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6、彼女には敵わない

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 昨日、いきなりロレッタ様に『悪行なすり付けムーヴ』を起こされました私、キャサリン・マレッドでございます。
 その後殿下が私にかけられた嫌疑を直ぐに晴らして下さったらしく、クラスに戻っても誰も私を不穏な目で見てくることもなく、学校内でもヒソヒソ噂話をされる事もなく平穏な一日を過ごしましたわ。
 殿下の心配りに感動致しましたわ。
 一体どうやってこんなに綺麗に処理することができたのでしょうか…?私はてっきり周りから『平民を虐める悪役令嬢』『婚約者を取られると嫉妬に狂う女』だと後ろ指を刺されてしまうのだと思っていましたけれども…

 なぜか原因になった乙女ゲームの主人公であるロレッタ様はクラスにおらず、学校で見かけませんでした。
 そのことについて下校前に質問しようと思ったのですが、ロレッタ様の名前を出す前に殿下から「明日の放課後に一緒に市井へ行こう」と言われましたの。
 今まで殿下と式典や王家主催のパーティ以外で、どこかに出かけた事はございませんでしたわ。
 それに昨日からの3日間皇都では豊穣祭が行われていまして、見かける度に興味をそそられていたのです。
 ですから、もうその事で頭がいっぱいになってしまい、豊穣祭について調べたり、服装を用意したりでロレッタ様の事などすっかり頭から抜けてしまいましたの。

 あっという間に時間が経ち、放課後殿下と市井にお出かけする時間でございますわ。
 勿論視察でございますよね。いつも殿下は一般庶民と同じような恰好をして市井の見回りをしていらっしゃいますし、きっと私を同行させるのは王太子妃教育の一環でしょう。
 ああ、でも初めての豊穣祭を見て回る機会に私の心は浮き足立っておりますの。
 殿下の側近のクロム様に聞いて、今日の服装をちゃんと持って来ております。庶民の娘がする服装ですわ。
 今日は使用しない生徒会室でお着替えをさせていただきました。
 自邸の侍女たちに用意してもらったのだけど、庶民の服装は少し薄いというか、なんと言うか頼りないわ。着替え始めて気付いたけれど、これは少し私には似合っていないかも知れないわ。
 だって胸が…
 押さえて抱き込むような包容力のある服ではなく、なんと言うかアンダーバストを支えて上に持ち上げるような構造で、入るのだけど、入るのだけれどね、お腹の上にお尻があるみたいになってしまっているわ…

 どうしましょう…
 私はアタフタしたまま胸元の編み上げ紐を緩めたり締めたりを繰り返しておりました。

 焦った私はとんでもない失態をしてしまうのです。

 生徒会室の外では違う場所で着替え終えた殿下が待機してくれていたようで、控え目なノックが響きました。
「…はい」
 私は焦っていて直ぐに他の言葉を返さなかったのです。

 扉に背を向けたまま、胸元の紐と格闘しておりましたら、私の返事を開けていいと判断なさったのか扉が急に開きましたの。
 上半身は庶民の服に袖を通して無駄に多い胸の肉を収めようと四苦八苦し、下半身はスカートを脱いだままのパンツ一丁という恰好でしたの私。

 殿下は私の下半身に視線を落とすと目を丸くしてから、大慌てで何も言わず扉を閉めました。

 彼の反応に、やっと自分がまだスカートを履いていなかった事を思い出しましたわ。
「ひゃああ!」
 私が自分の状況を思い出して勝手に悲鳴を上げたのですが、部屋の外から殿下の「すまないキャサリン!」という声が聞こえてきました。

 数分後、落ち着いてから殿下に声を掛けて室内に入ってもらいました。
「お見苦しい物をお見せしてしまい、申し訳ございません」
「…いや。大丈夫だ」
 こういう時自分の粗忽加減に嫌気が差してしまいますわ。
 私は殿下に変になった服の胸部を見てもらって、編み上げ紐の調整をしてもらいました。スカートは履きましたわ。

