて、中でロウソクが燃えている。

まねきの社の入口とどことなく似ている雰囲気だ。

狐面や天狗面を付けた浴衣姿の子供たちが風車を片手に階段を駆け下りていった。


「賑わってるね。こっち側の社なのに珍しい」


嘉正くんは興味深そうに首をめぐらせた。


「……こっち側の社って、あんまり人が来ないの?」


恵理ちゃんが前を歩いているので、潜めた声で尋ねる。


「そうだね。鬼門のある所に社を立てるから、ひと気のないところや森や山の中が多くて人の参拝客は少ないんだよ」


そういえば、まねきの社もとても立派な神社なのに社頭で人を見掛けることは滅多にない。

平日はひとりやふたり見かければ多い方だし、休日でも客足はまばらだった。


以前ゴールデンウィークの最終日にゆいもりの社へ訪れた時には、昼は人の参拝客で賑わい夜はあやかし達が出店を開いて活気で溢れていた。

そういう社って珍しいんだ。


「あ、もうすぐ社頭に出られるよ」


来光くんが階段の先を指さして、みんな駆け足でてっぺんまで登りきる。

ずらりと並んだ屋台と夜を照らす橙色の提灯にわっと感嘆の声を上げた。

階段の前から拝殿までの参道を挟むようにしてたくさんの屋台が軒を連ね、賑やかな声で人を呼び込んでいる。

しめ縄の掛けられた大きな御神木の前には櫓が組まれていて、その上では和太鼓や龍笛、摺鉦すりがねによって心地よい祭囃子が奏でられていた。

参拝客たちの鮮やかな浴衣が夜に映えて、とても綺麗だった。


「すっげー! 俺イカ食いたい!」

「俺は焼きそばとフランクフルト!」


駆け出そうとした慶賀くんと泰紀くんの首根っこを、嘉正くんが素早く捕まえる。ぐえ、と苦しそうな声を上げたふたりは恨めしそうに嘉正くんを睨んだ。


「何すんだよぅ!」

「馬鹿! 遊ぶよりもその前に、まずは御祭神の結眞津々実尊ゆまつづみのみことに挨拶してからだ」


あ、と声を上げたふたりは直ぐに「わ、分かってるって!」と弁解する。

どうだか、と嘉正くんがため息をつけば、ケケケッとしゃがれた笑い声が背中で聞こえた。


「そうさ、御祭神さまにはきちんと手を合わせなきゃ行けないよ。未来の神職さまなら尚更だ」


そこに立っていたのは、胸の前で太った三毛猫を抱いたお婆さんだった。ちゃんちゃんこにもんぺ袴、白い髪をお団子に纏めた出で立ちで、私達を見上げている。

あれ、このお婆さん今「神職さま」って。


「どうしてここにいるんですか? 今日は表の社の祭、あなたみたいな人は入って来れないはずだけれど」


嘉正くんが片手で私を制すと一歩前に出てそう尋ねる。

あなたみたいな人?────あ、まさか。


「ここの神職さまに招かれているからだよ。知ってるだろう、神職に招かれれば鳥居を通ることが出来る」


やっぱりそうか、このお婆さんは妖だ。


「ここの神職さまに招かれたんだ、それに悪さをするような歳でもない。だからそんな物騒な顔をするんじゃないよ」


お婆さんはニタリと笑う。

嘉正くんは肩を竦めると苦笑いで「すみません」と謝った。

お婆さんは親しげに笑いながら近付いてきた。


「あんたら神修の学生だね。今日は遊びに来たのかい?」

「そうだよー! ばあちゃんも遊びに来たの?」

「ばあちゃんはやめとくれ、ババでいいよ。わしゃ、ここの神主に頼まれて授与所を手伝いに来たのさ」


妖が社を手伝うんだ、と目を丸くすると、そんな私を見てババは楽しそうにケラケラ笑った。


「しっかり勉強していくんだよ。この社はいいお手本になる社さ」


私たちの返事に満足気に頷いたババは授与所へ向かって歩き出した。

隣を歩いていた来光くんに声を潜めて尋ねる。


「ねえ、もしかして今のって……」

「うん、妖。山姥だよ」