 殿下は流石に胸という事もあって、いつもの無表情を赤くさせて私の胸元の紐を調節してくれました。
 気のせいかもしれませんが、最初手がブルブルと震えていらしたかもしれません。
 皇太子のエドモンド殿下にこんなことをさせて、凄く怒っているかしらと、下から顔を覗いて「不器用で申し訳ございません」と謝ると、殿下は首を振ってくださいましたわ。

 殿下が器用な手つきで調整してくださって、何とか無事に服装を整える事ができましたの。殿下の顔が僅かに赤いですが、私もドキドキしてしまって顔が赤くなっていますの。…恥ずかしいわ。殿下に気付かれないといいのですが。
「殿下にこんなことをさせてしまい…」
「気にするな。私が誘ったのだから。よく考えたら身支度の為に侍女でも連れてくるべきだった。こういった事になっても仕方ない。さ、できたぞ」

 そう言うと僅かに殿下が口角を上げてくださったのです。ああ、この笑顔が好きでございますわ。こうして私が無様な失態をしても彼は笑って許してくれるのです。素敵な方…


 私たちは王室用の馬車ではなく、殿下が手配して下さった普通の馬車に乗って市井の市場へと向かいました。

 エドモンド皇太子は沢山の市民にお顔を知られているので、馬車の中で変身の魔法薬をお飲みになりました。一時的に髪と目の色を変える魔法でございます。まぁ、どんなに色を変えたところでエドモンド様の美貌が霞むわけではございませんが。というか黒髪に、鳶色の瞳もす、す、素敵!いつもは神秘的な銀の髪に海のようなブルーの瞳ですが、今日は色を変えただけで大人っぽく、なんというか…と、とにかく素敵でございますわ。

 私が不躾にも殿下のお顔をまじまじと見ていると、馬車の対面に座っている殿下もこちらをじっと見てきました。目を合わせていると好きな気持ちが伝わってしまうのではないかと私はそっと目を逸らします。
「キャサリン、今日は変装しているのだから、不自然じゃないように私と庶民のカップルとして振舞うように」
「は、はいっ…殿下」
 その返事に殿下が黙って首を振りました。
「あ、え、エドモンド様?」
 また、首を振ります。
「エド?」
「いいよ。キャシー、今日はそう呼んで。敬語も無しだ」
 そう言うと黒髪に鳶色の瞳になっている殿下はニコリと笑いました。

 フぐぅ!!

 余りにも格好良くて、心臓にダメージを負いそうになりましたわ。

「でも、カップルじゃなくてはいけませんの?」
「ああ、市井では妙齢の男女が街歩きをする場合、カップルしか許されないんだ」
「そうなのですね?」
 そんなローカルルールがあるのですわね。
「道に迷ったら女性は暴漢に連れて行かれるから、絶対に恋人同士は手を繋がないといけないんだ」
 殿下は真剣な顔でおっしゃいます。
「まぁっ!」
 存じませんわ。私ったら、市井を一人で歩いた事がなかったので、そんな危険があることも全く知らずに…無知が恥ずかしいですわ。皇都は結構治安が悪いのですわね。
「しかも…ある一定の間隔でパートナーにキスしないと、恋人同士ではないと思われて、異性が声を掛けて来て相手を連れ去ってしまうんだ」
「な、なんですって?キ、キス!?」
 思わず殿下を凝視しました。殿下はずっと真剣な顔のままでございますわ。
「私が合図を送るから、キスをしてくれるか?」
「え…えっ…そ、そんな…わ、わ、たくし…恥ず、かしいですわ」顔に血が集ってしまいます。
 えええ?このゲームはそういうルールがあったのかしら?デートでは確かに最後にキスするイベントはありましたわ。でも、殿下は真剣ですもの。嘘ではないですわよね?こんな顔で揶揄っているわけでは?
「駄目だ。そんな事だと、市井を歩き回れないぞ?」
「ほ、本当ですの?私、私…」
 キス、なんて…今世でした事ないですわ…
「残念だが、今日は止めにするか?」
 殿下が少し悲しそうな顔をなさいました。
 ああ、ここまでお膳立てしてもらっていて、今更…あああっ…
「り、了解致しましたわっ」
 私は熱くなった頬を手で押さえました。
 そんなやり取りをしている間にも、馬車は皇都南の大きな市場街へと到着しました。