教科書では見たことはあるけれど実際の山姥は想像していたよりも随分と馴染みやすい姿をしていた。あんなお婆さんが歩いていても妖だなんて誰も思わないだろう。


「みんなどうしたの? 急に立ち止まったりして」


私たちが着いてきていないことに気がついた恵理ちゃんが小走りで戻ってきた。

慌てて首を振って「なんでもないよ」と笑う。


「早く行こ! わたあめ売り切れちゃうよ~」


私の手を取って、恵理ちゃんは走り出した。

本殿を参拝し終えた私たちは参道にずらりとならぶ出店をひとつひとつ覗いた。

みんなでお揃いの狐面を買うと、面の裏側に蚯蚓みみずのような文字で何かが書かれていた。

夏休みに入ってからも勉強を続けていたのもあって、だいぶ崩し字にも馴染んできた。面の裏に書かれていたのは「祓い給え 清め給え かむながら守り給い さきわえ給え」、略拝詞と呼ばれる短い祝詞だ。

この祝詞は「お祓い下さい お清め下さい お守り下さい 幸福にして下さい」という意味でお願いごとの全てが詰まっている。

聞けば神主さんが書いたものらしい。「なるほど、お守り代わりになる訳だ」と嘉正くんが感心していた。

色々な店を回っていると稀に人に化けた妖もいた。きっと彼らもゆいもりの社の神主さまに招かれた妖なんだろう。

妖のいる屋台を冷やかしたり知り合った子供たちと鬼ごっこをしたり、買い食いをしてヨーヨー釣りをして輪投げをして、屋台を端から端まで遊び尽くす頃にはうんと夜も深まって、もうすぐ日付が変わろうとしていた。

みんなと直ぐに打ち解けた恵理ちゃんは、すっかり名前で呼び合う仲になっていた。

祭りの余韻に浸るように、鳥居へ続く石階段に腰掛けてぼんやりと取ったヨーヨーを見つめる。


「楽しかったね。また来年も来たいな」

「そうだね。補習が無ければの話だけど」


嘉正くんの言葉にみんなひとつため息を零す。

夏休みはまだまだあるけれど私たちの夏休みはあと数日で終わる。再来週からは夏期補習だ。


「2週間も夏期補習なんて、そんなに勉強に力を入れているんだね。進学校?」


夏期補習があるのは、六月に起きたあの事件のせいで私達が二ヶ月も登校できなかったからだ。

けれどそんなことを恵理ちゃんに伝えられるはずもなく、「まあ、そんなとこかな」と苦笑いで言葉を濁した。


「じゃあ、そろそろ帰ろうか。恵理ちゃんもいるし、丑三つ時までには帰らないとね」

「嘉正くん、丑三つ時って! オバケとか信じてるの?」


くすくすと笑った恵理ちゃんは立ち上がっておしりの土埃を払うと「帰る前にトイレ行ってくるね」と社務所の方へ走っていった。

その背中が見えなくなって、嘉正くんはほっと息を吐いた。


「恵理ちゃんってなかなか鋭いね。ドキッとした」

「あはは……親友だけど私も時々ハッとさせられることよく言われたよ」

「勘が鋭いんだね、もしかしたら霊感も強い方かも」


そういうものなんだ、と目を丸くする。


「でもオバケが見えるなんてこと、恵理ちゃんから聞いたことないよ」

「彼女自身が持っている言祝ぎがとても強いから、無意識に遠ざけているんだと思うよ」

「えっ、恵理ちゃんが?」

「うん。普通の人でもその人自身の性質は言祝ぎと呪から出来ているのは俺らと同じだよ」


言祝ぎや呪があるのは私たちのような言霊の力を操る人たちだけなのだと思っていた。まだまだ知らないことは多いんだなぁと改めて実感する。

夏休みの夏期補習、頑張らなくちゃ。

そう心に決めたその時、ほぼ同時にみんながパッと顔を上げた。私も立ち上がって首をめぐらせる。


「今……」

「ああ、俺にも聞こえた」

「子どもの声だった!」


険しい顔をしたみんなと目が合う。

嘉正くんがひとつ頷いたと同時に、私たちは駆け出した。



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