 馬車から降りるなりエドモンド様の大きな手が私の右手を掴みました。
 大きくてとても暖かい手でございました。
 今までエスコートされたことは沢山有りますが、今日は式典でもパーティでもなんでもございませんわ。護衛が変装して付いていようと、二人きりなのでございます。お互い手袋もしておりませんの。
 私が胸を高鳴らせるのは仕方がないことでございましょう?

「さあ、行こうかキャシー」

 エドモンド様が笑って下さいました。屈託のない笑顔に、私の頬も緩みました。

「はい!」


 市場には沢山のテントが張られ、色んな商品が売られていました。食料品から嗜好品や可愛らしい宝飾品もより取り見取りでございますわ。外国からやって来た不思議なフルーツや玩具、本まで並んでいますわ。
 私と殿下はあちらこちらに寄り、沢山の珍しい物や面白い物を見つけました。
 お菓子や子供向けのおもちゃも可愛らしくて、私が目を輝かせていると殿下が直ぐに「買おう」と言ってくださいます。後でお返しした方がいいのかしら?視察なのだから経費なのかしら?…とりあえず、私の分は暗算で計算しておきましょう。

 人通りの少ない道路の曲がり角に差し掛かった時、殿下がポツリと言いました。
「キャシー、キスしてくれ」

 きましたわ!
 いつ指示されるのかドキドキしていましたが、いくら人が少ないといっても恥ずかしゅうございますわね。

 長身の殿下は私に向けて屈んでくださいました。真剣な顔ですが、目が血走っておりました。なんだか少し怖いですわ。
 私はドキドキしながら、殿下の頬に両手を添えてキス…致しました。

 余りにも早いと口がぶつかって痛いと思いますので、ゆっくりとキスしましたわ。殿下の香水の香りと彼自身の素敵な匂い、いつもは銀色だけれど今日は黒く染まった長い睫毛、柔らかい唇。
 ああ、心臓が壊れそうですわ。いくら視察のためといえ、こんな事…私の心をどうするおつもり?失恋計画はパーです。もう諦めますわ。私は酷い失恋の末捨てられるのです。もう良いですわ。

 顔を離してチラリと殿下を伺ってみると、殿下は目をこれでもかという程見開いて、顔を真っ赤にして屈んだ姿勢のまま硬直していました。

 え?だ、だってキスって言いましたわよね?
 私がその様子に驚いていると、

 殿下の両方の鼻の穴から血が噴出したのです。
「でっ…エド?!大丈夫ですか!?」

 殿下は顔を両手で押さえながら何かブツブツと早口で呟きながらしゃがみこんでしまいました。
「まさか一発目から唇にしてくれるとか、えー…なにこれ?夢?柔らか……いやいや、あの真面目なキャサリンがいきなり唇にキスしてくるとか……最初は手とかにするだろうから、今日中に頬に誘導しようと思ってたけど…どう考えても可愛いが過ぎるし、辛いくらい好きだし、はぁ、押し倒したい。押し倒したい。今直ぐ連れ込み宿に何食わぬ顔で連れて行ってもいいよな?なんだかんだで許してくれそうだし、いやマジなんなの、本当ムリ、結婚まで待てない、そうだ、退学しよう、いやダメだろ、さっきパンツ見せつけられて、こっちだってバキバキなの隠してんのに、唇にキスとか本当理性の限界を試してんだな?もしかして俺の事殺そうとしてるとか?あー…好き……」

 消え入りそうな声で私には何を言っているのか分かりませんでしたわ。両の手の間からダラダラと血が垂れています。
 私はオロオロしながら、とりあえずハンカチを差し出しました。

 殿下は鼻をハンカチで押さえて、しばらくして復活されました。一体どうされたのかしら?殿下はキスしないといけないって言っていたわよね?キスって?チュウ・接吻の事ですわよね?ね?

 私がまだ戸惑っていると、殿下は言いました。

「大丈夫だ、ちょっと暑気にあてられただけだ。さ、デート…いや視察を続けるぞ」
「は、はい」
 また殿下は私の右手を握って、歩き始めました。

 殿下の鼻の周りには少し乾いた血がこびりついています。
 時おり『宿』の看板が出ている建物の前で考えこみながら、ブツブツと独り言を言っていますが、本当に大丈夫でしょうか。

 大通りを曲がると、小さな通路にギッチリとお店がひしめく通りがございましたわ。
「まぁっ…で、エド、ワクワクいたしますね」
 私が殿下に笑いかけると、一拍置いてから殿下は答えました。
「………本当だな。でも、狭いと人も多いから、はぐれないように、私に抱き着くようにしっかりくっ付いておくんだよ?」
「え?…はいっ」
 抱き着く?よく分からないけど、手を繋いでいる殿下の腕にピトリとくっ付きますわ。ううう…こんな事しちゃうとお胸が…
 むにゅっ

「あー!」「なんで自分を追い込んだんだ俺は?」
 殿下が何やらものすごく早口で小さく叫びました。
「エド?どうしましたか?追い込み?」
「何でもない…」
 殿下は私と反対側に顔を向けてしまいました。繋いでいない方の手で顔を覆うように隠していますが、何だかまた顔が真っ赤ですわ。

 小さな通りを抜けると、もう一つの広い大通りへと続いていました。そこにも沢山の出店のテントがありました。こちらには串焼きや立ったまま食べられる屋台が多かったのです。
「キャシー、あれを食べてみないか?」
 大きな腸詰肉を殿下が指差します。うふふ、やっぱり男飯なものに飛びつきましたわね。何て微笑ましいのかしら。
「殿…エド、わたく…私も食べたいわ」…上手く庶民の様に話すのが難しいですわ。
「毎度あり!」
 殿下からお代を受け取った店の店主はニカリと笑うと串に刺した大きなソーセージを二本渡してくれました。

「あ、あら?」
 私にはそのソーセージをお口に入れることができませんでしたの。
 殿下は男らしく大きくお口を開くと3口程で食べてしまいました。
「エド、大きくてお口に入りませんわ…」
 私のその一言に、また殿下は一拍置いてから答えてくれました。
「……横から噛んで良いんだよ」
「はむっ」
「おっ…ふ…」
 またもや殿下は私から目を逸らして、宿屋のある通りを睨んで何かブツブツと呟きました。今日の殿下はなんだか可笑しいですわ。ソーセージをお持ち帰りしたいのかしら?

 私は美味しそうな綿菓子屋さんを見つけて、早速購入して食べてみました。
「エド、はい、どうぞ」
 皇太子エドモンド殿下は実は甘い物も好んで食べられますの。私の知る限りでは基本的に好き嫌いはございませんわ。一つまみ千切り、殿下に渡します。
 すると殿下は私の指ごと口の中に入れてしまいました。
「きゃっ」
 チュパッという音をさせて、私の指が離されました。
「甘い」
「もうっ私の指は綿飴ではありませんわ」
 わざと子供の様に頬を膨らせました。だって、今日は庶民ですもの。あの主人公のロレッタ様みたいにしていいのだもの。
「可愛い」
 はっきりと殿下の口から言葉が漏れましたわ。しかもニコリと笑っていますの。
 え?私の事でございますか?で、殿下、に、可愛いって…

 またもや顔がジワジワと赤くなり、嬉し過ぎて泣きそうですわ。
 ああ、殿下に褒められる事があるなんて…!

 あ、ダメ、ダメ…

 嬉し過ぎて私の目からは涙が零れてしまいました。あああ、淑女たるもの…人前で泣くなんて…
 私の脳裏では今まで辛かった皇太子妃教育や、すれ違っていた彼との期間の思い出などが浮かびあがり、現在の殿下と親密になれているという歓喜が綯い交ぜになり、心が乱れました。どこかでは分かっていたのです。失恋計画など策を練る時点で私は皇太子エドモンド殿下をどうしようもなく好きでいた事を。

「キャシー?どうした?ゴメン。指を舐められたのが嫌だったのか?」
 殿下は急に泣き出した私に戸惑っておられましたわ。

「くすん。いいえ、ぐすっ…嬉しくて…殿下に可愛いって言ってもらえるなんて、今まで無かったですから…ううっ…わたくし、もう、これで最後だとしても、嬉しいですわ…」
 私は馬鹿みたいに本音を漏らしてしまいました。今まで培ってきた貴族としての矜持も、王太子妃教育を受けて来たというプライドも、涙と共に零れ落ちていったようですわ。本当にポンコツですわ…

 泣いている私の頬を殿下が両手で挟み、次の瞬間、唇に綿飴の味がする甘い甘いキスを落とされました。

「キャシーは可愛い。ずっと思っていた。言えなくて、ごめん」

 真っすぐに目を合わして、そう言われてしまうと、また涙がポロポロと落ちてしまいますわ。
「殿下、…お慕いしておりますっ」
 いつも心から溢れそうだったことが勝手に口から漏れていました。
「俺もキャシーが好きだ」
「う、嬉しいぃ…殿下ぁ」
 私は泣きながら殿下の胸へと飛び込みました。
 殿下のガッシリした腕が苦しいぐらい力強く私を抱き締めてくれます。

 周りから『わっ!』と歓声が響きました。
 急にイチャイチャし始めて、告白し始めた私達を見た周りの人たちがはやし立て始めました。
「デンカさんキャシーさんおめでとう!」「もう可愛い彼女を泣かすんじゃないよっ」「イチャイチャすんな!」「よ!もっとやれ!」「若いっていいねぇ!」と周りの人たちが色んな事を言って笑っていました。
 何てこと…これでは悪役ライバルでも攻略者でもなく、ただのイチャラブバカップルではありません事?
 殿下のせいですわ。殿下がこんなデートみたいな事をするからですわ。

 後で全部演技だったと言われても良かったのです。
 この視察を思い出に私は生きていきますわ。
 これから主人公に攻略されて、私は敗退する身。だけど一生に一度、殿下と両想いになれた事がございますの。それだけを糧に次の恋に…

「キャシー、可愛いね。さあ、キスしてくれ」
 次の恋に…
「大好きなキャシー…離れがたいよ…早く、一緒に帰ることが出来たら…」
 次の恋…
「キャシー今まで言ってなかったけど、学校の中でも恋人はキスしないといけないルールがあるんだ」
 次の…
「キャシー、俺の膝に乗ったまま昼食を食べないと駄目だよ。俺たちは恋人なのだから」
 次…
「愛するキャシー、少し触れていいか?」
 …
「キャシー俺の天使…一度皇宮の俺の部屋に遊びに来ないか?」
 …?

 次の恋に移れないほど殿下が急接近してくるのですが…
 また、困った事に私にはそれが凄く嬉しい事ですので、少しぐらい恥ずかしい事も嫌な訳も無く…

 あれから主人公のロレッタ様は忽然と姿を消し、まるで最初から存在しなかったように痕跡が無くなりました。はて私は一体これからどうなりますの?
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